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6.こういうトラブルにだけは巻き込まれたくなかった
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「遥香ちゃん、おはよう。あの……さっき逢坂くんと登校してるとこ見ちゃったんだけど……ねえ、いつからなの?」
教室に行くと、菜々ちゃんがあたしの制服の裾をツンツン引いてこそっと聞いてきた。
あぁぁぁぁ~厄介な問題を忘れてた。
『逢坂先輩とふたりでおでかけ!?』に気を取られすぎてたよ。
「ちがうよ。誤解だからね!? 生徒会で使う荷物を運んでもらってただけなんだってば」
あえて他の子にも聞こえるように、大声でアピールする。
だって、この手の恋愛トラブルにだけは絶対に巻き込まれたくないんだもん。
「ああ、そっかぁ。そういえば逢坂くんって、会計だったっけ?」
「うん、そうそう」
周りにもアピールするように、大げさなくらい大きくうなずいてみせる。
「今度保育園の夏祭りで生徒会が紙芝居をやることになって、そのとき使う予定の紙芝居を運んでもらってただけなの。今日、保育園に打ち合わせに行く予定だから……会長と! 爽太くんじゃなくて、会長とね! 行く予定なの」
「そうなんだー。会長さんと一緒に行くんだね」
菜々ちゃんが、なぜかニコニコしながらあたしを見てくる。
「か、会長ともなんにもだからね!?」
今度は、菜々ちゃんにだけ聞こえるように言う。
もうっ、菜々ちゃんまでこういう話が好きだなんて知らなかったよ。
「うん、わかってるよ。遥香ちゃんが好きなのは、会長さんの『声』だけだもんね」
「そうだよ! もちろん!」
そう……だよね?
あれっ、自分でいつもそう言ってるはずなのに、なんだか胸の中がモヤッとする。
「ねえ、佐倉さん。木澤さんとの話は聞かせてもらったけど――逢坂くんと、本当のところはどうなの?」
学級委員の須藤さんが、突然あたしと菜々ちゃんの会話に割り込んできた。
須藤さんとは小学校がちがうし、今まであまり話したこともなかったのに。
ひょっとして、須藤さんまで爽太くん狙いなの?
「だから、爽太くんは生徒会の仕事仲間っていうだけなんだってば。だいたいあたしのことを女子だと思ってる男子なんかいないって。ね、高梨!」
たまたま近くにいた、小学校のときの遊び仲間の高梨に声をかける。
だって本当のこと――交際を迫られてる――なんて口が裂けても言えないし!
「あ~、ないない。女子っつーよりサルだな、サル」
そう言って、高梨がキヒヒッと笑う。
「はぁ!? さすがにそれは失礼でしょ。もう木登りなんかしないし」
高梨と軽口をたたき合うあたしに、納得したのかしていないのか。
「とにかく。逢坂くんはみんなの逢坂くんなんだから。抜け駆けだけはしないでね?」
にこっと笑ってみせる須藤さん。
だけど、須藤さんの目だけは笑ってない。
こ、怖いっ。怖いけど……。
「ねえ、ちょっと待ってよ。『みんなの逢坂くん』ってなに?」
「逢坂くんのことでみんながケンカしないようにって、小学校のときにみんなで決めたの。なんか文句でもあるの、佐倉さん?」
それって……爽太くんは誰とも特別に仲よくなっちゃいけないってこと?
「そんなの、爽太くんが望んでることなの? あたしは爽太くんの友だちだって思ってるけど、それもいけないこと?」
「ねえ。さっきから気になってるんだけど、なんでもないって言いつつ、どうして下の名前呼びなの?」
「そ、それは、会長の逢坂先輩とまぎらわしいから、下の名前で呼んでって言われて……」
「そういうニブいとこ、ほんっとムカつく」
怖い顔でぼそりとつぶやくと、にこりと作り笑いを浮かべる。
「とにかく、決まりは守ってね、佐倉さん」
去っていく須藤さんの背中を見送ったあと、高梨が「女子って怖ぇ」とぼそっと言うのが聞こえた。
あたしだって、こういうトラブルにだけは巻き込まれたくなかったよぉ!
教室に行くと、菜々ちゃんがあたしの制服の裾をツンツン引いてこそっと聞いてきた。
あぁぁぁぁ~厄介な問題を忘れてた。
『逢坂先輩とふたりでおでかけ!?』に気を取られすぎてたよ。
「ちがうよ。誤解だからね!? 生徒会で使う荷物を運んでもらってただけなんだってば」
あえて他の子にも聞こえるように、大声でアピールする。
だって、この手の恋愛トラブルにだけは絶対に巻き込まれたくないんだもん。
「ああ、そっかぁ。そういえば逢坂くんって、会計だったっけ?」
「うん、そうそう」
周りにもアピールするように、大げさなくらい大きくうなずいてみせる。
「今度保育園の夏祭りで生徒会が紙芝居をやることになって、そのとき使う予定の紙芝居を運んでもらってただけなの。今日、保育園に打ち合わせに行く予定だから……会長と! 爽太くんじゃなくて、会長とね! 行く予定なの」
「そうなんだー。会長さんと一緒に行くんだね」
菜々ちゃんが、なぜかニコニコしながらあたしを見てくる。
「か、会長ともなんにもだからね!?」
今度は、菜々ちゃんにだけ聞こえるように言う。
もうっ、菜々ちゃんまでこういう話が好きだなんて知らなかったよ。
「うん、わかってるよ。遥香ちゃんが好きなのは、会長さんの『声』だけだもんね」
「そうだよ! もちろん!」
そう……だよね?
あれっ、自分でいつもそう言ってるはずなのに、なんだか胸の中がモヤッとする。
「ねえ、佐倉さん。木澤さんとの話は聞かせてもらったけど――逢坂くんと、本当のところはどうなの?」
学級委員の須藤さんが、突然あたしと菜々ちゃんの会話に割り込んできた。
須藤さんとは小学校がちがうし、今まであまり話したこともなかったのに。
ひょっとして、須藤さんまで爽太くん狙いなの?
「だから、爽太くんは生徒会の仕事仲間っていうだけなんだってば。だいたいあたしのことを女子だと思ってる男子なんかいないって。ね、高梨!」
たまたま近くにいた、小学校のときの遊び仲間の高梨に声をかける。
だって本当のこと――交際を迫られてる――なんて口が裂けても言えないし!
「あ~、ないない。女子っつーよりサルだな、サル」
そう言って、高梨がキヒヒッと笑う。
「はぁ!? さすがにそれは失礼でしょ。もう木登りなんかしないし」
高梨と軽口をたたき合うあたしに、納得したのかしていないのか。
「とにかく。逢坂くんはみんなの逢坂くんなんだから。抜け駆けだけはしないでね?」
にこっと笑ってみせる須藤さん。
だけど、須藤さんの目だけは笑ってない。
こ、怖いっ。怖いけど……。
「ねえ、ちょっと待ってよ。『みんなの逢坂くん』ってなに?」
「逢坂くんのことでみんながケンカしないようにって、小学校のときにみんなで決めたの。なんか文句でもあるの、佐倉さん?」
それって……爽太くんは誰とも特別に仲よくなっちゃいけないってこと?
「そんなの、爽太くんが望んでることなの? あたしは爽太くんの友だちだって思ってるけど、それもいけないこと?」
「ねえ。さっきから気になってるんだけど、なんでもないって言いつつ、どうして下の名前呼びなの?」
「そ、それは、会長の逢坂先輩とまぎらわしいから、下の名前で呼んでって言われて……」
「そういうニブいとこ、ほんっとムカつく」
怖い顔でぼそりとつぶやくと、にこりと作り笑いを浮かべる。
「とにかく、決まりは守ってね、佐倉さん」
去っていく須藤さんの背中を見送ったあと、高梨が「女子って怖ぇ」とぼそっと言うのが聞こえた。
あたしだって、こういうトラブルにだけは巻き込まれたくなかったよぉ!
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