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異大陸
ラムちゃん無双
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ラムのわけわからん俺の物発言に反応したのはマーニカ隊長だ。
神獣達は、こんな感じの状況は慣れたもので優しく微笑んでこちらを見ている。
「ジジジジン様。ラム殿はあのように申しておりますが、いつの間にそのような・・・いえ、我らよりも先にジン様にお仕えしているので何の不思議もないのですが・・・もしよろしければ我ら幻獣、いえ、私だけでもジン様の・・」
「落ち着けマーニカ、今はそんな事を言っている状況ではないんだから。それにあれは言葉のあやだ」
なんだか前世のセミの鳴き声みたいな名前で呼ばれてしまったので少々ショックだが、何とかマーニカを落ち着かせることに成功した。
ふぅ、これはラムは減点か?
そんな事を思っていると、魔神側から結界を張りたければ張るように連絡が来た。
後で言訳されたくないので、俺と神獣達は何もしない。
ラムを除く近衛達が結界を張ろうとしたが、マーニカ隊長が、
「皆さん、私は今回戦闘する機会がなさそうなので結界は私一人で十分ですよ」
といい、さっさと強固な結界を張ってしまった。
魔神サイドの結界も強固だが、遥上を言っている。とはいえ、マーニカ隊長は決して全力で結界を張っているわけではない。
そんなことも知らずに、魔神側は煽ってくる。
「フハハハ、お前ら我らの補助魔法が怖いのか必死だな。そんなに全力で結界を張っていると実際の戦闘時に魔力切れで役に立たんぞ」
近衛達も全力で結界を張っていると勘違いしているのだろう。
そのセリフを聞いたマーニカ隊長は、
「ジン様、今回私は魔神と戦えるのを少し楽しみにしていたのですが、この調子ですと大したことがなさそうですね。近衛の方々が、がっかりしなければいいのですが・・・」
実は俺も同じことを思っていた。
「そうだね。もし近衛達が消化不足になった場合は<アルダ王国>で合同鍛練してあげてくれる?」
「承知しました」
そう、昨日までのあの異常な鍛錬。
ガジム隊長が作った魔道具のおかげで全員五体満足だが、確実に何度も命を散らせていた。
あの鍛錬を見た後だと、魔神サイドの正確な強さは分からないが、ちょっとかわいそうになって来るな。
今回の対戦は両手斧の魔獣と超遠距離攻撃型のラムだ。
ラムは既に武具である弓を手に持っており、ある程度魔獣とは距離を取った位置にいる。
魔獣は斧を打ち鳴らしラムに向かって行く。
当然何かしらのスキルを使っているのだろう、魔獣が分裂してラムに襲い掛かる。
対してラムは落ち着いた状況で、武具を一段解放させた。
銀色の弓は黄金に変色し、力を増大させているのが肌で解る。
当然ラムも武具の開放は三段階まで実施することができているが、小手調べと言った所か一段目しか開放していない。
流石に開放なしでは問題があるだろう。
武具の性能によらない基礎能力も大幅に上昇しているので、通常の<SS:聖級>の最上位クラスでも認識できないような速度で矢を放った。
放たれた矢は凡そ100本。魔獣の分裂数よりも多い数だ。
その矢が分裂し、いつの間にか付与されている魔法によって様々な効果を見せている。
貫通能力が大幅に上昇し且つ隠蔽される矢、炎や氷、風などの魔法が付与される矢等、俺の知らない技が増えている。
対して魔獣は流石神の力を持つ者で、全分裂体が斧を持ったまま高速回転を始めて防御態勢を取った。つまり彼女の攻撃が見えているという事だ。
しかし、見えている攻撃が必ず防げるわけではない。
各種魔法を付与された矢の内、氷の矢を受けた分裂体のみが致命傷を負って消滅した。
「なるほど、あなたの弱点は氷ですか。意外と脆いですね」
多種多様な付与を行っていたのは、相手に対して確実に致命傷を負わせることができる属性を判別する為だったようだ。
戦い方が洗練されている。
「フン、少々攻撃が効いたからと良い気になるなよ?」
魔獣は自らの体に纏うように斧から出る瘴気の量を増大した。氷の攻撃を受けた際の防御力を上げたのだろう。
ついでとばかりに斧を一閃すると、辺りにくすぶっていた炎や氷など、魔術を消し飛ばした。
いや、良く見ると消したというよりも瘴気で吸収したと言った所だ。
それを証明するかのように、若干魔獣の魔力が上昇した。
ラムを見ると、当然気が付いているようで警戒度合いを上げている。
