25 / 30
お黙りなさい
しおりを挟む
ディアナがじりっと思わず後ずさりすると、傍で様子を見ていたジェミナイがすかさず扉を閉めて、逃げ道を塞いだ。
――――貴方、なんて余計な事を……!
怒りの声を上げたディアナが扉の前で固まっている間に、ルベウスは足早にやって来て、前に屈んだ。
「私に抱かれにきたのだろう?」
『変な事を言わないでちょうだい! アンバルのせいで寒気がしたから温まりたいわ……なんて、絶対に思っていないわ!』
にこやかだったルベウスの顔が急転直下、一気に強張った。大きな手を差し伸べて、ディアナに急かしてくる。
「……大丈夫だ。怖がらなくていい」
『違うったら!』
気恥ずかしくて仕方がないディアナだが、ネコ語は通じないか、と項垂れる。しかも、やはりルベウスの手の誘惑は抗いがたく、気付けば彼に抱き上げられて、腕の中にいた。
「私がいるからな」
穏やかな声と共に頭を撫でられて、ディアナはついうっかり浸ってしまう。野良猫が部屋にいる大勢の貴族達に怯えないかと、心配してくれたのだろう。
『貴方……本当に……好きよね……』
――――猫が。
ディアナの呟きに、ルベウスは軽く目を見張り、そして微笑んだ。
「……あぁ。そうだな……」
ディアナが自分を頼ってきてくれたことが、嬉しい。腕の中で大人しく抱きしめられてくれている彼女が、愛おしい。ルベウスは優しい眼差しを彼女へ向けていたが。
貴族達は軒並み顔の色を変えていた。
なぜなら、彼女への慈しみの想いを抱えると同時に、彼はアンバルへの敵意を膨れ上がらせている。顔にも態度にも一切出そうとはしなかったが、底知れぬ覇気が部屋の温度を確実に下げていた。
幸か不幸か、ルベウスの腕の温もりに包まれているディアナは、全く感知できていない。
ルベウスを大人しい男と甘く見て、再婚話を持ち掛け続けていた貴族たちは、彼の本性を垣間見て言葉を失っていた。無論、さらに迫ろうなどという勇者などいない。
真っ青になった彼らが押し黙ると、ルベウスはじろりと一瞥し、
「では、話はこれで終わりだ」
と一蹴し、ディアナを連れて部屋を後にした。
ルベウスに連れられて廊下へと出たディアナは、一つ大きく息を吐く。
部屋を出たら、なんだか気が楽だ。
貴族たちの目がなくなったせいなのか、それともこれ以上彼の再婚話を聞かずにすむからなのか。ルベウスの後に続いたジェミナイも、猫好きらしく穏やかな態度のまま大人しく随伴していて、場の空気は穏やかだ。
そんな事を考えていたディアナは、ルベウスが貴族達を怯えさせた気配を消したせいだということには気づかない。なにしろ、彼は彼女が腕の中に止まってくれているので、ご機嫌だったからだ。
ルベウスは彼女と結婚しても、指一本たりとも触れることはなかった。
次代を育むことは王族の責務だ。結婚した以上は寝室を共にしなければならないという責任感はあったが、当初から寝室を分けられたからだ。夫として軽視されているという屈辱感をおぼえながらも、なんとしても触れようとも思わなかった。
彼女の本当の姿を知るまでは。
痩せ衰え、死に瀕した本来の姿も。猫になり、非力な姿になっても。
ディアナの心は変わらない。あまりに愛おしかった。
ずっと触れていたい。自分が守ってやりたい。
そんな思いを女性に抱いたことは初めてで、ルベウスは自分の心が彼女に囚われたことを自覚している。
ルベウスは中庭へと続く渡り廊下で足を止めた。猫になった彼女を見つけた、思い入れのある場所だ。庭へと進むと、腕の中の彼女の呟きが聞こえる。
『なに? また庭をふらふらする気? 貴方、変わった趣味があったのねぇ。知らなかったわ』
「私の事がもっと知りたいか?」
『……そうね。いろいろと……予想外だったわ』
「私もだ。貴女の事を……もっと教えてほしい」
『いやよ。恥ずかしいわ』
王と王配という関係でいた頃や、短い結婚生活では知りえなかった彼の意外な姿が、気にならないといえば嘘になる。彼がどう思っているのか、何を考えているのか、知りたい。
そんな事を考えながら答えた時、ディアナは固まった。
――――おかしいわ。私たち、会話をしていないかしら……?
