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兄の置き土産
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ルーカスは腹が減ったからという理由で突然、早朝からロディネの家に押しかけてきて、ロディネは寝ぼけ眼をこすりながら朝食を作らされた。
それはまだいい。兄に迷惑をかけられるのは、日常茶飯事だったから、今さらである。
それに、アルベルトがいつ来ても良いように、例のブツは大きな箱にしまって、クローゼットの奥の方へと入れてあったから、兄の目も気にする必要はなかった。
問題はルーカスが帰った後に気づいた、彼の置き土産の方である。部屋の片隅にあった黒い鞄には、わざわざご丁寧に『ロディネへ』と張り紙までしてあった。
いったい何なのだと困惑しつつ、中にあった物を取り出してみて、ロディネはもう居た堪れなくなった。どれも新品らしき物であったので、わざわざ兄が買い求めてきたのは間違いない。しかも中に入っていたのは、全ていわゆる《大人の玩具》と言われる代物だ。
大きなお世話である。
今すぐ叩き返してやりたかったが、兄は帰ってしまっているし、家に押しかける勇気などない。また何人目か分からない兄の恋人に鉢合わせる可能性も無きにしもあらずだったし、もしも途中でアルベルトに会ってしまったら、目も当てられない。
大きな鞄を訝しがられて、中を開けざるをえなくなったら、どうなるか。考えただけでも恐ろしい。
無論、ロディネも成人を迎えた、いっぱしの女である。更に言うならば、際どい描写のある漫画を愛読し、その中の端役に入れ込むくらいで、もちろん興味はある。
ただ、現実世界で恋人ができたのも初めてなら、手を繋いだのもアルベルトが初めてである。だから、何をどうしたらそうなっていくのか、まだよく分からずにいる。
――――私に色気が足りないのかしら⋯⋯?
ロディネはそんなことを考えて、つい真剣な顔で、兄の置き土産をまじまじと見てしまった。知識として、こういう物があるという事はもちろん知っていたが、実物を見るのは初めてである。
誰も見ていないということもあって、ロディネは説明書きを読んでしまったものだから、呼び鈴が鳴った瞬間、飛び上がった。
別に何も悪い事はしていないのだがうろたえて、机の上に散乱している物の上に、手近にあったひざ掛けをかけて覆い隠すが、全部は隠しきれない。
そうしている間にも、もう一度呼び鈴が鳴って、ロディネは立ち上がり、時計を見て頭を抱えたくなった。今日は一日、朝からアルベルトと遊びに出かける予定だったからだ。
「ど、どうしよう⋯⋯」
部屋の中で右往左往したが、アルベルトを長く待たせるわけにはいかないと、居間を出て、短い廊下を駆けて玄関で扉を開く。
「おはよう⋯⋯すまん、早かったか?」
気遣うような視線を向けてきたアルベルトに、ロディネは慌てて首を横に振る。時間ピッタリである。むしろ、まだ部屋着のままでいる自分の方が悪いのだ。朝ごはんこそ兄と一緒に済ませたが、化粧もまだなら、髪も乱れたままだ。
「いいえ、私の方が、こんな格好のままでごめんなさい。あの、朝からちょっとバタバタしていて⋯⋯い、今着替えます!」
「気にするな。ゆっくりでいいぞ」
アルベルトは微笑んで、相変わらずロディネを急かさない。「腹減った、早くしろよー」と朝から大合唱した男にイライラしたばかりであったロディネは、アルベルトの寛大さが―――もう。
「ま、眩しいです⋯⋯」
兄は彼の爪の垢を煎じて飲めばいい。
「ん⋯⋯?」
当然ながら、アルベルトは訳が分からない。怪訝そうにしていたが、振り返って朝日が差し込んできているのをみて、それだろうと解釈した。
「やっぱり度が合わないんだな。目も疲れるだろう」
酔っぱらって街路樹に激突したせいで、元々使っていた眼鏡はもう歪んでしまって使用を諦めた。今は予備の古い眼鏡を使っていたが、前よりも目が悪くなっているせいか苦戦していた。今日は彼と一緒に新しい眼鏡をとりに行くことにもなっていた。
