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焼納豆

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大同盟

大同盟の交流・・(17)大会2日目 休憩時間

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 急なメンテナンスという事で、1時間の空き時間ができた。
 ラムは王族の護衛に残るため、神獣達と一緒に闘技場の周りを散歩することにした。

 外から見る闘技場は壮大で、外観も重厚な感じがする。
 そしてその中の機能は・・とてつもない技術の粋が詰まっている。
 <アルダ王国>・・素晴らしい国だ。

 俺は闘技場を一周しつつ、適当に店で買い物をしてのんびりしようと歩き出した。
 
 出店の中には、この闘技場の大会に出場して本戦に勝ち残っている者達、そして制限無しの大会に出る幻獣と近衛達の人形まで売られている。

 仕事が早い。少し店番の人に話を聞くと、この店は服飾が得意な<エフソデア王国>が出店しているそうだ。

 これが意外と繁盛しているのだ。あの戦いを見た人達は記念に購入していくし、その勢いで、まだ実際に本線で戦っていない第四試合出場の<ラーム王国>人族とウェインの人形も飛ぶように売れている。

 一応ウェインは【諜報部隊】隊長なので、試合に出る時は顔を覆う布をかぶっている。

 <アルダ王国>に住んいる人達には顔は知られているので最早無意味なのだが、同盟国内の祭りと言っても、これから国外へ行く人もいるだろうから対策をしているのだ。しかし、購入する人たちは顔は関係ないらしい・・・。

 また、制限無しの試合に出場する皆は、超絶した力を持っていると知れ渡っているし、全員美男美女なので、こちらも商品を並べる傍から売れている。
 予定外の休憩時間が入ったこともあるだろうが、店員さんはとても忙しく働いているので、あまり邪魔にならないように店を後にした。

 今日の試合終了後にもう一度来て、記念に買ってもいいかもしれないな。

「ジン、私あのいい匂いのする果物食べたい。絶対美味しいよ」

 ソラが良い匂いの果物を見て、嬉しそうに言ってくる。
 他の三人の神獣達も頷いているので、俺は早速購入することにした。

 さっきの人形を販売している店が<エフソデア王国>の出店だったから、きっとここは果物が充実している<ラーム王国>なのだろうか??

「すみません、この果物五つ下さい。ここは<ラーム王国>のお店ですか?」

「はい、ありがとうございます。このお店は<ラーム王国>の出店ですよ」

 思った通りだな。でもこの果物たち・・・沢山の種類があって迷うところだが、ソラが決めていた果物を全員分買うことにした。
 もちろん食べやすいように一口サイズに切ってくれている。

 なんて言ったらいいのか、日本でいうパイナップル?のような物に見える。
 口に含むと、想像通り瑞々しく、甘い味が口いっぱいに広がる。
 なんだかホワーッとする果物だ。

 ・・・いかんいかん。ロイド兄さんみたいになってきているぞ。
 
 えっと、心にゆとりができる果物だ。

「この果物、とても美味しいですね?」

 モモが嬉しそうに小さな口をもぐもぐさせている。
 
「本当ですね、流石はソラ。良い物を選びましたね」

「へっへ~ん。私は前世も結構果物食べてたからね、シロはあんまり食べてなかったでしょ?果物は今後も私に任せてよ?」

 シロが褒めてくれたのが嬉しいのか、ソラはちょっとだけ自慢げだ。

 トーカはひたすら黙々と食べている。

 闘技場から出たばかりで、まだまだ色々な物を見ることができるけど、時間も気をつけないとね。

 そのまま歩くと、疑似観光と書かれた看板のある店が見えた。
 ここは、他の店と違って店に販売品を並べているわけではなく、<ベネチカット王国>の観光箇所の案内書が無料で貰える。

 そして、店には入口と出口がそれぞれ一カ所あり、入口前にはなかなかの行列ができている。
 料金は・・・さっきの果物が1個200アフラだが、入場料が1000アフラだ。

 そうそう、通貨に関しては白金貨、大金貨、金貨、小金貨、大銀貨、銅貨とあるが、今はカードシステムで管理するので、これを機に大同盟の間では新貨幣単位「アフラ」が制定された。

 アフラは、主軸国家である<アルダ王国>と<フラウス王国>の頭から取ったもので、日本の知識から考えると、1アフラ1円相当だろう。

 大同盟国家以外に移動するときは、カードの中身を貨幣に交換することができるる。貨幣換算は、

  銅貨1枚        1アフラ
  銀貨1枚       10アフラ
 大銀貨1枚      100アフラ
 小金貨1枚     1000アフラ
  金貨1枚    10000アフラ
 大金貨1枚   100000アフラ
 白金貨1枚  1000000アフラ

