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一章
2.二度目の王女2
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ミルフィは一通り叫び終わると、乱れた呼吸を元に戻そうと胸に両手を当て、深呼吸を繰り返した。
その一部始終を見ていたフェリクスは、ミルフィの様子に相変わらずだと心の中で呟きながらティーカップに口を付ける。
「……どうして急に変わったの?」
暫くしてようやく落ち着いたミルフィは、自身もティーカップを持ち上げながら口を開いた。
「ええっと……なんでも第一部隊の人員で体調不良を訴えるものが昨日から多かったらしく、それを調べてみたら食事の中にどうやら腐りかけていた食べ物が混入していたみたいですよぉ~」
それで第一部隊のなかで使える人材が大幅に減ってしまったようですと告げるフェリクスに、ミルフィは内心で憤る。
(なによそれは!!どうして腐ったものなんて紛れ込んでんのよ!大体それが第一部隊だけってなんなの本当に!!狙ってやってるでしょ!?)
無性に腹が立ってきたミルフィは、行き場のない怒りを落ち着かせるために無言で席を立つと、ベッドの近くへと寄って行った。そしてそこから枕をむんずと掴み、渾身の力を振り絞ってフェリクスに投げつけたのだった。
しかしフェリクスはいきなり飛ばされた枕に狼狽えることも呆然とすることもなく、極平然とした様子で飛んできた枕を軽々とキャッチし、そしてそれを優しくミルフィに投げ返してやった。
「……それで、一応訊くけれど特別部隊は今回誰が来ることに?」
「ええっと、ちょっと待ってくださいねぇ~」
それから何事もなかったかのようにミルフィがフェリクスに問いかける。
フェリクスは自身の胸ポケットから折り畳んだ紙を取り出し、その中に書かれてあることを確認した。
「ええっと、当たり前ですけれど団長のリュディガーと、……今回は十五名の特別部隊が付くようですよぉ。その中に姉上が最も会いたくない人物もいるみたいですけれど」
そこで一旦言葉を区切ってからフェリクスは真っ直ぐミルフィを見つめた。
「———アルベルト・テレザ・シュバルツさんが」
(ああもう!分かっていたけれどこうして聞いてしまうとさっさとその名前を取り消してしまいたくなるわね!)
「因みに今回のこの決定に姉上が口を挟むのは難しいですよぉ~」
フェリクスの言葉にミルフィは内心で舌打ちをする。そして苛立ちを隠すことなく今の場にいない父親に向けて悪態をついた。
「こういう時に限ってお父様は無駄な仕事をするんだから!」
「まあ、姉上の邪魔をしてくるという点では無駄なことですよねぇ。でも、そこまでして今回騎士が変わったのはどうしてだか姉上はご存知ですかぁ?」
姉の言葉に賛同しながら、フェリクスはそう尋ねた。いや、尋ねたというのは少し語弊があるかもしれない。フェリクスは疑問というよりは確信しているような口調だったのだから。
ミルフィは何かあったかしらと記憶を探って、すぐにそういえば……と思い出す。
「……確か今回の夜会ではわたしを誘拐するのが目的で遊びに来るお客様方が数名いらっしゃるわね」
誘拐された後は確か殺される手はずになっていたと思うわよ、と物騒な言葉を平然とした様子で後に付け足す。
その言葉にフェリクスは顔を青ざめたり慌てたりすることなく、こちらも極平然としながら首を傾げた。
「それは、前回でもあったことですかぁ?」
フェリクスはミルフィから聞いていて、唯一前回があったことを知っている。
ミルフィは机の上に置かれていたティーカップに紅茶を注ぎながら頷いた。
そして、その紅茶を一口飲んで喉を潤してから頷いた。
「ええ、勿論。残念なことにその計画は見事にお父様の耳に入っていたおかげでわたしは誘拐なんてされなかったけれど。……囮にはされたけれどもね。そしてその時にわたしを助け出したのは……」
言葉を続けようとしたミルフィを、フェリクスはみなまでいうなと遮る。
「あー、そこまで言わなくてもいいですよぉ~。大体の事情は察してますからぁ。成る程、だから今回は特別部隊に変更になったんですねぇ。どうしたって特別部隊の方が優秀ですし~」
王立騎士団の部隊は四つに分かれている。
その中でも特別部隊に集められた者は、王族の為に選ばれた騎士達が所属する部隊であるのだ。
その為、特別部隊に所属しているものは腕の立つ者ばかりなのである。
「たしかに今回の誘拐計画を未遂で終わらせたいのなら特別部隊が最も適任だとは思うけれど……」
それでも納得がいかない、とミルフィは顔を歪ませた。
頭では分かっていても心では納得しきれないのは仕方がないことなのである。
「まあ、今回はもう仕方がないですよ~。後は姉上が極力彼に関わらないようにしていくしかないですねぇ」
今回の副代表として来ているようなので避けるのは難しいと思いますけれど、と小さく呟いたその言葉は、生憎なことにミルフィの耳に入ってしまった。
ミルフィは頭痛を堪えるかのようにこめかみに手を当てて、沈痛そうに溜め息をつく。
「……それ、避けられないじゃない。始まる前に挨拶する時って代表ニ名とでしょう?一人は団長だから良いとしても、副ということは絶対にその場にいるじゃない」
溜め息混じりにそう言うと、もう投げ出してしまいたいとげんなりしてしまうミルフィだった。
その一部始終を見ていたフェリクスは、ミルフィの様子に相変わらずだと心の中で呟きながらティーカップに口を付ける。
「……どうして急に変わったの?」
暫くしてようやく落ち着いたミルフィは、自身もティーカップを持ち上げながら口を開いた。
「ええっと……なんでも第一部隊の人員で体調不良を訴えるものが昨日から多かったらしく、それを調べてみたら食事の中にどうやら腐りかけていた食べ物が混入していたみたいですよぉ~」
それで第一部隊のなかで使える人材が大幅に減ってしまったようですと告げるフェリクスに、ミルフィは内心で憤る。
(なによそれは!!どうして腐ったものなんて紛れ込んでんのよ!大体それが第一部隊だけってなんなの本当に!!狙ってやってるでしょ!?)