「え、ええ⋯⋯そうですね。あの、中で――――⋯⋯」
と、ロディネは促しかけて、硬直した。
こんなにも優しく誠実な男に、しかも朝に、見られたら間違いなく困るモノが今まさに机の上にある。ひざ掛けを取られたら終わりである。
「ロディネ?」
「――――ここで、ちょっと待っていてもらえますか⁉」
「あ、ああ⋯⋯分かった」
ロディネの気迫に目を丸くしつつ、アルベルトは頷き、急いで中に入っていく彼女を見送ると、立ったまま壁に寄り掛かり、小さくため息をついた。
――――まだ、だめか。
アルベルトは、ロディネに弱点が多いのを理解している。
他人の視線を遮ってやるくらい、別にかまわなかった。古い眼鏡があわなくて転びそうになっていた時もあったから、足場が悪い時などは特に気をつけて見てやることも苦ではない。
ただ、ロディネは中々、アルベルトに慣れない。
一緒にいて楽しそうにしてくれているのは感じているし、どんな時も素直だ。だが、手を繋いだだけで緊張した様子で手汗をかいて、歩き方がぎこちなくなった。
無論、前の恋人と別れたばかりである。しかも、一時間も泣くくらい入れ込んでいたから、完全に割り切るのに時間もかかるだろう。彼女に猶予を与えなかったのは自分であるから、けして急かすまいと思いつつも、男としての欲望を押さえるのに苦労しているのも事実だった。
以前、仕事の疲労がたまっていた所に雨という事も重なって、彼女の部屋に入り、ベッドを借りた事もあったが、仄かにロディネの香りがして押さえていた感情が触発された。
疲れの方が勝り、そのまま寝入ったが、それだって他人の部屋に入る事も躊躇していた今までのアルベルトであればありえない事態である。
心配して様子を見に来た彼女を、よくベッドに引きずり込まなかったものだとも思う。
間違いなく泣かれるだろうと思って手が止まったのが、幸いである。
ただ、相変わらずロディネは自分が部屋に入る時、特に緊張した様子を見せる。今日など、中に入られたくもないと言わんばかりだった。外ならばともかく、完全に二人きりになるのが、まだ怖いのかもしれない。
「⋯⋯もう少し、待つか」
アルベルトは自戒も込めてそう呟いたが、次いで出てきたのは更に深いため息である。
こんなにも理性を試される事になるとは、思ってもいなかった。
それはまだいい。兄に迷惑をかけられるのは、日常茶飯事だったから、今さらである。
それに、アルベルトがいつ来ても良いように、例のブツは大きな箱にしまって、クローゼットの奥の方へと入れてあったから、兄の目も気にする必要はなかった。
問題はルーカスが帰った後に気づいた、彼の置き土産の方である。部屋の片隅にあった黒い鞄には、わざわざご丁寧に『ロディネへ』と張り紙までしてあった。
いったい何なのだと困惑しつつ、中にあった物を取り出してみて、ロディネはもう居た堪れなくなった。どれも新品らしき物であったので、わざわざ兄が買い求めてきたのは間違いない。しかも中に入っていたのは、全ていわゆる《大人の玩具》と言われる代物だ。
大きなお世話である。
今すぐ叩き返してやりたかったが、兄は帰ってしまっているし、家に押しかける勇気などない。また何人目か分からない兄の恋人に鉢合わせる可能性も無きにしもあらずだったし、もしも途中でアルベルトに会ってしまったら、目も当てられない。
大きな鞄を訝しがられて、中を開けざるをえなくなったら、どうなるか。考えただけでも恐ろしい。
無論、ロディネも成人を迎えた、いっぱしの女である。更に言うならば、際どい描写のある漫画を愛読し、その中の端役に入れ込むくらいで、もちろん興味はある。
ただ、現実世界で恋人ができたのも初めてなら、手を繋いだのもアルベルトが初めてである。だから、何をどうしたらそうなっていくのか、まだよく分からずにいる。
――――私に色気が足りないのかしら⋯⋯?
