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自分の知っている一般的な召喚者達とは大きく異なる行動をしている湯原と水野に対して、姉以外にもこんな人物もいるのだと感心している朋美。
恩を返しに来た自分に対して、短い滞在期間にも拘らず生活環境を貴重な内包魔力を使って整えようとしているのだ。
実際に貴重な内包魔力を使用する事は間違いないが、湯原達は<淫魔族>から仕入れた知識によって四階層までを拡張する事で内包魔力の消費を初期状態のレベルに抑えており、朋美が想像している程の量を使う訳ではない。
そもそも、その行為を止めない配下もどうなの?と思わなくもないが、自分の姉が管理しているダンジョンのように、眷属達も得体のしれない自分に対して警戒しているそぶりを見せてはいるが、幸せな表情をしている事に気が付き、漸く納得する朋美だ。
一方、朋美を完全に始末したと思っている信子。
皮膚が焼けて激痛が走っている段階で水魔法を行使していなかった朋美を見て、炎魔法に対抗できる水魔法を使えないと判断し、長く苦しんで消える様に止めは刺さずに立ち去っていたのだが、いくら待てどもレベルアップしない事から、朋美は格下であったと判断した。
「はぁ、疲れた。って、全然レベルが上がってない!やっぱりあいつは格下だったんだ。は~あ、無駄な事しちゃった。暫く隠れて行動したけど、追撃もないし……あのふざけた四人組に復讐しますかね?」
信子がこんな辺鄙な所にいたのは、自らが鍛えた裏切り召喚冒険者と襲って来た<淫魔族>の追撃を避けるためだ。
失った右肘下を大金を出して作成した魔道具で補い、その感触を確かめていた所に同格と言われている召喚冒険者で何故か対極のダンジョンマスターの姉と仲良しゴッコをしている朋美を見つけたので、リハビリには丁度良いと襲い掛かった。
縁結びの御利益に肖ろうと思っていた所、訳の分からない理由で死ぬ寸前まで行ってしまった朋美は災難と言う他ないが、この縁が後々利いてくるのだから人生何があるかわからない。
一階層は相変わらず変化を付けてはいないが、二階層に降りて貰い、最も入り口側に近い部分を人族が住める街、そして隣接箇所を草原、小川、山、果実の実がなる木々のある林、のどかな環境として昼夜の設定を行い、最後に気温も適度に保つ設定を行う。
湯原と水野両ダンジョン共に同じ設定を実行して、今迄眷属達が集めてくれた内包魔力を使いつつ、朋美を迎え入れる。
「ちょっと、至れり尽くせりじゃないの。恩を返すのに……なんだか申し訳ないわね」
一階層を降りて最も近い位置に建屋が準備されており、少し移動すれば本当に眠気を誘うような環境が準備されているのだから、驚くばかりだ。
朋美は、このダンジョンが何階層なのか等詳細情報は敢えて聞かない。
浅い層にいるだけで恩は返せるのだから、ダンジョンの命綱とも言える情報を聞くような無粋な真似はしない。
「朋美さん、今日から一週間このダンジョン、その後一週間隣で同じ環境にしてあるカーリのダンジョンに滞在してもらえると言う事で良いかな?」
「もちろんよ。ホントに合計二週間で良いの?そっちの方が心配だわ?」
「はい。大丈夫です、朋美さん。いつまでもご迷惑をおかけするわけにはいきませんから。あ、ですが、ちょっとダンジョンに呼び込みをかけている所なので、冒険者や……場合によっては召喚冒険者、他のダンジョンマスターの手先が来てしまうかもしれません」
「あぁ、そんな事?全く問題ないわよ。逆に、危険を感じたら始末しちゃっても良いのでしょ?」
「はい。そこは問題ありません。もちろんこの二週間はダンジョン所属の魔物は朋美さんを襲う事は絶対にありませんので、ご安心ください。ですが、三階層からはその設定を行っていませんので、立ち入らないで頂けると助かります」
二週間後には、その設定を変更するぞと暗に伝えている水野。
そこまで言えば脅しのように聞こえてしまうのだが、逆に二週間以上滞在するとは言い出さないだろうと配慮したのだ。
「わかったわ。私も命が惜しいからね。絶対に三階層には行かないわよ。と言うよりも、この隣接した場所しか行くつもりはないから、安心して!」
どう見ても格上の眷属がいるのだから、変に刺激して命の危険を冒す様な愚行はしない朋美だ。
こうして、かなり昔から生存している召喚冒険者である朋美との、期間限定の共存が始まった。
その日の夜、いつものようにコアルームの護衛と外に出ているイーシャとプリマを除いた全員が、湯原のコアルームに集合する。
「カーリ。これは想像以上だよ!また一日も経っていないのに……対極の存在でレベルが高い者がいるだけでこれ……今までの努力が何だったと言う話だね。恐らくだけど、このままの上昇率、一時間にレベル1上昇するのであれば一週間の滞在でレベルはカンスト、99になる可能性が高いね」
既に三体の眷属に保有レベルを振り分け、全員をレベル58にしている湯原のダンジョンはこうなっている。
<湯原>のダンジョン レベル49 内包魔力80000 <保有レベル0>
ここまでの上昇率は<三傑>を選択した為に上限レベルが99になっている事、信頼関係が最大になっている事が大きく寄与しているので、他のダンジョンではここまで上昇する事はない。
「主様。最大レベル99に至った場合は、その後も内包魔力は増え続けます。朋美様の滞在期間を当初想定よりも短くすると、最大レベルに達した……と言っても恐らくレベル60と思われているでしょうが、その情報が漏れる可能性がありますので、期限はキッチリと各一週間とされた方が宜しいかと思います」
「そうだね。いつも貴重なアドバイスありがとう、ハライチ。で、今更だけどさ?ダンジョンレベルが上がって保有レベルを皆に配っているでしょ?このままだと、最後に27程余らない?」
