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大同盟

大同盟の交流・・(1)新国土の活用を語る

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 父さんの発案で、今回<シータ王国>から賠償として没収した宝物庫の中身を使用して大同盟の国々の交流を深めることになった。

 以前<アルダ王国>で祭りを実施した以上に補助を出し、経済も良くしていく方向だ。

 但し、間者が紛れ込んだり、今回の騒動に対して恨みを持つものなどの対策として、大同盟の中だけで実施される。

 <アルダ王国>と<フラウス王国>は両国共に国土全周を覆うように壁が有り、お互いの国家間の行き来は互いの境界の壁にある門を通って出入国するのが一番の近道になる。つまりその門は<アルダ王国>か<フラウス王国>何れかの国にいないと使用することができない位置になっている。

 もちろんその他にも門は存在し、全ての門に門番が目を光らせている。
 その他の大同盟の各国については、領土全体を覆う壁は存在しない。流石に王都は壁に囲われているが・・

 そのため、<アルダ王国>と<フラウス王国>を除く各国では、基本的な入国口である入場門以外からも侵入しようと思えばできるのだが、国の位置関係から<アルダ王国>そして<フラウス王国>に隣接した街道を通過する必要があるため、その街道自体をチェックすることにより間者が侵入できないようにしている。

 しかし、より強固な防衛体制を作るために、費用は今回の<シータ王国>からの収入で補い、<アルダ王国>が各国の領土外周に防壁を作成している。

 <アルダ王国>の国土は今回<シータ王国>から辺境東、南、西伯の領地であった箇所も取り込んだため、一気に増えた。

 辺境伯領地であった箇所は、地下迷宮ダンジョン進入不可の設定により経済的な大ダメージを受け、領民は一切おらず、まるでゴーストタウンのようになっている。

 しかし、領民不在となってからの期間が短いため建屋の痛みはなく、使用できるものは使用し、<アルダ王国>にそぐわない物・・・奴隷用の家や販売所等・・・については、さしあたり即破壊し更地にして、別途用途を考えるようにした。

 このような状態であるため、各国の防壁、そして<アルダ王国>の整備が終わってから交流を深めることになった。これらの整備を急ぎたい。

 通常であれば、各辺境伯の領地の間は馬車で4週間程かかる。

 旅を楽しむ者もいるだろうから、整地し、中継地点に宿泊場所や食事関連、軽い観光ができる町を作るといいのかもしれない。
 
 急ぎの場合・・あまり想定したくないが、今回の襲撃等を考えると、国民は即転移できる方が良い。

 とすると、それぞれの元領地には我らが誇る<神>の名を冠する、地下迷宮ダンジョンがあるので、ここを転移可能ポイントとすればいいだろう。

 水晶さんによれば、俺が全ての管理者になっているので問題なくできるようだ。

 一回層は魔獣の出現率を0として、地下迷宮ダンジョンを攻略する冒険者向けの町を作成すると面白いか?
 当然冒険者ギルドと商業ギルドの支部も必要になってくるな・・

 そして、その一回層のどこかに他の3つの、地下迷宮ダンジョンに転移できる場所を設けよう。
 各ギルドの近くが良いかな?
 
 残念ながら<魔界森>は俺の寝室もあるために国民が容易に来られては困るので、転移設定はしない。

 お??なんだか考えるのが楽しくなってきた。

「皆、<シータ王国>の領土が一部俺達の国土になったので、何か構想はある?」

 ここ・・<魔界森>の塔5階層のソファに座って話しているのは、俺、そして神獣のソラ、トーカ、モモ、シロ、近衛騎士のラム、幻獣部隊リーダーのウェインだ。

 ラムもウェインも自分だけ立っているようなことはなく、同じように座って話をしてくれるようになった。

 残念ながら、他の幻獣部隊はガジム達に強制的に拉致されているけどね・・。

 いつもいつもごめんね。

 だって、ガジムはまだいいんだけど、重鎮Aランドル重鎮Bノレンドの勢いは・・・俺では対処できないんだよ。

 彼らは、喜々として各国の防壁作成を実施しているのだ。幻獣部隊がいれば俺の<神の権能>を使用できるので作業が捗るだろう。

「ご主人様、私は100年間いた<神狼>の最下層と、この4階層を接続してほしいです。<転移>で行けますが、スキルを使わないでいけると助かります」

「ん?モモ、別に構わないよ。でもあそこに何かあるの?」

「いえ、特に何かあるというわけではありませんが・・・・ご主人様と再会できた場所なので・・」

 うぉ~~、か・わ・い・い・ぞ~

「「「ジン私も!!」」」

 おう!!他の3人も同じことを言ってきた。
 もちろんいいんだけど・・・

「ああ、良いよ。俺の事を想ってくれてありがとう。嬉しいよ。でも<魔界森>以外の所で何か案はあるかな?」

 よし、軌道修正できたぞ。あまりの可愛さ×4でなし崩し的になる所だった。

「案と言うわけではありませんが、今回国土に加わった地下迷宮ダンジョンがある町ですが、町と町を繋ぐ街道辺りも国土に加わっていると思います。この部分もガジム殿は防壁を作成するのでしょうか?」

「ああ、父さんの案では今回賠償として貰い受けた新たな国土は<シータ王国>に面しているため、完全に防壁で囲うそうだよ」

 ウェインはこんな時でも防衛に対して考えているようだ。
 
「ジン様、私は中継地点の町にはぜひ温泉!!そして足湯の設置をお願いします」

 ラムは結構お風呂好きで、種族的な物なのかはわからないが、足をケアするのがとても気持ちいいらしいので足湯押しだ。

 エルフ族は基本的には森の中で生活するため、足の負担が大きいからかな??とか考えたのだが・・あっているかな?

