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第一章 純真妖狐(?)といっしょ
3-2.
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3-2.
冬休み明け、始業式で講堂に集められた以外には特にすることもない登校初日。だけど何故か清掃の時間だけはきっちりととられていることに不平をこぼしながら、瑞穂と二人、中庭の掃き掃除をこなす。
「…ヤバい、寒い。受験生に外掃除させるとか」
「だね。これはない、さっさと終わらせよう」
「雑巾掛けよりマシ?マシかな?」
この時期になると、さすがに地面に散る葉の数も少ない。目につく限りの落ち葉をさっさとかき集め、掃除を終わらせようとしたころで、不意に聞こえてきた喧騒。
「…一年生、かな?」
「じゃない?若いねー」
顔を上げた視線の先に、五、六人の男子生徒達が映った。自分たちの担当を掃除し終わったのか、それとも最初からサボっているのかは不明だが、中庭で立ち止まりふざけ合い始めた彼らの姿に、不快な思いが募る。
別に、掃除をサボるなとか、終わったのならさっさと教室に帰れとか、そんな、煩いことを言うつもりはない。だけど、
「…一花?」
「…」
彼らが踏み入っているその場所には分かりやすく立ち入り禁止のロープが張ってあるのだ。冬の間、芝生を養生させ、春からは生徒の憩いの場になるよう。しかも、彼らの一人が足蹴にしているのは―
「…あれってさぁ」
「うん、ゆっこ先輩達が卒業記念に植えていった樹」
「最低…」
何年先になるかはわからないけれど、後輩たちの憩いの場に木陰を、と植えられた、まだ頼りなく脆弱な若木達。その一つを―何が楽しいのか―冗談半分に蹴りつけてバカ笑いしている姿に腹が立って、
「…ちょっと、言ってくる」
「え?一花!?」
瑞穂に箒を預けて後輩たちの集団に近づけば、あちらもこちらの存在に気づいたのだろう、ニヤけた顔、複数の視線が向けられる。
不快だし、居心地も最悪。だけど、それ以上に腹が立ってるから、
「…あなた達、一年生?ロープが張ってあるでしょ?芝生の中に入らない、」
「マジかよー!?」
なるべく感情は抑えたつもり、淡々と注意を口にしたつもり、だったのに。返ってきたのは意味のわからない雄叫びで、
「やっぱな!絶対、来ると思ったんだよ!メチャクチャ、こっち意識してたもんな!」
「煌世、お前、マジ顔が良い!」
「うるせぇよ」
目の前の大騒ぎ、馬鹿にというか、揶揄されているのだろうということはわかったが、彼らが何を言っているのかがわからずに口をつぐんだ。
最初に雄叫びを上げた男が、不機嫌そうに言葉を吐き出す。
「先輩さー、三年生?あっちで俺らに声掛けるタイミング計ってたんすか?先輩も煌世ファンなわけ?」
「なに…?」
本当に、何を言っているのかがわからない。先ほど「煌世」と呼ばれていた生徒を確かめても、その顔に見覚えはない。何故、「ファン」という言葉が出てくるのか。
「最近、やたらと多いんだよねー。卒業間近だかなんだか知んないけど、煌世に声かけてくる三年女子」
「『ずっと好きでした』とか言われてもなぁ。美人ならまだしも、お前、その顔のレベルで?って言いたくなるようなブスばっかだし」
「煌世」という男のフザケた言葉に、周囲がどっと沸いた。
「…」
彼らの、その不快なノリに腹が立ってしょうがない。確かに、煌世という男の顔立ちは悪くない。所謂イケメンだから、告白する女子が多いというのも本当かもしれない。だからといって私の好みではないし、そもそも、告白された相手を侮辱するような人間は、こっちだって受け付けない。さっさと立ち去るつもりで、最後に注意の言葉を告げた。
「…知らなかったのかもしれないけど、そこは立ち入り禁止だから入らないで」
「はぁ?真面目かよ」
「そっちの樹も。卒業生の記念樹なの、蹴ったりしないで」
「うざっ、年上アピールマジうぜぇ」
言いながらも、ロープを乗り越え芝生から出ていく彼らを眺めながら、ふと気づいたこと、考える前に、口から言葉がこぼれてしまっていた。
「…靴紐、ほどけてるよ」
「は?」
しまった、とは思った。煌世という男の怪訝な顔を見るまでもなく―
「…うぜぇ、あんた、俺の『オカン』かよ」
「…」
別に、深く考えたわけでは、ただ、靴紐がほどけたままロープを乗り越えては危ないかもしれない、咄嗟にそう思っただけ、だったのだ。
「そうまでして俺にからみたいわけ?それで感謝しろって?ほんと、必死過ぎ。マジ無いわ」
一方的な物言いに、反論しようとした。彼の言葉が事実ではなくても、少しだけ凹んだ気持ちを押し込めて―
「私は別に…っ!?」
「は!?イテッ!」
「な!?何だよ、コレ、マジで!?」
突然、目の前の彼らに降り注ぐモノ。頭を、顔を庇う彼らを唖然と見つめてしまった。
局所的、彼らだけを目掛けて降ってくる、不自然極まりない茶色の物体。これは、
―どんぐり?
