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<六剣>配下の者達
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キュロス辺境伯の元に訪れた俺達。
「突然すみません」
「いやいや、いつでも歓迎ですぞ。して、今日はいかがしましたか?」
そんな俺達を快く迎えてくれるキュロス辺境伯。
「実は、これから魔王に喧嘩を売るつもりです。そうすると俺に近しい人々が危険に晒される可能性があるんです。その対策として<六剣>配下になっていただきたいと思います。<六剣>の配下になれば、人外の力を簡単に得ることができます。ただ、<六剣>所持者に対して敵対の意思があると恩恵はなくなりますが・・・」
「いやいや、そんなことはしませんぞ」
当然問いえば当然の回答だ。
「キュロス辺境伯は<炎>の基礎属性でしたよね?」
「うむ、だが私の力は最近は伸び悩んでいて困っていたのです」
「そうですか。でも、このヘイロンの<六剣>は炎を制御することに長けています。<炎剣>の配下になれば、恐ろしい程の力を得ることができます。そして、更に領地の安全も考えて、各<六剣>の力を辺境伯の騎士に付与するために、同じように配下になっていただきます。数日後に再度こちらに来ますので、それまでに選出しておいてください。じゃあヘイロン、頼むぜ!」
ヘイロンは<炎剣>を顕現させて、何やらブツブツ言っているがこの辺りは何をしているか俺にはわからない。
「良しできたぜ。いや~、初めてだったけど全く問題なかったな。緊張して損したぜ」
「おお、力が湧き上がってくるのがわかりますぞ。これが<六剣>の配下になると言う事ですか。これは・・・」
そわそわしだすキュロス辺境伯。
「申し訳ない、あまりにも想像していた以上の力なので・・・少し試してきていいだろうか?」
少年が玩具を与えられて土岐のようなキラキラした目をした、妙齢のおっさん。
いや、失礼。
「ええどうぞ。俺達は一旦帰還しますが、配下の選別は滞りなくお願いします」
「ええ、お任せください。では!」
待ちきれないと言った感じでキュロス辺境伯は部屋を出て行った。
一応・・・俺達が客なんだけどな。
まあいいか。
「フハハ、あの御仁も血がたぎっているのかもしれねーな。辺境伯という立場ですらあれだ。騎士を配下にしたらどうなるかわからねーな」
「だがありえない程の力を突然手にすることができたら、ああなるんじゃないか。ヘイロンも<六剣>を手に入れた時、色々試したくならなかったか?」
「そうだったな」
そう言いつつ、俺の部屋に戻る。
そこには既にキルハ国王、リアナ姉さんを配下にしてきたナユラとアルフォナも戻ってきている。
話を聞くと、キルハ国王は理解できるが、リアナ姉さんも喜び勇んで国王と共に鍛錬場に向かったらしい。
長い間籠の中の鳥状態であったと思われるリアナ姉さん。自由に動けるようになったうえ、強大な力を手に入れることができたのだから動きたくもなる・・・のか?
「まあ問題はないからいいか・・・」
俺の呟きにテスラムさんが、
「大変申し上げにくいのですが・・・ロイド様、問題があります。いえ、ありました」
「何?どうしたんだ。まさか既に魔王が出陣したか?おもしれー、やってやろーじゃねーか」
修行の成果が出てきているヘイロンはかなり好戦的だ。
テスラムさんはそんなヘイロンを宥める。
「ヘイロン殿、落ち着いてください。そんな事ではありませんよ。ロイド様、実はキュロス辺境伯なのですが・・・ヘイロン殿が力を与えた直後に喜び勇んで鍛錬場に行き、全力で力を使ってしまったようです。鍛錬場には辺境伯のみがいらっしゃったので人的被害はありませんが、鍛錬場とその周辺は木っ端みじんで跡形もありません。以前のヘイロン殿の<炎魔法>の後のように、一部は溶岩の状態になっているので暫くは復旧もできないでしょう」
「・・・・・」
何をやってるんだよあの人は!
