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焼納豆

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領地アルダ

<アルダ>建国へ向けて・・シータ王国の動き

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 辺境北伯<アルダ>領、いや既に<アルダ王国>となっているだろう領地から撤収をしている一団がいた。
 もちろん、辺境東、南、西伯および<シータ王国>の面々だ。

 彼らは予定と異なり、<アルダ王国>に一歩も踏み入れることなく、あまつさえゲ〇までかけられて撤収しているのだ。

 本来は、ダン・アルダを亡き者にするか、<アルダ>をもらい受けているはずだったのだが・・今はとぼとぼと、一部は強烈な匂いを発しながら力なく歩いている。

 行きは消費型の転移マジックアイテムを使用してここまで来た。
 帰りも一部<アルダ>に常駐し、残りはマジックアイテムを使用して帰還するはずだったのが、城壁の中に侵入を試みて複数回使用したため、手持ちが無くなってしまったのだ。

 当然大した食料も持っているわけもなく、野営の準備もしていない。
 そんな中、変更東伯ザイドとその息子アレンは匂いを発しながら部下に当たり散らしていた。

 目的は達せず、体は汚れ、辺境北伯はシータ王国から離反し、国王から辺境北伯領地<アルダ>侵略のために渡されたアイテムも全て消費する・・考えられる中で最悪の事態だったのだ。
 それはイライラもするだろう。

 だが、流石はある程度のLvを持つものだけあって、食料については魔獣を討伐して満足させ、水は川から調達してしのいでいた。

 そこで水浴びもできたので、一部の匂いも相当取ることができたとか・・

 そんな苦労の行軍をすること凡そ1か月・・彼らは辺境東伯ではなく直接王都に帰還した。

 もちろん今後の方針を国王と相談するためだ。

 <アルダ王国>の中に、4大地下迷宮ダンジョンの管理者になった物がいる可能性が極めて高い。
 その場合、戦力に物を言わせて<シータ王国>が攻められる可能性も出てくるのだ。

 おいそれと4大地下迷宮ダンジョンの近くで暮らすわけにはいかなくなる。

 まずは、管理者権限を持たれているか・・の事実関係の確認が最優先になる。

 なんといっても<神>の名を冠する地下迷宮ダンジョンだ。そうやすやすと攻略できるわけはない。実際人族最強軍団でも、5階層がせいぜいだ。

 逆に考えると、そんなLvの地下迷宮ダンジョンが敵に回ったとすると、もはや魔界森を含む辺境東西南北全てが<アルダ王国>であると言っても過言ではないのだ。

 現状を確認するべく、早速国王に謁見を申し出て代表として辺境東伯ザイドと息子のアレンが謁見することになった。

「国王様においては、ご機嫌「よい!!面を上げよ」」

 国王は少し焦っているようで、ザイドの口上途中に遮り先を促した。

「実はダン・アルダには順調に到着したのですが、門は閉ざされており、どの様な攻撃も受け付けず、転移マジックアイテムでも内部に転移することはできませんでした。更に、やつらは4大地下迷宮ダンジョンの管理者になっていることを示唆してきた上に<シータ王国>から離反し、<アルダ王国>として建国するとぬかしてきたのです」

「なに!!今管理者になっているかもしれないといったか?」

「はい、そのように申し上げました」

「まずいぞ、<神>の地下迷宮ダンジョンを手中に収めたのが事実だとすると、もはやこの<シータ王国>存続の危機だ。まずはそれぞれの地下迷宮ダンジョンの状態を確認させろ。<神狼>はお前がここにいるから後でもよい。その他の<神鳥><神龍>に異常があれば、やつらの言うことに真実味が増してしまうことになる。おい、すぐに通信魔道具で辺境南伯と辺境西伯に連絡して確認させろ」

 傍に控えていた騎士が、急ぎ足で謁見のまから出て行った。

「もし事実だとすると、打てる手は2つだ。1つは王族にのみ伝わる禁呪だ。これはできれば使いたくない。過去実行した王族がいたが、そのせいで隣の<フラウス王国>と揉めて現在断交しているからな。だとすると残り一つか・・・」

