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イジスの力(2)
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俺の眷属の四人は……
龍族であり、眷属筆頭のイシュウ。
長身であり金目金髪ではあるが、龍族らしく角があり、極めて冷静に物事を判断できる男性。
魔狼であるベーレ。
少々釣り目ながらも、イシュウと同じく長身で狼らしい耳があり、攻撃魔法を得意としている男性。
妖狐であるリティ。
優しい金色の瞳を持ち長い金髪を靡かせており、フワフワの尻尾がある優しい雰囲気の女性。
吸血姫のプラタ。
黒目黒髪で吸血姫らしく可愛く八重歯が見える女性だが、敵を強制的に眷属にする驚異的な魔法を行使できる女性。
改めて四人を見る。
「心配かけて本当に申し訳ない。悪いけど少し疲れているようだから、休ませてもらえるかな?」
「それは大変です!」
最も癒しの魔術に長けている妖狐のリティが必死で回復魔法をかけてくるし、他の三人も無駄にアタフタしている。
「いや、大丈夫。ありがとう。本当に少し疲れただけだから、少し一人にしてくれるかな?」
こうして、豪華な部屋に一人だけ取り残されている俺。
落ち着いて今までの事を含めて状況を確認しようと思ったのだ。
戻った記憶によれば、俺はあのロイエスの師匠が所属していた勇者パーティーの誘いにホイホイ乗った。
そこで、立場としては同じダンジョンマスターであるミラバルの眷属に背後から攻撃されたのだが、当時の俺は慢心していたと言わざるを得ないな。
このミラバルはダンジョンマスター最強の地位、魔王の座を常に狙っていると公言しているようなクソ野郎だが、人族と手を組んで攻撃してくるとは思っていなかった。
その結果魔族としての心臓であるコアを完全に破壊されて魔族から人族に戻り、魔王としての記憶も失った。
だが、ダンジョン防衛をさせていた眷属との強いつながりと、とある秘策によって……一部の記憶は残っていたのだろうな。
俺は自分の現状を把握するように努める。
何も分からない状態のまま過ごしてしまっては身の安全が確保できない事があるかもしれないから、油断、慢心は決して行うべきじゃない。
既に慢心によって一度は魔族、ダンジョンマスターとしての存在を消されているのだから、注意が必要だ。
実はこのダンジョンの生成に当たって、人族としては最弱の俺がダンジョンを攻略できたのは……ダンジョンコアを偶然拾ったからだ。
攻略と言えば聞こえは良いが、落ちている何の危険もない状態のダンジョンコアを価値ある宝石か魔石と勘違いして拾ったのだ。
そのコアによって作られたダンジョンが、今俺がいるこのダンジョンになる。
だってそうだろう?普通に考えて人族として何の戦闘力も持たなかった俺が、最下層までダンジョンを攻略できる訳無いだろう?
コホン。すまない。まだ情緒不安定なのか、少しばかり愚痴が漏れてしまった。
では、なぜダンジョンコアが転がっていたのか……推測になるのだが、本当の攻略者がコアを持って移動して新たな場所にダンジョンを作成しようとしている所で、魔物に襲われてしまったのだろうな。
ダンジョンマスターになった時に魔族に進化するのだが、ダンジョンの強さによって自身の強さも比例する。
コアを持ち歩いている状態であれば、コア内部に力は溜まっているが開放していないので非常に弱い魔族なのだ。
そんな中でも長い時間をかけて必死で育てたこの俺のダンジョンだが、さっきイシュウから聞いた報告によれば、あのクソ野郎のミラバルはマスター不在となっているこのダンジョンに自分の管理するダンジョンを使って必死で攻勢をかけていたそうだが、頼りになる四人の眷属が悉く蹴散らしてくれていた。
ミラバルとしては、このダンジョンを手に入れてしまえば次期魔王の座は確実と踏んだのだろうが、残念でした。
防戦一方の俺のダンジョンだったが、俺が不在中に四人の眷属がダンジョンを出ると戦力大幅ダウンになり、万が一にもダンジョンマスターの権利をミラバルだけではなく第三者に奪われる事を恐れ、こちらから攻撃を仕掛ける事は出来なかったらしい。
話は戻るが、何故俺がこの場所ではないダンジョンのコアに触れる事で記憶を戻し、更には自らのダンジョンに戻ってこられたかと言うと……
勇者の誘いにホイホイついて行った浅はかな俺だけど、一応最悪の事を考えて事前に行動はしていた。
万が一にも負けた際の事や他の不測の事態が起きた時の事を考えて、配下のダンジョンのコアに俺の記憶の複製と、回復後の俺のダンジョンへの強制転移機能を組み込んでいた。
更には体内のコアが破壊された瞬間、恐らく俺のダンジョン最深部への強制転移が出来るほどの力が残っている訳はないと考えて近場の安全な場所に転移できるように仕組んでいたのだ。