「そこのエルフ、お前の攻撃は中々だが残念ながら俺には最早通じんな。お前により絶望を与えるために少々余興を考えた。さっきと同じ攻撃を俺にしてみるといい。俺は最早防御もしない」
そういって分裂体を戻した魔獣一匹は、斧を持ったままの両手を広げてラムを挑発する。
ラムはすかさず同様の攻撃をする。さりげなく氷系統の付与を多めにしているのは流石と言った所だ。
そしてそのすべての攻撃を受けた魔獣は、さっきの攻撃時とは異なり氷系統の付与でも一切のダメージを受けていなかった。
俺の考えでは、さっきの攻撃後に全ての魔法の残骸を吸収していた。つまりその時に耐性も得たのではないだろうか。
そうすると、この魔獣は学習される前に一気に滅する必要があるという事だ。
「どうだ見たか。お前のような軟弱な攻撃はこの俺には通用しない。おい、そこで待機しているこのエルフの仲間達よ、これから残虐ショーの始まりだ。楽しみにしているんだな。特に戦闘に参加しないとかほざいたそこのヘタレ男、このエルフはお前の物らしいな。蹂躙される様をそこで指をくわえてみておけ。ハハハハ・・・ふげぁ」
魔獣が情けない声を出して吹っ飛んで行き、はるか遠くの結界に当たって地面に落下した。
ラムが一瞬で近接して蹴りを放ったのだ。
あれ??ラムさん、あなた超遠距離攻撃型ではなかったっけ?
「それ以上汚い口をジン様に対して開くな!!」
ラムさんガチギレしているようだ。
ちょっと俺も怖い。こんなラムは初めて見るからだ。
「我が敬愛してやまないジン様に、お前は何を言った!!言うに事欠いてヘタレだと?初戦だけに少々様子を見ようと思ったが止めだ。貴様は万死に値する」
ブチ切れラムを見て驚いた俺は、他の同僚である近衛達を見るが、あのメンバーも魔獣の言葉に怒りを隠せなかったようで、
「ラム、あの魔獣は生きる価値はない。鍛錬場の的にすら分不相応だ。完膚なきまでに消滅させろ!!」
「足の先から徐々に消滅させて己が消えゆく恐怖を刻み込め!」
なんて恐ろしいことを言っている。
俺の近くにいる神獣達を見ると、彼女達も俺を侮辱したのが許せないようで青筋を立てながらの笑顔を見せていた。
あっ、あの魔獣確実に死んだな。
これは俺の<神の権能>の予知ではないが、何故か確信してしまった。
力を完全に馴染ませたであろう<SSS:神級>の魔獣を<SS:聖級>のラムが消滅させるのだ。
魔獣側もここまで言われて黙ってはいない。
「くっ、油断した。まさか近接戦闘ができるとはな。弓を使っておいて俺を油断させるとは小細工だけは得意だな。とすると、お前の言うあの男も大物ぶっているが大したことはないのだろう?」
何故か最後に俺の事もディスってきやがった。
「貴様~、まだ言うか!!!」
そう言ってラムは怒りのまま一気に第三解放まで行ってしまった。
彼女の体は黄金色に輝き、手に持っていた弓は消えている。
実は彼女の第二段階解放時には弓の大きさが変わり、その分劇的に攻撃力が上がるのだが、その二段階目の開放をすっ飛ばして怒りのまま第三解放まで行ってしまった。
ラムは指を軽く振ると、そこから有り得ない本数の黄金の矢が魔獣に着弾し、膝から下を消滅させた。
当然膝から下がない魔獣は地面に転がり、何が起こったかわかっていないようだ。
そして、若干の後痛みが襲ってきたのだろう。
「ぐぁ~、貴様~、エルフの分際でこの俺に魔神様の前で恥をかかせるとは・・・」
そう言いながら、斧から出てくる瘴気を膝下に集中し、膝下を復元して見せた。
やがて立ち上がると、視線だけで相手を殺す勢いでラムをにらみつけて斧による攻撃をしようとした。
しかし、ラムの攻撃はまだ終わっていなかった。
わざわざ膝下の修復を待った後で、同じように膝下を消滅させた。
これは、一回目の攻撃の矢を隠蔽した状態で待機させていたのだ。
と同時に、瘴気の発生源と思われる斧も完全に粉砕してしまった。
このレベルの攻撃では、魔獣も力を吸収することはできないらしい。
斧は黄金の矢に粉砕されて、光の粒子となり消え去った。
魔獣は地面に這いつくばった状態で唖然として斧が消えゆく様を見つめていたのだが、近接したラムに蹴り上げられ、更には踵落としの要領で再度地面にめり込まされた。
「ま、待ってくれ、俺はもう戦えない。この戦いが始まる前に降参すれば・・・」
魔獣は何か言っているが、今のラムはそんな事を聞く状態ではない。
「寝言は寝て言え!!お前はジン様に許しがたい暴言を吐いた。その罪をかみしめながら消滅すると良い」
ラムが地面にめり込んでいる魔獣を片手でつまみ上げて、上空に放った。
俺は再度思った。君は超遠距離攻撃型だよね???