恩を返しに来た自分に対して、短い滞在期間にも拘らず生活環境を貴重な内包魔力を使って整えようとしているのだ。
実際に貴重な内包魔力を使用する事は間違いないが、湯原達は<淫魔族>から仕入れた知識によって四階層までを拡張する事で内包魔力の消費を初期状態のレベルに抑えており、朋美が想像している程の量を使う訳ではない。
そもそも、その行為を止めない配下もどうなの?と思わなくもないが、自分の姉が管理しているダンジョンのように、眷属達も得体のしれない自分に対して警戒しているそぶりを見せてはいるが、幸せな表情をしている事に気が付き、漸く納得する朋美だ。
一方、朋美を完全に始末したと思っている信子。
皮膚が焼けて激痛が走っている段階で水魔法を行使していなかった朋美を見て、炎魔法に対抗できる水魔法を使えないと判断し、長く苦しんで消える様に止めは刺さずに立ち去っていたのだが、いくら待てどもレベルアップしない事から、朋美は格下であったと判断した。
「はぁ、疲れた。って、全然レベルが上がってない!やっぱりあいつは格下だったんだ。は~あ、無駄な事しちゃった。暫く隠れて行動したけど、追撃もないし……あのふざけた四人組に復讐しますかね?」
信子がこんな辺鄙な所にいたのは、自らが鍛えた裏切り召喚冒険者と襲って来た<淫魔族>の追撃を避けるためだ。
失った右肘下を大金を出して作成した魔道具で補い、その感触を確かめていた所に同格と言われている召喚冒険者で何故か対極のダンジョンマスターの姉と仲良しゴッコをしている朋美を見つけたので、リハビリには丁度良いと襲い掛かった。
縁結びの御利益に肖ろうと思っていた所、訳の分からない理由で死ぬ寸前まで行ってしまった朋美は災難と言う他ないが、この縁が後々利いてくるのだから人生何があるかわからない。
一階層は相変わらず変化を付けてはいないが、二階層に降りて貰い、最も入り口側に近い部分を人族が住める街、そして隣接箇所を草原、小川、山、果実の実がなる木々のある林、のどかな環境として昼夜の設定を行い、最後に気温も適度に保つ設定を行う。
湯原と水野両ダンジョン共に同じ設定を実行して、今迄眷属達が集めてくれた内包魔力を使いつつ、朋美を迎え入れる。
「ちょっと、至れり尽くせりじゃないの。恩を返すのに……なんだか申し訳ないわね」
一階層を降りて最も近い位置に建屋が準備されており、少し移動すれば本当に眠気を誘うような環境が準備されているのだから、驚くばかりだ。
朋美は、このダンジョンが何階層なのか等詳細情報は敢えて聞かない。
浅い層にいるだけで恩は返せるのだから、ダンジョンの命綱とも言える情報を聞くような無粋な真似はしない。
「朋美さん、今日から一週間このダンジョン、その後一週間隣で同じ環境にしてあるカーリのダンジョンに滞在してもらえると言う事で良いかな?」
「もちろんよ。ホントに合計二週間で良いの?そっちの方が心配だわ?」
「はい。大丈夫です、朋美さん。いつまでもご迷惑をおかけするわけにはいきませんから。あ、ですが、ちょっとダンジョンに呼び込みをかけている所なので、冒険者や……場合によっては召喚冒険者、他のダンジョンマスターの手先が来てしまうかもしれません」
「あぁ、そんな事?全く問題ないわよ。逆に、危険を感じたら始末しちゃっても良いのでしょ?」
「はい。そこは問題ありません。もちろんこの二週間はダンジョン所属の魔物は朋美さんを襲う事は絶対にありませんので、ご安心ください。ですが、三階層からはその設定を行っていませんので、立ち入らないで頂けると助かります」
二週間後には、その設定を変更するぞと暗に伝えている水野。
そこまで言えば脅しのように聞こえてしまうのだが、逆に二週間以上滞在するとは言い出さないだろうと配慮したのだ。
「わかったわ。私も命が惜しいからね。絶対に三階層には行かないわよ。と言うよりも、この隣接した場所しか行くつもりはないから、安心して!」
どう見ても格上の眷属がいるのだから、変に刺激して命の危険を冒す様な愚行はしない朋美だ。
こうして、かなり昔から生存している召喚冒険者である朋美との、期間限定の共存が始まった。
その日の夜、いつものようにコアルームの護衛と外に出ているイーシャとプリマを除いた全員が、湯原のコアルームに集合する。
「カーリ。これは想像以上だよ!また一日も経っていないのに……対極の存在でレベルが高い者がいるだけでこれ……今までの努力が何だったと言う話だね。恐らくだけど、このままの上昇率、一時間にレベル1上昇するのであれば一週間の滞在でレベルはカンスト、99になる可能性が高いね」
既に三体の眷属に保有レベルを振り分け、全員をレベル58にしている湯原のダンジョンはこうなっている。
<湯原>のダンジョン レベル49 内包魔力80000 <保有レベル0>
ここまでの上昇率は<三傑>を選択した為に上限レベルが99になっている事、信頼関係が最大になっている事が大きく寄与しているので、他のダンジョンではここまで上昇する事はない。
「主様。最大レベル99に至った場合は、その後も内包魔力は増え続けます。朋美様の滞在期間を当初想定よりも短くすると、最大レベルに達した……と言っても恐らくレベル60と思われているでしょうが、その情報が漏れる可能性がありますので、期限はキッチリと各一週間とされた方が宜しいかと思います」
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イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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