無性に腹が立ってきたミルフィは、行き場のない怒りを落ち着かせるために無言で席を立つと、ベッドの近くへと寄って行った。そしてそこから枕をむんずと掴み、渾身の力を振り絞ってフェリクスに投げつけたのだった。
しかしフェリクスはいきなり飛ばされた枕に狼狽えることも呆然とすることもなく、極平然とした様子で飛んできた枕を軽々とキャッチし、そしてそれを優しくミルフィに投げ返してやった。
「……それで、一応訊くけれど特別部隊は今回誰が来ることに?」
「ええっと、ちょっと待ってくださいねぇ~」
それから何事もなかったかのようにミルフィがフェリクスに問いかける。
フェリクスは自身の胸ポケットから折り畳んだ紙を取り出し、その中に書かれてあることを確認した。
「ええっと、当たり前ですけれど団長のリュディガーと、……今回は十五名の特別部隊が付くようですよぉ。その中に姉上が最も会いたくない人物もいるみたいですけれど」
そこで一旦言葉を区切ってからフェリクスは真っ直ぐミルフィを見つめた。
「———アルベルト・テレザ・シュバルツさんが」
(ああもう!分かっていたけれどこうして聞いてしまうとさっさとその名前を取り消してしまいたくなるわね!)
「因みに今回のこの決定に姉上が口を挟むのは難しいですよぉ~」
フェリクスの言葉にミルフィは内心で舌打ちをする。そして苛立ちを隠すことなく今の場にいない父親に向けて悪態をついた。
「こういう時に限ってお父様は無駄な仕事をするんだから!」
「まあ、姉上の邪魔をしてくるという点では無駄なことですよねぇ。でも、そこまでして今回騎士が変わったのはどうしてだか姉上はご存知ですかぁ?」
姉の言葉に賛同しながら、フェリクスはそう尋ねた。いや、尋ねたというのは少し語弊があるかもしれない。フェリクスは疑問というよりは確信しているような口調だったのだから。
ミルフィは何かあったかしらと記憶を探って、すぐにそういえば……と思い出す。
「……確か今回の夜会ではわたしを誘拐するのが目的で遊びに来るお客様方が数名いらっしゃるわね」
誘拐された後は確か殺される手はずになっていたと思うわよ、と物騒な言葉を平然とした様子で後に付け足す。
その言葉にフェリクスは顔を青ざめたり慌てたりすることなく、こちらも極平然としながら首を傾げた。
「それは、前回でもあったことですかぁ?」
フェリクスはミルフィから聞いていて、唯一前回があったことを知っている。
ミルフィは机の上に置かれていたティーカップに紅茶を注ぎながら頷いた。
そして、その紅茶を一口飲んで喉を潤してから頷いた。
「ええ、勿論。残念なことにその計画は見事にお父様の耳に入っていたおかげでわたしは誘拐なんてされなかったけれど。……囮にはされたけれどもね。そしてその時にわたしを助け出したのは……」
言葉を続けようとしたミルフィを、フェリクスはみなまでいうなと遮る。
「あー、そこまで言わなくてもいいですよぉ~。大体の事情は察してますからぁ。成る程、だから今回は特別部隊に変更になったんですねぇ。どうしたって特別部隊の方が優秀ですし~」
王立騎士団の部隊は四つに分かれている。
その中でも特別部隊に集められた者は、王族の為に選ばれた騎士達が所属する部隊であるのだ。
その為、特別部隊に所属しているものは腕の立つ者ばかりなのである。
「たしかに今回の誘拐計画を未遂で終わらせたいのなら特別部隊が最も適任だとは思うけれど……」
それでも納得がいかない、とミルフィは顔を歪ませた。
頭では分かっていても心では納得しきれないのは仕方がないことなのである。
「まあ、今回はもう仕方がないですよ~。後は姉上が極力彼に関わらないようにしていくしかないですねぇ」
今回の副代表として来ているようなので避けるのは難しいと思いますけれど、と小さく呟いたその言葉は、生憎なことにミルフィの耳に入ってしまった。
ミルフィは頭痛を堪えるかのようにこめかみに手を当てて、沈痛そうに溜め息をつく。
「……それ、避けられないじゃない。始まる前に挨拶する時って代表ニ名とでしょう?一人は団長だから良いとしても、副ということは絶対にその場にいるじゃない」
溜め息混じりにそう言うと、もう投げ出してしまいたいとげんなりしてしまうミルフィだった。
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