 国王はザイドやアレンを無視し、独り言のようにぶつぶつと何か言っている。

「おい、宝物庫に行くぞ」

 突然国王は立ち上がり、謁見の間から出て行った。
 慌ててザイドとアレン、騎士が後を追うように退出し国王の後をついて宝物庫に向かった。

「国王様、宝物庫にやつらを抑える秘策があるのでしょうか?」

「そうだ。だがこれは本当の奥の手だ。今我々は<フラウス王国>とは断交しておりお互いに不干渉だが、<ゴルデア公国>とは絶えずいざこざが起きている。これを使って一気にやつらを黙らせようかと思ったが、もし辺境北伯に管理者がいるならば<ゴルデア公国>以前の問題で我が<シータ王国>が滅亡する。ここは躊躇している場合ではない」

 腐っても国王であり、判断は正確であった。

 宝物庫までもうすぐと言った時に、騎士から報告があった。

「国王様、辺境西伯、変更南箔と連絡が取れました。各領地にある<神龍><神鳥>においては、何故か侵入できなくなっているとのこと。また、少し前にそれぞれの地下迷宮ダンジョン近くが激しく揺れ続けたとのことです」

「決まりだな。揺れは何かの設定を変更したか、攻撃準備かもしれんな。ともあれ、<アルダ>は4大地下迷宮ダンジョンを手中に収めたとして動くほかあるまい」

 実際に判断は正しいが、報告の最後にある激しい揺れは管理者云々ではなく、ドロップの武具を喜々として使っていた<アルダ王国>の近衛騎士が暴れたせいなのだが、そんなことは知る由もない。
 
 そして宝物庫に到着し国王が手をかざすと、自動で大きな観音開きの扉が開き、そのまま中に入ると左右に数えきれないほどの金銀財宝、マジックアイテム、ドロップアイテム、装備、武具、レア鉱石を目にすることができる。
 
 しかし、そんなものには目もくれず国王は突当りまで歩き、ぽつんと置かれている瓶に入った緑色の液体を手に取った。

「これは、かなり前の国王がある手段で作らせた秘薬だ。これ一つしかないが効果は極めて高い。この秘薬に触れた者、秘薬を付けた武器で少しでも傷つけられたものは、<S:帝級>以上のものに限りその力を1日程度完全に失う。この秘薬のせいで<フラウス王国>と断交しているのだがな・・」

「そうなのですか・・断交の件は分かりませんが、国王様は<アルダ>が既に<S:帝級>以上の力を持っているとお考えですか?」

「ザイド、アレン!!その方らは実際にやつらと接してそのようには感じなかったのか?<神>の地下迷宮ダンジョンだぞ、当然それくらいの力はあるはずだ」

 国王に厳しく指摘され、ザイドとアレンは青ざめた。
 よくよく思い返してみれば、防壁から弓兵が殺気を出しただけですくんでしまったのだ・・・

 とすると、国王の言っていることは的を得ていると考えざるを得ない。
 更に国王は続ける。

「ただこの秘薬も万能ではない。敵味方の区別がつかんのだ。よって、この秘薬の影響を受けない最大戦力である<A:上級>を前衛とし、後衛に<S:帝級>を配置する。やつらの力を無力化した後は速やかに制圧する必要があるので、<A:上級>と<S:帝級>の増員をすぐに実施しろ」

「承知しました」

 騎士がすぐさま人族最強<S:帝級>の管理者に連絡を取りに行く。

 その後、国王は作戦の一部を説明した。

「<アルダ>を攻める際には、当然4大地下迷宮ダンジョンからの攻撃も視野に入れる必要がある。そのため、作成開始直前に地下迷宮ダンジョンの入口にこの秘薬を噴霧するのだ。さすれば、仮に魔獣が出てきたとしても雑魚となり、作戦の支障にはならないだろう」

 やはり、歴代国王の知恵を引き継ぐだけあって、地下迷宮ダンジョンからの攻撃に対する対処法も知っていた。

 こうして、<シータ王国>は<アルダ王国>に対して侵攻するべく着々と準備を進めることになった。

 <アルダ王国>側としては、<シータ王国>には侵攻する気など微塵もないのだが、強大な力を得てしまったがために、無駄に恐れられ侵攻を受けることになる。

 そもそも事の発端は<シータ王国>の不遜な態度なのだが、彼らにはそんなことは理解できない。

 当然<アルダ王国>の優秀な諜報員がこの<シータ王国>の王都にも侵入しており、<アルダ王国>への侵攻準備をしていることは、ジンを始め王族に即伝わることになる。
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