そんな疑問を持っている中で、空中に投げ出された魔獣の体の端部が徐々に消滅して行っている。
既に視認できない速さでラムが矢を放っているのだ。
さりげなくマーニカ隊長が結界の強度を上げているのは、その矢が外部に漏れないようにしているのだろうか?
しかし、魔獣の方も瘴気が無くとも自動再生能力があるらしく、徐々にではあるが再生している。
ラムはそれをわかって、ゆっくりと消滅する絶妙な攻撃を放ち続けている。
「魔神様、お助けを!!」
ついに魔獣は魔神に助けを求め始めた。
魔神サイドから、何やら魔術が行使されたようだがマーニカの結界に阻まれて発動しなかったようだ。
成程、マーニカが結界強度を上げたのは、相手のサポートを防止する為だったのか。
そうして、わざと長い時間をかけて魔獣はついに消滅した。
これで、どこかの大陸の神の力も戻っただろう。
だが、ガジム隊長が鍛錬場の的として使えなくなった状態を知ると、がっかりするだろうな。
しかし、ラムの圧勝で初戦は終了した。
神獣達は、こんな感じの状況は慣れたもので優しく微笑んでこちらを見ている。
「ジジジジン様。ラム殿はあのように申しておりますが、いつの間にそのような・・・いえ、我らよりも先にジン様にお仕えしているので何の不思議もないのですが・・・もしよろしければ我ら幻獣、いえ、私だけでもジン様の・・」
「落ち着けマーニカ、今はそんな事を言っている状況ではないんだから。それにあれは言葉のあやだ」
なんだか前世のセミの鳴き声みたいな名前で呼ばれてしまったので少々ショックだが、何とかマーニカを落ち着かせることに成功した。
ふぅ、これはラムは減点か?
そんな事を思っていると、魔神側から結界を張りたければ張るように連絡が来た。
後で言訳されたくないので、俺と神獣達は何もしない。
ラムを除く近衛達が結界を張ろうとしたが、マーニカ隊長が、
「皆さん、私は今回戦闘する機会がなさそうなので結界は私一人で十分ですよ」
といい、さっさと強固な結界を張ってしまった。
魔神サイドの結界も強固だが、遥上を言っている。とはいえ、マーニカ隊長は決して全力で結界を張っているわけではない。
そんなことも知らずに、魔神側は煽ってくる。
「フハハハ、お前ら我らの補助魔法が怖いのか必死だな。そんなに全力で結界を張っていると実際の戦闘時に魔力切れで役に立たんぞ」
近衛達も全力で結界を張っていると勘違いしているのだろう。
そのセリフを聞いたマーニカ隊長は、
「ジン様、今回私は魔神と戦えるのを少し楽しみにしていたのですが、この調子ですと大したことがなさそうですね。近衛の方々が、がっかりしなければいいのですが・・・」
実は俺も同じことを思っていた。
「そうだね。もし近衛達が消化不足になった場合は<アルダ王国>で合同鍛練してあげてくれる?」
「承知しました」
そう、昨日までのあの異常な鍛錬。
ガジム隊長が作った魔道具のおかげで全員五体満足だが、確実に何度も命を散らせていた。
あの鍛錬を見た後だと、魔神サイドの正確な強さは分からないが、ちょっとかわいそうになって来るな。
今回の対戦は両手斧の魔獣と超遠距離攻撃型のラムだ。
ラムは既に武具である弓を手に持っており、ある程度魔獣とは距離を取った位置にいる。
