異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~

飛騨 栄治

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1章~冒険者として~

第1話 街へ、そして冒険者へと

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「ほんとに色んな人が並んでますねー」

あれから15分過ぎただろうか、現在ユウら3人は検問に並んでいた。

「そうですね。私たちのように、この街を本拠地にしている者や中継地に使う者などさまざまですからね~。」
(そういや俺はギルドカードとかを持ってないけど入れるのかな)

「あの、俺はギルドカードとか持ってないんですけど中に入れるんですかね?」
「ああ、そのことなら大丈夫だよ♪」
フィルが前に並んでいる商人たちの馬車を眺めながら言った。
「ギルドカードが無くても街に入る方法があるっちゃあるんだよ。」

並んでいるのがよほど退屈なのだろう貧乏揺すりをしていたレガンがこちらを向いて続けてきた。
「簡単に言うとな、ギルドカードを持ってなくてもカードを持っている人間の保証があれば入れるんだよ。まあ、それ以外にも金がかかったり軽い審査はあるんだがな」
(俺はそのお金さえも無いんですけど・・・)

「まあ、保証金に関してはレガンが払ってくれるでしょうから心配ありませんよ」
「おいっ!なんで俺が・・・」
「あなたさっき弟みたいなもんって言ってたじゃないですか。それくらい払うものでは?お金持ってるでしょ?」
「あーもう!分かったよ!払ってやるよ」
ハァーとため息を漏らしながらレガンが応えた。言い合いではフィルに分があるようだ。

「ちなみにお金ってどれくらいかかるんですか・・・?」
「ざっと1万G(ゴールド)くらいですね。金貨1枚です。」
(サラッと行ったけどけっこう大金じゃないか!これはレガンさんに大きな借りを作ってしまったな~)

「まあフィルも言ったが金のことはあんま気にすんな」
レガンが俺の肩を叩きながらそう言った
「それにお前のそのカバン売ればそこそこ値はつくと見た!その金で俺に返してくれや」
「はい!分かりま・・・」
「それにあの金が無いと娼館に行く予定が・・・」ボソッ
(この人は・・・)

「2人とも!もうすぐですよ」
フィルの言葉に前を見るとあと3組ほどだった。うち2組は冒険者であろう、知り合いだったらしくレガンが話しかけに行った。
あとの1つは馬車に乗っている商人のようであった。
(あれは何積んでんだろ?)
その時、一陣の風が吹き馬車の後ろの帆が少し浮き上がった。
(えっ・・・)
馬車の中に見えたのは檻と、その中で手足に枷をはめられている幾人かの男女であった。
年の頃はさまざまで、下は10歳くらいであろうか上は30代くらいのように見えた。
「フィルさん・・・あれって」
馬車を指指しながら問いかけるとこう答えた
「ああ... 奴隷を見るの初めてでしたね。
彼らの多くは、犯罪奴隷や戦争奴隷なんですよ
まあ、中には借金の末の口減らしなどもいるそうですがね。」

「ただやっかいなところがあってな・・・」
フィルに続いて冒険者のところから帰ってきたレガンが答えた。
「中には数の少ない獣人や、見た目の若いエルフ、ドワーフなどか違法に奴隷にされることがあるんだよ...
もちろんそいつらを手に入れるには金がかさむからな。貴族にとっては希少獣人の奴隷は1種のステータスでありエルフ、ドワーフは性奴隷にされることが多いんだ・・・」
(そんな内情があったのか...
フィルさんの知り合いとかは大丈夫なんだろうか…)

「さあさあ!2人とも、私たちの順番ですよ!」
先ほどまでの暗い話を打ち消すようにフィルが呼びかけてきた。
(わざわざ聞く必要は無い・・・か)

「「やあ、フィル、レガン。討伐の成果はどうだった?それとその子は?」」
一卵性双生児だろうか、瓜二つの顔をした男の兵士が同時に3人に質問をした。
(顔も質問も全く同じかよ!)

「お疲れさまですケイル、ケイン。討伐は無事成功しましたよ♪」
(どうやら右の門兵をケイル、左をケインというらしい。よく見分けつくなフィルさん・・・)
ただこの2人よく間違われるのでケインだけ右手に指輪をしているのだが初見では気づきようもないのだ。

「この子はユウ、森の中で見つけたんです。
どうやら記憶喪失のようで... 」
「なるほど、という事はギルドカードも持ってなかったのか?」
ケイルの質問にフィルが淡々と答えていく

「よし、では仮通行証を発行しよう。」
「お金はどうするんだ?1万Gも持ってるのかい?」
ケイルとケインがテンポよく質問を投げかけてくる
「あーそれは俺が払うよ」
「「へー、レガンがか」」
2人が嘲笑するような顔でレガンを眺めながら呟いた。
「でも、いいのかい?娼館にい・・・」
「いいから!早く通してくれ!」
(まるで漫才トリオだな...)

