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大同盟
大同盟の交流・・(19)大会2日目 制限無しの戦前 ソフィアの今後
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会場の最終メンテナンスが行われる為に、再度一時間程の休憩が取られることになった。これは予定されていた物なので、特別な案内はない。
ステージを見ると、【技術開発部隊】、そしてそこに今のところ配属されている重鎮A、Bも真剣な表情でステージや魔道具のチェックを行っている。
彼らも真面目に仕事をすることがあるんだな。
まあ、それはそうだろう。少しでも異常や不備があれば、これからの戦いでは観客や各国の王族達が致命傷を負ってしまう可能性があるのだ。
王族の傍にはラムやレイラがいるのでそちらは安心なのだが・・・だからと言って観客に怪我人がでて良い訳ではない。
最悪の事態はこの闘技場自体を破壊しかねないのだ。
それ程これからの出場者は危険だ。本当に危険なんだ。制限がかかっていない状態で、全力を出せると喜んでいるのだ。
以前地下迷宮を破壊して水晶さんに怒られてからあまり全力を出せていない為、ガジム隊長の作った鍛錬場に入り浸っていた連中だ。
そんな奴らが、この盛り上がっている祭りの闘技大会で、気合が入らないわけがないと思わないか?
ラムを除く【近衛部隊】は武具の性能を試したくてウズウズしているし、幻獣達は、俺のご褒美が欲しくて、笑顔で恐ろしいほどの殺気を放っている状態なのだ。
普通の人ならその殺気だけで死んじゃうよ?近くにいるのが同じLvの近衛達だからいいようなものの・・・
本当は彼等の激励に行っておきたい所だが、殺気にやられそうなのでやめておいた方が良いだろう。いや、やめておこう。俺の心身の平和の為に。
だが、ウェインには一言かけておきたい。とりあえず<念話>にしておくか。俺はある事情で急いでいるんでね。
『ウェイン、素晴らしい戦いだった。負ける姿など想像できないので予想通りではあるのだが、あの人族も俺の予想を遥に超えていたにもかかわらず、結局まともな攻撃を一切させることなく圧勝だったな。おめでとう』
『ジン様、ありがとうございます。確かにあの人族は素晴らしい動きでしたが、地面に対する対応が全くできておりません。常に最悪の状態を考える癖が完全にはついていないのでしょう。しかし、今まで見た中では飛びぬけて地力のある者でした』
『そうだろうな。ウェインは明日の試合もあるけど、今日の勝利を祝う祝勝会でもするか?』
きっと断るだろうな・・と思っているが一応聞いてみる。
『大変申し訳ありません。お申し出は非常に嬉しいのですが、新人諜報部隊隊員の進捗を確認したいので・・なかなか時間が取れないのです』
『大丈夫。問題ないよ。でもウェインもたまには休めよ?』
『ありがとうございます。では』
まあ、予想通りの回答だったな。
では、急ぎの用事を済ませるとするか。
実はさっき中に入りそびれた<ベネチカット王国>の疑似観光に行ってみたいのだ。
早速神獣達を連れて即会場の外へ行き、急いで疑似観光の出店に行くと、当たり前だが人はほとんどいない。
「あ、さっきいらっしゃった方ですね、今ならすいていますからすぐに案内させて頂きます。もう少しすると休憩中の方々で混雑するのでいいタイミングでしたね」
そうですよね。わかっているからダッシュで、途中若干インチキして短い距離だけど<転移>も使いましたからね。ごめんなさいね。
「ありがとうございます。気になってどうしても中に入って観光したかったんですよ」
「こちらこそありがとうございます。それでは5名様で5000アフラになります。カードよろしいでしょうか?」
「お願いします」
カードを渡して清算してもらい、俺達は入場する。
入場すると若干薄暗い廊下の両壁に、<ベネチカット王国>の有名な観光箇所の映像が移されており、崖の上から眼下に広がる湿原や、大きな滝、雪に覆われた山々、美しい景色が沢山あるのがわかる。
そしてその景色を楽しんだ後の廊下の突当りには、10人程乗れる乗り物が準備されていた。
皆で乗り込み・・・・座る場所でもひと悶着あったが、こんなところで揉めても困るので、俺が勝手に決めた。
微妙な差ながらも、前世で俺の家族になったと俺が判断した順番だ。実際は違うのかもしれないけどね。
前の席左がモモ、中央が俺、右がシロ、後方左がソラ、後方右がトーカとなった。
前席の二人はニコニコして俺の腕に絡みついている。後席の二人は可愛いほっぺを膨らませているが、後ろから俺に抱き着くことができて満足そうになった。
やがて乗り物は動きたした。この乗り物は天井から吊られているようで、空を飛んでいる錯覚に襲われる。
眼下にはさっき紹介されていた素晴らしい景色の一部が再現されており、その中を遊泳する形で見ることができるのだ。
これで1000アフラは安い!!
