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一章
24. 薔薇と毒牙2
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「ミリアちゃんにはね、ちょっとミモリ村まで行って欲しいの」
いいかな?と首をかしげるセシリア。ミルフィは意図して困惑したような表情を浮かべる。
「ミモリ村……ですか?それってどこにあるんでしょうか?」
ミモリ村は、エルメリーズ領の北部にある森を抜けたところにあるので、あまり王都やその近くに位置する領に住む一般人が知ることはまず無い。
その為、ミルフィも怪しまれないようにする為にも知らないふりをすることにした。
「うーん……エルメリーズ領は分かるかな?」
「あ、はい。そこなら!たしか……帝国との境目にある領地ですよね」
「そうそう。ミリアちゃんの言う通りのところよ」
セシリアは嬉しそうに微笑む。
「それで、どうしてそこに行くんですか?」
「あのね、旦那様がそこにある孤児院を支援しているんだけれど、そこにお手紙を届けて欲しいのよ。今旦那様仕事で手一杯で出向いている暇がないから」
だからお願いしてもいいかな?と両手を組みながらこちらを見つめるセシリアに、ミルフィは笑顔で頷いた。
「もちろんですよ!!エドワード様のお役に立てるなんてこの上ない名誉ですもん!!」
エドワード様は孤児院の支援までしていて素晴らしい人です!と力むミルフィにセシリアも同意する。
「そうよね!旦那様ってとっても素敵よね!!」
女子二人でまるで恋バナのような話を繰り広げつつ、ミルフィは頭の中で思考を巡らせていた。
(私一人で行くことは吝かではないけれど……アルトはそれで納得しないでしょうね。あの人は騎士として忠実だから)
おそらくそれ以外にもアルベルトだって思うところはあるだろうが、そんなことをミルフィが知る由は無かった。
内心うんざりしながらもそれを顔に出すことなく、エドワードの話で盛り上がっていると、唐突に咳払いが扉の方から聞こえてきた為に強制中断されることとなった。
ミルフィは少しだけ緊張で身体を強張らせたが、扉から入ってきた人物を見て助かったとホッと息をついた。
セシリアは不服そうにジト目になる。
「もう、折角盛り上がっていたのに話を中断させるなんて酷いですよ、アルさん!」
頰をプクーっと膨らませてセシリアがアルベルトを恨めがましそうに見る。その瞳が潤んでいるのは故意だろうと思いながら、ミルフィはセシリアを眺めた。
そんなセシリアを見てアルベルトは簡潔に謝罪すると、ミルフィの方を一瞬見てから何を話してたんだ?と尋ねた。
「えっと、セシリアさんのお願いを聞いてだけだよ?」
「お願いを?ミリアが?」
出来るのかと言いたげな雰囲気を作り出したアルベルトは、ミルフィの最初の一言だけである程度の事情を察していた。
「兄さん、わたしを馬鹿にしてるでしょう!?わたしだって手紙を渡しに行くことくらいできるよ!!」
「あ、ミリアちゃん」
つい勢いで言ってしまった風を装ってアルベルトに簡潔に内容が伝わるように言うと、セシリアが慌ててミルフィを呼んだ。
ミルフィは不思議そうに首を傾げてセシリアを見た。
セシリアは何か言いたげな様子で口を開きかけたが、すぐに別の考えが思い浮かんだのか口を閉じた。
そしてその顔に穏やかな笑みを浮かべた。
「アルさんにはわたしから話しておいてあげるから、ミリアちゃんはもう用意してて?そろそろで旦那様のところに行くようでしょう?」
その言葉にミルフィは時計を見てから頷いた。
「そうだね。そろそろ準備しないと遅れちゃう」
「それじゃあアルさん、ミリアちゃんは着替えもしなくちゃならないし部屋から出ましょう?流石に妹でも男性に着替えてるところなんて見られたくないでしょうし」
ね?と言ってセシリアはさり気無くアルベルトの腕に自信の腕を絡ませ、そしてミルフィの部屋を後にしていった。
(……まさに今の状況がハニートラップだったわね)
きっと二人で話す時には色々と色仕掛けでもなんでもしでかしそうな予感しかしないミルフィの内心は複雑であった。
(まあ、アルトがその手のものに引っかかるなんてことはまずありえないでしょうけれど)
そこまで考えてでも、とミルフィは考えを改める。
本当にそうなのだろうか?
綺麗な女性に言い寄られて悪い気のする男はいないだろう。それは、誰に対しても例外がないことなどミルフィは身をもって知っていた。
もし、アルトがセシリアのことを好きになってしまったら?万が一にもないなどと言い切れるだろうか?