ウキウキするのは良いし、力を試すのもいい。
ヘイロンの<炎剣>の配下になったおかげで、全盛期以上の体の切れがあるのもわかる。
だがな、あの強大な力をいきなり全力で試すか??
人が被害にあわなかったことが唯一の救いだ。
こうなったら、<水剣>のスミカでも派遣して溶岩状態を修復させるか?
「テスラムさん、こうなってしまったら・・・」
「私としたことが!!」
俺の話の途中でテスラムさんが慌てた。
こんなテスラムさんを見るのは初めてなので、今度こそ魔王関連かと肝を冷やしたその瞬間!!大きい揺れを感じ、衝撃波を襲ってきたようで、ガラスが割れた。
俺達は戦闘態勢を取ったが、テスラムさんは申し訳なさそうに頭を下げてきた。
その姿を見て、魔王関連ではなさそうなので警戒態勢を止めた。
「ロイド様、申し訳ございません。私の失態です。キュロス辺境伯があのような状態になってしまったのですから、他の面々も同じことをしてしまう可能性を考慮するべきでした」
「え?と言う事は・・・これはキルハ国王とリアナ姉さんがしでかした・・・と言う事か?」
「残念ながらその通りでございます」
「まじか~!」
あの二人は羽目を外さないタイプかと思っていたのだが、そんなことは無かったと言う事だ。
えっと、キルハ国王がナユラの配下・・・つまり<光剣>。
そしてリアナ姉さんがアルフォナの配下・・・つまり<土剣>。
どういった攻撃で、こんな大惨事になるんだ。
「リアナ殿が<土魔法>で圧縮された塊を壁向かって発動させたところ、壁を突き破って大惨事。そしてキルハ国王は<光魔法>を剣に纏わせて斬撃を放ったところ、同じく壁を突き破って大惨事・・・お二方の攻撃は、鍛錬場にある魔法防壁を突き破ってこうなってしまいました。申し訳ございません」
「いや、テスラムさんのせいじゃないから」
少々呆れたが、とりあえずみんなで様子を見に行くことにする。
先ずはキルハ国王とリアナ姉さんだ。
王城の中にある鍛錬場にナユラが案内してくれる。
鍛錬場に近づくにつれて、使用人の数が多くなりざわついている。
そして、壁や窓が破壊されている度合いがひどくなってきているのだ。
その震源地に彼ら二人が唖然とした状態で佇んでいる。
「キルハ国王、リアナ姉さん、もう少し力を抑えてから試したらどうですか?」
「あ、ロイド殿!いや申し訳ない。まさか魔法防壁を簡単に突き破ってしまうとは・・・」
「ごめんなさいロイド。えっと、怪我をされている方はいませんよね??」
二人共少ししょんぼりしている。
たとえ配下と言えども<六剣>に連なる面々になってしまうと、人が鍛錬するような場所では鍛錬できないと言う事がわかっただけ良しとしよう。
とすると・・・テスラムさんの修行か???