魔獣は斧を打ち鳴らしラムに向かって行く。
当然何かしらのスキルを使っているのだろう、魔獣が分裂してラムに襲い掛かる。
対してラムは落ち着いた状況で、武具を一段解放させた。
銀色の弓は黄金に変色し、力を増大させているのが肌で解る。
当然ラムも武具の開放は三段階まで実施することができているが、小手調べと言った所か一段目しか開放していない。
流石に開放なしでは問題があるだろう。
武具の性能によらない基礎能力も大幅に上昇しているので、通常の<SS:聖級>の最上位クラスでも認識できないような速度で矢を放った。
放たれた矢は凡そ100本。魔獣の分裂数よりも多い数だ。
その矢が分裂し、いつの間にか付与されている魔法によって様々な効果を見せている。
貫通能力が大幅に上昇し且つ隠蔽される矢、炎や氷、風などの魔法が付与される矢等、俺の知らない技が増えている。
対して魔獣は流石神の力を持つ者で、全分裂体が斧を持ったまま高速回転を始めて防御態勢を取った。つまり彼女の攻撃が見えているという事だ。
しかし、見えている攻撃が必ず防げるわけではない。
各種魔法を付与された矢の内、氷の矢を受けた分裂体のみが致命傷を負って消滅した。
「なるほど、あなたの弱点は氷ですか。意外と脆いですね」
多種多様な付与を行っていたのは、相手に対して確実に致命傷を負わせることができる属性を判別する為だったようだ。
戦い方が洗練されている。
「フン、少々攻撃が効いたからと良い気になるなよ?」
魔獣は自らの体に纏うように斧から出る瘴気の量を増大した。氷の攻撃を受けた際の防御力を上げたのだろう。
ついでとばかりに斧を一閃すると、辺りにくすぶっていた炎や氷など、魔術を消し飛ばした。
いや、良く見ると消したというよりも瘴気で吸収したと言った所だ。
それを証明するかのように、若干魔獣の魔力が上昇した。
ラムを見ると、当然気が付いているようで警戒度合いを上げている。
「そこのエルフ、お前の攻撃は中々だが残念ながら俺には最早通じんな。お前により絶望を与えるために少々余興を考えた。さっきと同じ攻撃を俺にしてみるといい。俺は最早防御もしない」
そういって分裂体を戻した魔獣一匹は、斧を持ったままの両手を広げてラムを挑発する。
ラムはすかさず同様の攻撃をする。さりげなく氷系統の付与を多めにしているのは流石と言った所だ。
そしてそのすべての攻撃を受けた魔獣は、さっきの攻撃時とは異なり氷系統の付与でも一切のダメージを受けていなかった。
俺の考えでは、さっきの攻撃後に全ての魔法の残骸を吸収していた。つまりその時に耐性も得たのではないだろうか。
そうすると、この魔獣は学習される前に一気に滅する必要があるという事だ。
「どうだ見たか。お前のような軟弱な攻撃はこの俺には通用しない。おい、そこで待機しているこのエルフの仲間達よ、これから残虐ショーの始まりだ。楽しみにしているんだな。特に戦闘に参加しないとかほざいたそこのヘタレ男、このエルフはお前の物らしいな。蹂躙される様をそこで指をくわえてみておけ。ハハハハ・・・ふげぁ」
魔獣が情けない声を出して吹っ飛んで行き、はるか遠くの結界に当たって地面に落下した。
ラムが一瞬で近接して蹴りを放ったのだ。
あれ??ラムさん、あなた超遠距離攻撃型ではなかったっけ?