目を真ん丸にして見上げてみれば、ルベウスは柔らかな笑顔を向けてきた。人間じゃなくてよかったと、ディアナは思った。恐らく今、確実に、自分が真っ赤になっている自信がある。
『猫……だからよね?』
「なんのことだ? 教えてくれ」
『…………』
嫌な予感がして黙り込むと、ルベウスは足を止めて、真顔で問いかけた。
「ディアナ」
猫になんて名前をつけているのだ、とディアナは現実逃避を兼ねて思ってみた。だが、彼はどこをどう見ても、本気である。まさか、自分が猫になった事に気づいていたのか。
いつ、どこで、なぜ。どうやって言葉を解しているのだ。
混乱に拍車をかけたのは、息せき切って魔術師達や重臣たちが駆け付けてきたからだ。飛び出していった彼女を心配して、追いかけてきたのだ。
「あっ、ディアナ様! こちらにいらっしゃいましたか!」
「ディアナ様! そろそろお戻りを!」
『黙らっしゃい!』
余計な事を、ルベウスの前で言うんじゃない。
彼らを睨みつけたディアナは悲鳴交じりの声をあげるが、全員が構わず自分の名を連呼する。半泣きになってルベウスを見上げれば、彼は頷いて見せた。
『嘘でしょう……』
頭が真っ白になる。つまり、彼には自分が猫になって、色々と好き放題やったり、言ったりしていたことが、全部知られていたということか。
恥ずかしい。情けない。
自分の心のうちをさらけ出した事なんて、なかったのに。
大混乱に陥ったディアナは、ルベウスの腕の中で暴れ、彼の腕の中から飛び降りた。彼の制止の声もきかず、そのまま庭を全速力で駆ける。
「待ってくれ、ディアナ!」
『私は野良ネコよ!』
「誰がそんなものにするか!」
怒りを孕んだ声に、ディアナは走りながら振り向いてみれば、凄まじい速度でルベウスが駆けてくる。魔術師たちも顔面蒼白になりながら追ってきていたが、軒並み置き去りである。
ルベウスはどうやら足も速かったらしい。
『それも知らなかったわ……』
思わずつぶやいた時、ふと前の方から鳥の羽音がした。
『ん……?』
「ディアナ、逃げろ!」
ルベウスの叫び声が響く。ディアナが再び前を向いた時、視界に飛び込んできたのは、鋭い爪だった。小さな猫の身体の倍以上はある大きな鷹は、容赦なくディアナの身体を捕らえた。
両足の爪で身体をがっしりと掴み抑えると、すぐさま上空へと飛び上がる。
「ぎにゃあああ!」
猫の悲鳴が響き渡ったが、一気に高度を上げた鷹に、ルベウスも手が届かない。悠然と飛び去って行く鷹を睨みつけ必死で追ったが、やがて建物の壁に阻まれてしまった。
一方、上空で鷹が羽ばたくたびに揺さぶられるディアナは、生きた心地がしない。暴れてうっかり落とされても困るから大人しくしたが、それにしても恐ろしい。
――――死ぬ。今度こそ、私は死ぬわ……。でも、墜落死はちょっと嫌! 周りの人が困るじゃない!
――――貴方、なんて余計な事を……!
怒りの声を上げたディアナが扉の前で固まっている間に、ルベウスは足早にやって来て、前に屈んだ。
「私に抱かれにきたのだろう?」
『変な事を言わないでちょうだい! アンバルのせいで寒気がしたから温まりたいわ……なんて、絶対に思っていないわ!』
にこやかだったルベウスの顔が急転直下、一気に強張った。大きな手を差し伸べて、ディアナに急かしてくる。
「……大丈夫だ。怖がらなくていい」
『違うったら!』
気恥ずかしくて仕方がないディアナだが、ネコ語は通じないか、と項垂れる。しかも、やはりルベウスの手の誘惑は抗いがたく、気付けば彼に抱き上げられて、腕の中にいた。
「私がいるからな」
穏やかな声と共に頭を撫でられて、ディアナはついうっかり浸ってしまう。野良猫が部屋にいる大勢の貴族達に怯えないかと、心配してくれたのだろう。
『貴方……本当に……好きよね……』
――――猫が。
ディアナの呟きに、ルベウスは軽く目を見張り、そして微笑んだ。
「……あぁ。そうだな……」
ディアナが自分を頼ってきてくれたことが、嬉しい。腕の中で大人しく抱きしめられてくれている彼女が、愛おしい。ルベウスは優しい眼差しを彼女へ向けていたが。
貴族達は軒並み顔の色を変えていた。
なぜなら、彼女への慈しみの想いを抱えると同時に、彼はアンバルへの敵意を膨れ上がらせている。顔にも態度にも一切出そうとはしなかったが、底知れぬ覇気が部屋の温度を確実に下げていた。
幸か不幸か、ルベウスの腕の温もりに包まれているディアナは、全く感知できていない。
ルベウスを大人しい男と甘く見て、再婚話を持ち掛け続けていた貴族たちは、彼の本性を垣間見て言葉を失っていた。無論、さらに迫ろうなどという勇者などいない。
真っ青になった彼らが押し黙ると、ルベウスはじろりと一瞥し、
「では、話はこれで終わりだ」
と一蹴し、ディアナを連れて部屋を後にした。
ルベウスに連れられて廊下へと出たディアナは、一つ大きく息を吐く。
部屋を出たら、なんだか気が楽だ。
貴族たちの目がなくなったせいなのか、それともこれ以上彼の再婚話を聞かずにすむからなのか。ルベウスの後に続いたジェミナイも、猫好きらしく穏やかな態度のまま大人しく随伴していて、場の空気は穏やかだ。
そんな事を考えていたディアナは、ルベウスが貴族達を怯えさせた気配を消したせいだということには気づかない。なにしろ、彼は彼女が腕の中に止まってくれているので、ご機嫌だったからだ。
