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アルフレドの加入(1)
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「じゃあフレナブルさん、アルフレドさんを連れてきていただく事は可能ですか?Aランクの移籍となると、いえ、既に【勇者の館】は脱退処理済みなのですよね?あれ?その場合どうすれば??」
「Aランクになると、ウチの魔道具では出せませんよ、マスター。本部に行かないと。ギルドランクがAになれば対応できますから、もう少しですけどね」
シアの疑問にすかさずクオウが反応する。
「じゃあフレナブルさん。早速アルフレドを連れてきていただけますか?その間、女性陣とクオウさんはお食事の準備、シルバさん、ミハイルさん、ロレアルさん、バーミルさんはあの扉を修理してください!」
「わかりました、シア様。ですが、一応確認です。アルフレドはBランクの魔獣であるリアントを使役しています。彼はリアントを家族と見ていますので、そう言った扱いでなければこちらには来ないと思います。宜しいでしょうか」
見た目大きい蟻ではあるのだが、決してグロテスクと言う訳ではない。
普段魔獣を相手にしている冒険者から見れば猶更だが、一応少女のシアもいるために確認をするフレナブル。
「大丈夫ですよ、フレナブルさん。ウフフフ、私にも懐いてくれると良いのですが……」
一切の憂いが無くなったフレナブルは、嬉しそうに一礼するとこの場から消えた。
そう、去ったのではなく消えたのだ。
最早魔族という事を明らかにした以上、その力を過剰に隠す事は止めていた。
その術を見た【癒しの雫】のクオウ以外の面々は驚いたのだが、すっかりギルドマスターとして所属員を守る意識が芽生えたのか、念のため確認する。
「皆さん、大丈夫だとは思いますが、フレナブルさんとクオウさん、そして新規加入いただけるアルフレドさんの件は【癒しの雫】の最重要機密事項ですよ!よろしくお願いします」
「「「当然だな」」」
「大丈夫ですよ」
「ハハハ、当たり前じゃないか」
魔道具バカ三人、カスミ、シルバの順に、改めて言う必要はないだろうと言わんばかりに回答する。
「助かります」
自分達の存在のせいで【癒しの雫】に被害やあらぬ疑いがかかる事は避けたいクオウとしては、ありがたいばかりだ。
こうしてガヤガヤと騒がしくも賑やかに、修理組とパーティー準備組に分かれて作業が始まる。
キッチンでは、クオウの技術を少しでも盗んでやろうと厳しい視線で凝視しているカスミと、未だ料理をするには技術が不足しており、食器や調理器具の準備をしているシアがいる。
「あの……カスミさん。そんなにジーッと見られると、少々やり辛いと言いますか……」
「え?アハハハ、ごめんなさい、クオウさん。でも気にしないで。私、絶対に貴方にお料理でいつか勝って見せるんだから!先ずは超えるべき頂きの実力を知り尽くさないと!!冒険者の基本ですよね?」
意味が分からないクオウだが、決して居心地が悪いわけではないので、苦笑いしつつ調理を続ける。
「フムフム、ここであの調味料。え?そんなに強い火で良いの?あっ、そうか。時間を短くしているのね……侮れないわ」
ぶつぶつ言いながら必死にメモを取っているカスミ。
ハッキリ言って何の手伝いにもなっていないのだが、彼女は今迄ここまでの行動は取っていなかった。
少しでもクオウ、そしてフレナブルの心の負担を和らげようとしている事は明らかであり、それを理解しているシアも“手伝いをするように”と文句を言う事は無い。
何れクオウに料理で勝ちたいと言う事と、クオウの実力、そしてレシピが知りたいと言う事も事実なのだが……クオウ自身もカスミの行動の意図を正確に把握しており、心の中で深くお礼をしつつ、わざと理解し易いように調理を進めていた。
ギルドの入り口では、魔道具作業チームとも言える魔道具バカ三人に冒険者のシルバが加わり、襲撃時に破壊された扉の修復を行っていた。
珍しく【癒しの雫】のメンバーが扉の外でたむろって作業しているのを見て、普段から交流のある近隣住民が覗きに来ている。
「おやおや、どうしたんだい?」
「あぁ、こんにちは。なんだかちょっと壊されちゃってね。でもこの程度ならすぐ直せるから、問題ないですよ」
穏やかにロレアルが答えているのだが、その手は素早く修理のために錬金術を行使していたりする。
襲撃と種族の暴露と言う大きな事件が起きたにも拘らず、今日も【癒しの雫】はいつも通り平和だ。
「あら、もう直っていますね」
アルフレドの元に向かったフレナブルは彼が宿泊している宿に到着すると、直ぐに事情を話して【癒しの雫】への加入を求める。
元魔王と言う存在と、立場は大きく異なっていたが同士と言えるフレナブルと共に行動できるのだから、喜んで参加すると口にしたアルフレドだが……心配事を確認する。