ロディネはそんなことを考えて、つい真剣な顔で、兄の置き土産をまじまじと見てしまった。知識として、こういう物があるという事はもちろん知っていたが、実物を見るのは初めてである。
誰も見ていないということもあって、ロディネは説明書きを読んでしまったものだから、呼び鈴が鳴った瞬間、飛び上がった。
別に何も悪い事はしていないのだがうろたえて、机の上に散乱している物の上に、手近にあったひざ掛けをかけて覆い隠すが、全部は隠しきれない。
そうしている間にも、もう一度呼び鈴が鳴って、ロディネは立ち上がり、時計を見て頭を抱えたくなった。今日は一日、朝からアルベルトと遊びに出かける予定だったからだ。
「ど、どうしよう⋯⋯」
部屋の中で右往左往したが、アルベルトを長く待たせるわけにはいかないと、居間を出て、短い廊下を駆けて玄関で扉を開く。
「おはよう⋯⋯すまん、早かったか?」
気遣うような視線を向けてきたアルベルトに、ロディネは慌てて首を横に振る。時間ピッタリである。むしろ、まだ部屋着のままでいる自分の方が悪いのだ。朝ごはんこそ兄と一緒に済ませたが、化粧もまだなら、髪も乱れたままだ。
「いいえ、私の方が、こんな格好のままでごめんなさい。あの、朝からちょっとバタバタしていて⋯⋯い、今着替えます!」
「気にするな。ゆっくりでいいぞ」
アルベルトは微笑んで、相変わらずロディネを急かさない。「腹減った、早くしろよー」と朝から大合唱した男にイライラしたばかりであったロディネは、アルベルトの寛大さが―――もう。
「ま、眩しいです⋯⋯」
兄は彼の爪の垢を煎じて飲めばいい。
「ん⋯⋯?」
当然ながら、アルベルトは訳が分からない。怪訝そうにしていたが、振り返って朝日が差し込んできているのをみて、それだろうと解釈した。
「やっぱり度が合わないんだな。目も疲れるだろう」
酔っぱらって街路樹に激突したせいで、元々使っていた眼鏡はもう歪んでしまって使用を諦めた。今は予備の古い眼鏡を使っていたが、前よりも目が悪くなっているせいか苦戦していた。今日は彼と一緒に新しい眼鏡をとりに行くことにもなっていた。
「え、ええ⋯⋯そうですね。あの、中で――――⋯⋯」
と、ロディネは促しかけて、硬直した。
こんなにも優しく誠実な男に、しかも朝に、見られたら間違いなく困るモノが今まさに机の上にある。ひざ掛けを取られたら終わりである。
「ロディネ?」
「――――ここで、ちょっと待っていてもらえますか⁉」
「あ、ああ⋯⋯分かった」
ロディネの気迫に目を丸くしつつ、アルベルトは頷き、急いで中に入っていく彼女を見送ると、立ったまま壁に寄り掛かり、小さくため息をついた。
――――まだ、だめか。
アルベルトは、ロディネに弱点が多いのを理解している。
他人の視線を遮ってやるくらい、別にかまわなかった。古い眼鏡があわなくて転びそうになっていた時もあったから、足場が悪い時などは特に気をつけて見てやることも苦ではない。
ただ、ロディネは中々、アルベルトに慣れない。
一緒にいて楽しそうにしてくれているのは感じているし、どんな時も素直だ。だが、手を繋いだだけで緊張した様子で手汗をかいて、歩き方がぎこちなくなった。
無論、前の恋人と別れたばかりである。しかも、一時間も泣くくらい入れ込んでいたから、完全に割り切るのに時間もかかるだろう。彼女に猶予を与えなかったのは自分であるから、けして急かすまいと思いつつも、男としての欲望を押さえるのに苦労しているのも事実だった。
以前、仕事の疲労がたまっていた所に雨という事も重なって、彼女の部屋に入り、ベッドを借りた事もあったが、仄かにロディネの香りがして押さえていた感情が触発された。
疲れの方が勝り、そのまま寝入ったが、それだって他人の部屋に入る事も躊躇していた今までのアルベルトであればありえない事態である。
心配して様子を見に来た彼女を、よくベッドに引きずり込まなかったものだとも思う。
間違いなく泣かれるだろうと思って手が止まったのが、幸いである。
ただ、相変わらずロディネは自分が部屋に入る時、特に緊張した様子を見せる。今日など、中に入られたくもないと言わんばかりだった。外ならばともかく、完全に二人きりになるのが、まだ怖いのかもしれない。
「⋯⋯もう少し、待つか」
アルベルトは自戒も込めてそう呟いたが、次いで出てきたのは更に深いため息である。
こんなにも理性を試される事になるとは、思ってもいなかった。
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