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アルゾナ王国の防衛(5)
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「レゼニア!レベニとカロラの報告によれば、ルーカスは腰抜けの弱者だと言うではないか!貴様、ダンジョンで奴らの真の力の調査をしたはずだな!ここまで見解が異なるとは、どう言う事だ!!」
ルーカスの強さを数回四星のレゼニアに調査させていたゴクドは、レゼニアが出した結論と、たった今受けた報告と大きく乖離している為に、即座にレゼニアを呼び出して怒鳴り散らしている。
結局は、レゼニアは今までの行動から信頼度に劣ると判断されて、ルーカスの危険度は大幅に下げられる。
「ジスドネア。お前ならどう動く?」
ようやく落ち着いたゴクドが、四星筆頭のジスドネアに今後の対処を委ねる。
「はっ。報告通りの雑魚であれば、最早一冒険者として扱うだけで宜しいかと。今後はフレナブルの【癒しの雫】に全力を向けましょう。ですが、アルゾナ王国まで四星二人が向かったのです。放置するのではなく、Sランク魔獣の特殊個体程度は数体置き土産に置いておく方が面白いでしょう」
どうせ腰抜けには対処できませんから……と言う言葉と共に、方針は決定した。
ルーカス率いる【勇者の館】が惨敗したアルゾナ王国は、城門を固く閉じて籠城する事で命をつないでいる。
残念ながら、領土内にある強固な防壁がない町・村、街道にいたであろう人々は既に犠牲になっているのだが、これは明らかに【勇者の館】が過剰に自らの戦力を過信していた結果だ。
事実、城門近辺まで犠牲が出ている状況でも悠々と歩いて現場に向かう程の態度だったので、この情報が入っている国王の怒りは察するに余りある。
「ルーカス!貴様、あれ程自信満々に対処できると言っておきながら、どの面下げてこの王城にいる!」
アルゾナ王国の国王であるラスカーレ・アルゾナは、顔を真っ赤にしながらルーカス一行に怒鳴りつけている。
「貴様らの中途半端な攻撃のせいでSランクの特殊個体が城門近くに居座っている!未だ心身ともに傷が癒えぬ【鋭利な盾】のフィライトがその命を犠牲にしてまで動かなければ、この王都にすら侵入されていたのだぞ!!あれほど偉そうにしておきながら、これだけの被害を出すとは何事だ!!」
普段の温和な話し方は見る影もない程に怒り狂っており、流石のルーカス達も敗北を認識している上にこれ以上は精神的に戦えない為、何も言い返す事が出来ていない。
実際に魔獣の攻撃が激化したのは、魔王国側がフレナブルのいるジャロリア王国への攻撃を後回しにして、ルーカス達が居るアルゾナ王国に集中して対応する指示を出したせいだが、あまりにもタイミングが良すぎたため、国王以下全員がルーカス達のせいだと思っている。
逆にジャロリア国王としては、【癒しの雫】によって結果的には何の問題もなかったが、少し前にルーカスを始めとした【勇者の館】がいなくなった途端に魔獣の攻勢にあったので、こちらも【勇者の館】が原因であると思っている。
何れの国家もルーカスの率いる【勇者の館】が原因で魔獣の攻撃を受けていると判断しており、やはり先代魔王を始末した報復の意味が強いと言う判断になる。
もちろんカロラの先代魔王を倒した男が目的であると言う言葉も、その推論を強く後押ししていたのだが、結局原因がどうあれ、不遜な態度を取って被害を拡大させ、剰えさっさと逃走したのだから、弁明の余地はない。
「貴様程度の命を救うためにフィライトは犠牲になったのだ!!」
本来ホスフォを助けつつ、敵わないまでも共に散りたいと言う思いを強引に押し殺してまで情報を国家に伝えていたフィライトとエン。
その二人の行動を散々バカにした挙句、自ら率先して生贄を差し出す様な形で逃亡して見せたルーカス達。
アルゾナ国王は、この場でルーカス達を拷問して魔族に差し出したい思いを必死で抑え込みながら、どうやって国家を守るべく戦って散ったホスフォやフィライトの想いに報い、国を守れるかを必死で考える。
と同時に、未だ療養しているエンにどのように事実を伝えるべきかも非常に悩ましく思っている所だ。
「この腰抜け共が!!」
あまりの怒りに思わず跪いているルーカスを蹴るのだが、流石はSランカー。
普通の人族の蹴り程度ではびくともしなかった。
「くっ!!良いか、貴様達の蛮行と無様な逃走は余すことなく各国に報告する。特に、我らアルゾナ王国を守るためと言って貴様等を派遣したジャロリア王国には強い抗議と共にな!」
こうなると個人でのSランクは確実に剥奪される事は間違いないのだが、どうあっても挽回できる要素が無い。
そもそも【勇者の館】のAランカーは今回の作戦で全滅しており、ジャロリア王国に戻ったとしてもギルド認定最高位のBランカー以下しか存在しないので、ギルドとしても何もなくても今のAランクを維持できるとは思えない。
最早八方塞で抜け殻のようになっているルーカス達三人だが、未だこのアルゾナ王国の危機は去っていない。
城門前で陣取っている二体のSランクの特殊個体をどうにかしなければ、王都内部で消費される食糧や水は枯渇する為、何れは飢えて死ぬ未来しかないのだ。
当然ジャロリア王国には【勇者の館】の不甲斐ない戦いと不遜な態度、併せてそのせいで犠牲になったAランカーのフィライトの話も魔道具で伝えている。
