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第一章 純真妖狐(?)といっしょ

3-4. Side K

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3-4.

遠目から、駅の改札に消えていく少女二人の後ろ姿を見送った。

「で、どうだ?憑かれてるっぽいか?」

「なんとなく…一応それらしき気配は」

「あー、マジかー。俺の方は、距離がありすぎて全然感じらんなかったわ。これ以上近づくのは、流石に人目がありすぎてキツイしな」

「…」

人目を忍んだ距離からは取り逃がした個体の姿は見えず、うっすら感じる気配は先日の残り香との区別すらつかないほどに頼りない。

「…ただ、」

「ん?」

「彼女が携帯に下げていたアレ、先日会った時には付けていませんでした」

「アレって、あの丸いのか?あー、どうだろうな?色もピンクっぽかっただろ?微妙だなー」

迷いの見える男に、手の中の得物を握りしめ直す。

「…一応、監視は続けます」

「あー、待て待て。危険が伴う以上、誰かはつける。お前じゃ、長期の監視には向かないだろうが。ソレぶら下げてつけ回すつもりか?」

「…」

手にしたものを指摘されて、男の現実的な提案を受け入れる。

「…わかりました」

「まぁ、気にかかるってんなら、討伐任務が発生した際にはお前にも声かける。今回はそれで我慢しろ」

「…了解」

頷いて、もう一度、彼女の消えた駅へと目を向ける。男の視線が後を追って、

「アレが『オクリモノ』だってんなら、またちょっと厄介な話だな」

視線はそのまま、男の言葉に頷いた。

「…」

何がこんなに気にかかるのか―

監視業務を引き継いだ以上、一旦、今回の件からは外されたということ。他に舞い込む仕事もあるだろう。なのに、いつものように気持ちが切り替わらないほどには気になってしまっている存在。一体、彼女の何が―

その答えが、自身の中、既に形を成し始めている厄介さにため息をついた。




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