「それ以上汚い口をジン様に対して開くな!!」
ラムさんガチギレしているようだ。
ちょっと俺も怖い。こんなラムは初めて見るからだ。
「我が敬愛してやまないジン様に、お前は何を言った!!言うに事欠いてヘタレだと?初戦だけに少々様子を見ようと思ったが止めだ。貴様は万死に値する」
ブチ切れラムを見て驚いた俺は、他の同僚である近衛達を見るが、あのメンバーも魔獣の言葉に怒りを隠せなかったようで、
「ラム、あの魔獣は生きる価値はない。鍛錬場の的にすら分不相応だ。完膚なきまでに消滅させろ!!」
「足の先から徐々に消滅させて己が消えゆく恐怖を刻み込め!」
なんて恐ろしいことを言っている。
俺の近くにいる神獣達を見ると、彼女達も俺を侮辱したのが許せないようで青筋を立てながらの笑顔を見せていた。
あっ、あの魔獣確実に死んだな。
これは俺の<神の権能>の予知ではないが、何故か確信してしまった。
力を完全に馴染ませたであろう<SSS:神級>の魔獣を<SS:聖級>のラムが消滅させるのだ。
魔獣側もここまで言われて黙ってはいない。
「くっ、油断した。まさか近接戦闘ができるとはな。弓を使っておいて俺を油断させるとは小細工だけは得意だな。とすると、お前の言うあの男も大物ぶっているが大したことはないのだろう?」
何故か最後に俺の事もディスってきやがった。
「貴様~、まだ言うか!!!」
そう言ってラムは怒りのまま一気に第三解放まで行ってしまった。
彼女の体は黄金色に輝き、手に持っていた弓は消えている。
実は彼女の第二段階解放時には弓の大きさが変わり、その分劇的に攻撃力が上がるのだが、その二段階目の開放をすっ飛ばして怒りのまま第三解放まで行ってしまった。
ラムは指を軽く振ると、そこから有り得ない本数の黄金の矢が魔獣に着弾し、膝から下を消滅させた。
当然膝から下がない魔獣は地面に転がり、何が起こったかわかっていないようだ。
そして、若干の後痛みが襲ってきたのだろう。
「ぐぁ~、貴様~、エルフの分際でこの俺に魔神様の前で恥をかかせるとは・・・」
そう言いながら、斧から出てくる瘴気を膝下に集中し、膝下を復元して見せた。
やがて立ち上がると、視線だけで相手を殺す勢いでラムをにらみつけて斧による攻撃をしようとした。
しかし、ラムの攻撃はまだ終わっていなかった。
わざわざ膝下の修復を待った後で、同じように膝下を消滅させた。
これは、一回目の攻撃の矢を隠蔽した状態で待機させていたのだ。
と同時に、瘴気の発生源と思われる斧も完全に粉砕してしまった。
このレベルの攻撃では、魔獣も力を吸収することはできないらしい。
斧は黄金の矢に粉砕されて、光の粒子となり消え去った。
魔獣は地面に這いつくばった状態で唖然として斧が消えゆく様を見つめていたのだが、近接したラムに蹴り上げられ、更には踵落としの要領で再度地面にめり込まされた。
「ま、待ってくれ、俺はもう戦えない。この戦いが始まる前に降参すれば・・・」
魔獣は何か言っているが、今のラムはそんな事を聞く状態ではない。
「寝言は寝て言え!!お前はジン様に許しがたい暴言を吐いた。その罪をかみしめながら消滅すると良い」
ラムが地面にめり込んでいる魔獣を片手でつまみ上げて、上空に放った。
俺は再度思った。君は超遠距離攻撃型だよね???
そんな疑問を持っている中で、空中に投げ出された魔獣の体の端部が徐々に消滅して行っている。
既に視認できない速さでラムが矢を放っているのだ。
さりげなくマーニカ隊長が結界の強度を上げているのは、その矢が外部に漏れないようにしているのだろうか?
しかし、魔獣の方も瘴気が無くとも自動再生能力があるらしく、徐々にではあるが再生している。
ラムはそれをわかって、ゆっくりと消滅する絶妙な攻撃を放ち続けている。
「魔神様、お助けを!!」
ついに魔獣は魔神に助けを求め始めた。
魔神サイドから、何やら魔術が行使されたようだがマーニカの結界に阻まれて発動しなかったようだ。
成程、マーニカが結界強度を上げたのは、相手のサポートを防止する為だったのか。
そうして、わざと長い時間をかけて魔獣はついに消滅した。
これで、どこかの大陸の神の力も戻っただろう。
だが、ガジム隊長が鍛錬場の的として使えなくなった状態を知ると、がっかりするだろうな。
しかし、ラムの圧勝で初戦は終了した。
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