この景色なら本物を是非見たい。
「ご主人様、これは素晴らしいですね。私本物が見てみたいです」
「「「私も!!」」」
皆も同じ感想を持ったようだ。これだけ素晴らしい観光資源があったにもかかわらず国としてあまり栄えていないのは、<シータ王国>による理不尽な交易によるものだろう。
しかし、これなら、今後は俺達<アルダ王国>の助けがなくても十分やっていける素晴らしい資源だ。
今回の祭りを通して、知名度も確実に上がっているので、今後に期待できるだろう。
10分程で遊覧は終わり、乗り物から降りた俺達はとても満足することができた。試合を観戦して若干高まった気持ちを、この雄大な景色を見る事で完全に落ち着かせることができている。
「皆、すごかったね。そのうち実際に<ベネチカット王国>に行って観光しような」
「「「「はい!!」」」」
輝く笑顔で返事をしてくれる神獣達。
でも、観光場所は大体わかったけど、宿泊とかはどうなっているんだろう?
その辺りも観光をする上では非常に重要なポイントだから、実際に行く時はよく調べて計画する必要があるな。
と、そこへレイラから連絡があった。
『ジン様、ダン様がなにか連絡があるそうですが・・・他国の王族の方々とのお話が終わったそうなので、もしよろしければこちらに戻ってきていただけますでしょうか?』
何の話だ?状況から悪い話ではないだろうが・・・
『わかった。すぐ戻るよ』
そうして神獣達と共に、闘技場の王族専用観覧席に戻った。
「ジン、休憩中に悪いな。なんだか話を使用と思ったらお前が既にいなくてな・・ちょっと最終日の祭り終了時の件で話があるんだがな」
なんでか<フラウス王国>のリンデム王と、リノス第二王子、そしてソフィア姉さんとヤリス母さん、ロイド兄さんがその場にいる。
という事はですよ?そういう事ですか。
「おめでとう!でいいんだよね、姉さん?」
ソフィア姉さんは、少し赤い顔で頷いて、
「ありがとうジン」
リンデム王とリノス王子もとても嬉しそうだ。
そりゃーそうでしょうよ。とても綺麗で優しい姉さんが家族になるんだから。幸せにしないと怒りますからね。
でも、万が一姉さんを怒らせたら・・<SS:聖級>ですから、骨も残りませんよ。気を付けて下さいね。
神獣達も嬉しそうにお祝いの言葉をかけている。
そうか、そうするとここを出て行っちゃうのか。何となく寂しいな。
と、感慨にふけっているとリノス王子が、
「ジン殿、あなたのおかげで私も幸せになれます。これからは義兄としてよろしくお願いしますね。家族として近くにいるので、気軽に声をかけてくれればと思います」
「わかりました。<フラウス王国>まで距離はありますが、国境までは<転移門>もありますし、すぐに行けますので遊びに行かせて頂きます」
そう、素直な気持ちをリノス王子に伝えると、リンデム王が、
「いやいや、ジン殿よ、このリノスはここ<アルダ王国>で生活するのですぞ。我が国はハルがおります故跡継ぎの心配もないですしな。こう見えてリノスは知略に長けているので、十分お力になれると確信しております」
「ジン、そう言う訳だ。その発表を最終日にしたくて、一応事前に直接会って話をしておきたかったんだ。なんせ詳しく決まったのが少し前だったのでな」
そうか!!姉さんも<アルダ王国>にいてくれるのか。
本心を言うと、俺は家族が離れてしまうのには少し抵抗があった。例え幸せになれるとしても・・・これは俺の我儘だ。裏切りによって傷ついた俺の心はまだ完全には癒されていないのだろうか?
