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14.夏祭り本番!
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夏休みがはじまって最初の土曜日。
ついに今日は夏祭り本番!
夏休みのはじまりとともに梅雨が明け、今日も朝から雲ひとつない快晴の空が広がっている。
テントを立てたり看板を準備したりっていう会場設営のお手伝いは昨日のうちに済ませ、本番の今日は、あたしたち生徒会メンバーは全員浴衣で参加予定。
逢坂先輩は、背が高くて背筋がすっと伸びているから、きっと浴衣も似合うんだろうな~。
あまりに楽しみすぎて、集合時間の午後二時よりもずっと早くに着いちゃったよ。
さすがに、生徒会メンバーはまだ誰も来ていないみたい。
子どもたちに配るお菓子の準備だけでも、先にしておこうかな。
配りやすいように、個包装されたお菓子をカゴに盛っていく。
わたあめ、水あめ、ゼリーにポン菓子。
ニコニコ笑顔の子どもたちが、わらわらと集まってくるのを想像するだけで、自然と口元がゆるんじゃう。
逢坂先輩とお近づきになりたい! っていう理由だけで生徒会に立候補したけど、募金活動や夏祭りのお手伝いみたいなボランティア活動は、あたしにすごく合っている気がするんだ。
だって、どの活動もすごく楽しくて、毎日が充実してる! って思えるんだもん。
でもそう思えるのは、きっと先輩たちが、慣れないあたしのことをうまくサポートしてくれているからで。
だから、今は少しぎくしゃくしてしまっている戸田先輩とも、本当はもっと仲よくなりたいんだ。
「遥香ちゃーん!」
爽太くんの元気な声が聞こえ、あたしは作業を中断して顔をあげた。
「遥香ちゃんの浴衣、かわいいね。すっごく似合ってるよ」
「ありがとう。お世辞でもうれしい」
そう言うあたしに、爽太くんがぶんぶんと首を左右に振る。
「ううん。遥香ちゃんの元気でかわいらしい雰囲気に、本当にピッタリだよ」
あたしの浴衣は、ピンク地に色とりどりの朝顔柄で、なんだかちょっと子どもっぽいかなって思ってたんだよね。
でも、爽太くんがホメてくれたら、なんかこれも悪くないかもって思えてきた。
「爽太くんも。爽太くんの爽やかな雰囲気にピッタリだね」
爽太くんの浴衣は、淡い水色に濃い目のストライプ柄。
「えへへっ、ありがと。浴衣なんてはじめて着たけど、お祭りって感じがしていいよね」
そう言いながら、爽太くんがくるりと回る。
「そういえば、逢坂先輩は?」
「兄ちゃんは、戸田先輩と一緒に来る約束をしてたみたいだよ。でも、もうそろそろ時間だし……あ、ほら、来た来た」
え……戸田先輩と……?
なんだかイヤな予感に胸がざわりとする。
ひょっとして戸田先輩……。
「おつかれさま。早いわね、ふたりとも」
「遅くなってすまない」
戸田先輩は、濃紺地に淡いピンクと紫の牡丹柄の浴衣。
そして逢坂先輩は、黒地に薄い色の格子柄。
園庭をこちらに向かって歩いてくる先輩たちは、なんだかすごく大人っぽくて、あたしとはちがう世界に住んでいる人みたいに思えた。
「どうした、佐倉?」
逢坂先輩に声をかけられ、ハッと我に返るとあははと笑ってごまかす。
「い、いえ。先輩たちの浴衣姿が、とってもステキだな~って見とれてました」
先輩たちは三年生。あたしは一年生。
二年の差って、途方もなく大きいなって改めて思い知らされた気がする。
こんなに近くにいるのに、ものすごく遠く感じるよ……。
「じゃあ、戸田と爽太は、佐倉と代わってお菓子の準備を頼む。佐倉は、俺と紙芝居の会場準備。とりあえずいくつイスを用意するか、先生に確認してきてくれ」
「わかりました」
先輩の指示で、あたしは先生を探しにその場を離れた。
ついに今日は夏祭り本番!