「!?」
ハッとして、側にいたはずのシロを探す。その彼女は、空の上、ドングリが降って来る場所で手をかざしていて、
―だめっ!!
言葉に出来ない代わりに、必死に首を振る。それに気づいたシロがようやく手を下ろして、同時に降り注いでいたドングリの雨が止んだ。
「…はぁ?誰だよマジ、こんなん落としやがったの!?」
「なに?ドングリ?は?何で?」
「…」
彼らが見上げるのは周囲の校舎、フラフラと上空から降りてきたシロのことは視界に入ってはいないようだけれど。
―どうしよう
どう、誤魔化すか。そう焦ったところで、背後から声が聞こえた。
「おい!お前ら、何やってんだ!」
振り返れば、瑞穂が連れてきてくれたのだろう、クラスメイトの名島が駆け寄ってくる姿が見える。
「…面倒くせぇ、行こうぜ」
こぼした男達は、さっさと背を向けて歩き去っていく。そのことにホッと胸をなでおろした。
「一花!大丈夫?何もされてない?」
「大丈夫だよ、ありがとう瑞穂。名島君も」
「いや、こっちはいいんだよ。鈴原は?マジで大丈夫なのか?」
「うん…大丈夫」
言って、地面の上、転がる大量のドングリを見つめた。
冬休み明け、始業式で講堂に集められた以外には特にすることもない登校初日。だけど何故か清掃の時間だけはきっちりととられていることに不平をこぼしながら、瑞穂と二人、中庭の掃き掃除をこなす。
「…ヤバい、寒い。受験生に外掃除させるとか」
「だね。これはない、さっさと終わらせよう」
「雑巾掛けよりマシ?マシかな?」
この時期になると、さすがに地面に散る葉の数も少ない。目につく限りの落ち葉をさっさとかき集め、掃除を終わらせようとしたころで、不意に聞こえてきた喧騒。
「…一年生、かな?」
「じゃない?若いねー」
顔を上げた視線の先に、五、六人の男子生徒達が映った。自分たちの担当を掃除し終わったのか、それとも最初からサボっているのかは不明だが、中庭で立ち止まりふざけ合い始めた彼らの姿に、不快な思いが募る。
別に、掃除をサボるなとか、終わったのならさっさと教室に帰れとか、そんな、煩いことを言うつもりはない。だけど、
「…一花?」
「…」
彼らが踏み入っているその場所には分かりやすく立ち入り禁止のロープが張ってあるのだ。冬の間、芝生を養生させ、春からは生徒の憩いの場になるよう。しかも、彼らの一人が足蹴にしているのは―
「…あれってさぁ」
「うん、ゆっこ先輩達が卒業記念に植えていった樹」
「最低…」
何年先になるかはわからないけれど、後輩たちの憩いの場に木陰を、と植えられた、まだ頼りなく脆弱な若木達。その一つを―何が楽しいのか―冗談半分に蹴りつけてバカ笑いしている姿に腹が立って、
「…ちょっと、言ってくる」
「え?一花!?」
瑞穂に箒を預けて後輩たちの集団に近づけば、あちらもこちらの存在に気づいたのだろう、ニヤけた顔、複数の視線が向けられる。
不快だし、居心地も最悪。だけど、それ以上に腹が立ってるから、
「…あなた達、一年生?ロープが張ってあるでしょ?芝生の中に入らない、」
「マジかよー!?」
なるべく感情は抑えたつもり、淡々と注意を口にしたつもり、だったのに。返ってきたのは意味のわからない雄叫びで、
「やっぱな!絶対、来ると思ったんだよ!メチャクチャ、こっち意識してたもんな!」
「煌世、お前、マジ顔が良い!」
「うるせぇよ」
目の前の大騒ぎ、馬鹿にというか、揶揄されているのだろうということはわかったが、彼らが何を言っているのかがわからずに口をつぐんだ。