でも、何れは俺も世界を見るためにここを出ていくことになるだろう。
いつになるかはわからないが・・・
それまでは新たに家族になってくれたリノス王子と大同盟を発展させていこう。
ステージを見ると、【技術開発部隊】、そしてそこに今のところ配属されている重鎮A、Bも真剣な表情でステージや魔道具のチェックを行っている。
彼らも真面目に仕事をすることがあるんだな。
まあ、それはそうだろう。少しでも異常や不備があれば、これからの戦いでは観客や各国の王族達が致命傷を負ってしまう可能性があるのだ。
王族の傍にはラムやレイラがいるのでそちらは安心なのだが・・・だからと言って観客に怪我人がでて良い訳ではない。
最悪の事態はこの闘技場自体を破壊しかねないのだ。
それ程これからの出場者は危険だ。本当に危険なんだ。制限がかかっていない状態で、全力を出せると喜んでいるのだ。
以前地下迷宮を破壊して水晶さんに怒られてからあまり全力を出せていない為、ガジム隊長の作った鍛錬場に入り浸っていた連中だ。
そんな奴らが、この盛り上がっている祭りの闘技大会で、気合が入らないわけがないと思わないか?
ラムを除く【近衛部隊】は武具の性能を試したくてウズウズしているし、幻獣達は、俺のご褒美が欲しくて、笑顔で恐ろしいほどの殺気を放っている状態なのだ。
普通の人ならその殺気だけで死んじゃうよ?近くにいるのが同じLvの近衛達だからいいようなものの・・・
本当は彼等の激励に行っておきたい所だが、殺気にやられそうなのでやめておいた方が良いだろう。いや、やめておこう。俺の心身の平和の為に。
だが、ウェインには一言かけておきたい。とりあえず<念話>にしておくか。俺はある事情で急いでいるんでね。
『ウェイン、素晴らしい戦いだった。負ける姿など想像できないので予想通りではあるのだが、あの人族も俺の予想を遥に超えていたにもかかわらず、結局まともな攻撃を一切させることなく圧勝だったな。おめでとう』
『ジン様、ありがとうございます。確かにあの人族は素晴らしい動きでしたが、地面に対する対応が全くできておりません。常に最悪の状態を考える癖が完全にはついていないのでしょう。しかし、今まで見た中では飛びぬけて地力のある者でした』
『そうだろうな。ウェインは明日の試合もあるけど、今日の勝利を祝う祝勝会でもするか?』
きっと断るだろうな・・と思っているが一応聞いてみる。
『大変申し訳ありません。お申し出は非常に嬉しいのですが、新人諜報部隊隊員の進捗を確認したいので・・なかなか時間が取れないのです』
『大丈夫。問題ないよ。でもウェインもたまには休めよ?』
『ありがとうございます。では』
まあ、予想通りの回答だったな。
では、急ぎの用事を済ませるとするか。
実はさっき中に入りそびれた<ベネチカット王国>の疑似観光に行ってみたいのだ。
早速神獣達を連れて即会場の外へ行き、急いで疑似観光の出店に行くと、当たり前だが人はほとんどいない。
「あ、さっきいらっしゃった方ですね、今ならすいていますからすぐに案内させて頂きます。もう少しすると休憩中の方々で混雑するのでいいタイミングでしたね」
そうですよね。わかっているからダッシュで、途中若干インチキして短い距離だけど<転移>も使いましたからね。ごめんなさいね。
「ありがとうございます。気になってどうしても中に入って観光したかったんですよ」
「こちらこそありがとうございます。それでは5名様で5000アフラになります。カードよろしいでしょうか?」
「お願いします」
カードを渡して清算してもらい、俺達は入場する。
入場すると若干薄暗い廊下の両壁に、<ベネチカット王国>の有名な観光箇所の映像が移されており、崖の上から眼下に広がる湿原や、大きな滝、雪に覆われた山々、美しい景色が沢山あるのがわかる。
そしてその景色を楽しんだ後の廊下の突当りには、10人程乗れる乗り物が準備されていた。
皆で乗り込み・・・・座る場所でもひと悶着あったが、こんなところで揉めても困るので、俺が勝手に決めた。
微妙な差ながらも、前世で俺の家族になったと俺が判断した順番だ。実際は違うのかもしれないけどね。
前の席左がモモ、中央が俺、右がシロ、後方左がソラ、後方右がトーカとなった。
前席の二人はニコニコして俺の腕に絡みついている。後席の二人は可愛いほっぺを膨らませているが、後ろから俺に抱き着くことができて満足そうになった。
やがて乗り物は動きたした。この乗り物は天井から吊られているようで、空を飛んでいる錯覚に襲われる。
眼下にはさっき紹介されていた素晴らしい景色の一部が再現されており、その中を遊泳する形で見ることができるのだ。
これで1000アフラは安い!!