夏休みのはじまりとともに梅雨が明け、今日も朝から雲ひとつない快晴の空が広がっている。
テントを立てたり看板を準備したりっていう会場設営のお手伝いは昨日のうちに済ませ、本番の今日は、あたしたち生徒会メンバーは全員浴衣で参加予定。
逢坂先輩は、背が高くて背筋がすっと伸びているから、きっと浴衣も似合うんだろうな~。
あまりに楽しみすぎて、集合時間の午後二時よりもずっと早くに着いちゃったよ。
さすがに、生徒会メンバーはまだ誰も来ていないみたい。
子どもたちに配るお菓子の準備だけでも、先にしておこうかな。
配りやすいように、個包装されたお菓子をカゴに盛っていく。
わたあめ、水あめ、ゼリーにポン菓子。
ニコニコ笑顔の子どもたちが、わらわらと集まってくるのを想像するだけで、自然と口元がゆるんじゃう。
逢坂先輩とお近づきになりたい! っていう理由だけで生徒会に立候補したけど、募金活動や夏祭りのお手伝いみたいなボランティア活動は、あたしにすごく合っている気がするんだ。
だって、どの活動もすごく楽しくて、毎日が充実してる! って思えるんだもん。
でもそう思えるのは、きっと先輩たちが、慣れないあたしのことをうまくサポートしてくれているからで。
だから、今は少しぎくしゃくしてしまっている戸田先輩とも、本当はもっと仲よくなりたいんだ。
「遥香ちゃーん!」
爽太くんの元気な声が聞こえ、あたしは作業を中断して顔をあげた。
「遥香ちゃんの浴衣、かわいいね。すっごく似合ってるよ」
「ありがとう。お世辞でもうれしい」
そう言うあたしに、爽太くんがぶんぶんと首を左右に振る。
「ううん。遥香ちゃんの元気でかわいらしい雰囲気に、本当にピッタリだよ」
あたしの浴衣は、ピンク地に色とりどりの朝顔柄で、なんだかちょっと子どもっぽいかなって思ってたんだよね。
でも、爽太くんがホメてくれたら、なんかこれも悪くないかもって思えてきた。
「爽太くんも。爽太くんの爽やかな雰囲気にピッタリだね」
爽太くんの浴衣は、淡い水色に濃い目のストライプ柄。
「えへへっ、ありがと。浴衣なんてはじめて着たけど、お祭りって感じがしていいよね」
そう言いながら、爽太くんがくるりと回る。
「そういえば、逢坂先輩は?」
「兄ちゃんは、戸田先輩と一緒に来る約束をしてたみたいだよ。でも、もうそろそろ時間だし……あ、ほら、来た来た」
え……戸田先輩と……?
なんだかイヤな予感に胸がざわりとする。
ひょっとして戸田先輩……。
「おつかれさま。早いわね、ふたりとも」
「遅くなってすまない」
戸田先輩は、濃紺地に淡いピンクと紫の牡丹柄の浴衣。
そして逢坂先輩は、黒地に薄い色の格子柄。
園庭をこちらに向かって歩いてくる先輩たちは、なんだかすごく大人っぽくて、あたしとはちがう世界に住んでいる人みたいに思えた。
「どうした、佐倉?」
逢坂先輩に声をかけられ、ハッと我に返るとあははと笑ってごまかす。
「い、いえ。先輩たちの浴衣姿が、とってもステキだな~って見とれてました」
先輩たちは三年生。あたしは一年生。
二年の差って、途方もなく大きいなって改めて思い知らされた気がする。
こんなに近くにいるのに、ものすごく遠く感じるよ……。
「じゃあ、戸田と爽太は、佐倉と代わってお菓子の準備を頼む。佐倉は、俺と紙芝居の会場準備。とりあえずいくつイスを用意するか、先生に確認してきてくれ」
「わかりました」
先輩の指示で、あたしは先生を探しにその場を離れた。
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