それから15分ほど


「よーやく終わりました」
検問所の中で書類作成を終え仮通行証を貰ったユウが気だるそうに街の中に入ってきた。
フィルとレガンは先に街に入りギルドに討伐報告をしに行っていた。

「よー、やっと終わったか」
「お疲れさまでした~」
2人が声を揃えて言う
そして、フィルがコホンッと小さな咳払いをして
「ようこそ!エルミントへ!!」


「そう、不貞腐れんなよフィル」
ハッハッハと笑いながらレガンがフィルの肩を叩いている。先ほどの挨拶をからかわれているのだ。
「そうですよ!フィルさん」
あの挨拶に上手く返せなかったことを悔いてのことであろうかユウも励ましていた。

現在一行は冒険者ギルドへと歩を進めていた。
ギルドと言ってもいくつかの種類から成り立ちそれらの人々が協力しあっているのだ。
大きなモノとしては【冒険者ギルド】、【魔法ギルド】、【商業ギルド】などがある。
これらの他にも非合法ではあるが【盗賊ギルド】、【暗殺ギルド】なるモノもある。

「そういえば、このカバンを売るのはどのギルドなんですか?冒険者?商業?」
こんな質問を2人にぶつけると答えたのは先程までむくれていたフィルであった。
「売るのは冒険者でいいんだよ。
商業の方は、お店を構えることになったりしたらだね。あとは、画期的な商品を作ったとか」
(なるほど、じゃあ恐らく縁のないギルドだな。シャンプーだのマヨネーズだのの作り方なんて知らないし)

「うーし、ここだここだ」
レガンの言葉に足を止める一同。彼らの前にあるのは2階建ての大きな建物だった。
「でかいんですね...」
「さあ、入ろうか!」
(フィルさんの方がテンション高い気が...)

「まず、1階には受付と討伐情報などが載っている掲示板、あとあっちは飲み屋だね。」
フィルが指差す方向には幾つかのテーブルとカウンター席があり、何人かの男が夕方にも関わらず既に酔い潰れていた。
「あと、奥には闘技場もある。そして、2階にはここのギルドマスター『ネイレス』の書斎があるんだ。」
「まっ、そんな話しはさて置きよ。早くギルドカード作っちまおうぜ。」

フィルはレガンに話を被せられたのを気にしているようであったが、小さく頷きフィルに受付の1番右の窓口に行くよう促した。

「いらっしゃいませ、今日はどのような御用ですか?」
金色の髪をした美人の受付嬢が尋ねてきた。
「やあ、ティナ。実は彼のギルドカードを作りたいんだ。あとギルドの説明を頼めるかな?」
ユウの後ろから現れたフィルが彼女に問いかけた。

「こんにちは、フィルさん。分かりました。
では、ユウさんこの水晶に手をかざして下さい。」
そう言いながら、ティナは金属でできたカードを机から取り出して同じように水晶にかざした。
やがて水晶とカードが淡い光を発し始めた。

「こちらが、あなたのギルドカードになります。このカードはあなたの証明書にもなるので決して無くさないでくださいね?」
ギルドカードの初回発行には金はかからない。
しかし、1度無くすと再発行には5千Gかかってしまう。

ステータス
   ___________________

名前 ユウ
職業 
レベル 1
ランク G

HP 78/78
MP 125/125
攻撃 67
防御 71
魔攻 65
魔防 68
スキル
魔法
加護
      ___________________ 

「なんだ、お前まだレベル1だったのかよ」
いつの間に来たのであろう、後ろで掲示板を見ていたはずのレガンが急に話しかけてきた。
「ステータスは、まあレベル1ならそんなもんか。職業もスキルも無し・・・か、お前これまで何やってたんだろうな」
レガンはユウの肩をバンバンと叩きながら笑いながらそう言った。

「まあまあ、スキルも職業も練習や実戦で身につきますから。それより、ティナ冒険者ギルドの説明を」
落ち着きなさいよ。と言わんばかりにフィルが仲介してきた。

「あっはい、まずランクにはS~Gまであり最初は皆さんGランクから始まり、依頼の成功数や内容に乗じて上がっていきます。」
「そして、もう一つ。討伐を受領する時は掲示板にある紙を窓口まで持ってきて下さい。それから・・・」

15分後

「以上です。なにかご質問はありますか?」
S~Gのランク、依頼受領の仕方、討伐完了の際はギルドカードに記録されるので証拠品はいらないこと、緊急討伐の際は可能な限り参加すること、ギルド内での暴力行為は最悪ギルドから抹消されること、etc...

「ありません。大丈夫です」
「では、ユウさんこれからの冒険者生活頑張って下さい!」
(これが登録の際の口上というのは分かるけど、やっぱ美人に言われると効くなあ)

「おい!早くそのカバン売っちまおうぜ!」
(誰かこの男をどうにかしてくれ・・・)



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