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侵入してきた冒険者と、外部からダンジョンに引き込んだ魔物についての見解を述べるハライチ。
「両魔物共生息区域から外れるほどに不得意な環境に変化する事で、冒険者達もかなわない場合は逃げる余裕が出るのではないでしょうか。バッドであれば、生息区域から外れるにつれて昼の環境を強くし、マウリヤに関しては、同じように徐々に遮蔽の木の密度を上げつつ高さも高くすれば良いのです」
侵入者が実力以上の背伸びをしても逃げる時間が出来るのであれば問題ないと考え、この案を採用する湯原。
「二つ目の報酬の件ですが、これはイーシャ様とプリマ様のお力が必要です。お二方が冒険者ギルドのある村に向かって、このダンジョンの入り口付近で偶然この薬品を拾ったと伝えるのです。信頼して頂けるか、お二人の安全は確保できるか、色々と超えなくてはならない壁はございますが、これ以外は難しいと思います」
「それなら、俺とカーリも同行すれば良い……」
「「「「ダメです(なの)」」」」
何故かこの場にいるハライチ、ミズイチだけではなく、イーシャとプリマからもダメ出しを食らう湯原。
「主様に何かあれば、私達を含めてこのダンジョンに関わる者全てが消え去るのです。それ以前に、主様の安全が100%保証されていない以上、そのような行動をして頂くわけにはまいりません!」
「そうなの!ご主人様。ここは私とプリマに任せてほしいの!」
「イーシャに賛成なの。せっかくこの紋章があるので、危険はあまりないはずなの!」
既に奴隷として登録されている紋章がある以上、拉致されて強制的に奴隷にされる可能性は低いので安全だと主張する猫獣人の二人だが、湯原も水野も、ハイそうですかと言える性格ではない。
「でも、イーシャちゃん、プリマちゃん。二人だけでは私達も心配で眠れなくなっちゃいます。だから、せめて誰かと一緒に行って頂きたいのですよ。できませんか?ミズイチちゃん」
絶対の主である水野にこう言われてしまっては、出来る方法を開示するのがミズイチの務めだ。
「そ、それであれば、チェー様に同行頂いては如何でしょうか?チェー様もビー様達と同様に分裂する事が可能になっておりますし、大きさも変更する事が出来る様になっておりますので」
「あっ、そう言えばそうでした」
自らの配下の眷属であれば、その能力については理解できるダンジョンマスター。
鎖族のチェーは水野の配下であり、本来水野はこの能力について理解できているはずだったのだが、戦闘系に繋がる能力については元来の優しい性格からか余り見たがらない事からのこの発言だ。
「そうか。それなら……大丈夫…かな?」
今一つチェーの分裂体の力を理解できていない湯原だが、ブレーンである<淫魔族>の二人が自信満々にしている事から、許可を出す事にした。
「いよいよ私達の出番なの!」
「うん。頑張るなの!!」
既にイーシャとプリマの二人の鞄には、ビー特性回復薬を相当薄めている薬品が複数入っている。
ハライチ曰く、効能が軽い怪我を瞬時に治せるこの状態でも人族にとっては相当なお宝のようで、入り口でこれならば奥には相当なお宝が眠っているだろうと期待する可能性が高いとの事らしく、何とか冒険者を呼び込めればと期待しているマスターの二人だ。
イーシャとプリマは、右手首には奴隷契約済みの黒い痣があるので、左の手首に装飾品と勘違いする程の大きさになっているチェーの分裂体が巻き付いている。
召喚魔物に対してダンジョン内部を自由に転移させる脳力を持っている二人のダンジョンマスターは、それぞれに所属している猫獣人にもその能力を自由に使える様に設定しているので、所属ダンジョン内では転移が出来る様になっている。
所属が異なるメンバーの場合、隣のダンジョンに転移陣で戻って一階層に転移するか、所属している眷属・魔物達に同行する形でダンジョン出口に向かう。
こうして四階層と浅めのダンジョンではあるが、無駄に広すぎる階層を移動する事無く、未だ少し大きな空間に見える一階層に転移して、イーシャとプリマ、そして護衛のチェーの分裂体を送り出す。
「「行ってきますなの!!」」
「二人共、気を付けて下さいね!」
「チェー、頼んだぞ!」
……シャラン……
猫獣人二人の左手に巻き付いていたチェーの分裂体が軽く音を出して答えるのを聞きつつも、湯原と水野は初めて我が子を外に送り出す時の様な不安に襲われていた。
「大丈夫ですよ、カーリ様、セーギ《湯原》様。あのお二方も私達の仲間。そしてチェーまでいるのですから、万全です」
不安そうな表情をしているダンジョンマスターの二人に、レインが優しく微笑んで励ます。
「そうです、我が主。イーシャ様、プリマ様共にレベルも18になっているのですから、全く心配はございません!このデルが保証いたします!」
ダンジョンのレベルを上昇させるために連れて来た魔物で、危険が無さそうな状態だと確認出来れば二人に処理させていたので、普通の人族ではレベル20で相当強いと言われている中、レベル18にまで到達していたイーシャとプリマ。
その話を持ち出して、何とか安心してもらおうと無駄に力説しているデル。
「ははは、ありがとう二人共。よしっ、わかった。イーシャとプリマ、そしてチェーを信頼しているから、無駄な心配をするのは止めよう!