「えっと、俺が魔族で、リアントを連れているって、【癒しの雫】の人族達は知っているのですか?」
「Aランクになると、ウチの魔道具では出せませんよ、マスター。本部に行かないと。ギルドランクがAになれば対応できますから、もう少しですけどね」
シアの疑問にすかさずクオウが反応する。
「じゃあフレナブルさん。早速アルフレドを連れてきていただけますか?その間、女性陣とクオウさんはお食事の準備、シルバさん、ミハイルさん、ロレアルさん、バーミルさんはあの扉を修理してください!」
「わかりました、シア様。ですが、一応確認です。アルフレドはBランクの魔獣であるリアントを使役しています。彼はリアントを家族と見ていますので、そう言った扱いでなければこちらには来ないと思います。宜しいでしょうか」
見た目大きい蟻ではあるのだが、決してグロテスクと言う訳ではない。
普段魔獣を相手にしている冒険者から見れば猶更だが、一応少女のシアもいるために確認をするフレナブル。
「大丈夫ですよ、フレナブルさん。ウフフフ、私にも懐いてくれると良いのですが……」
一切の憂いが無くなったフレナブルは、嬉しそうに一礼するとこの場から消えた。
そう、去ったのではなく消えたのだ。
最早魔族という事を明らかにした以上、その力を過剰に隠す事は止めていた。
その術を見た【癒しの雫】のクオウ以外の面々は驚いたのだが、すっかりギルドマスターとして所属員を守る意識が芽生えたのか、念のため確認する。
「皆さん、大丈夫だとは思いますが、フレナブルさんとクオウさん、そして新規加入いただけるアルフレドさんの件は【癒しの雫】の最重要機密事項ですよ!よろしくお願いします」
「「「当然だな」」」
「大丈夫ですよ」
「ハハハ、当たり前じゃないか」
魔道具バカ三人、カスミ、シルバの順に、改めて言う必要はないだろうと言わんばかりに回答する。
「助かります」
自分達の存在のせいで【癒しの雫】に被害やあらぬ疑いがかかる事は避けたいクオウとしては、ありがたいばかりだ。
こうしてガヤガヤと騒がしくも賑やかに、修理組とパーティー準備組に分かれて作業が始まる。
キッチンでは、クオウの技術を少しでも盗んでやろうと厳しい視線で凝視しているカスミと、未だ料理をするには技術が不足しており、食器や調理器具の準備をしているシアがいる。
「あの……カスミさん。そんなにジーッと見られると、少々やり辛いと言いますか……」
「え?アハハハ、ごめんなさい、クオウさん。でも気にしないで。私、絶対に貴方にお料理でいつか勝って見せるんだから!先ずは超えるべき頂きの実力を知り尽くさないと!!冒険者の基本ですよね?」
意味が分からないクオウだが、決して居心地が悪いわけではないので、苦笑いしつつ調理を続ける。
「フムフム、ここであの調味料。え?そんなに強い火で良いの?あっ、そうか。時間を短くしているのね……侮れないわ」
ぶつぶつ言いながら必死にメモを取っているカスミ。
ハッキリ言って何の手伝いにもなっていないのだが、彼女は今迄ここまでの行動は取っていなかった。
少しでもクオウ、そしてフレナブルの心の負担を和らげようとしている事は明らかであり、それを理解しているシアも“手伝いをするように”と文句を言う事は無い。
何れクオウに料理で勝ちたいと言う事と、クオウの実力、そしてレシピが知りたいと言う事も事実なのだが……クオウ自身もカスミの行動の意図を正確に把握しており、心の中で深くお礼をしつつ、わざと理解し易いように調理を進めていた。
ギルドの入り口では、魔道具作業チームとも言える魔道具バカ三人に冒険者のシルバが加わり、襲撃時に破壊された扉の修復を行っていた。
珍しく【癒しの雫】のメンバーが扉の外でたむろって作業しているのを見て、普段から交流のある近隣住民が覗きに来ている。
「おやおや、どうしたんだい?」
「あぁ、こんにちは。なんだかちょっと壊されちゃってね。でもこの程度ならすぐ直せるから、問題ないですよ」
穏やかにロレアルが答えているのだが、その手は素早く修理のために錬金術を行使していたりする。
襲撃と種族の暴露と言う大きな事件が起きたにも拘らず、今日も【癒しの雫】はいつも通り平和だ。
「あら、もう直っていますね」
アルフレドの元に向かったフレナブルは彼が宿泊している宿に到着すると、直ぐに事情を話して【癒しの雫】への加入を求める。
元魔王と言う存在と、立場は大きく異なっていたが同士と言えるフレナブルと共に行動できるのだから、喜んで参加すると口にしたアルフレドだが……心配事を確認する。
「えっと、俺が魔族で、リアントを連れているって、【癒しの雫】の人族達は知っているのですか?」
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