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致死性でも何でもない単純な転移罠を踏んで谷底にいる三原信子だが、安全に脱出する術が見当たらずに困惑している。
「え?まさかこの私がここで終わり?」
一人うすら寒い谷底で呟く三原信子。
一応相当長い期間生活できるだけの物資は収納袋に詰め込んではいるのだが、ほぼ永遠を生きると言っても良い寿命を得ている三原にとってみれば十分とは言えない量しか持っていない。
なまじ実力が高いために現状をしっかりと把握できてしまい、現れる魔物がパッドだけであれば対策できるかもしれないと言う淡い期待に縋るしかないのかと絶望し、壁に背をつけて座り込んでいる三原。
その目の前に突然現れたのは、同じ立場の召喚冒険者である岩本。
何度か転移罠を踏んだ経験があるので慣れているようで、瞬時に状況を把握して目の前の三原信子にこう告げる。
「俺が思うに、お前もレベル40越えの召喚冒険者か。俺は国家の命でこの腐れダンジョンを攻略……いや、ダンジョンマスターを支配しようと動いている。俺が思うに、お前は見た所衰弱しているように見えるな。どうだ?このダンジョンマスターに会うまでで良いから、共闘しないか?」
この提案は三原にとっても非常にありがたいものだ。
どう見てもレベル40を超えている召喚冒険者の岩本であれば、階段状に崖を加工するのも広く加工できるので、ある程度の逃げ道は確保できるし、背後から襲われてもそれぞれの方面、上空も対応する必要はあるのだが、一人よりも二人の方が格段に脱出できる可能性が高い。
「わかった。共闘する前に一つはっきりさせておきたい。私は直近で召喚された冒険者四人を始末する。このダンジョンに侵入して後を追っていたらここに飛ばされたのよ。あの四人に手を出すつもりなら共闘はお断りよ」
本当は共闘と言う立場をとってこの谷底から一刻も早く脱出したいのだが、吉川、笹岡、藤代、椎名に対する復讐心だけは衰える事がない三原。
「……あの四人がどの四人かは知らないが、俺が思うに、直近の召喚冒険者には興味が無い事は保証しよう」
「……そっ、決まりね」
どの程度時間を要するかは不明だが、こうしてある程度安全に谷底を脱出できるはずだと安堵する三原。
「アンタは国家の命でダンジョンマスターを支配するとか言っていたけど、相当このダンジョンに詳しいの?そもそも私は7階層にいた。転移罠であれば基本的には下層階に飛ばされるはず。アンタは何階層にいた?それとこの階層は何階層かわかる?」
「俺が思うに、質問が多すぎだな。俺も7階層で飛ばされた。きっと7階層がそう言う設定なのだろう。普通のダンジョンであれば下層に飛ばされるが、俺が思うに、この腐れマスターは逆に上層階に飛ばす事も有り得る!」
散々5階層の迷路の階層で煮え湯を飲まされた岩本は、同じ7階層の一角に飛ばされている事等わかる訳もないので、その経験から上層階の可能性も否定できなかった。
今まで必死で侵攻した分をなかった事にされた時の怒りを思い出し、プルプル震えている。
「そっ。わかったわ。で、この場所から出る手段だけど、崖を登っていたら無数のパッドに襲われたわ。逆に言えばパッド程度だったから命はあるけど、他の魔物が出てくる可能性も否定できないから、この崖を切り出して階段状にしていく方が安全よ」
岩本としては、このダンジョンは出来て間もないのでそう深い階層ではないと判断しており、それ程危険な魔物は出てこないと思っているので、三原の案には賛成しなかった。
「俺は一刻も早く下層に進む必要がある。俺が思うに、このダンジョンはせいぜい8階層、多くても10階層が最終階層だ。その証拠がこの転移罠だ。7階層の転移罠こそ最終階層に近い事を意味している。何とか俺達侵入者を排除しようとしているんだ!そう考えれば、最終防衛に近い状態でパッドしか出せないとも考えられる。あくまで上層階に飛ばされていなければ……だが」
「確かに、一理あるわね。気温やかろうじて見える空の様子から、この階層は7階層のままじゃないかとは思っているけど、そうであれば最終階層が近いままね」
三原の言葉を聞いて相当高い崖の上を見るとどんよりとした雲のようなものが見え、7階層侵入時の環境と変わらない事に気が付く岩本。
「言われてみれば、確かに7階層かもしれない。だとすると……わかったぞ!俺が思うに、この場所で侵入者を滞在させて糧を得ようとしているんだ。だとすれば、これを身につけろ!」
以前宰相のミッテルから手に入れていたダンジョンコアを原料とした魔道具、召喚冒険者である自分達がダンジョンに侵入してもダンジョン側の糧にならないと言う強力な力を持った魔道具を三原に渡す。
これは王城でふてくされていた時に国王から新たに入手したもので、ここで漸く目の前の召喚冒険者がダンジョンの糧になってしまっていた事に気が付く。
相当長時間ダンジョンにいるのであれば、最悪はダンジョンマスターが階層を増やしている可能性もあるのだ。
「お前はどの程度ダンジョンにいた?」
「あ~、私が糧になっている事を心配しているのか。だったら大丈夫よ。潜って一日程度しか経過していないわ。それに、今回召喚された冒険者四人も私とそう変わらない時間しか潜っていないから、大した力を得ていないはずよ」
1階層から3階層までの一般人や一部の冒険者達については、そもそもそれ程ダンジョンの糧にはならないはずだと勝手に判断しているので、岩本が三原の案ではなく先ずは自ら状況を確認すべく動く。