 だ。

 通常の生活をしていく限りでは白金貨など見ることはなく、大金貨でさえもほとんど見ないだろう。

 そう考えると、入場料は中身によるが割安か?
 このまま列に並ぶと、他の場所を見ることができないので、今は並ぶのをあきらめる。
 
 店員さんはパンフレット管理と入場管理の二人らしく、パンフレット管理の方はあまり忙しそうではないので、少し話を聞くことにした。

「こんにちは、大盛況ですね。あの入口から入って中はどの様になっているのでしょうか?」

「こんにちは。入口から入っていただきますと、<ベネチカット王国>の各観光名所を疑似的に観光できるようになっているんです。<フラウス王国>と<ゴルデア王国>のお力をお借りして作られた魔道具を利用しているんですよ」

 そうか、そのようなことを聞いた気がするが・・・確か魔道具は一つしか準備できなかったので、確実に人が大勢来る場所を融通してくれ・・・と父さんが言われていたな。
 これの事だったのか。出口から出てきた人々は口々に、

「綺麗だった」
「雄大だね」
「本物を見に行きたいな」

 と好評だ。

 今までの店は、同盟各国のある意味直営だ。だとすると、残すところは、

 <フラウス王国>の魔道具
 <ゴルデア王国>の装飾品、簡易魔道具
 <イグイム王国>のお酒
 <ミューラ王国>の穀物

 になる。

 目的は少々変わった気がするが、各国の出店を目指して皆とテクテク歩くことにしよう。

 まず最初にあったのは、<イグイム王国>の出店だ。
 ここは明らかに匂いからお酒だとわかる。俺には少々キツイ。

 この周りにはお酒を飲んで気を良くした人たちが、祭りの雰囲気もるのか、歌ったり、踊ったり・・陽気な一区画となっている。

 問題行動は起こしていないので、楽しくやってくれればいいだろう。
 さりげなく【治安維持部隊】の面々が他の場所より多くいるようだが、彼らも今のところは動く気はないようだ。

 【治安維持部隊】と明らかになって、ほろ酔いの人達が無理やり大人しくなることを防ぐためか、通常より多めに配置されている隊員はお酒を飲んでいる祭り参加者の振りをしている。
 中身は・・・・きっとジュースだな。
 さりげなく輪に入り、騒ぎが起きないように誘導もしているのだろう。

 次に行こう、次!!

 凄まじい匂いの空間、人によっては良い匂いなのだろうが、俺には少々厳しかったので、早々にあの区画を後にした。

 次なる出店は・・<フラウス王国>と<ゴルデア王国>が隣接して出していた。

 お互いに魔道具、いや、<フラウス王国>の技術を<ゴルデア王国>に教えているのだが、近似した製品を販売しているので隣接させたのだろう。
 <フラウス王国>は完全に魔道具で、<ゴルデア王国>は装飾がメインでそこに簡易的な魔道具を組み込んでいるようなものだ。

 例えば、<フラウス王国>の照明は、完全に明かりを灯せる機能の高い魔道具だが、<ゴルデア王国>の場合は、装飾品の腕輪に若干光りが灯る・・といった具合だ。
 
 人それぞれ用途によって買い分けるのだろう。

 これらの出店に販売している物品は、一人で大量に購入することはできない。

 と言うのも、費用はカードで払うが、全て<アルダ王国>が負担するので、購入者の懐は痛まない。万が一悪意がある物は、一気に購入して転売・・という事をしてしまうかもしれないので、そういった事を防ぐ事と、広く大勢の人に商品が行き渡るようにする為に設けた制限になる

 <ベネチカット王国>の観光のような所は、転売することができないので、あまりに人が多くなっていない限りは何度でも入場することはできる。

 一部魔道具の収納袋や<空間魔法>を持っている場合は、食料やお酒なども連続購入すると転売もできるが、その辺りは周りの目もあるし、【治安維持部隊】も気を付けているので問題ないだろう。

 そして最後は<ミューラ王国>の穀物だ。
 ここは、何と俺の前世でも好物だったトウモロコシそっくりの物を焼いて売っている。
 
 買おう。即購入!!

「皆、俺、アレ食べたい。皆も食べるよね?買ってくるね?」

 皆の返事を聞かずに買いに行った。
 焼きたてをくれるそうで、焼いている途中に話を聞くと、何とこれはトウモロコシで間違いないようだ。

 <シータ王国>によって召喚された人が見つけたか、作ったかは知らないが、きっと名付けはその人だろう。俺でも思わずトウモロコシと思ったからな。

 早速5本貰って彼女たちの所行くと、皆なんだか微笑ましい何かを見るような笑顔で迎えてくれた。
 俺がトウモロコシ大好きなのを知っているからだろうか?

 早速皆で食べてみる。頂きます!!

 素晴らしい!!まさしくトウモロコシ!!俺、<ミューラ王国>に移住しようかな。 

 そんな事を考えていると、カードにまもなく試合再開のメッセージが流れたのだった。
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