異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~

飛騨 栄治

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1章~冒険者として~

第2話 街の住人へ、1人前へと

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結局カバンの買取価格は7万Gになった
素材がよく分からないという点が減点、丈夫である点が評価されたらしい。

「さて、ユウくん。ひとまず、君の宿のことなんだけどココはどうかな?」
現在2人は冒険者ギルドの隣にある宿屋【レンメリの銀鳥亭】にいた。
ここは、初心者だけでなく多くの冒険者が泊まる宿である。良心的な値段に、宿屋の主人の人柄、そして料理の旨さが多くの人たちを引きつける要因なのだろう。

「そんな人気なのに空いてるんですかね?」
「たぶん大丈夫だと思うよ。実は最近この近くの鉱山でレストラという希少鉱石が見つかってね。みんな寝る間も惜しんでそっちに行ってるんだ」

まっ、入ってみようよ。というフィルさんの言葉に押され宿屋に入るとカランとドアベルが鳴った。
「おや、いらっしゃい。あらフィル久しぶりね。この子は?新しいパートナーかい?」
受付で新聞を読んでいた恰幅の良いおばさんが話しかけてきた。

「どうも、レニアさん。彼はユウ、新しく冒険者になった子で後輩ってかんじですかね。」
ちなみに、今レガンは待望の娼館に行っている。カバンが売れた後1万Gだけをひったくって颯爽と2人の目の前から消えたのだ。
(あの時のフィルさんとティナさんの顔といったら...)

「初めまして、ユウです。」
「あらあら、レガンと違って礼儀正しい子ね。私は、この宿の女将をやってるレニアだよ」
楽しそうに笑いながら女将レニアは言った。

「今、主人は買い物に出ててね。うちは、朝夕付きで1泊2700Gだよ。」
「じゃあ、ひとまず5泊お願いします。」
そう言ってユウは1万3500Gを置いた。
(そういえば風呂とトイレってどうするんだろ...)
「はい、まいどね。トイレは共用が1階にあるからそれを使っておくれ、身体を拭きたきゃ200Gで桶とタオルを部屋に持っていくよ。まあ、向かいに大衆浴場があるからそっちを使ってもいいけどね。」

風呂、トイレが各部屋に完備するには大量の金がいるため多くの宿屋ではココと同じ方式で営業している。しかし、大衆浴場は400Gとなるため初心者冒険者の多くは使うことはせず宿で簡単に済ませることが多い。

宿から出て、通りを歩いているとフィルが話しかけてきた

「さて、ユウくんの戦闘スタイルや魔法についてなんだけどね...」
多くの冒険者は、初依頼を受領する前にギルドが無償で行っているセミナーに出る。そこで、片手剣や両手剣、弓矢、簡単な格闘術、魔物の弱点や薬草について等あらゆる知識を詰め込む。

魔法は、多くの場合自主練習が基本となる。本屋や古書店で魔法書を買うのだ。魔法書には初級、中級、上級、特級とあり魔法の開発、研究を行うのが【魔法ギルド】なのだ。

「ということで、明後日から始まる冒険者セミナーに出てくるといいよ。ある程度は、そこで学べるからね。あとは僕たちと実戦を交えて教わってもらおうと考えてるんだ。」
(フィルさん・・・そこまで、考えてくれてたなんて...)

「そうそう、僕とレガンはこの通りの【マイルの酒友亭】って宿に泊まってるから何かあったらおいでね」
(名前的にレガンさんが選んだとしか思えない...)

「それと、明日のことなんだけどね。僕とレガンは、また討伐依頼を受ける予定なんだ。君は、この街に来たばかりだしゆっくり散策しておくといいよ」
(そういえば服持って無かったな。あと、新しいバッグとか...)

「服屋とか雑貨店がどこにあるか教えてもらえませんか?」
「ああ、そういえばその服しかないのか...
服屋は銀鳥亭を出て左に曲がって行くとあるよ。雑貨店はその横だね。」

こうして、ユウのエルミント、そして冒険者としての初めての日は過ぎていったのだ。

実はこの日、レガンが娼館である病気をもらってくるのだがそれはまた別の話・・・

翌日

「うぁーーあっ」
異世界に来て初めての一夜を過ごしたユウは、そんな声を出しながら伸びをしていた。
現在の時刻は7時40分。朝食は9時30分までなので今から支度しても十分まにあうだろう。

「そういえば顔とか服とかどこで洗うんだろ」
風呂、トイレは説明を受けたがこれに関してはさっぱり忘れていた。
「まっ、下で聞くか」
昨日は、疲れもあってか気がついたら寝ていたので服を着たままだった。
(早く服と下着買いに行かないと!)

