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焼納豆

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大同盟

大同盟の交流・・(20)大会2日目 マーニカVSオルド

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 いよいよ制限無しの第一試合が行われる。
 直接対戦する二人と、【技術開発部隊】の戦いの火蓋が切って落とされる。

 【技術開発部隊】が負けた場合、即ち闘技場の機能が破壊された場合は、ここにいる観戦者の大多数は瀕死になるだろう。頑張れよガジム隊長。

 よし、冗談・・ではないがこのくらいにして戦いに集中するか。

 ステージに二人が上がる。
 とんでもない美女で幻獣のマーニカ、そして渋い男の魔族オルド。
 
 マーニカは<雷魔法>を使用しているのか、既に若干帯電しているように見える。服装はいつものスカートの下にズボンのような物を履いている。
 日本でいうレギンスのような感じか。

 対するオルドは、武具の持ち手は黄金、刃は銀の槍<槍:聖級>を展開して右手に持っている。

 こいつら、一切手加減する気が見えないぞ。おいおい、俺なんだか知らないけど冷や汗が止まらないよ。
 
 会場の連中は、自らが危険かもしれないなどとは、露ほどにも思っていないんだろう。とんでもない盛り上がりだ。
 
 前評判の通り、規格外の力の持ち主であることは、素人でもわかるほどの力の奔流だ。
 
 俺は無意識にガジム隊長のいる方を見てしまった。
 彼はステージ上の二人の状態を見ても、動揺している様子はない。
 少し安心した。そうだよね、近衛達が鍛錬場で鍛錬しているのを見ているんだもんね。対策ばっちりだよね??

 もうこれ以上考えても仕方がないので、試合に集中しよう。

 開始のドラムがなる。
 観客の歓声も、今までとは比べ物にならない程の大きな声援が聞こえる。

 ステージ上の二人は一旦距離を取っており、互いに一礼をした後に構えを取った。

 あれ?オルドは分かるけど、マーニカって体術系統のスキル持ってたっけ?

「ねえモモ、マーニカって万能型ではあるけれど、体術系統のスキルってなかった気がするんだけど・・・」

「ええ、そうですね。でもご主人様の契約魔獣ですから<神の権能>の一部・・使えますよね?」

 ・・・そうか。ますます危険度が増すわけか。
 実際のところ、この制限無しに出場しているメンバーは、全員Lvを極限まで上げている。なので、種族的には地力の高い幻獣が有利かと思ったが、武具で更にステータスを上昇させている近衛騎士の方が若干有利かもしれない。

 早速オルドが仕掛けた。
 槍に炎を纏わせて連続の付きを放ちつつ<転移>を行って、多方向から炎の攻撃を行った。
 
 対するマーニカは、何とその場で右足を軸にした回し蹴りを行うと彼女を囲って襲い掛かっていた炎は一瞬でかき消されてしまった。

 彼らにしてみれば小手調べと言った所だろうが、あれほど盛り上がっていた観客が一瞬黙りこくってしまった。が直後に割れんばかりの大歓声だ。

 観客が興奮するのも頷ける。前評判通りの高い戦闘能力を発揮しているのだ・・・と言うよりもまだ全然本気を出していないが。

 魔道具の大型画面は、制限無しの試合の場合はスローで再生する場面が多くなるとの想定で、急遽設置台数が増やされている。この短い時間に対策する辺り、流石は技術にこだわりのある集団だ。

 最初の攻防から一部スロー再生が実施され、ガジム隊長の想定通りに事が進んでいると言える。

 そして今度はマーニカの攻撃がオルドを襲う。
 オルドの攻撃を回し蹴りの風圧に<風魔法>を付与した物で相殺したのだろうが、その攻撃を連続してオルドに向かって放った上に<炎魔法>を加えて威力を増している。

 風により力を増した炎の渦が数十本、空中にいるオルドに襲い掛かる。
 だがオルドは冷静に<転移>で攻撃範囲から一瞬で逃れている。

 彼は、危険回避系統のスキルを多数持っているため、マーニカが攻撃を充てるのは中々難しいのではないだろうか。
 マーニカも同様のスキルを保持しており、互いに一撃を当てる方法を工夫する必要があるだろう。

 両者の小手調べの攻撃では、轟音、そして遮断されているはずの熱気が観客席側にも伝わってきた。
 若干闘技場に付与されている安全装置?の許容を超えてきたのだ。
 
 小手調べでこれだぞ?しかしガジム隊長は動揺していないので、まだまだいけるのだろうな。

 続けてマーニカが明らかにまずそうな魔法を使用し始めた。
 普通の魔法であれば直接効果・・・例えば炎や風などが発現するのだが、複数の魔法を同時に制御するにはそのままではなかなか難しい。
 まあ、俺達は問題なくできますけど・・・一般的な話として、ね。

 だが、彼女達魔法特化のメンバーは研鑽を重ねて、魔方陣から魔法を発現させる方法を確立した。

 これのまずいところは、いくらでも力を溜められることだ。
 つまり、即発現している魔法とは違い、魔力を魔方陣に溜めて威力を青天井で上げられるのだ。
 更に複数同時に制御すれば魔法の発現のタイミングも自由自在。

 マーニカの周りに現れた魔方陣は10個ほどあり、全てが回転しつつ発光し始めている。術を発動しているマーニカのあふれる力の影響か、彼女の髪が妖艶に揺れている。

 俺がオルドの立場なら、即逃亡しそうなほどの力だ。

 対してオルドは、<槍:聖級>の力を開放することにしたようだ。
 槍を天空に突き出して自らの魔力を注いでいる。
 
 持ち手は黄金、刃は銀の槍が激しく変色し、槍の先端から魔力でできた小さな槍が無数に出現している。
 そんな機能があるとは聞いてませんけど!!

