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「でも大半の人がおじちゃんの作ってくれたシール貼って走ってるんだよ、この町は。有力ヒントになりそうもないな」
「メタルなチャリを買った人間をリストアップして、順に当たっていったらアリバイのない奴が出てくるから、そいつらを修さんが見分ければ」
「刑事さんみたい。ぢみちだわ。だって何人いると思う? 自分でペイントした奴だっているだろうし、若者なんて顔隠していたらもはや見分けるのなんて不可能だよ。修平が能力を発揮しちゃうよーな美少女だったらともかくだけど」
そしたら犯人のことも庇いだてるだろうから、事件そのものが成立しなくなるだろけれど。
「なんか修平とは縁がなさそうって感じ。本読んでるわけ? そういう連中って。ましてや修平のどっぷりした文章を」
「読む奴だっているでしょ。本屋でバイトでもしてみようか。統計取ったらおもしろいかも。髪の色とかでグラフにしてさ」
「あんたの研究課題の話は、はいはい、とりあえずどっかに置いといてもらえる?」
「へぇーい。小野里ちゃんのお願いでありますれますれば」
ますますれば? なんだソレは。
「一説として先生の本は読んでいるんだとして考えてみようよ。若者だからこそストレートに作品作者が直結しちゃうんだ。でさ、先生のあれ読んでさ、全っ然わかんねぇんだよとか荒んだりするわけ」
「全っ然わかんねぇと言ったら、『週末学校』?」
「じゃなくてー『ブラックスコール』の方。だってあれさ、なんでハクヤがスイちゃんの手を離さなきゃなんなかったのかがさぁ。美学として不満なんだよね。オレなら離さんて、あんな時にさ」
「逆にそれが美学なんだって作者様は言ってた。私はわりと、わかるけど」
「それは小野里ちゃんが仁義派だから。あれは? 『竜王遊び』が番外編で鳴蔓が出てこなかったことに怒ったとか」
「『地鏡』のあとがきでちゃんと言っておいてるよ、それ。次はなっちゃんは出ないから、代わりにかずさんで我慢してって」
「代わりにならん」
「たけどもね」
徐々に徐々に話はズレに向かっている。こうして話してみると修平ってけっこ仕事してるんだ、と私なんか変なところで感心を覚えたりしているし。
「ほっといてるシリーズとかでも、文句の手紙も来てるけど、殺しちゃったら絶対に読めなくなっちゃうんだから、そんな人はやらないと思うわけよ」
「警告だったらするかもよ。書かないとこうだー! あ、ホラ、ミザリーみたいに」
むむむ。と、頭を抱えてしまう、文字通り。残ったうどんつゆに浮いてる油を、どーしてこんなに近くに見てんだ。
あれはフィクションだとわかっているけど、ないとは言えないように思うのだ。続きを読みたい。できるものなら作者に直接訴えたい。わかる気はする、彼女の気持ち。
しかしもし本当にそんな手段にでるんなら、その前にちまちまっと手紙で懇願してみたりはしないもんかな。手順を踏むなら、書いてください的ファンレター⇒書かないとひどいぞな脅迫文⇒脅迫的小包⇒物置に火を着けるなどの脅迫行為実行⇒本人への実害(途中多分に偏った例などあげてチャートにしてみました)。
まぁ修平は賛美ではない手紙の類いは全部抹殺しちゃってるから、来ていたとしても今更確認することはできないし、本人まるで覚えていないから聞いても無駄だしね。変な小包とか放火については、起こっていないと言えるけど。
「警告だとしたら、行動理由を言ってこないのって変。犯行声明を出さないと、せっかく動いたのがわかんないままになっちゃうでしょーに」
「出し損ねたんじゃないの? 切手代がなくてポストに入れられないとか、犯人だって事故にあっちゃって動けないとかね。最悪犯人は死んじゃってるなんてのはど? 初めからいない犯人を捜すミステリー♪ 題して不毛探偵。ばばーん」
そんな題名の本を普通の人は買うのか。それともアンチで売れ線沿ってる? むしろこれ。
「作家じゃなくて、探偵の方は? こっちの犯人像が気に入らないんなら、今度はそっちを追及してみたりしよーよ」
「探偵、なー」
って言葉を使っちゃうと、なんだかすごいことをしているみたいなんだけど。
「調査中なのはもちろん石塚さんのお手紙の話だけなんだよ。そんな情けないほどの失せ物探しで、まさか攻撃されたりしないと思う。探偵みたいなそんなことが関わっているんじゃなくて、作家としてでもなくてね、他にどっかで恨みをかってるとか誰でも良かった犯人とばったり出会った不幸なだけだとか考えた方がストレートじゃない?」
「人間なら誰でも恨みはかってもおかしくはないが、先生はそんな風に不幸に出会う人じゃない気がしない?」
「あー、まぁ、それはわかる。運は強いから、なんたって悪だから」
憎まれっ子世に憚る、みたいな感じ、かなり強い。運の強さが過剰な自信を生んでる気がする。
憚っているから攻撃された? ということか? だけど普通に考えて、ああして家で書いてる以外、町でのさばってるわけでもないし、地元の祭りやイベントには首突っ込むけれど、面倒な仕切りをするわけでなし。
それでも問題がもし起きているとしたら、
① 仕事係
② 異性係
③ 生活係