「ジン、私もお風呂・・温泉っていうの?外の景色を見ながらゆっくりお湯につかってみたいな」

 ソラもこう言い、モモとトーカも頷いている。

 そこに以前はあまりお湯につかるのが好きではなかったが、今ではお風呂大好きのシロが、
 
「そうですね、私もジンと一緒にゆっくり入りたいですね!そしてそこでおいしいお食事も楽しみたいところです」

 と言ってきた。
 あれ?一緒に入るの?俺と?良いの?

「「「私も!!」」」

 残りの神獣も同意している。
 どうしよう・・・・そうだ、先送りにしよう!!曖昧に返事するんだ。

「温泉と食事は大体一緒になると思うよ。露天・・外の景色を楽しみながら入れる温泉も準備しような!」

 皆とろけるような、そして眩しい笑顔を見せてくれる。
 基本凄まじい美人だから破壊力が凄いな。

「ジン、私は満天の星空の下で寝泊まりできる所や、子供たちが遊べるところ、もちろん私達も一緒に子供と触れ合える場所が欲しい!」

「トーカ、すごくいいじゃない。私も」
 
「そうですね、私も賛成です」「私も!!」

 神獣が皆トーカの意見に大賛成だ。

「ジン様、私は今回の<シータ王国>の件を教訓として、実践的に訓練できる場所を作っていただけたらと思います」

 ラムも少し真面目な要望を出してきた。
 正直国土は一気に増えたため、国民に対して土地が余っている状態なのは間違いないので、色々夢が膨らむのだ。

 皆とゆっくり未来について好きに語る・・とても楽しい時間だ。俺達はこの<アルダ王国>の未来について、長い時間夢を語り合った。

 楽しく話は進み、ある程度実現可能な案は父さんと相談しようか・・となっていた時に、幻獣部隊から<念話>が来た。

『ジン様、神獣の皆様、ウェイン、ラム殿、レイラです。今よろしいでしょうか?』

 皆一瞬で警戒し、今までの和やかな空気は霧散した。若干緊張して返事をする。

『良いよ、どうしたの?』

 あれ、こっちの都合を聞いてくる余裕があるという事は、緊急事態ではないか?

『実は、ガジム殿とドワーフ族、そしてランドル殿、ノレンド殿とまずは<ゴルデア王国>の防壁を作成していたのですが・・』

 おぅ、何やら想像できてきた。あいつらまた何かやらかしたな。
 <シータ王国>関連じゃなくてよかったが・・・まぁ、贅沢な悩みだな。

『我らがジン様の許可により<神の権能>を使用して防壁を作成した所・・ランドル殿とノレンド殿が興奮し初めまして・・そこまでは良かったのですが、そこにガジム殿率いる部隊が各種の機能を付与し始めて徐々に魔法防壁として完成していったのですが、耐久テスト?なる物が必要だと言い始めたのです』

 完全に今後が予想できる。
 聞きたくない・・聞きたくないけど<念話>だから拒否できない!!

『それでですね、ランドル殿とノレンド殿は今回の<シータ王国>が使用していたアイテムを持っており・・と言うよりもこっそり拾って隠していたようなのですが・・そのアイテムで防壁を攻撃してしまいました』

 おいおい、あいつら予想を軽く超えてくるじゃねーか!!
 なんで<シータ王国>のアイテムこっそり拾って隠し持ってんだよ!!
 
 ガジムが集めて研究してるんじゃないのか?? やっぱりあいつらは重鎮A、Bに戻そう。名前を呼ぶのも嫌になる。

 俺が苦悩しているのも知らずにレイラは続ける・・はぁ、聞きたくない。

『ガジム殿達が機能を付与した所は、流石我らが<アルダ王国>の誇るドワーフ部隊!!あのアイテムによる攻撃でも一切傷もつきませんでした。ですが、これに興奮したランドル殿とノレンド殿が自ら作成した新しい魔道具と<シータ王国>のアイテムで周りの防壁に攻撃をしまして・・当然機能を何も付与していない場所も多数あるので・・そこはあっという間に破壊されてしまいました。そして今は舞い散る砂埃・・呆れて立ち尽くすガジム殿とドワーフ族、そして、今だ興奮収まらず破壊し続けているお二人・・という状況です』

『おいおい、まだ破壊しているのか?』

『そうなんです。もう始末しちゃってもいいですか?』
 
 いやいや、気持ちはわかるが・・本当によくわかるが落ち着け。あれ?逆に俺が落ち着いちゃったよ。

『ちょっと待ってね、レイラ。落ち着いて!!とりあえず<神の権能>使っていいからあいつら隔離しておいて』

『承知しました。その後は我らが引き続き<神の権能>を使用させていただき、復旧作業から始めますね。あの二人はジン様のいらっしゃる<魔界森>に送ればよろしいですか?』

『ふぇ、それなし。とりあえず<神の権能>の<空間魔法>で適当なところにぶち込んでおいて。行先は後で考えるよ。ガジム達は俺がねぎらっていたと言っておいてね。レイラ達もありがとう』

 そうして予想通り・・いや、予想を超える事態を引き起こした重鎮A、Bを完全隔離して防壁作成作業は再開された。

 これが終わらないと同盟国の交流ができないんだぞ!!
 <空間魔法>の異空間からあいつらをいつ出すかは、本当によく考えよう。
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