 こいつら、ホントに手加減しねーぞ!!

 俺の心配をよそに、両者とも攻撃の準備が整ってしまったようだ。

 オルドは無数に表れた魔力の槍を、全て<槍:聖級>の先端に収束し、一本の槍の形を作り上げている。先端の魔力の塊は激しい炎を噴き出している上に、あまりの力が一点に集中している影響か、大気が激しく揺れている。
 
 対してマーニカは魔方陣から既に魔法が発現しており、氷と水系統の魔法を選択したようだ。
 オルドは<炎魔法>以外の魔法を持っていないので、対抗しやすい魔法を選んだのだろうか。

 本来破壊することができないはずの闘技場の地面が一部剥がれて、力の奔流に飲み込まれるように上昇している。

 この状態を見てもガジム隊長は一切表情を変えない。
 あきらめた訳じゃないだろうな??

「皆、もし、もしもだけど、あいつらが闘技場の安全装置を破壊してしまったら、俺達が全力で観客を守るから、<神の権能>の発動準備しておいて」

「「「「わかりました」」」」

 神獣達も少々まずいと思っているらしく、真剣な表情で返事をしてくれた。これで本当の最悪の事態は免れるだろう。
 俺達は、この観戦を楽しむために使用していなかった<神の権能>を発動した。

 一方観客は大歓声が沸くばかりで、かなり危険な状態にあるとは露ほどにも思っていないようだ。お前らわかってるのか、どっちの攻撃も国を一瞬で破壊できる以上の力があるんだぞ?

 俺の心の叫びも虚しく、闘技場ではお互いが攻撃を開始してしまった。

 二人の中央で、攻撃魔術が拮抗した状態でぶつかり合っている。
 床は激しくはがれて上昇し、互いの術がぶつかっている為凄まじい光を放っている。

 最早闘技場を直接見ることはできず、観客は魔道具の大画面に視線を移した。
 あいにくこの画面も闘技場の発光の影響で見やすいとは言えないが、かろうじて見ることはできている。

 やがて大爆発が起こり、神獣達と共に<神の権能>で観客席をカバーしたが、観客席に被害は起こらなかった。大爆発の瞬間、ステージを覆っている不可視の膜が多層に展開されたのが見えたので、このおかげで被害がなかったのだろう。
 
 一方ステージ上の戦いは未だ続いている。
 俺隊は既に<神の権能>を使ってしまっているので直接視認することができるが、一般客はモニターに見入っている。

 両者共に若干のダメージを受けているが、大規模攻撃ではなく近接戦闘に切り替えたようだ。
 
 だが、こうなるとマーニカが若干有利か?
 と言うのも、彼女は契約魔獣の特権である<神の権能>を使用しなくとも<水魔法>を持っている。つまり戦闘中も回復できるのだ。

 一方オルドが持っている魔法は<炎魔法>だけだ。そうするとこの戦闘中に回復するには、ポーションなどのアイテムに頼るしかない。<空間魔法>や<影魔法>も持っていないので、アイテムは持っていないだろう。

 思った通り、徐々にオルドが劣勢になり防御の回数が増えてきた。
 だが致命的な一撃を食らわないのは流石だ。

 マーニカが炎を纏った拳をオルドに放ち、オルドはそれを<槍:聖級>で受けた。
 オルドは若干踏ん張りがきかないのか、ステージ端部まで飛ばされるが、槍を地面に突き刺して場外転落を防いだ。
 
 あれ?地面に槍・・・刺さってますけど・・・刺さるんだ??

 マーニカは最後とばかりに、遠距離から連撃を繰り出し、魔法がオルドに襲い掛かる。すると、オルドは槍をマーニカに向かって投げた。

 丁度お互いの間にあったマーニカの魔法は、オルドの槍でかき消され、更にマーニカは槍を避けるので攻撃の手が一瞬緩んでしまった。

 その隙にオルドはステージ中央に移動し、手元には<槍:聖級>が戻ってきている。
 【近衛部隊】が持つ武具は、使用していない状態ではどこにあっても腕輪に戻すことができるため、投げた槍を腕輪に戻して再度手元に展開したのだろう。

 だが、オルドが劣勢なのは変わらない。このまま更にヒートアップするかと思ったら、何とオルドは槍を腕輪に戻してマーニカに向かい一礼した。

 これは・・・・マーニカの勝利だ。
 オルドは現状を正確に把握できており、このまま続けても勝利することはできないと判断したのだろう。英断だ。

 対してマーニカも深く一礼して健闘を称えあっている。

 最後の決着は、一般客には若干物足りなかったのかもしれないが、とてつもない試合であったので満足してもらえるだろう。

 そして、ガジム隊長!!流石でした。疑ってすみません。

 
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