階段を降りて食堂に向かうと、まだ数人の客が朝食を食べていた。厨房の奥を見ると初めて見る男性の姿があった。
(あれが昨日言ってたココのご主人かな?)などと考えていると

「あら、おはよう。朝食食べるかい?」
他の客の注文を聞き終えたレニアがユウに質問した。どうやら、朝食は基本的に決まっているメニューのようだ。ただし、野菜や果物が季節よって変わる。
「はい、お願いします。」
「あいよ!今日のメニューはベーコンにスクランブルエッグ、パンと季節のフルーツだよ」

モンスターの中には、食べることができる種類もいるらしくそれらの肉を持ってこれば追加で調理してくれるらしい。

「あー、美味しかったー」
主食のパンやベーコンはもちろん、フルーツも色鮮やかで見た目も中身も最高の1品であった。

「今日はどうする予定なんだい?」
食事を終え悦に浸っていると、レニアさんが話しかけてきた。朝食の時間が終わりちょうど手が空いてきたのであろう。

「今日は、服とバッグなどを買いに行こうと思ってます。昨日、フィルさんに場所を教えてもらったので」
「なるほどね。昼食なんかは簡単な弁当でよけりゃ450Gくらいで作るからね、必要だったら言ってちょうだい。」
そう言うと、レニアさんは厨房の方へと入っていった。
(ひとまず今日は、外で食べてみるか。どんなお店があるかよく知りたいし。)

外へ出ると昨日にもまして、様々な人種の人々を見ることができた。エルフにドワーフ、獣人などこれまでファンタジーの世界の住人として捉えてきた人たちが目の前を歩き話しているのだ。

通りには色々なお店があった。鍛冶屋に宿屋、武器屋と防具屋、奴隷商館といったものまで...
ユウにとってそれは、これまで目にしたことの無いモノばかりであった。

「まずは服屋かな、あとフィルさんの言ってた魔法バッグも買いたいし」
魔法バッグは、普通のものより出し入れに優れているらしい。値段にもよるのだが人よりもでかいものを入れることができる物もある。

40分後

「ありがとうございました!」
(今日の目標達成!)
服もバッグも無事買うことができた。
(昨日カバン売っておいてよかったな。じゃなきゃ何も買えなかったし...    
さて、それにしてもどうしようかな)

「いらっしゃいませー!こちらのお席へどうぞ!」
さんざん悩んだユウであったが、腹が鳴ったためとにかく昼食をとることにした。
お店は【ハルブ亭】という食事処だ。銀鳥亭を出る際にレニアがユウにオススメした店であった。

「えっと...このA定食ください」
今日のA定食は、ボアのステーキとパンにサラダの3品らしい。
(見たところ、これを食べてる人が多いしハズレはしないだろ)

「あれっ...ユウくん!ここにいたのか!」
定食を食べていると、なにやら聞き覚えのある声に顔を向けると、お店の入口でフィルが手を振っていた。横にはなぜだろうか少し暗い顔をしたレガンがいる。

「フィルさん依頼は終わったんですか?」
まだ昼にも関わらず街の中に2人がいることを不思議に思って質問した。
「ああ、実はレガンが体調が悪いと言ってね、今日はやめたんだ。」
レガンさんでも風邪を引くことあるんだろうか、と見ていると
「いや、なんか股間がさ... 昨日まではなんともなかったんだけど...」
と、レガンがブツブツ呟いていた。
(レガンさん・・・それってもしかして・・・)

「そっかそっか、色々買えて良かったね」
フィルがA定食を頬張りながら言った。
どうやら、この世界のエルフというのは肉を食べないなんて事はないそうだ。現にフィルさんは、ステーキをたいらげている。
その横のレガンは、まだブツブツと呟きながら少しずつ定食を食べている。

「ふー!美味しかったー」
口元をナプキンで拭くフィル、レガンはまだぼやいている。
「明日の冒険者セミナーは朝の9時かららしいから遅れないようにね。これ、注意事項とか書いてある紙もらっといたから使って」
フィルはカバンの中から1枚の紙切れを渡した。
紙には持ち物や、時間、予定表まで書かれていた。
(なんか思ったよりキチッと書かれてる...)

翌朝
午前8時30分
「うし!」
気合を入れて銀鳥亭の前に立っているユウの姿があった。
(あー緊張する、大丈夫かなー)

ギルドのの中に入ると既に多くの人がいた。年齢層はユウよりも若いものから同じ年くらいまでといったところか。

「諸君!!私はレイヴン、元Aランクの冒険者で君たちの教官だ。そしてら彼らはボランティアで君たちの教育係をしてくれる現役の冒険者たちだ。」
筋骨隆々とした男が受付の前に立っていた。その横には何人かの冒険者たち、中には銀鳥亭で見た人もいた。

教官になるには、一定の資格がいるらしい。冒険者として15年以上の経歴、またBランク以上であること。

そしてこれから、2週間の間セミナーが続く。
その間は、ボランティアの冒険者と共に依頼をこなし日銭を稼ぐことが主だ。
Gランクの冒険者は、討伐依頼を受けることができない。しかし、セミナー中にこなす依頼によって多くの冒険者は終了する際にはFかEに上がっているらしい。

さあ、1人前の冒険者へと
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