21 / 174
ロカール日常シリーズ ▶️50話
【Fバード討伐】#5 一緒に居られる条件があるなら教えて欲しい
しおりを挟む
「…セリ?いつまでも、そんな顔してんなって。」
「…」
(…そんな顔。…どんな顔、してるんだろう…?)
灯りの乏しい街中を、ルキと二人並んで歩く。思い出すのは、さっきの、空気読まない俺様剣士の発言。
(ルキが、満足してない、とか、そんなの…)
言わないで欲しい。思い出させないで欲しい。
揺らさないでよ、私の世界を─
「セリ?あいつらの言ってたこと、気にしてんのか?」
「…」
「まさかとは思うけど、俺がお前らじゃなくてあいつら選ぶとか、んなこと思ってねぇよな?」
「…ルキは…」
でも、だって、ルキは─
脳裏に浮かぶのは、昔の、まだ、彼が前のパーティに居た頃の姿。今と同じ優しさを持って、でも、もっと、研ぎ澄まされた刃物みたいな鋭さを持っていたルキ。
ルキは、この町のトップランカー『暁星』の一員だった─
(…それが、パーティを抜けたって聞いて、私が浮かれて「一緒に組んでみたい」なんて、言ったから。)
それを本気で受け取った兄と、空気が読めなかった自分のせいで、なし崩し的にルキとパーティを組めることになった。
(…ルキは、それでも「良い」って、言ってくれたけど。)
日頃は忘れていられる事実を無神経剣士にほじくり返されて、焦燥が募る。
(ルキが、…もし、ルキがもっと強くなりたい、もっと、強くなれるパーティに入りたいって思ってたら…)
「セリ?おーい、セリ。聞いてっか?」
「…ごめんなさい。」
「あー、だから、んな顔すんなって。…何?セリは、何をそんな不安がってんの?」
「ルキ…。ルキは、何で、私達と…」
一緒に、居てくれるの─?
「んー?いや、何でって聞かれるとアレだけど…」
「…」
「まぁ、うん、何でだろな?でも、そんなん、フィーリングとしか言いようないんじゃねぇの?セリ達と一緒に居て楽しいし、面白いし。」
「楽しい…。ルキ、私達といて、楽しいんですか?」
「いや、滅茶苦茶楽しいわ!見てわかんだろ?俺、大概、笑ってる気ぃすっけど?」
「楽しい…。」
ルキが、私達と居て、楽しい─
「…セリは?」
「え?」
「セリはどうなわけ?…そもそも、俺をパーティ入れたがったのってセリなんだろ?セリは、元から俺のこと知ってたんだよな?」
「…知って、ました。…サンドビーよりも前に、ルキに助けられたことがあります。」
兄と二人で依頼をこなしていた頃、魔物に追い詰められていた自分達を、通りすがりのルキが助けてくれた。仲間たちの制止を振り切って、何の見返りも求めずに。ただ、「大丈夫か?」って─
「…ルキは、私の命の恩人です。」
「あー、え、そっか。悪い、覚えてねぇ、かも…」
「…だと思います。」
それくらい、ルキは優しい。
何度も礼を言うこちらに、「気にするな」の一言で笑って去って行ったルキ。ルキにとっては、本当に気にする程でもない「よくあること」だったから。困っている相手を見つければ手を貸さずにはいられない。私は、そんなルキが─
「…まぁ、じゃあ、過去の俺、いい仕事したな?セリを助けられて良かった。…おかげで、今こうして一緒に居られる。」
「…」
「んで、まぁ、これからも、よろしくって思ってっから。セリはあんま悩むな、な?」
「…はい。」
頭に乗せられた掌の重み、今でも信じられないくらいの、奇跡みたいなルキとの距離。
「…」
(…そんな顔。…どんな顔、してるんだろう…?)
灯りの乏しい街中を、ルキと二人並んで歩く。思い出すのは、さっきの、空気読まない俺様剣士の発言。
(ルキが、満足してない、とか、そんなの…)
言わないで欲しい。思い出させないで欲しい。
揺らさないでよ、私の世界を─
「セリ?あいつらの言ってたこと、気にしてんのか?」
「…」
「まさかとは思うけど、俺がお前らじゃなくてあいつら選ぶとか、んなこと思ってねぇよな?」
「…ルキは…」
でも、だって、ルキは─
脳裏に浮かぶのは、昔の、まだ、彼が前のパーティに居た頃の姿。今と同じ優しさを持って、でも、もっと、研ぎ澄まされた刃物みたいな鋭さを持っていたルキ。
ルキは、この町のトップランカー『暁星』の一員だった─
(…それが、パーティを抜けたって聞いて、私が浮かれて「一緒に組んでみたい」なんて、言ったから。)
それを本気で受け取った兄と、空気が読めなかった自分のせいで、なし崩し的にルキとパーティを組めることになった。
(…ルキは、それでも「良い」って、言ってくれたけど。)
日頃は忘れていられる事実を無神経剣士にほじくり返されて、焦燥が募る。
(ルキが、…もし、ルキがもっと強くなりたい、もっと、強くなれるパーティに入りたいって思ってたら…)
「セリ?おーい、セリ。聞いてっか?」
「…ごめんなさい。」
「あー、だから、んな顔すんなって。…何?セリは、何をそんな不安がってんの?」
「ルキ…。ルキは、何で、私達と…」
一緒に、居てくれるの─?
「んー?いや、何でって聞かれるとアレだけど…」
「…」
「まぁ、うん、何でだろな?でも、そんなん、フィーリングとしか言いようないんじゃねぇの?セリ達と一緒に居て楽しいし、面白いし。」
「楽しい…。ルキ、私達といて、楽しいんですか?」
「いや、滅茶苦茶楽しいわ!見てわかんだろ?俺、大概、笑ってる気ぃすっけど?」
「楽しい…。」
ルキが、私達と居て、楽しい─
「…セリは?」
「え?」
「セリはどうなわけ?…そもそも、俺をパーティ入れたがったのってセリなんだろ?セリは、元から俺のこと知ってたんだよな?」
「…知って、ました。…サンドビーよりも前に、ルキに助けられたことがあります。」
兄と二人で依頼をこなしていた頃、魔物に追い詰められていた自分達を、通りすがりのルキが助けてくれた。仲間たちの制止を振り切って、何の見返りも求めずに。ただ、「大丈夫か?」って─
「…ルキは、私の命の恩人です。」
「あー、え、そっか。悪い、覚えてねぇ、かも…」
「…だと思います。」
それくらい、ルキは優しい。
何度も礼を言うこちらに、「気にするな」の一言で笑って去って行ったルキ。ルキにとっては、本当に気にする程でもない「よくあること」だったから。困っている相手を見つければ手を貸さずにはいられない。私は、そんなルキが─
「…まぁ、じゃあ、過去の俺、いい仕事したな?セリを助けられて良かった。…おかげで、今こうして一緒に居られる。」
「…」
「んで、まぁ、これからも、よろしくって思ってっから。セリはあんま悩むな、な?」
「…はい。」
頭に乗せられた掌の重み、今でも信じられないくらいの、奇跡みたいなルキとの距離。
44
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる