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16話 猫耳母娘
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「あ、あの……何か御用でしょうか?」
母親が子供を抱き寄せて不安そうに話した。
「それ、食べ残しですよね。そんなもの食べたら腹痛めますよ。セレナ~コーンラビット一体持ってきてくれる?」
「うん!」
セレナも僕が何をするのか瞬時に理解できたようで、既に手にコーンラビットを一体持っていた。
彼女はすぐに前に出した大皿の上にコーンラビットを置いた。
「焼肉!」
二人の状態から推測するに、暫くまともな食事を食べれていない気がする。
そこで【無限調味料】で今回追加するのは――――【大根おろし】である。
【無限調味料】は、調味料として使われているものなら何でも追加できる。
それこそ、元は大根だったとしても下ろして調味料として使える大根おろしという調味料も追加できるのだ。
焼肉に白い大根おろしが乗せられ、さらにいつもの焼肉とは違い、サイコロステーキ風にカットされた焼肉が並んだ。
これは【一秒クッキング】で、料理の形を指定している。
「温かいうちに食べてください」
「!? ほ、本当によろしいのでしょうか?」
「どうぞ。お金もいりませんから」
「あ、ありがとうございます!」
母親と僕と焼肉を交互に見ていた娘に、母親が涙を流しながら「食べましょう」と話すと、娘はとても眩しい笑顔を咲かせた。
「ありがとーござぁいますー!」
まだ小さい女の子は感謝の言葉を口にして、フォークで焼肉を口に運んだ。
「ん! 美味しい!」
「そっか。もっと食べたかったらまだまだあるけど、久しぶりに満腹になると、とても危ないからゆっくり食べてね」
「うん!」
母娘が美味しそうに食べる姿に、ムカムカしていた僕の心が一気に解け始める。
セレナが水筒の残り飲み水を二人にあげて、食事を終えた。
「本当にどう感謝したらいいか……」
「気にしないでください。コーンラビットならこんなにも余ってますから」
「ですが……売り物だったのでしょう?」
「まあ、それはそうですけど、一体くらいご馳走したところで大きく減るものでもありませんから、それにうちには大食いもいるので、一体くらいでとやかく変わるモノもありません」
「そうなんです! 私、一回で五体は食べてちゃうんです」
「五体も!?」
女の子が驚いて声を上げた。
彼女達はこれからもこういう生活を続けるはずだ。どうしてなのか少し疑問に思った。
「あの、どうしてお二人はこの街に? 獣人族は大陸の東方で住んでいると聞いていたんですが」
「はい…………実は…………風渡りに娘と巻き込まれまして……」
「違うの! 私が巻き込まれて……ママが…………」
風渡りか……。きっと娘が飛ばされそうになって、母親が飛び込んだと思う。もしセレナが飛ばされたら、僕も迷わず飛び込むだろう。ポンちゃんも風渡りでこちらに飛んできたっけ。
「亜人族は仕事を貰えなくて……最初が店員の仕事をやっていたんですが、獣人嫌いの方々もいて、結局は働けなくなってしまいました…………このお店も最初は親切にしてくださったんですが、私のせいでどんどん客が離れてしまって……」
いま僕達が住んでいるのは大陸の西側、獣人族が多く住んでいるのは大陸の東側。遠く離れているため、中にはお互いを嫌いな人もいる。
その昔、人族と獣人族が戦争を続けていたのはこの世界では有名な話で、今でこそ両種族は平和条約で休戦中だが、それもほぼ形ばかりだという。
獣人族に家族を亡くした人もいて、獣人族というだけで嫌う人も少なくない。だから彼女の働き口も多くないのだ。
彼女達が悪い訳でもないし、風渡りでここまで飛ばされただけで、こんなにも苦労しなくちゃいけないのか、それがとても悲しく思えた。
「私が大きくなったら……魔法で……」
「ミレイ!」
「あっ!」