最初に雄叫びを上げた男が、不機嫌そうに言葉を吐き出す。
「先輩さー、三年生?あっちで俺らに声掛けるタイミング計ってたんすか?先輩も煌世ファンなわけ?」
「なに…?」
本当に、何を言っているのかがわからない。先ほど「煌世」と呼ばれていた生徒を確かめても、その顔に見覚えはない。何故、「ファン」という言葉が出てくるのか。
「最近、やたらと多いんだよねー。卒業間近だかなんだか知んないけど、煌世に声かけてくる三年女子」
「『ずっと好きでした』とか言われてもなぁ。美人ならまだしも、お前、その顔のレベルで?って言いたくなるようなブスばっかだし」
「煌世」という男のフザケた言葉に、周囲がどっと沸いた。
「…」
彼らの、その不快なノリに腹が立ってしょうがない。確かに、煌世という男の顔立ちは悪くない。所謂イケメンだから、告白する女子が多いというのも本当かもしれない。だからといって私の好みではないし、そもそも、告白された相手を侮辱するような人間は、こっちだって受け付けない。さっさと立ち去るつもりで、最後に注意の言葉を告げた。
「…知らなかったのかもしれないけど、そこは立ち入り禁止だから入らないで」
「はぁ?真面目かよ」
「そっちの樹も。卒業生の記念樹なの、蹴ったりしないで」
「うざっ、年上アピールマジうぜぇ」
言いながらも、ロープを乗り越え芝生から出ていく彼らを眺めながら、ふと気づいたこと、考える前に、口から言葉がこぼれてしまっていた。
「…靴紐、ほどけてるよ」
「は?」
しまった、とは思った。煌世という男の怪訝な顔を見るまでもなく―
「…うぜぇ、あんた、俺の『オカン』かよ」
「…」
別に、深く考えたわけでは、ただ、靴紐がほどけたままロープを乗り越えては危ないかもしれない、咄嗟にそう思っただけ、だったのだ。
「そうまでして俺にからみたいわけ?それで感謝しろって?ほんと、必死過ぎ。マジ無いわ」
一方的な物言いに、反論しようとした。彼の言葉が事実ではなくても、少しだけ凹んだ気持ちを押し込めて―
「私は別に…っ!?」
「は!?イテッ!」
「な!?何だよ、コレ、マジで!?」
突然、目の前の彼らに降り注ぐモノ。頭を、顔を庇う彼らを唖然と見つめてしまった。
局所的、彼らだけを目掛けて降ってくる、不自然極まりない茶色の物体。これは、
―どんぐり?
「!?」
ハッとして、側にいたはずのシロを探す。その彼女は、空の上、ドングリが降って来る場所で手をかざしていて、
―だめっ!!
言葉に出来ない代わりに、必死に首を振る。それに気づいたシロがようやく手を下ろして、同時に降り注いでいたドングリの雨が止んだ。
「…はぁ?誰だよマジ、こんなん落としやがったの!?」
「なに?ドングリ?は?何で?」
「…」
彼らが見上げるのは周囲の校舎、フラフラと上空から降りてきたシロのことは視界に入ってはいないようだけれど。
―どうしよう
どう、誤魔化すか。そう焦ったところで、背後から声が聞こえた。
「おい!お前ら、何やってんだ!」
振り返れば、瑞穂が連れてきてくれたのだろう、クラスメイトの名島が駆け寄ってくる姿が見える。
「…面倒くせぇ、行こうぜ」
こぼした男達は、さっさと背を向けて歩き去っていく。そのことにホッと胸をなでおろした。
「一花!大丈夫?何もされてない?」
「大丈夫だよ、ありがとう瑞穂。名島君も」
「いや、こっちはいいんだよ。鈴原は?マジで大丈夫なのか?」
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