【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。

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2話 僕の才能

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 いや~! なんて素晴らしい青空なんだ~!

 上を見上げれば青空。前を向いてもどこまでも広がる青空だ。

 僕が異世界転生して十二年。

 日本とは違い、十二歳が成人年齢であり、晴れて家から追い出されることができた。

 アスカジュー子爵家は剣のためだけに生きていて、毎日稽古ばかりで食事制限もあるから腹一杯に食事も取れない窮屈きゅうくつな生活を送っている。もちろん僕もそうだった。

 だからこそ、追い出される今日まで色々我慢していた。

 その気になれば、僕の才能で剣術を身につけることもできるけど、それをやっちゃうとあの家にずっと閉じ込められると思ったから、わざとダメ息子を演じたつもりだ。

 母上も早々に僕を見放しているし、兄弟も僕を馬鹿にしていたので思い入れなんてなんもない。

 思い入れがあるのなら、たった一つ。あの子・・・のことだけ。それも込みで今日という日は非常に重要な日だ。追い出されるまで待ったもう一つの理由でもある。

 僕はアスカジュー子爵家が統治している街を出て、道を進んで森に入った。



 慣れた足取りで森を歩き進めて、とある泉の前にやってきた。

 ここは休息日によく遊びに来ていた泉だ。水源があるだけで生活しやすいからね。

 さて、早速――――――ご飯にするか!

「【アプリ】発動」

 僕の前にゲームのウィンドウのような画面が現れた。

---------------------
 容量:2GB/2GB

・異世界会話(1GB)
・一秒クッキング(1GB)
---------------------

 僕の才能である【アプリ】だ。

 簡単に説明すると、レベルが上がれば容量が上がり、容量が上がると好きなアプリをインストールできる。

 インストールするのもアンインストールも自由にできるけど、インストールするのには時間がかかる。

 僕が最初にインストールしたのは【異世界会話】。インストールするのになんと一年も掛かった。生まれて0歳の時に開花した【アプリ】で、真っ先にインストールしている。

 もう一つの【一秒クッキング】は三日でインストールできたので、内容によってインストール時間が変わる。

 アプリの種類だけど、色んなものがある。前世でいうスマホみたいな感じになってて便利なアプリから才能アプリまであって、その気になれば才能【勇者】になろうと思えばなれたりする。容量が足りないけど。

 まあ、僕は勇者だとか賢者だとか剣聖だとかに興味はない。とにかく美味しいご飯が食べたい! せっかくの異世界なんだからまだ見ぬ素材のご飯が食べたいのだ!

 近くの茂みが動く音が聞こえた。

 腰に掛けられた刃渡り四十センチ程のショートソートを取り出す。

 地面に落ちていた石を拾って茂みに投げ込んだ。

 中から現れたのは、全長五十センチくらいの大型ウサギ。その頭には鋭い角が生えている。

「コーンラビット! ラッキー!」

 ウサギが僕を目掛けて飛んでくる。見た目と違って凶暴な魔物だ。

 ウサギの攻撃が当たる直前に体を捻って避けながら剣で斬りつける。

 才能はなくても十年以上剣術を学んでいるからね。これくらいは簡単だ。

 何度か同じことを繰り返して倒したコーンラビットに手を合わせて、一枚の皿を取り出してその上に乗せる。

 そして、両手を前に出して呪文を叫ぶ。そう。伝説の呪文だ。




「焼肉う~!」




 皿の上に乗せたコーンラビットが光りに包まれて一瞬で――――焼肉に変わった。

「うおお! さすが一秒クッキング! 一瞬で料理完成~!」

 焼肉の香ばしい匂いが広がる。

 早速自作した箸で焼肉を頬張る。

 できれば焼肉のたれなんてあったら最高なんだけど、そんな贅沢は言えない。

 アスカジュー家にいた時もここまで美味しい焼肉は食べられなかったからね。食事制限滅ぶべしっ!

 普通に焼いたのとは違い一秒クッキングだと完璧・・な仕上がりになるので、臭み一つなく美味しく食べられる。

 コーンラビット一匹丸々を一人で食べるなんて贅沢すぎる時間を堪能した。

 これから毎日こういう食事ができると思うと、剣士だとか魔法使いだとかをインストールせずに一秒クッキングをインストールして大正解だったな。

 その時、森の向こうから土埃が上がって何者かがこちらに向かってくるのが見えた。
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