のポイント三つを考えなおすとしてぇ……。
いかん。早くも面倒くさくなってきた。私の好奇心て傍観系で、解決系では絶対ないから。
「メタルなチャリを買った人間をリストアップして、順に当たっていったらアリバイのない奴が出てくるから、そいつらを修さんが見分ければ」
「刑事さんみたい。ぢみちだわ。だって何人いると思う? 自分でペイントした奴だっているだろうし、若者なんて顔隠していたらもはや見分けるのなんて不可能だよ。修平が能力を発揮しちゃうよーな美少女だったらともかくだけど」
そしたら犯人のことも庇いだてるだろうから、事件そのものが成立しなくなるだろけれど。
「なんか修平とは縁がなさそうって感じ。本読んでるわけ? そういう連中って。ましてや修平のどっぷりした文章を」
「読む奴だっているでしょ。本屋でバイトでもしてみようか。統計取ったらおもしろいかも。髪の色とかでグラフにしてさ」
「あんたの研究課題の話は、はいはい、とりあえずどっかに置いといてもらえる?」
「へぇーい。小野里ちゃんのお願いでありますれますれば」
ますますれば? なんだソレは。
「一説として先生の本は読んでいるんだとして考えてみようよ。若者だからこそストレートに作品作者が直結しちゃうんだ。でさ、先生のあれ読んでさ、全っ然わかんねぇんだよとか荒んだりするわけ」
「全っ然わかんねぇと言ったら、『週末学校』?」
「じゃなくてー『ブラックスコール』の方。だってあれさ、なんでハクヤがスイちゃんの手を離さなきゃなんなかったのかがさぁ。美学として不満なんだよね。オレなら離さんて、あんな時にさ」
「逆にそれが美学なんだって作者様は言ってた。私はわりと、わかるけど」
「それは小野里ちゃんが仁義派だから。あれは? 『竜王遊び』が番外編で鳴蔓が出てこなかったことに怒ったとか」
「『地鏡』のあとがきでちゃんと言っておいてるよ、それ。次はなっちゃんは出ないから、代わりにかずさんで我慢してって」
「代わりにならん」
「たけどもね」
徐々に徐々に話はズレに向かっている。こうして話してみると修平ってけっこ仕事してるんだ、と私なんか変なところで感心を覚えたりしているし。
「ほっといてるシリーズとかでも、文句の手紙も来てるけど、殺しちゃったら絶対に読めなくなっちゃうんだから、そんな人はやらないと思うわけよ」
「警告だったらするかもよ。書かないとこうだー! あ、ホラ、ミザリーみたいに」
むむむ。と、頭を抱えてしまう、文字通り。残ったうどんつゆに浮いてる油を、どーしてこんなに近くに見てんだ。
あれはフィクションだとわかっているけど、ないとは言えないように思うのだ。続きを読みたい。できるものなら作者に直接訴えたい。わかる気はする、彼女の気持ち。
しかしもし本当にそんな手段にでるんなら、その前にちまちまっと手紙で懇願してみたりはしないもんかな。手順を踏むなら、書いてください的ファンレター⇒書かないとひどいぞな脅迫文⇒脅迫的小包⇒物置に火を着けるなどの脅迫行為実行⇒本人への実害(途中多分に偏った例などあげてチャートにしてみました)。
まぁ修平は賛美ではない手紙の類いは全部抹殺しちゃってるから、来ていたとしても今更確認することはできないし、本人まるで覚えていないから聞いても無駄だしね。変な小包とか放火については、起こっていないと言えるけど。
「警告だとしたら、行動理由を言ってこないのって変。犯行声明を出さないと、せっかく動いたのがわかんないままになっちゃうでしょーに」
「出し損ねたんじゃないの? 切手代がなくてポストに入れられないとか、犯人だって事故にあっちゃって動けないとかね。最悪犯人は死んじゃってるなんてのはど? 初めからいない犯人を捜すミステリー♪ 題して不毛探偵。ばばーん」
そんな題名の本を普通の人は買うのか。それともアンチで売れ線沿ってる? むしろこれ。
「作家じゃなくて、探偵の方は? こっちの犯人像が気に入らないんなら、今度はそっちを追及してみたりしよーよ」
「探偵、なー」
って言葉を使っちゃうと、なんだかすごいことをしているみたいなんだけど。
「調査中なのはもちろん石塚さんのお手紙の話だけなんだよ。そんな情けないほどの失せ物探しで、まさか攻撃されたりしないと思う。探偵みたいなそんなことが関わっているんじゃなくて、作家としてでもなくてね、他にどっかで恨みをかってるとか誰でも良かった犯人とばったり出会った不幸なだけだとか考えた方がストレートじゃない?」
「人間なら誰でも恨みはかってもおかしくはないが、先生はそんな風に不幸に出会う人じゃない気がしない?」
「あー、まぁ、それはわかる。運は強いから、なんたって悪だから」
憎まれっ子世に憚る、みたいな感じ、かなり強い。運の強さが過剰な自信を生んでる気がする。
憚っているから攻撃された? ということか? だけど普通に考えて、ああして家で書いてる以外、町でのさばってるわけでもないし、地元の祭りやイベントには首突っ込むけれど、面倒な仕切りをするわけでなし。
それでも問題がもし起きているとしたら、
① 仕事係
② 異性係
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