前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

文字の大きさ
5 / 170
スキルの目覚め

初の契約を実行する

しおりを挟む
 制御室に移動するため、モモとフロアの中央に移動した。

「ご主人様、ここから制御室に転移しますが、ご主人様が管理者となられたら、この<神狼>はご主人様の思い通りに変更できるため、任意の場所から転移することもできるようになります。しかし、ご主人様が<神狼>の外に出てしまった場合は<神狼>の制御から外れるため、制御室に直接転移することはできないので、お気を付けください。あくまで設定できるのは<神狼>内部のみです」

「うん、何となくわかった。まぁ、実際に色々試してみるよ」

 ちょっと疲れているので、そっけない答えをしてしまった。

「それが良いですね」

 しかし、モモは、嬉しそうに笑ってくれている。
 モモとこの世界で再開してから、一瞬俺が裏切られた話になった時以外、常に優しさに満ちた微笑みを浮かべており、心から安心できるのだ。
 そう、まるで母親に甘える子供のように・・・

 幸せをかみしめながら転移陣に乗り、制御室に入った。

 そこには、各階層に設置されている水晶よりもはるかに大きい水晶が設置されており、妖艶な光を激しく放ち続けている。

「ではご主人様、さっそく管理者登録を行ってしまいましょう。この水晶に手をかざしていただけますか?」

「こうでいいかな?」

 恐る恐る水晶に手を触れた瞬間、

『ジン・アルダ を<神狼>管理者に認定します。権限の委譲を行います・・・終了しました』

 と、脳内メッセージが流れて水晶の光は落ち着いた光となった。

「ではご主人様、ステータスをご覧になっていただけますでしょうか?」

 この世界では、ステータス一覧を空間に表示することができるのだ。

「ステータス」

 俺はモモに言われた通りステータス画面を表示した。ずいぶんと久しぶりに・・
 俺のLvは5、スキルは<テイマー:Lv1>が続いたので、この画面を開くことを全くしてこなかったのだ。

 今の俺のステータスはこうなっていた。

---------------------
名前:ジン・アルダ(覚醒転生者) 
種族:人族(一応)
Lv:5・・E(初級)
HP:30/30 (地球神の加護により+5000 消去中)
MP:20/20 (地球神の加護により+5000 消去中)
MT:50/50 (地球神の加護により+5000 消去中)
【スキル】
 <テイマー:Lv10>・・神級
【称 号】
 <神狼>管理者
【加 護】
 地球神$#の加護・・<テイマー:Lv10>解放時に自動付与、神獣と再会後徐々に失う
---------------------

 ちなみに、
  HP:ダメージ耐性で、0になると死亡する。
  MP:魔力総量で、魔法を使用すると減少し、0になると激しい倦怠感が体を襲い、回復するまで魔法は使用できない。
  MT:精神耐性で、0になると精神操作性の攻撃を防ぐことができない。
 であり、クズに散々煽られたせいかMTだけは他よりも若干高い。(涙)


 モモが、ステータスを見て、

「無事に管理者になれたようですね。あ、地球神様の加護がついています。きっとご主人様が解放条件を満たしてしまった時は、危険な状態になるであろうことを見越して、加護を設定してくださったのですね・・・」

 そう言うことだったのか。

 さっき、モモの見えないほどの速度の一撃を食らっても、「ぐぇ」程度の情けない声だけで済んだのも、きっとこの加護のおかげだな。

 それに、クズによって転移させられた先が最下層である200階層でなかった場合、戻るにしても進むにしても危険な状態にあったことは変わりないが、きっとこの加護によって切り抜けられていたのだろう。

 地球神様、お名前は相変わらずわかりませんが、ありがとうございました。

 でも、人族(一応)の 一応 はスルーですが・・モモさん。
 なんてことを考えていたが、やはり相当疲労がたまっていたようで、少し瞼が重くなってきた。

 「ご主人様、こちらでお休みいただけますよ」

 モモの優しい声に引き寄せられ、ふわふわの何かに包まれた俺はあっという間に意識を飛ばした。



 そして、柔らかく、少しだけ揺れているふわふわの何かに包まれている状態から覚醒し、体を起こすと、

『ご主人様、お目覚めになられましたか?』

 と、脳内メッセージが届いた。
 
 あれ?モモかな?なんでしゃべっていないんだ?
 と思い振り返ると、そこには日本の大きなトラックレベルの大きさの、白銀の狼が横たわっていた。

「これがモモ??」

 『はい、そうですご主人様。この姿になるとお話しはできませんので、直接メッセージを送らせていただいています。私を見上げるのにお疲れであれば、サイズ変更もできますよ?』

 どうやら俺は、モモのお腹のあたりに優しく包まれて寝ていたらしい。

 モモのしっぽが激しく振られており、風がもはや凶器だ。
 ま、でもこの姿の方が目のやり場に困らないし、なぜかは言わないが、貧血も解消されるだろうから落ち着いて話ができるしね。

 残念なんてちっとも思ってないからね。くすん。

「いや、そのままのサイズで特に不都合はないから、問題ないよ」

『では、起きてすぐで申し訳ありませんが、地球神様の加護が完全に消えているので、ご主人様の身の安全を考えて、私と契約していただけますでしょうか?』

「そうだったね、俺の心配をしてくれてありがとう。さっそく契約させてもらうよ」

 そして、俺はモモの頭に手をあてて、真名を告げつつ契約を進める。

「汝モモ、我ジン・アルダに従う魔獣契約をなす」
 
 モモと俺が激しく発光し、無限にも近い力が湧き上がってくる感覚がある。
 契約が完全に完了したのだ。

 信頼度が低い場合は光が小さく、信頼度がない場合は契約ができないケースもあるが、モモの場合は全く問題がなかった。

 初めての契約であったため上手くいくか不安があったが、無駄な心配だったようだ。
 これでモモと初めての魔獣契約を終え、俺自身のステータスも激しく上昇していた。

---------------------
名前:ジン・アルダ(覚醒転生者) 
種族:人族(一応)   ➡ 人族1/4(一応)
Lv:5・・E(初級) ➡ Lv45・・B(中級)
HP:30/30    ➡ 1530/1530
MP:20/20    ➡ 1520/1520
MT:50/50    ➡ 1550/1550
【スキル】
 <テイマー:Lv10>・・神級
 <身体強化:Lv10>・・神級 NEW
 <雷魔法 :Lv10>・・神級 NEW
 <空間魔法:Lv10>・・神級 NEW
【称 号】
 <神狼>管理者
【契約魔獣】
 神狼
---------------------

 でも、種族部分が何かカウントされている。
 う~ん、わからないことを考え続けてもしょうがないな!!

 しかし、驚異的な上昇だ。

 あれ?Lv自体は変わっていないな。通常HP、MP、MTが上がるにはLvが上がる必要があるんだけどな・・。

 でもよく考えれば、管理者権限を利用してLv上げもできるみたいだから、問題ないか。
 過去の英雄もS(帝級)まで上がったんだしな。
 これでいて、モモも自由に召喚できるんだから、<テイマー:Lv10>様様だ。

 ただ、欲を言えば何らかの耐性が欲しかったんだけどな。
 モモ自体、神獣だからそもままでも防御力高そうだし、ここに閉じこもっていたから、不要だったのかな?
 ま、いずれにしても贅沢な悩みだ。
 
 必要な体制は、Lvアップしたらゲットできるだろ。
    

 クズ共、見てろよ。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...