「わかった。俺が思うに、ダンジョンの力を量る良い機会でもあるからな。俺が崖を登ってみよう」
「え?まさかこの私がここで終わり?」
一人うすら寒い谷底で呟く三原信子。
一応相当長い期間生活できるだけの物資は収納袋に詰め込んではいるのだが、ほぼ永遠を生きると言っても良い寿命を得ている三原にとってみれば十分とは言えない量しか持っていない。
なまじ実力が高いために現状をしっかりと把握できてしまい、現れる魔物がパッドだけであれば対策できるかもしれないと言う淡い期待に縋るしかないのかと絶望し、壁に背をつけて座り込んでいる三原。
その目の前に突然現れたのは、同じ立場の召喚冒険者である岩本。
何度か転移罠を踏んだ経験があるので慣れているようで、瞬時に状況を把握して目の前の三原信子にこう告げる。
「俺が思うに、お前もレベル40越えの召喚冒険者か。俺は国家の命でこの腐れダンジョンを攻略……いや、ダンジョンマスターを支配しようと動いている。俺が思うに、お前は見た所衰弱しているように見えるな。どうだ?このダンジョンマスターに会うまでで良いから、共闘しないか?」
この提案は三原にとっても非常にありがたいものだ。
どう見てもレベル40を超えている召喚冒険者の岩本であれば、階段状に崖を加工するのも広く加工できるので、ある程度の逃げ道は確保できるし、背後から襲われてもそれぞれの方面、上空も対応する必要はあるのだが、一人よりも二人の方が格段に脱出できる可能性が高い。
「わかった。共闘する前に一つはっきりさせておきたい。私は直近で召喚された冒険者四人を始末する。このダンジョンに侵入して後を追っていたらここに飛ばされたのよ。あの四人に手を出すつもりなら共闘はお断りよ」
本当は共闘と言う立場をとってこの谷底から一刻も早く脱出したいのだが、吉川、笹岡、藤代、椎名に対する復讐心だけは衰える事がない三原。
「……あの四人がどの四人かは知らないが、俺が思うに、直近の召喚冒険者には興味が無い事は保証しよう」
「……そっ、決まりね」
どの程度時間を要するかは不明だが、こうしてある程度安全に谷底を脱出できるはずだと安堵する三原。
「アンタは国家の命でダンジョンマスターを支配するとか言っていたけど、相当このダンジョンに詳しいの?そもそも私は7階層にいた。転移罠であれば基本的には下層階に飛ばされるはず。アンタは何階層にいた?それとこの階層は何階層かわかる?」
「俺が思うに、質問が多すぎだな。俺も7階層で飛ばされた。きっと7階層がそう言う設定なのだろう。普通のダンジョンであれば下層に飛ばされるが、俺が思うに、この腐れマスターは逆に上層階に飛ばす事も有り得る!」
散々5階層の迷路の階層で煮え湯を飲まされた岩本は、同じ7階層の一角に飛ばされている事等わかる訳もないので、その経験から上層階の可能性も否定できなかった。
今まで必死で侵攻した分をなかった事にされた時の怒りを思い出し、プルプル震えている。
「そっ。わかったわ。で、この場所から出る手段だけど、崖を登っていたら無数のパッドに襲われたわ。逆に言えばパッド程度だったから命はあるけど、他の魔物が出てくる可能性も否定できないから、この崖を切り出して階段状にしていく方が安全よ」
岩本としては、このダンジョンは出来て間もないのでそう深い階層ではないと判断しており、それ程危険な魔物は出てこないと思っているので、三原の案には賛成しなかった。
「俺は一刻も早く下層に進む必要がある。俺が思うに、このダンジョンはせいぜい8階層、多くても10階層が最終階層だ。その証拠がこの転移罠だ。7階層の転移罠こそ最終階層に近い事を意味している。何とか俺達侵入者を排除しようとしているんだ!そう考えれば、最終防衛に近い状態でパッドしか出せないとも考えられる。あくまで上層階に飛ばされていなければ……だが」
「確かに、一理あるわね。気温やかろうじて見える空の様子から、この階層は7階層のままじゃないかとは思っているけど、そうであれば最終階層が近いままね」
三原の言葉を聞いて相当高い崖の上を見るとどんよりとした雲のようなものが見え、7階層侵入時の環境と変わらない事に気が付く岩本。
「言われてみれば、確かに7階層かもしれない。だとすると……わかったぞ!俺が思うに、この場所で侵入者を滞在させて糧を得ようとしているんだ。だとすれば、これを身につけろ!」
以前宰相のミッテルから手に入れていたダンジョンコアを原料とした魔道具、召喚冒険者である自分達がダンジョンに侵入してもダンジョン側の糧にならないと言う強力な力を持った魔道具を三原に渡す。
これは王城でふてくされていた時に国王から新たに入手したもので、ここで漸く目の前の召喚冒険者がダンジョンの糧になってしまっていた事に気が付く。
相当長時間ダンジョンにいるのであれば、最悪はダンジョンマスターが階層を増やしている可能性もあるのだ。
「お前はどの程度ダンジョンにいた?」
「あ~、私が糧になっている事を心配しているのか。だったら大丈夫よ。潜って一日程度しか経過していないわ。それに、今回召喚された冒険者四人も私とそう変わらない時間しか潜っていないから、大した力を得ていないはずよ」
1階層から3階層までの一般人や一部の冒険者達については、そもそもそれ程ダンジョンの糧にはならないはずだと勝手に判断しているので、岩本が三原の案ではなく先ずは自ら状況を確認すべく動く。
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