異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~

飛騨 栄治

文字の大きさ
9 / 30
2章~新都市へ~

第6話 迷宮都市ヴルテン

しおりを挟む


翌朝、警備兵詰所に行くと、ちょうど『シラネリア』の三人が来ていた。
報奨金を受け取ると、グリフが昼食の誘いをしてきた。

【ヤドリギ亭】
「君たちは迷宮の何階層まで?」
ヤドリギ亭名物の[ポルーガのシチュー〕を食べながらフィルが『シラネリア』のメンバーに質問をした。

「第5までだ。あそこから下がキツくてね」
グリフが肩をすくめながら答えた。

どうやら迷宮は、五階層毎に魔物の強さが格段と上がるらしい。
また、迷宮は十階層毎に《階層主》と呼ばれる物がいることも判明している。

迷宮最高到達点は52階層だそうだ。
冒険者はSランクとAランクのパーティだったそうだ。
その下層には何があり、そしてどんな魔物がいるかはまだ誰も知らない。

「そういえばなんですけど、」
食事をとり終え一服している全員に向かってユウが言った。
その場の全員に注目の眼差しを向けられ、少し照れくさそうに頭を掻きながら


「皆さんのランクとかレベルっていくつなんですか?」
個人的なことだと思い、若干躊躇いもしたが何時かは聞いておきたかったことだ。

「ああ、そういえばまだ話したこと無かったな。俺とフィルはCランクだ。まあ、今回の迷宮探索中にはBランクに上がれると思うがな!」

フィルの肩を抱き、鼻高々といったように笑いながらレガンが答えた。


「俺たちもCランクだ。こないだの盗賊討伐でDから上がったばかりだ。」

どうやら警備兵詰所でもギルドカードの更新をする事はでき、報奨金を受け取った際にランクが上がったことを確認していたそうだ。


「ならお前は、この中で一番のひよっ子ってことだな!」
いつの間に酒を飲んでいたのだろうか、顔を赤らめたレガンが、ユウの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫で回しながら偉そうな口ぶりで言った。

そんな様子を見てハァーとため息を漏らすフィル、死んだような目をしつつ助けを求めるユウの姿を見て『シラネリア』のメンバーたちが、戸惑いの姿を見せつつも笑い合う姿がそこにあった。


「さっきレガンが言ってたけど、ユウは最近冒険者になったのか?」

全員でレガンに大量の酒を飲ませ酔い潰した後、バゲルが思い出したように聞いた。その横ではグリフとアデリンが、腹を抱えながら笑い転げている。

ユウとフィルはそういえばという顔をして、エルミント近郊の森での出会いから今までについてを語った。

その後、『シラネリア』結成の経緯も聞くことになった。
どうやら彼らは【テロネル村】という小さな村で育った幼馴染みらしく、子どもの時に村を襲った魔物を討伐した冒険者に憧れこの職業を選んだそうだ。

共に、積もる話を語り明かしながらこの夜は更けていった・・・・・


________________

翌朝

「この街でのことなんだけどね」
三人で朝食を食べているとフィルがユウに質問を投げかけてきた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Cランク上位の者とEランク成り立てでは、その力量に大きな差がある。

もちろんゴブリン討伐程度ならば何ら問題は無い。しかし、ここは迷宮だ。

何が起こるか、どんなモンスターが出るかは誰にも分からない。
これは、ごく稀な例ではあるが低階層に突如十階層レベルが出る可能性がある。

そういった時に高ランク冒険者が低ランク冒険者の身代わりとなることがある。

そうならないため、低ランク冒険者は普通の討伐依頼にせよ迷宮探索にしろある程度は一人乃至は同ランク帯でのパーティを組むことがある。
そこで仲間との協力方法、脅威からの逃走方法を学ぶのだ。

もちろんこれには大きな危険が伴う、低ランクパーティの場合全滅する可能性があるというものだ。
しかし、それをくぐり抜けられなければその程度の冒険者とも言う。

それに、この方法なら高ランク冒険者に頼ることがないので素早く強くなるには最適だ。

死ぬ可能性と強くなる可能性この二つが寄り添うように相対しているのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「で、この二つの方法があるんだけどどうする?僕としてはできればいっし・・・・・・」

「俺は一人がいいと思う!」
フィルの言葉を遮りレガンが腕を組みながらこう言った。

「お前は優しすぎることがある。それでは、ユウも強くならんし俺たちも危険だ。」
レガンの中にも葛藤があるのだろう。一人では死ぬかもしれない、しかし一緒ならば自分かもしれない。

「俺は一人で行こうと思ってます。」
元からその考えではあった。いつまでも、頼っていてはいけないということも

「そうか・・・ 君が言うなら僕は反対しないよ・・・」
少し意気消沈気味のフィルが答えた。

それからしばらく経ってフィルとレガンは迷宮へと旅立っていった。


二人に対してユウは今日一日は都市探索、迷宮探索は明日にすることにした。

まずは、冒険者ギルドへと向かった。
さすが迷宮都市という名だけありギルドの大きさは、エルミントよりも遥かに大きなものだった。

受付では多くの冒険者たちが討伐や魔石の報酬を貰うため長蛇の列を作っていた。
その横には、《迷宮地図》と書かれた地図売り場がありそこにも何人かの冒険者がいた。

________________
《迷宮地図》
迷宮探索をした冒険者たちが作った地図。
物によって一階層すべての道が書いてある物、途中までしか書いてないものなどがある。

もちろん、途中書きの地図の方が安い。

しかし、これらの地図はあくまでギルドの利益目的のために販売されているものであり、地図を使っての探索は推奨されていない。

____________________


今日一日で色々な所を見ることができた。
西は鍛冶屋が多く、東は料理店、南は宿屋で北は武具防具が多い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さあ、いよいよ明日は迷宮探索だ

絶対にこんな所で死ぬつもりは無い

せっかく異世界へ来たのだ

最期の最後まで必ず生き抜いてみせる!


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル 異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった 孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます さあ、チートの時間だ

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

処理中です...