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2.わたしでもなれる?
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「キツネ……さん?」
学校からの帰り道。わたしがひとりで歩いていたら、一匹のキツネが茂みの中から出てきて、あっという間に人間の男の子に変化したんだ。
色素の薄いさらっとした髪に、髪と同じ明るい色の瞳で、とても整った目鼻立ち。
身長は、あの頃はまだわたしより少し高いくらいだったっけ。
「うわわっ、すごーい! ねえ、それってどうやるの⁉」
「は? なに言ってるの? あんたも一応半分は妖狐なんでしょ?」
わたしが興奮ぎみにたずねると、その男の子は呆れたように鼻で笑った。
「そうだけど、わたし、耳としっぽは勝手に出ちゃうのに、キツネの姿には変化できないんだよね……って、わたしのこと、知ってるの?」
「春日李胡。あんたの母親は妖狐で、里の裏切り者。でしょ?」
「ち、違うよ! 別にお母さんは里を裏切ったわけじゃ……」
「じゃあ、なぜ禁じられているのに、人間の男と結婚なんかしたの?」
「それは、お父さんとお母さんが、好き同士になったからで……」
「あんたの母親のせいで、僕まで他のヤツらから白い目で見られてるって知ってる?」
「え? それってどういう……」
「長だって、『娘があんなことをするようでは、里長にはふさわしくない』ってみんなに陰でコソコソ言われてるんだよ?」
「……」
そんなこと言われたって……わたし、はじめて聞いた話ばかりなんだけど。
「あんたたちのせいで、僕が長になれなかったら、一生許さないから」
男の子が、わたしをにらみながら低い声で言う。
「だ、だからっ。ちゃんと説明してくれなきゃ、なんのことかわからないんだってば」
「は? なんで僕が君にいちいち説明しなくちゃいけないの? 自分の母親にでも聞けば?」
「でもお母さん、里のことはなんにも教えてくれないから。だから……そうだ! ねえ、わたしとお友だちになってよ。それで、里のことをいろいろ教えて」
「あのさあ、それ、本気で言ってないよね?」
男の子が、ものすごくイヤそうな顔をする。
「本気だよ! 変化もすっごく上手だし。ねえ、どうやったらそんなに上手にキツネに変化できるの?」
はじめてお母さん以外の妖狐に出会ったのがうれしくて、思わず前のめりになる。
「と、友だちになんかならないし、変化も教えない!」
そう言い放つと、男の子はまたキツネの姿に戻り、出てきた茂みの向こうへと消えてしまった。
「あーあ。せっかくお友だちができると思ったんだけどな」
小さくため息をつくと、わたしは再び家に向かってとぼとぼと歩きだした。
学校からの帰り道。わたしがひとりで歩いていたら、一匹のキツネが茂みの中から出てきて、あっという間に人間の男の子に変化したんだ。
色素の薄いさらっとした髪に、髪と同じ明るい色の瞳で、とても整った目鼻立ち。
身長は、あの頃はまだわたしより少し高いくらいだったっけ。
「うわわっ、すごーい! ねえ、それってどうやるの⁉」
「は? なに言ってるの? あんたも一応半分は妖狐なんでしょ?」
わたしが興奮ぎみにたずねると、その男の子は呆れたように鼻で笑った。
「そうだけど、わたし、耳としっぽは勝手に出ちゃうのに、キツネの姿には変化できないんだよね……って、わたしのこと、知ってるの?」
「春日李胡。あんたの母親は妖狐で、里の裏切り者。でしょ?」
「ち、違うよ! 別にお母さんは里を裏切ったわけじゃ……」
「じゃあ、なぜ禁じられているのに、人間の男と結婚なんかしたの?」
「それは、お父さんとお母さんが、好き同士になったからで……」
「あんたの母親のせいで、僕まで他のヤツらから白い目で見られてるって知ってる?」
「え? それってどういう……」
「長だって、『娘があんなことをするようでは、里長にはふさわしくない』ってみんなに陰でコソコソ言われてるんだよ?」
「……」
そんなこと言われたって……わたし、はじめて聞いた話ばかりなんだけど。
「あんたたちのせいで、僕が長になれなかったら、一生許さないから」
男の子が、わたしをにらみながら低い声で言う。
「だ、だからっ。ちゃんと説明してくれなきゃ、なんのことかわからないんだってば」
「は? なんで僕が君にいちいち説明しなくちゃいけないの? 自分の母親にでも聞けば?」
「でもお母さん、里のことはなんにも教えてくれないから。だから……そうだ! ねえ、わたしとお友だちになってよ。それで、里のことをいろいろ教えて」
「あのさあ、それ、本気で言ってないよね?」
男の子が、ものすごくイヤそうな顔をする。
「本気だよ! 変化もすっごく上手だし。ねえ、どうやったらそんなに上手にキツネに変化できるの?」
はじめてお母さん以外の妖狐に出会ったのがうれしくて、思わず前のめりになる。
「と、友だちになんかならないし、変化も教えない!」
そう言い放つと、男の子はまたキツネの姿に戻り、出てきた茂みの向こうへと消えてしまった。
「あーあ。せっかくお友だちができると思ったんだけどな」
小さくため息をつくと、わたしは再び家に向かってとぼとぼと歩きだした。
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