「ハハハ、スゲーじゃねーか。流石は<六剣>配下だ。これはテスラムさんの修行開始か??」
「え!それって大丈夫ですか?色々と・・・」
スミカがヘイロンの宣言に心配そうにしている。
「私も<六剣>所持者でなければあの修行にはついてこられないと思っておりましたが、ある程度力の有るお方が配下になっていた場合はその限りではないようですな」
テスラムさんが久しぶりに怖い笑顔を見せてきた。
一方のヘイロンとスミカは、やっちゃった みたいな顔をしている。
本当にこいつらは・・・
だが力になれてもらうには、少なくともどの程度の力があるのかを知ってもらう必要がある。
そういった意味では、あの場所・・・Sランクダンジョンでの修行を行う事は良いかもしれない。
「テスラムさん、<六剣>所持者に行ったのとはちがう、力を認識させる程度の修行はできそうか?」
「お任せくださいロイド様」
「俺もそっちがいいかな・・・なんてな・・・」
「私もです」
ヘイロンとスミカが小声でぼそぼそ言っている。
俺が聞こえるんだからテスラムさんも当然聞こえてるだろうが、笑顔で封殺している。
「突然すみません」
「いやいや、いつでも歓迎ですぞ。して、今日はいかがしましたか?」
そんな俺達を快く迎えてくれるキュロス辺境伯。
「実は、これから魔王に喧嘩を売るつもりです。そうすると俺に近しい人々が危険に晒される可能性があるんです。その対策として<六剣>配下になっていただきたいと思います。<六剣>の配下になれば、人外の力を簡単に得ることができます。ただ、<六剣>所持者に対して敵対の意思があると恩恵はなくなりますが・・・」
「いやいや、そんなことはしませんぞ」
当然問いえば当然の回答だ。
「キュロス辺境伯は<炎>の基礎属性でしたよね?」
「うむ、だが私の力は最近は伸び悩んでいて困っていたのです」
「そうですか。でも、このヘイロンの<六剣>は炎を制御することに長けています。<炎剣>の配下になれば、恐ろしい程の力を得ることができます。そして、更に領地の安全も考えて、各<六剣>の力を辺境伯の騎士に付与するために、同じように配下になっていただきます。数日後に再度こちらに来ますので、それまでに選出しておいてください。じゃあヘイロン、頼むぜ!」
ヘイロンは<炎剣>を顕現させて、何やらブツブツ言っているがこの辺りは何をしているか俺にはわからない。
「良しできたぜ。いや~、初めてだったけど全く問題なかったな。緊張して損したぜ」
「おお、力が湧き上がってくるのがわかりますぞ。これが<六剣>の配下になると言う事ですか。これは・・・」
そわそわしだすキュロス辺境伯。
「申し訳ない、あまりにも想像していた以上の力なので・・・少し試してきていいだろうか?」
少年が玩具を与えられて土岐のようなキラキラした目をした、妙齢のおっさん。
いや、失礼。
「ええどうぞ。俺達は一旦帰還しますが、配下の選別は滞りなくお願いします」
「ええ、お任せください。では!」
待ちきれないと言った感じでキュロス辺境伯は部屋を出て行った。
一応・・・俺達が客なんだけどな。
まあいいか。
「フハハ、あの御仁も血がたぎっているのかもしれねーな。辺境伯という立場ですらあれだ。騎士を配下にしたらどうなるかわからねーな」
「だがありえない程の力を突然手にすることができたら、ああなるんじゃないか。ヘイロンも<六剣>を手に入れた時、色々試したくならなかったか?」
「そうだったな」
そう言いつつ、俺の部屋に戻る。
そこには既にキルハ国王、リアナ姉さんを配下にしてきたナユラとアルフォナも戻ってきている。
話を聞くと、キルハ国王は理解できるが、リアナ姉さんも喜び勇んで国王と共に鍛錬場に向かったらしい。
長い間籠の中の鳥状態であったと思われるリアナ姉さん。自由に動けるようになったうえ、強大な力を手に入れることができたのだから動きたくもなる・・・のか?
「まあ問題はないからいいか・・・」
俺の呟きにテスラムさんが、
「大変申し上げにくいのですが・・・ロイド様、問題があります。いえ、ありました」
「何?どうしたんだ。まさか既に魔王が出陣したか?おもしれー、やってやろーじゃねーか」
修行の成果が出てきているヘイロンはかなり好戦的だ。
テスラムさんはそんなヘイロンを宥める。
「ヘイロン殿、落ち着いてください。そんな事ではありませんよ。ロイド様、実はキュロス辺境伯なのですが・・・ヘイロン殿が力を与えた直後に喜び勇んで鍛錬場に行き、全力で力を使ってしまったようです。鍛錬場には辺境伯のみがいらっしゃったので人的被害はありませんが、鍛錬場とその周辺は木っ端みじんで跡形もありません。以前のヘイロン殿の<炎魔法>の後のように、一部は溶岩の状態になっているので暫くは復旧もできないでしょう」
「・・・・・」
何をやってるんだよあの人は!