「そうですよね。私もそうします」
しかし、何もトラブルが無いわけがない……
「両魔物共生息区域から外れるほどに不得意な環境に変化する事で、冒険者達もかなわない場合は逃げる余裕が出るのではないでしょうか。バッドであれば、生息区域から外れるにつれて昼の環境を強くし、マウリヤに関しては、同じように徐々に遮蔽の木の密度を上げつつ高さも高くすれば良いのです」
侵入者が実力以上の背伸びをしても逃げる時間が出来るのであれば問題ないと考え、この案を採用する湯原。
「二つ目の報酬の件ですが、これはイーシャ様とプリマ様のお力が必要です。お二方が冒険者ギルドのある村に向かって、このダンジョンの入り口付近で偶然この薬品を拾ったと伝えるのです。信頼して頂けるか、お二人の安全は確保できるか、色々と超えなくてはならない壁はございますが、これ以外は難しいと思います」
「それなら、俺とカーリも同行すれば良い……」
「「「「ダメです(なの)」」」」
何故かこの場にいるハライチ、ミズイチだけではなく、イーシャとプリマからもダメ出しを食らう湯原。
「主様に何かあれば、私達を含めてこのダンジョンに関わる者全てが消え去るのです。それ以前に、主様の安全が100%保証されていない以上、そのような行動をして頂くわけにはまいりません!」
「そうなの!ご主人様。ここは私とプリマに任せてほしいの!」
「イーシャに賛成なの。せっかくこの紋章があるので、危険はあまりないはずなの!」
既に奴隷として登録されている紋章がある以上、拉致されて強制的に奴隷にされる可能性は低いので安全だと主張する猫獣人の二人だが、湯原も水野も、ハイそうですかと言える性格ではない。
「でも、イーシャちゃん、プリマちゃん。二人だけでは私達も心配で眠れなくなっちゃいます。だから、せめて誰かと一緒に行って頂きたいのですよ。できませんか?ミズイチちゃん」
絶対の主である水野にこう言われてしまっては、出来る方法を開示するのがミズイチの務めだ。
「そ、それであれば、チェー様に同行頂いては如何でしょうか?チェー様もビー様達と同様に分裂する事が可能になっておりますし、大きさも変更する事が出来る様になっておりますので」
「あっ、そう言えばそうでした」
自らの配下の眷属であれば、その能力については理解できるダンジョンマスター。
鎖族のチェーは水野の配下であり、本来水野はこの能力について理解できているはずだったのだが、戦闘系に繋がる能力については元来の優しい性格からか余り見たがらない事からのこの発言だ。
「そうか。それなら……大丈夫…かな?」
今一つチェーの分裂体の力を理解できていない湯原だが、ブレーンである<淫魔族>の二人が自信満々にしている事から、許可を出す事にした。
「いよいよ私達の出番なの!」
「うん。頑張るなの!!」
既にイーシャとプリマの二人の鞄には、ビー特性回復薬を相当薄めている薬品が複数入っている。
ハライチ曰く、効能が軽い怪我を瞬時に治せるこの状態でも人族にとっては相当なお宝のようで、入り口でこれならば奥には相当なお宝が眠っているだろうと期待する可能性が高いとの事らしく、何とか冒険者を呼び込めればと期待しているマスターの二人だ。
イーシャとプリマは、右手首には奴隷契約済みの黒い痣があるので、左の手首に装飾品と勘違いする程の大きさになっているチェーの分裂体が巻き付いている。
召喚魔物に対してダンジョン内部を自由に転移させる脳力を持っている二人のダンジョンマスターは、それぞれに所属している猫獣人にもその能力を自由に使える様に設定しているので、所属ダンジョン内では転移が出来る様になっている。
所属が異なるメンバーの場合、隣のダンジョンに転移陣で戻って一階層に転移するか、所属している眷属・魔物達に同行する形でダンジョン出口に向かう。
こうして四階層と浅めのダンジョンではあるが、無駄に広すぎる階層を移動する事無く、未だ少し大きな空間に見える一階層に転移して、イーシャとプリマ、そして護衛のチェーの分裂体を送り出す。
「「行ってきますなの!!」」
「二人共、気を付けて下さいね!」
「チェー、頼んだぞ!」
……シャラン……
猫獣人二人の左手に巻き付いていたチェーの分裂体が軽く音を出して答えるのを聞きつつも、湯原と水野は初めて我が子を外に送り出す時の様な不安に襲われていた。
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不安そうな表情をしているダンジョンマスターの二人に、レインが優しく微笑んで励ます。
「そうです、我が主。イーシャ様、プリマ様共にレベルも18になっているのですから、全く心配はございません!このデルが保証いたします!」
ダンジョンのレベルを上昇させるために連れて来た魔物で、危険が無さそうな状態だと確認出来れば二人に処理させていたので、普通の人族ではレベル20で相当強いと言われている中、レベル18にまで到達していたイーシャとプリマ。
その話を持ち出して、何とか安心してもらおうと無駄に力説しているデル。
「ははは、ありがとう二人共。よしっ、わかった。イーシャとプリマ、そしてチェーを信頼しているから、無駄な心配をするのは止めよう!
「そうですよね。私もそうします」
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ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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