そして、ミルフィはふと思い出した。
(そう、そうよ。……アルトが裏切らないなんて確証はどこにもないじゃない。だってあの人は一度わたしを裏切っているもの)
その事実を思い出したミルフィは、自身の認識の甘さを嘲笑った。
(気が付くと心を許しそうになってる……最近ずっとこの繰り返し。本当に調子が狂うわね)
ミルフィは泣きそうになり顔を歪ませる。
心の中が、自分でももう分からなくなっていた。
いいかな?と首をかしげるセシリア。ミルフィは意図して困惑したような表情を浮かべる。
「ミモリ村……ですか?それってどこにあるんでしょうか?」
ミモリ村は、エルメリーズ領の北部にある森を抜けたところにあるので、あまり王都やその近くに位置する領に住む一般人が知ることはまず無い。
その為、ミルフィも怪しまれないようにする為にも知らないふりをすることにした。
「うーん……エルメリーズ領は分かるかな?」
「あ、はい。そこなら!たしか……帝国との境目にある領地ですよね」
「そうそう。ミリアちゃんの言う通りのところよ」
セシリアは嬉しそうに微笑む。
「それで、どうしてそこに行くんですか?」
「あのね、旦那様がそこにある孤児院を支援しているんだけれど、そこにお手紙を届けて欲しいのよ。今旦那様仕事で手一杯で出向いている暇がないから」
だからお願いしてもいいかな?と両手を組みながらこちらを見つめるセシリアに、ミルフィは笑顔で頷いた。
「もちろんですよ!!エドワード様のお役に立てるなんてこの上ない名誉ですもん!!」
エドワード様は孤児院の支援までしていて素晴らしい人です!と力むミルフィにセシリアも同意する。
「そうよね!旦那様ってとっても素敵よね!!」
女子二人でまるで恋バナのような話を繰り広げつつ、ミルフィは頭の中で思考を巡らせていた。
(私一人で行くことは吝かではないけれど……アルトはそれで納得しないでしょうね。あの人は騎士として忠実だから)
おそらくそれ以外にもアルベルトだって思うところはあるだろうが、そんなことをミルフィが知る由は無かった。
内心うんざりしながらもそれを顔に出すことなく、エドワードの話で盛り上がっていると、唐突に咳払いが扉の方から聞こえてきた為に強制中断されることとなった。
ミルフィは少しだけ緊張で身体を強張らせたが、扉から入ってきた人物を見て助かったとホッと息をついた。
セシリアは不服そうにジト目になる。
「もう、折角盛り上がっていたのに話を中断させるなんて酷いですよ、アルさん!」
頰をプクーっと膨らませてセシリアがアルベルトを恨めがましそうに見る。その瞳が潤んでいるのは故意だろうと思いながら、ミルフィはセシリアを眺めた。
そんなセシリアを見てアルベルトは簡潔に謝罪すると、ミルフィの方を一瞬見てから何を話してたんだ?と尋ねた。
「えっと、セシリアさんのお願いを聞いてだけだよ?」
「お願いを?ミリアが?」
出来るのかと言いたげな雰囲気を作り出したアルベルトは、ミルフィの最初の一言だけである程度の事情を察していた。
「兄さん、わたしを馬鹿にしてるでしょう!?わたしだって手紙を渡しに行くことくらいできるよ!!」
「あ、ミリアちゃん」
つい勢いで言ってしまった風を装ってアルベルトに簡潔に内容が伝わるように言うと、セシリアが慌ててミルフィを呼んだ。
ミルフィは不思議そうに首を傾げてセシリアを見た。
セシリアは何か言いたげな様子で口を開きかけたが、すぐに別の考えが思い浮かんだのか口を閉じた。
そしてその顔に穏やかな笑みを浮かべた。
「アルさんにはわたしから話しておいてあげるから、ミリアちゃんはもう用意してて?そろそろで旦那様のところに行くようでしょう?」
その言葉にミルフィは時計を見てから頷いた。
「そうだね。そろそろ準備しないと遅れちゃう」
「それじゃあアルさん、ミリアちゃんは着替えもしなくちゃならないし部屋から出ましょう?流石に妹でも男性に着替えてるところなんて見られたくないでしょうし」
ね?と言ってセシリアはさり気無くアルベルトの腕に自信の腕を絡ませ、そしてミルフィの部屋を後にしていった。
(……まさに今の状況がハニートラップだったわね)
きっと二人で話す時には色々と色仕掛けでもなんでもしでかしそうな予感しかしないミルフィの内心は複雑であった。
(まあ、アルトがその手のものに引っかかるなんてことはまずありえないでしょうけれど)
そこまで考えてでも、とミルフィは考えを改める。
本当にそうなのだろうか?
綺麗な女性に言い寄られて悪い気のする男はいないだろう。それは、誰に対しても例外がないことなどミルフィは身をもって知っていた。
もし、アルトがセシリアのことを好きになってしまったら?万が一にもないなどと言い切れるだろうか?
そして、ミルフィはふと思い出した。
(そう、そうよ。……アルトが裏切らないなんて確証はどこにもないじゃない。だってあの人は一度わたしを裏切っているもの)
その事実を思い出したミルフィは、自身の認識の甘さを嘲笑った。
(気が付くと心を許しそうになってる……最近ずっとこの繰り返し。本当に調子が狂うわね)
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心の中が、自分でももう分からなくなっていた。
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