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後編 タワー編
4-1. 無謀と救いと清算
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4-1.
早起きは苦手だ。接近する複数人の気配を感知したものの、目を開けるまでにはなかなか到れない。ブレンに言われて、寝る前には簡易結界を張るようにしているから尚更、緊張感が持てないのかも―
「ミア、起きろ」
「?」
「あいつらが、来る」
「…」
言われた言葉の意味を正確には把握出来ていないけれど、ブレンが起きろと言うのだから、起きなければ。抵抗する目蓋を持ち上げて、体を起こしたところで、
《パーティー『夜明けの尖兵』が、60階層に到達しました》
《パーティー『夜明けの奇術師』が、60階層に到達しました》
《パーティー『ガイラスの夜明け』が、60階層に到達しました》
立て続けに流れたアナウンス。現れたのはアイリー達、『ガイラスの夜明け』のメンバーだった。
「?」
だけど、雰囲気がどこかおかしい。怪我をしている者や、明らかに疲弊しきっている者がいる、
「アイリー!待てと言っているだろう!」
「…」
一行の先頭に立って上がってきたアイリー、レオンの制止の声を完全に無視している彼女が、こちらに気づいて表情を歪める。何かを言うかと思ったが、彼女が噛みついたのは背後、自身のギルドのリーダーであるレオンに対してだった。
「うるさい!レオン達が嫌なら、ついて来なければいい!」
「アイリー!そういうことではない!落ち着け!」
「…」
目が合ったまま、こちらを睨み続けるアイリーは、だけど何も言わずに通りすぎていく。そのまま、ボス部屋の扉の一つを開いて、躊躇いもせずに中へと入っていった。カイだけを連れて―
「っくそ!」
負傷者なのだろうか、足を引きずっていた一人を支えていたレオンが、その手を離す。
「お前らはここで待機!最悪、俺達が戻って来なかったら、何とか自力で帰還してくれ」
「レオン!?」
「リーダー!」
「…すまん」
一言、謝罪を口にして頭を下げたレオンが駆け出した。アイリー達の消えていった扉を開けて、中へと飛び込む。
見送った残りのメンバー達も、数瞬の内に視線を交わし合ってから、立ち上がった。扉へと向かう彼らの瞳に浮かぶのは、決死の覚悟―
扉の向こうに消えた彼らを見送ってから、立ち上がる。
―どうしよう
本来なら、よそのパーティーのことなど放っておく。それが、アイリー達であろうとなかろうと。だけど、
「…」
尋常じゃなかった気配。統率もとれず、負傷者までいる。大丈夫、なのだろうか?あんな状態で、初見のボスを相手に?
気がつけば、グルグルと同じ場所を歩き回っていた。
「…」
ここで、無駄なことをしてしまうくらい、気になってしまうのなら、
「ブレン、ごめん」
「…助けるのか?あいつらを」
「大丈夫かもしれないけど、確認だけ」
嘆息したブレンが立ち上がった。歩き出す彼の後を追う。アイリー達の消えた扉を目指して。
早起きは苦手だ。接近する複数人の気配を感知したものの、目を開けるまでにはなかなか到れない。ブレンに言われて、寝る前には簡易結界を張るようにしているから尚更、緊張感が持てないのかも―
「ミア、起きろ」
「?」
「あいつらが、来る」
「…」
言われた言葉の意味を正確には把握出来ていないけれど、ブレンが起きろと言うのだから、起きなければ。抵抗する目蓋を持ち上げて、体を起こしたところで、
《パーティー『夜明けの尖兵』が、60階層に到達しました》
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「?」
だけど、雰囲気がどこかおかしい。怪我をしている者や、明らかに疲弊しきっている者がいる、
「アイリー!待てと言っているだろう!」
「…」
一行の先頭に立って上がってきたアイリー、レオンの制止の声を完全に無視している彼女が、こちらに気づいて表情を歪める。何かを言うかと思ったが、彼女が噛みついたのは背後、自身のギルドのリーダーであるレオンに対してだった。
「うるさい!レオン達が嫌なら、ついて来なければいい!」
「アイリー!そういうことではない!落ち着け!」
「…」
目が合ったまま、こちらを睨み続けるアイリーは、だけど何も言わずに通りすぎていく。そのまま、ボス部屋の扉の一つを開いて、躊躇いもせずに中へと入っていった。カイだけを連れて―
「っくそ!」
負傷者なのだろうか、足を引きずっていた一人を支えていたレオンが、その手を離す。
「お前らはここで待機!最悪、俺達が戻って来なかったら、何とか自力で帰還してくれ」
「レオン!?」
「リーダー!」
「…すまん」
一言、謝罪を口にして頭を下げたレオンが駆け出した。アイリー達の消えていった扉を開けて、中へと飛び込む。
見送った残りのメンバー達も、数瞬の内に視線を交わし合ってから、立ち上がった。扉へと向かう彼らの瞳に浮かぶのは、決死の覚悟―
扉の向こうに消えた彼らを見送ってから、立ち上がる。
―どうしよう
本来なら、よそのパーティーのことなど放っておく。それが、アイリー達であろうとなかろうと。だけど、
「…」
尋常じゃなかった気配。統率もとれず、負傷者までいる。大丈夫、なのだろうか?あんな状態で、初見のボスを相手に?
気がつけば、グルグルと同じ場所を歩き回っていた。
「…」
ここで、無駄なことをしてしまうくらい、気になってしまうのなら、
「ブレン、ごめん」
「…助けるのか?あいつらを」
「大丈夫かもしれないけど、確認だけ」
嘆息したブレンが立ち上がった。歩き出す彼の後を追う。アイリー達の消えた扉を目指して。
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