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ダンジョン<水の都> (イジス視点)
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とりあえず胡散臭い少女の見た目をしているババァのギルドマスターをあしらい、冒険者として登録した俺は活動を開始する。
おっと、ゴメン。少し言葉が荒くなっていたな。
気を付けよう。
で、冒険者の地ならしとしては先日までミラバルのクソ配下が管理していたダンジョンの一つ、<水の都>をこの足で進んで行こうと思っている。
魔王の座を虎視眈々と狙っているミラバルが持っていたダンジョンだが、もちろん俺にとっては何の危険もない。
何故ならば、この<水の都>は俺の管理するダンジョンの一つになったからだ。
少し前に俺が人族から魔王としての記憶を取り戻したあのダンジョン、<活火山>に喧嘩を売って反撃されて俺の手中に収まっているのだ。
そんな俺は何の魔物にも襲われるわけはないし、罠にもかかりようがないので楽々深層に辿り着けるのだが、その道中で得られる素材を持ち帰るつもりもない。
荷物持ちからコンバートした俺が、突然そんな物を持ち込んでは怪しまれる事は間違いないからだ。
あくまでも他の奴が管理していたダンジョンはどのような物かを実際に体験しようと思っただけなので、俺の手中に収まったダンジョンではあるのだが何も設定を変えていない。
当然体験終了後には俺の管理するダンジョンに相応しく、自分の力を見誤らない冒険者に対しては優しい仕様となるようにするつもりではいる。
浅層には他の冒険者の姿が散見された為、少々力を使って俺の存在を認識できないようにさせて貰った。
浅層でも容赦なく冒険者の命を刈り取りに行く設定になっているのだが、それを知って冒険者がいると言うのは高価な品が時折手に入るからに他ならないが、俺はこのダンジョンのあまりの攻撃性に、少々眉を顰める。
これは、ダンジョンマスターの部屋から見るよりも、やはり実際に現場で見た方がエグさを理解できる。
俺関連以外のダンジョンマスターは、きっとこれが標準なのだろうな。
あまりにも残虐性が酷いので、その元凶の一角であろうミラバルを改めて直接叩き潰したくなる。
しかし、何故か過去に俺が生まれて初めてダンジョン間の戦闘をミラバルのダンジョン、<黒の海>に仕掛けた時からその戦闘は一向に受理されなかったが、コレは俺が唯一自ら戦闘を仕掛けた実績だ。
その時に頭に沸いたメッセージは、ダンジョンのエネルギー上位(一桁)同士のダンジョン間の戦闘、ダンジョンバトルは出来ないと言う物だった。
俺の勝手な推測だが、この大陸に与える影響が大きすぎるからだろうか?
そう言えば魔王としての視察と称した遊びに行った際、偶然見た事も聞いたことも無いダンジョンを発見して中に入ろうとした事がある。
しかし、何をどうしても侵入する事が出来なかったのだ。
今思えば、そのダンジョンはエネルギー取得上位9位以内に入っているダンジョンだったのだろうか?
今迄の経験と知識を纏めると、上位9位以内のダンジョンマスターは直接管理しているダンジョンから同じく9位以内のダンジョンに戦闘を申し込む事は出来ないし、マスター自身が乗り込む事も出来ないという事だ。
ミラバルが行っているように、配下のダンジョンを利用して攻撃する他ないのだろう。
因みに、その時について来てくれていたリティは入れたから、その時に限ってかもしれないが眷属は除外されることは確認している。
当時の俺にとってはあまりに不可解な現象であり、そもそも遊びの最中であったためにそのダンジョンへの侵入は諦めた経験があったのを思い出した。
こんな事を考えつつ、既に冒険者が存在しない層を平気で歩く俺。
しかしセンスがない。
ダンジョンの名前は攻略されている層の雰囲気からギルドが付与するが、このダンジョンの名称は<水の都>。
全ての階層に水があるのだが、ほとんどの罠が窒息系。
今の俺は魔族で嫌悪に対する耐性もあるはずなのに、本当に気分が悪くなりそうだ。
攻撃するために召喚している眷属も水属性を得意としている事は良いのだが、全てが水中移動特化型。
つまり冒険者は常に水にその身を浸すか濡れながら攻略するような、水攻めダンジョンとなっているのだ。
何の楽しみもない、極悪ダンジョンと言って良いだろうな。
こうして管理を任せている俺の眷属の元まで辿り着いたのだが、この<水の都>をどのように改修するべきかを考えるのに、もう少しだけ時間を貰った。
その間は、変に改修すると冒険者の死亡率がさらに上昇する可能性があるので、申し訳ないがこのままだ。
その後、一旦俺は一応拠点としているギルドに向かう。
今日は依頼を受けているわけではないので報告する事は何もないし、義務もないのだが、俺が死亡したと信じて悲しんでくれていた受付さんの心配を少しでも無くすために、一日一回、いや、長期の冒険中以外は、可能な限り顔を出そうと思っている。
受付と視線が合い、会釈をする。
向こうも笑顔で会釈してくれたので、今日の安全確認はこれで良いだろう。
ついでに併設されている酒場で軽く食事をしてダンジョンに帰る事にした。
おっと、ゴメン。少し言葉が荒くなっていたな。
気を付けよう。
で、冒険者の地ならしとしては先日までミラバルのクソ配下が管理していたダンジョンの一つ、<水の都>をこの足で進んで行こうと思っている。
魔王の座を虎視眈々と狙っているミラバルが持っていたダンジョンだが、もちろん俺にとっては何の危険もない。
何故ならば、この<水の都>は俺の管理するダンジョンの一つになったからだ。
少し前に俺が人族から魔王としての記憶を取り戻したあのダンジョン、<活火山>に喧嘩を売って反撃されて俺の手中に収まっているのだ。
そんな俺は何の魔物にも襲われるわけはないし、罠にもかかりようがないので楽々深層に辿り着けるのだが、その道中で得られる素材を持ち帰るつもりもない。
荷物持ちからコンバートした俺が、突然そんな物を持ち込んでは怪しまれる事は間違いないからだ。
あくまでも他の奴が管理していたダンジョンはどのような物かを実際に体験しようと思っただけなので、俺の手中に収まったダンジョンではあるのだが何も設定を変えていない。
当然体験終了後には俺の管理するダンジョンに相応しく、自分の力を見誤らない冒険者に対しては優しい仕様となるようにするつもりではいる。
浅層には他の冒険者の姿が散見された為、少々力を使って俺の存在を認識できないようにさせて貰った。
浅層でも容赦なく冒険者の命を刈り取りに行く設定になっているのだが、それを知って冒険者がいると言うのは高価な品が時折手に入るからに他ならないが、俺はこのダンジョンのあまりの攻撃性に、少々眉を顰める。
これは、ダンジョンマスターの部屋から見るよりも、やはり実際に現場で見た方がエグさを理解できる。
俺関連以外のダンジョンマスターは、きっとこれが標準なのだろうな。
あまりにも残虐性が酷いので、その元凶の一角であろうミラバルを改めて直接叩き潰したくなる。
しかし、何故か過去に俺が生まれて初めてダンジョン間の戦闘をミラバルのダンジョン、<黒の海>に仕掛けた時からその戦闘は一向に受理されなかったが、コレは俺が唯一自ら戦闘を仕掛けた実績だ。
その時に頭に沸いたメッセージは、ダンジョンのエネルギー上位(一桁)同士のダンジョン間の戦闘、ダンジョンバトルは出来ないと言う物だった。
俺の勝手な推測だが、この大陸に与える影響が大きすぎるからだろうか?
そう言えば魔王としての視察と称した遊びに行った際、偶然見た事も聞いたことも無いダンジョンを発見して中に入ろうとした事がある。
しかし、何をどうしても侵入する事が出来なかったのだ。
今思えば、そのダンジョンはエネルギー取得上位9位以内に入っているダンジョンだったのだろうか?
今迄の経験と知識を纏めると、上位9位以内のダンジョンマスターは直接管理しているダンジョンから同じく9位以内のダンジョンに戦闘を申し込む事は出来ないし、マスター自身が乗り込む事も出来ないという事だ。
ミラバルが行っているように、配下のダンジョンを利用して攻撃する他ないのだろう。
因みに、その時について来てくれていたリティは入れたから、その時に限ってかもしれないが眷属は除外されることは確認している。
当時の俺にとってはあまりに不可解な現象であり、そもそも遊びの最中であったためにそのダンジョンへの侵入は諦めた経験があったのを思い出した。
こんな事を考えつつ、既に冒険者が存在しない層を平気で歩く俺。
しかしセンスがない。
ダンジョンの名前は攻略されている層の雰囲気からギルドが付与するが、このダンジョンの名称は<水の都>。
全ての階層に水があるのだが、ほとんどの罠が窒息系。
今の俺は魔族で嫌悪に対する耐性もあるはずなのに、本当に気分が悪くなりそうだ。
攻撃するために召喚している眷属も水属性を得意としている事は良いのだが、全てが水中移動特化型。
つまり冒険者は常に水にその身を浸すか濡れながら攻略するような、水攻めダンジョンとなっているのだ。
何の楽しみもない、極悪ダンジョンと言って良いだろうな。
こうして管理を任せている俺の眷属の元まで辿り着いたのだが、この<水の都>をどのように改修するべきかを考えるのに、もう少しだけ時間を貰った。
その間は、変に改修すると冒険者の死亡率がさらに上昇する可能性があるので、申し訳ないがこのままだ。
その後、一旦俺は一応拠点としているギルドに向かう。
今日は依頼を受けているわけではないので報告する事は何もないし、義務もないのだが、俺が死亡したと信じて悲しんでくれていた受付さんの心配を少しでも無くすために、一日一回、いや、長期の冒険中以外は、可能な限り顔を出そうと思っている。
受付と視線が合い、会釈をする。
向こうも笑顔で会釈してくれたので、今日の安全確認はこれで良いだろう。
ついでに併設されている酒場で軽く食事をしてダンジョンに帰る事にした。
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