ぬきさしならへんっ!

夢野咲コ

文字の大きさ
137 / 358
第二幕 番外編

スピカの後味⑦*

しおりを挟む
 景虎は、庄助の精を唇で吸い上げると、残滓の散る下腹を舐めた。掴んだ腰はじっとりと汗をかいている。庄助は整わないままの呼吸で、景虎の行為を咎める。
「やめろっ! 落ちたやつ飲まれんの、キモくてめっちゃイヤやねんからな……!」
「そうだったのか、すまない。もう飲んだ」
「もうイヤや変態、変態~っ!」
 本気で怒って拙い悪態をつく唇に、つうと目尻から涙がひと筋、こぼれ落ちた。

 力の入らない身体を折り曲げられ、大きく脚を開かせられた。
 景虎は、濡れて萎えて小さくなった柔らかい陰茎をつまみ上げる。そのまま、今度は口の中にぱくりと全部含まれてしまった。
 庄助は驚いてベッドの上の方に逃げようとしたが、腰を押さえつけられて動けない。唇で挟まれて引っ張り上げるように扱かれると、庄助はとうとう諦めてちいさく鳴きはじめた。
「はあっ、それ……つらい、んっん……あぁあっ! ぐぅっ……」
 皮の内側を、剥がすようにぐるりと舌で舐められる。
 今しがた精液を吐き出して敏感になっている鈴口は熱く、尿道に残ったものを吸い出されるだけで、電流のように強い快感が走る。
「気持ちよさそうだな」
「ちがぁっ……! イったばっか、イ……っ、た、つらいって……あ! うぅ゙う~!」
 背筋が発作のように弓なりに跳ねる。とっくに気持ちよさは上限を突破して、痛いほどになっていた。
 反応を確かめるように、ペニスを舐めしゃぶられながら、奥まった小さな穴に指が伸びてくる。撫でるように少しずつ割れ目を探られ、庄助は慌てた。
「あっ……そこ……」

 菊座に、景虎の指先が触れる。いつもは硬く拒むように息づくそれが、指のほんの先にちゅっと吸い付くような動きをした。指を這わせると、ぬるぬるとしたゼリーのような感触がある。
「……これは」
 庄助は真っ赤な顔をして身体を起こした。
「や……違う……っ! どうせ、するやろなと思って! それやったらちゃんと風呂でキレイにしたほうがええし、濡らしてたら痛くないし!」
 なんてことだ。景虎は目を見開いた。
 あの、いつも嫌だ嫌だとうるさく泣き喚く庄助が、自らセックスの準備をしてきているなんて。自分を受け入れるために、抱かれるために一人でほぐしたのかと思うと、胸が詰まる。
 何ていじらしくて、いやらしい生き物なのだろうか!
「俺かて別にそんなっ……ただ、いつもお前がめちゃくちゃやから用心して……」
 景虎は何も言わず、まだ何事かをぶつぶつ喋り続ける庄助の身体を、ベッドにまたゆっくりと押し倒した。
「聞いてんのかおいっ!」
「聞いてる。俺は今感動してるんだ、庄助。愛してる……お誕生日おめでとう」
「なんで今言うねんっ! おかしいやろ……んわあっ!」

 再度開かせた庄助の股間に顔を埋めると、景虎は陰毛をざり、と舐めた。そのまま、何度も毛繕いみたいに流れに舌を這わせ、恥ずかしさでぴくぴくと反応する庄助のペニスをもう一度咥えた。
「ア……!」
 口腔内をすぼめて密着させ、押し引きするように舐める。半ば強制的に与えられる強い性感に、庄助は大きく身震いをした。
 フェラチオと一緒のタイミングで、狭い胎の壁に沿って中指が入り込む。爪が当たらないように指の腹で探って、ペニスの付け根の裏側に当たるそこになだらかな膨らみを見つけては、揺らすように押す。悲鳴のような嬌声が、空気を求めて反らした庄助の喉からせり上がった。

「ィ、ぅくっ……! ひっ、そこ、そこやめっ……あはぁ……っ!」
 口の中で、庄助の陰茎が硬さを取り戻すのがわかった。指全体を出し入れさせると、戸惑うように蠢く孔がたまに空気を飲み込み、そこに奥から溢れてくる潤滑ゼリーが混ざって、ちゅぽちゅぽと吸い付くような音を立てた。
「ゔぅ……あかんてっ、もう無理やってえ……っん゙み……っ、ぁああっ」
 中を掻き回すと、庄助の足先がガクガクと震えた。尻を浮かせてふくらはぎで踏ん張って、自分ではどうしようもない異物感と快感に耐えている。浮き出た腰骨から汗が流れて、髪の色とは違う、地毛の黒の中に落ちる。
 庄助の指が髪に触れ、頭皮に軽く爪を立てる。景虎はたまらなくなって、バスローブを脱ぎ捨てた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

処理中です...