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11.真犯人
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「や、やった! ねえ、今の見た、和真⁉」
「見た見た! すげーな、李胡。ちゃんと一人でも特訓続けてたんだな!」
「あのさあ、そこの二人。まだなごんでる場合じゃないからね」
喜びあうわたしたちを横目に、再び応戦する康哉。
「ほらあ。君たちがてこずらせるから、またしわが増えちゃったじゃない。あ、そうだ。とりあえずこの子たちからもらえばいいんだわ」
ふふっと笑いながら、白壁先生が手をかざす先は――あの飼育小屋だ!
「ダメーっ‼」
今、生気を吸い取られたら、みんな消えちゃう。
もう、あったまきたーーーーっ!
怒りで体の中が煮え立つように熱い。
これを外せば……。
今まで何度か体の中でなにかが渦巻くような感覚に襲われることがあった。
たぶん……康哉の言ってることが本当なんだ。
わたしの強すぎる妖力を、この勾玉の護符が抑えてくれている。
これを外したらどうなるか……なんて悠長に考えてる場合じゃない。
意を決して勾玉を引っ張ると、首にかけていた革ひもがぶつっと音を立てて切れた。
その瞬間、体の中の熱がぶわっと外に放出され、あたりがその熱で揺らぐ。
「バカ、よせ! なにやってんだ、李胡!! みんな焼け死ぬぞ!」
和真の叫ぶ声がかすかに聞こえたけれど、わたしの頭の中は、研ぎ澄まされたように冷静だ。
大丈夫。今までいっぱいいっぱい練習してきたんだから。
これで、終わらせる……!
生気を吸い取られ、小屋の中のキツネがバタバタと倒れていくのを横目に見つつ、ゆっくりと両方の手のひらの間に大きな狐火を生み出すと、先生に向かっておもいっきり投げつけた。
「いっけー!」
「そんなもの、たやすいわ! ……な、なに⁉」
わたしの狐火を跳ね返そうとした先生の体にまとわりつくと、ぶわっと燃え広がる。
「な、なんだこれは⁉」
先生が、なんとか火を払いのけようと、もがいている。
でも、そんなんじゃ、絶対に消えないんだからね。
「へへっ。この前康哉が『攻撃に狐火を使っちゃいけない』って言ってたから、密かに練習してたんだよね。まとわりついて絶対に消えない、っていうだけの狐火。焼け死んだりはしないから、安心して」
「なんだよそれ! こんなの見せられたら、これから李胡のこと、怒らせられないじゃん」
「わたしね、黒瀬くんのロープの狐火がずっと忘れられなかったの。でもわたしには、あんなふうに形を変えることはできなかった。それで自分なりに考えて出した答えが、これだったんだ」
形を変えるのがムリなら、炎の性質を変える。
ほら、この前わたしの狐火が暴走して、家が火事になりそうになったことがあったでしょ?
しょっちゅう前髪は焦がしているのに、あのとき、家はなぜか無傷だったんだよね。
それで、ひょっとして、そういう狐火を意図的に作り出すこともできるのかなって。
「見た見た! すげーな、李胡。ちゃんと一人でも特訓続けてたんだな!」
「あのさあ、そこの二人。まだなごんでる場合じゃないからね」
喜びあうわたしたちを横目に、再び応戦する康哉。
「ほらあ。君たちがてこずらせるから、またしわが増えちゃったじゃない。あ、そうだ。とりあえずこの子たちからもらえばいいんだわ」
ふふっと笑いながら、白壁先生が手をかざす先は――あの飼育小屋だ!
「ダメーっ‼」
今、生気を吸い取られたら、みんな消えちゃう。
もう、あったまきたーーーーっ!
怒りで体の中が煮え立つように熱い。
これを外せば……。
今まで何度か体の中でなにかが渦巻くような感覚に襲われることがあった。
たぶん……康哉の言ってることが本当なんだ。
わたしの強すぎる妖力を、この勾玉の護符が抑えてくれている。
これを外したらどうなるか……なんて悠長に考えてる場合じゃない。
意を決して勾玉を引っ張ると、首にかけていた革ひもがぶつっと音を立てて切れた。
その瞬間、体の中の熱がぶわっと外に放出され、あたりがその熱で揺らぐ。
「バカ、よせ! なにやってんだ、李胡!! みんな焼け死ぬぞ!」
和真の叫ぶ声がかすかに聞こえたけれど、わたしの頭の中は、研ぎ澄まされたように冷静だ。
大丈夫。今までいっぱいいっぱい練習してきたんだから。
これで、終わらせる……!
生気を吸い取られ、小屋の中のキツネがバタバタと倒れていくのを横目に見つつ、ゆっくりと両方の手のひらの間に大きな狐火を生み出すと、先生に向かっておもいっきり投げつけた。
「いっけー!」
「そんなもの、たやすいわ! ……な、なに⁉」
わたしの狐火を跳ね返そうとした先生の体にまとわりつくと、ぶわっと燃え広がる。
「な、なんだこれは⁉」
先生が、なんとか火を払いのけようと、もがいている。
でも、そんなんじゃ、絶対に消えないんだからね。
「へへっ。この前康哉が『攻撃に狐火を使っちゃいけない』って言ってたから、密かに練習してたんだよね。まとわりついて絶対に消えない、っていうだけの狐火。焼け死んだりはしないから、安心して」
「なんだよそれ! こんなの見せられたら、これから李胡のこと、怒らせられないじゃん」
「わたしね、黒瀬くんのロープの狐火がずっと忘れられなかったの。でもわたしには、あんなふうに形を変えることはできなかった。それで自分なりに考えて出した答えが、これだったんだ」
形を変えるのがムリなら、炎の性質を変える。
ほら、この前わたしの狐火が暴走して、家が火事になりそうになったことがあったでしょ?
しょっちゅう前髪は焦がしているのに、あのとき、家はなぜか無傷だったんだよね。
それで、ひょっとして、そういう狐火を意図的に作り出すこともできるのかなって。
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