ん? 魔法? 女の子は自分の手で口を塞いだ。
どうやら、この母娘にはもっと事情がありそうだ。
母親が子供を抱き寄せて不安そうに話した。
「それ、食べ残しですよね。そんなもの食べたら腹痛めますよ。セレナ~コーンラビット一体持ってきてくれる?」
「うん!」
セレナも僕が何をするのか瞬時に理解できたようで、既に手にコーンラビットを一体持っていた。
彼女はすぐに前に出した大皿の上にコーンラビットを置いた。
「焼肉!」
二人の状態から推測するに、暫くまともな食事を食べれていない気がする。
そこで【無限調味料】で今回追加するのは――――【大根おろし】である。
【無限調味料】は、調味料として使われているものなら何でも追加できる。
それこそ、元は大根だったとしても下ろして調味料として使える大根おろしという調味料も追加できるのだ。
焼肉に白い大根おろしが乗せられ、さらにいつもの焼肉とは違い、サイコロステーキ風にカットされた焼肉が並んだ。
これは【一秒クッキング】で、料理の形を指定している。
「温かいうちに食べてください」
「!? ほ、本当によろしいのでしょうか?」
「どうぞ。お金もいりませんから」
「あ、ありがとうございます!」
母親と僕と焼肉を交互に見ていた娘に、母親が涙を流しながら「食べましょう」と話すと、娘はとても眩しい笑顔を咲かせた。
「ありがとーござぁいますー!」
まだ小さい女の子は感謝の言葉を口にして、フォークで焼肉を口に運んだ。
「ん! 美味しい!」
「そっか。もっと食べたかったらまだまだあるけど、久しぶりに満腹になると、とても危ないからゆっくり食べてね」
「うん!」
母娘が美味しそうに食べる姿に、ムカムカしていた僕の心が一気に解け始める。
セレナが水筒の残り飲み水を二人にあげて、食事を終えた。
「本当にどう感謝したらいいか……」
「気にしないでください。コーンラビットならこんなにも余ってますから」
「ですが……売り物だったのでしょう?」
「まあ、それはそうですけど、一体くらいご馳走したところで大きく減るものでもありませんから、それにうちには大食いもいるので、一体くらいでとやかく変わるモノもありません」
「そうなんです! 私、一回で五体は食べてちゃうんです」
「五体も!?」
女の子が驚いて声を上げた。
彼女達はこれからもこういう生活を続けるはずだ。どうしてなのか少し疑問に思った。
「あの、どうしてお二人はこの街に? 獣人族は大陸の東方で住んでいると聞いていたんですが」
「はい…………実は…………風渡りに娘と巻き込まれまして……」
「違うの! 私が巻き込まれて……ママが…………」
風渡りか……。きっと娘が飛ばされそうになって、母親が飛び込んだと思う。もしセレナが飛ばされたら、僕も迷わず飛び込むだろう。ポンちゃんも風渡りでこちらに飛んできたっけ。
「亜人族は仕事を貰えなくて……最初が店員の仕事をやっていたんですが、獣人嫌いの方々もいて、結局は働けなくなってしまいました…………このお店も最初は親切にしてくださったんですが、私のせいでどんどん客が離れてしまって……」
いま僕達が住んでいるのは大陸の西側、獣人族が多く住んでいるのは大陸の東側。遠く離れているため、中にはお互いを嫌いな人もいる。
その昔、人族と獣人族が戦争を続けていたのはこの世界では有名な話で、今でこそ両種族は平和条約で休戦中だが、それもほぼ形ばかりだという。
獣人族に家族を亡くした人もいて、獣人族というだけで嫌う人も少なくない。だから彼女の働き口も多くないのだ。
彼女達が悪い訳でもないし、風渡りでここまで飛ばされただけで、こんなにも苦労しなくちゃいけないのか、それがとても悲しく思えた。
「私が大きくなったら……魔法で……」
「ミレイ!」
「あっ!」
ん? 魔法? 女の子は自分の手で口を塞いだ。
どうやら、この母娘にはもっと事情がありそうだ。
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