流石は俺だ。
龍族であり、眷属筆頭のイシュウ。
長身であり金目金髪ではあるが、龍族らしく角があり、極めて冷静に物事を判断できる男性。
魔狼であるベーレ。
少々釣り目ながらも、イシュウと同じく長身で狼らしい耳があり、攻撃魔法を得意としている男性。
妖狐であるリティ。
優しい金色の瞳を持ち長い金髪を靡かせており、フワフワの尻尾がある優しい雰囲気の女性。
吸血姫のプラタ。
黒目黒髪で吸血姫らしく可愛く八重歯が見える女性だが、敵を強制的に眷属にする驚異的な魔法を行使できる女性。
改めて四人を見る。
「心配かけて本当に申し訳ない。悪いけど少し疲れているようだから、休ませてもらえるかな?」
「それは大変です!」
最も癒しの魔術に長けている妖狐のリティが必死で回復魔法をかけてくるし、他の三人も無駄にアタフタしている。
「いや、大丈夫。ありがとう。本当に少し疲れただけだから、少し一人にしてくれるかな?」
こうして、豪華な部屋に一人だけ取り残されている俺。
落ち着いて今までの事を含めて状況を確認しようと思ったのだ。
戻った記憶によれば、俺はあのロイエスの師匠が所属していた勇者パーティーの誘いにホイホイ乗った。
そこで、立場としては同じダンジョンマスターであるミラバルの眷属に背後から攻撃されたのだが、当時の俺は慢心していたと言わざるを得ないな。
このミラバルはダンジョンマスター最強の地位、魔王の座を常に狙っていると公言しているようなクソ野郎だが、人族と手を組んで攻撃してくるとは思っていなかった。
その結果魔族としての心臓であるコアを完全に破壊されて魔族から人族に戻り、魔王としての記憶も失った。
だが、ダンジョン防衛をさせていた眷属との強いつながりと、とある秘策によって……一部の記憶は残っていたのだろうな。
俺は自分の現状を把握するように努める。
何も分からない状態のまま過ごしてしまっては身の安全が確保できない事があるかもしれないから、油断、慢心は決して行うべきじゃない。
既に慢心によって一度は魔族、ダンジョンマスターとしての存在を消されているのだから、注意が必要だ。
実はこのダンジョンの生成に当たって、人族としては最弱の俺がダンジョンを攻略できたのは……ダンジョンコアを偶然拾ったからだ。
攻略と言えば聞こえは良いが、落ちている何の危険もない状態のダンジョンコアを価値ある宝石か魔石と勘違いして拾ったのだ。
そのコアによって作られたダンジョンが、今俺がいるこのダンジョンになる。
だってそうだろう?普通に考えて人族として何の戦闘力も持たなかった俺が、最下層までダンジョンを攻略できる訳無いだろう?
コホン。すまない。まだ情緒不安定なのか、少しばかり愚痴が漏れてしまった。
では、なぜダンジョンコアが転がっていたのか……推測になるのだが、本当の攻略者がコアを持って移動して新たな場所にダンジョンを作成しようとしている所で、魔物に襲われてしまったのだろうな。
ダンジョンマスターになった時に魔族に進化するのだが、ダンジョンの強さによって自身の強さも比例する。
コアを持ち歩いている状態であれば、コア内部に力は溜まっているが開放していないので非常に弱い魔族なのだ。
そんな中でも長い時間をかけて必死で育てたこの俺のダンジョンだが、さっきイシュウから聞いた報告によれば、あのクソ野郎のミラバルはマスター不在となっているこのダンジョンに自分の管理するダンジョンを使って必死で攻勢をかけていたそうだが、頼りになる四人の眷属が悉く蹴散らしてくれていた。
ミラバルとしては、このダンジョンを手に入れてしまえば次期魔王の座は確実と踏んだのだろうが、残念でした。
防戦一方の俺のダンジョンだったが、俺が不在中に四人の眷属がダンジョンを出ると戦力大幅ダウンになり、万が一にもダンジョンマスターの権利をミラバルだけではなく第三者に奪われる事を恐れ、こちらから攻撃を仕掛ける事は出来なかったらしい。
話は戻るが、何故俺がこの場所ではないダンジョンのコアに触れる事で記憶を戻し、更には自らのダンジョンに戻ってこられたかと言うと……
勇者の誘いにホイホイついて行った浅はかな俺だけど、一応最悪の事を考えて事前に行動はしていた。
万が一にも負けた際の事や他の不測の事態が起きた時の事を考えて、配下のダンジョンのコアに俺の記憶の複製と、回復後の俺のダンジョンへの強制転移機能を組み込んでいた。
更には体内のコアが破壊された瞬間、恐らく俺のダンジョン最深部への強制転移が出来るほどの力が残っている訳はないと考えて近場の安全な場所に転移できるように仕組んでいたのだ。
流石は俺だ。
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