今までにない程の怒りを露わにしているアルゾナ国王を見て、思わずジャロリア国王が敬語で対応してしまったほどだ。
ルーカスの強さを数回四星のレゼニアに調査させていたゴクドは、レゼニアが出した結論と、たった今受けた報告と大きく乖離している為に、即座にレゼニアを呼び出して怒鳴り散らしている。
結局は、レゼニアは今までの行動から信頼度に劣ると判断されて、ルーカスの危険度は大幅に下げられる。
「ジスドネア。お前ならどう動く?」
ようやく落ち着いたゴクドが、四星筆頭のジスドネアに今後の対処を委ねる。
「はっ。報告通りの雑魚であれば、最早一冒険者として扱うだけで宜しいかと。今後はフレナブルの【癒しの雫】に全力を向けましょう。ですが、アルゾナ王国まで四星二人が向かったのです。放置するのではなく、Sランク魔獣の特殊個体程度は数体置き土産に置いておく方が面白いでしょう」
どうせ腰抜けには対処できませんから……と言う言葉と共に、方針は決定した。
ルーカス率いる【勇者の館】が惨敗したアルゾナ王国は、城門を固く閉じて籠城する事で命をつないでいる。
残念ながら、領土内にある強固な防壁がない町・村、街道にいたであろう人々は既に犠牲になっているのだが、これは明らかに【勇者の館】が過剰に自らの戦力を過信していた結果だ。
事実、城門近辺まで犠牲が出ている状況でも悠々と歩いて現場に向かう程の態度だったので、この情報が入っている国王の怒りは察するに余りある。
「ルーカス!貴様、あれ程自信満々に対処できると言っておきながら、どの面下げてこの王城にいる!」
アルゾナ王国の国王であるラスカーレ・アルゾナは、顔を真っ赤にしながらルーカス一行に怒鳴りつけている。
「貴様らの中途半端な攻撃のせいでSランクの特殊個体が城門近くに居座っている!未だ心身ともに傷が癒えぬ【鋭利な盾】のフィライトがその命を犠牲にしてまで動かなければ、この王都にすら侵入されていたのだぞ!!あれほど偉そうにしておきながら、これだけの被害を出すとは何事だ!!」
普段の温和な話し方は見る影もない程に怒り狂っており、流石のルーカス達も敗北を認識している上にこれ以上は精神的に戦えない為、何も言い返す事が出来ていない。
実際に魔獣の攻撃が激化したのは、魔王国側がフレナブルのいるジャロリア王国への攻撃を後回しにして、ルーカス達が居るアルゾナ王国に集中して対応する指示を出したせいだが、あまりにもタイミングが良すぎたため、国王以下全員がルーカス達のせいだと思っている。
逆にジャロリア国王としては、【癒しの雫】によって結果的には何の問題もなかったが、少し前にルーカスを始めとした【勇者の館】がいなくなった途端に魔獣の攻勢にあったので、こちらも【勇者の館】が原因であると思っている。
何れの国家もルーカスの率いる【勇者の館】が原因で魔獣の攻撃を受けていると判断しており、やはり先代魔王を始末した報復の意味が強いと言う判断になる。
もちろんカロラの先代魔王を倒した男が目的であると言う言葉も、その推論を強く後押ししていたのだが、結局原因がどうあれ、不遜な態度を取って被害を拡大させ、剰えさっさと逃走したのだから、弁明の余地はない。
「貴様程度の命を救うためにフィライトは犠牲になったのだ!!」
本来ホスフォを助けつつ、敵わないまでも共に散りたいと言う思いを強引に押し殺してまで情報を国家に伝えていたフィライトとエン。
その二人の行動を散々バカにした挙句、自ら率先して生贄を差し出す様な形で逃亡して見せたルーカス達。
アルゾナ国王は、この場でルーカス達を拷問して魔族に差し出したい思いを必死で抑え込みながら、どうやって国家を守るべく戦って散ったホスフォやフィライトの想いに報い、国を守れるかを必死で考える。
と同時に、未だ療養しているエンにどのように事実を伝えるべきかも非常に悩ましく思っている所だ。
「この腰抜け共が!!」
あまりの怒りに思わず跪いているルーカスを蹴るのだが、流石はSランカー。
普通の人族の蹴り程度ではびくともしなかった。
「くっ!!良いか、貴様達の蛮行と無様な逃走は余すことなく各国に報告する。特に、我らアルゾナ王国を守るためと言って貴様等を派遣したジャロリア王国には強い抗議と共にな!」
こうなると個人でのSランクは確実に剥奪される事は間違いないのだが、どうあっても挽回できる要素が無い。
そもそも【勇者の館】のAランカーは今回の作戦で全滅しており、ジャロリア王国に戻ったとしてもギルド認定最高位のBランカー以下しか存在しないので、ギルドとしても何もなくても今のAランクを維持できるとは思えない。
最早八方塞で抜け殻のようになっているルーカス達三人だが、未だこのアルゾナ王国の危機は去っていない。
城門前で陣取っている二体のSランクの特殊個体をどうにかしなければ、王都内部で消費される食糧や水は枯渇する為、何れは飢えて死ぬ未来しかないのだ。
当然ジャロリア王国には【勇者の館】の不甲斐ない戦いと不遜な態度、併せてそのせいで犠牲になったAランカーのフィライトの話も魔道具で伝えている。
今までにない程の怒りを露わにしているアルゾナ国王を見て、思わずジャロリア国王が敬語で対応してしまったほどだ。
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