この景色なら本物を是非見たい。
「ご主人様、これは素晴らしいですね。私本物が見てみたいです」
「「「私も!!」」」
皆も同じ感想を持ったようだ。これだけ素晴らしい観光資源があったにもかかわらず国としてあまり栄えていないのは、<シータ王国>による理不尽な交易によるものだろう。
しかし、これなら、今後は俺達<アルダ王国>の助けがなくても十分やっていける素晴らしい資源だ。
今回の祭りを通して、知名度も確実に上がっているので、今後に期待できるだろう。
10分程で遊覧は終わり、乗り物から降りた俺達はとても満足することができた。試合を観戦して若干高まった気持ちを、この雄大な景色を見る事で完全に落ち着かせることができている。
「皆、すごかったね。そのうち実際に<ベネチカット王国>に行って観光しような」
「「「「はい!!」」」」
輝く笑顔で返事をしてくれる神獣達。
でも、観光場所は大体わかったけど、宿泊とかはどうなっているんだろう?
その辺りも観光をする上では非常に重要なポイントだから、実際に行く時はよく調べて計画する必要があるな。
と、そこへレイラから連絡があった。
『ジン様、ダン様がなにか連絡があるそうですが・・・他国の王族の方々とのお話が終わったそうなので、もしよろしければこちらに戻ってきていただけますでしょうか?』
何の話だ?状況から悪い話ではないだろうが・・・
『わかった。すぐ戻るよ』
そうして神獣達と共に、闘技場の王族専用観覧席に戻った。
「ジン、休憩中に悪いな。なんだか話を使用と思ったらお前が既にいなくてな・・ちょっと最終日の祭り終了時の件で話があるんだがな」
なんでか<フラウス王国>のリンデム王と、リノス第二王子、そしてソフィア姉さんとヤリス母さん、ロイド兄さんがその場にいる。
という事はですよ?そういう事ですか。
「おめでとう!でいいんだよね、姉さん?」
ソフィア姉さんは、少し赤い顔で頷いて、
「ありがとうジン」
リンデム王とリノス王子もとても嬉しそうだ。
そりゃーそうでしょうよ。とても綺麗で優しい姉さんが家族になるんだから。幸せにしないと怒りますからね。
でも、万が一姉さんを怒らせたら・・<SS:聖級>ですから、骨も残りませんよ。気を付けて下さいね。
神獣達も嬉しそうにお祝いの言葉をかけている。
そうか、そうするとここを出て行っちゃうのか。何となく寂しいな。
と、感慨にふけっているとリノス王子が、
「ジン殿、あなたのおかげで私も幸せになれます。これからは義兄としてよろしくお願いしますね。家族として近くにいるので、気軽に声をかけてくれればと思います」
「わかりました。<フラウス王国>まで距離はありますが、国境までは<転移門>もありますし、すぐに行けますので遊びに行かせて頂きます」
そう、素直な気持ちをリノス王子に伝えると、リンデム王が、
「いやいや、ジン殿よ、このリノスはここ<アルダ王国>で生活するのですぞ。我が国はハルがおります故跡継ぎの心配もないですしな。こう見えてリノスは知略に長けているので、十分お力になれると確信しております」
「ジン、そう言う訳だ。その発表を最終日にしたくて、一応事前に直接会って話をしておきたかったんだ。なんせ詳しく決まったのが少し前だったのでな」
そうか!!姉さんも<アルダ王国>にいてくれるのか。
本心を言うと、俺は家族が離れてしまうのには少し抵抗があった。例え幸せになれるとしても・・・これは俺の我儘だ。裏切りによって傷ついた俺の心はまだ完全には癒されていないのだろうか?
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