ウキウキするのは良いし、力を試すのもいい。
ヘイロンの<炎剣>の配下になったおかげで、全盛期以上の体の切れがあるのもわかる。
だがな、あの強大な力をいきなり全力で試すか??
人が被害にあわなかったことが唯一の救いだ。
こうなったら、<水剣>のスミカでも派遣して溶岩状態を修復させるか?
「テスラムさん、こうなってしまったら・・・」
「私としたことが!!」
俺の話の途中でテスラムさんが慌てた。
こんなテスラムさんを見るのは初めてなので、今度こそ魔王関連かと肝を冷やしたその瞬間!!大きい揺れを感じ、衝撃波を襲ってきたようで、ガラスが割れた。
俺達は戦闘態勢を取ったが、テスラムさんは申し訳なさそうに頭を下げてきた。
その姿を見て、魔王関連ではなさそうなので警戒態勢を止めた。
「ロイド様、申し訳ございません。私の失態です。キュロス辺境伯があのような状態になってしまったのですから、他の面々も同じことをしてしまう可能性を考慮するべきでした」
「え?と言う事は・・・これはキルハ国王とリアナ姉さんがしでかした・・・と言う事か?」
「残念ながらその通りでございます」
「まじか~!」
あの二人は羽目を外さないタイプかと思っていたのだが、そんなことは無かったと言う事だ。
えっと、キルハ国王がナユラの配下・・・つまり<光剣>。
そしてリアナ姉さんがアルフォナの配下・・・つまり<土剣>。
どういった攻撃で、こんな大惨事になるんだ。
「リアナ殿が<土魔法>で圧縮された塊を壁向かって発動させたところ、壁を突き破って大惨事。そしてキルハ国王は<光魔法>を剣に纏わせて斬撃を放ったところ、同じく壁を突き破って大惨事・・・お二方の攻撃は、鍛錬場にある魔法防壁を突き破ってこうなってしまいました。申し訳ございません」
「いや、テスラムさんのせいじゃないから」
少々呆れたが、とりあえずみんなで様子を見に行くことにする。
先ずはキルハ国王とリアナ姉さんだ。
王城の中にある鍛錬場にナユラが案内してくれる。
鍛錬場に近づくにつれて、使用人の数が多くなりざわついている。
そして、壁や窓が破壊されている度合いがひどくなってきているのだ。
その震源地に彼ら二人が唖然とした状態で佇んでいる。
「キルハ国王、リアナ姉さん、もう少し力を抑えてから試したらどうですか?」
「あ、ロイド殿!いや申し訳ない。まさか魔法防壁を簡単に突き破ってしまうとは・・・」
「ごめんなさいロイド。えっと、怪我をされている方はいませんよね??」
二人共少ししょんぼりしている。
たとえ配下と言えども<六剣>に連なる面々になってしまうと、人が鍛錬するような場所では鍛錬できないと言う事がわかっただけ良しとしよう。
とすると・・・テスラムさんの修行か???
「ハハハ、スゲーじゃねーか。流石は<六剣>配下だ。これはテスラムさんの修行開始か??」
「え!それって大丈夫ですか?色々と・・・」
スミカがヘイロンの宣言に心配そうにしている。
「私も<六剣>所持者でなければあの修行にはついてこられないと思っておりましたが、ある程度力の有るお方が配下になっていた場合はその限りではないようですな」
テスラムさんが久しぶりに怖い笑顔を見せてきた。
一方のヘイロンとスミカは、やっちゃった みたいな顔をしている。
本当にこいつらは・・・
だが力になれてもらうには、少なくともどの程度の力があるのかを知ってもらう必要がある。
そういった意味では、あの場所・・・Sランクダンジョンでの修行を行う事は良いかもしれない。
「テスラムさん、<六剣>所持者に行ったのとはちがう、力を認識させる程度の修行はできそうか?」
「お任せくださいロイド様」
「俺もそっちがいいかな・・・なんてな・・・」
「私もです」
ヘイロンとスミカが小声でぼそぼそ言っている。
俺が聞こえるんだからテスラムさんも当然聞こえてるだろうが、笑顔で封殺している。
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