ルベウスは彼女と結婚しても、指一本たりとも触れることはなかった。
次代を育むことは王族の責務だ。結婚した以上は寝室を共にしなければならないという責任感はあったが、当初から寝室を分けられたからだ。夫として軽視されているという屈辱感をおぼえながらも、なんとしても触れようとも思わなかった。
彼女の本当の姿を知るまでは。
痩せ衰え、死に瀕した本来の姿も。猫になり、非力な姿になっても。
ディアナの心は変わらない。あまりに愛おしかった。
ずっと触れていたい。自分が守ってやりたい。
そんな思いを女性に抱いたことは初めてで、ルベウスは自分の心が彼女に囚われたことを自覚している。
ルベウスは中庭へと続く渡り廊下で足を止めた。猫になった彼女を見つけた、思い入れのある場所だ。庭へと進むと、腕の中の彼女の呟きが聞こえる。
『なに? また庭をふらふらする気? 貴方、変わった趣味があったのねぇ。知らなかったわ』
「私の事がもっと知りたいか?」
『……そうね。いろいろと……予想外だったわ』
「私もだ。貴女の事を……もっと教えてほしい」
『いやよ。恥ずかしいわ』
王と王配という関係でいた頃や、短い結婚生活では知りえなかった彼の意外な姿が、気にならないといえば嘘になる。彼がどう思っているのか、何を考えているのか、知りたい。
そんな事を考えながら答えた時、ディアナは固まった。
――――おかしいわ。私たち、会話をしていないかしら……?
目を真ん丸にして見上げてみれば、ルベウスは柔らかな笑顔を向けてきた。人間じゃなくてよかったと、ディアナは思った。恐らく今、確実に、自分が真っ赤になっている自信がある。
『猫……だからよね?』
「なんのことだ? 教えてくれ」
『…………』
嫌な予感がして黙り込むと、ルベウスは足を止めて、真顔で問いかけた。
「ディアナ」
猫になんて名前をつけているのだ、とディアナは現実逃避を兼ねて思ってみた。だが、彼はどこをどう見ても、本気である。まさか、自分が猫になった事に気づいていたのか。
いつ、どこで、なぜ。どうやって言葉を解しているのだ。
混乱に拍車をかけたのは、息せき切って魔術師達や重臣たちが駆け付けてきたからだ。飛び出していった彼女を心配して、追いかけてきたのだ。
「あっ、ディアナ様! こちらにいらっしゃいましたか!」
「ディアナ様! そろそろお戻りを!」
『黙らっしゃい!』
余計な事を、ルベウスの前で言うんじゃない。
彼らを睨みつけたディアナは悲鳴交じりの声をあげるが、全員が構わず自分の名を連呼する。半泣きになってルベウスを見上げれば、彼は頷いて見せた。
『嘘でしょう……』
頭が真っ白になる。つまり、彼には自分が猫になって、色々と好き放題やったり、言ったりしていたことが、全部知られていたということか。
恥ずかしい。情けない。
自分の心のうちをさらけ出した事なんて、なかったのに。
大混乱に陥ったディアナは、ルベウスの腕の中で暴れ、彼の腕の中から飛び降りた。彼の制止の声もきかず、そのまま庭を全速力で駆ける。
「待ってくれ、ディアナ!」
『私は野良ネコよ!』
「誰がそんなものにするか!」
怒りを孕んだ声に、ディアナは走りながら振り向いてみれば、凄まじい速度でルベウスが駆けてくる。魔術師たちも顔面蒼白になりながら追ってきていたが、軒並み置き去りである。
ルベウスはどうやら足も速かったらしい。
『それも知らなかったわ……』
思わずつぶやいた時、ふと前の方から鳥の羽音がした。
『ん……?』
「ディアナ、逃げろ!」
ルベウスの叫び声が響く。ディアナが再び前を向いた時、視界に飛び込んできたのは、鋭い爪だった。小さな猫の身体の倍以上はある大きな鷹は、容赦なくディアナの身体を捕らえた。
両足の爪で身体をがっしりと掴み抑えると、すぐさま上空へと飛び上がる。
「ぎにゃあああ!」
猫の悲鳴が響き渡ったが、一気に高度を上げた鷹に、ルベウスも手が届かない。悠然と飛び去って行く鷹を睨みつけ必死で追ったが、やがて建物の壁に阻まれてしまった。
一方、上空で鷹が羽ばたくたびに揺さぶられるディアナは、生きた心地がしない。暴れてうっかり落とされても困るから大人しくしたが、それにしても恐ろしい。
――――死ぬ。今度こそ、私は死ぬわ……。でも、墜落死はちょっと嫌! 周りの人が困るじゃない!
170
あなたにおすすめの小説
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること
大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。
それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。
幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。
誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。
貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか?
前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。
※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる