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一章
29.エメルリーズの現状
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「ちょっ、待って!!」
突然の乱入に驚いて固まっていたミルフィは、何が何だか分からないままアルベルトにぐいっと手を引っ張られ、そのまま外へと出てしまっていた。
着替えも何もしていないのに、と少しだけ現実逃避をしかけてからアルベルトに止まるよう声を掛ける。
しかしそれらを全てスルーされて、そのまま二人はどんどん街中を進んで行ってしまう。
いい加減掴まれている腕が痛くなってきたミルフィはアルベルトの手を離そうとするが、それをアルベルトは許さなかった。
(本当になに!?なんなの!?速いし痛いし女性に対しての気遣い絶対に忘れてるわよねこれ!!)
アルベルトに掴まれたままなのでミルフィが小走りになってしまい、それが結構な時間続いた為、そろそろ体力が尽きそうである。
ミルフィはいい加減に人の話を聞けと言わんばかりにアルベルトの名前を呼んだ。
「アルベルト」
その声は決して大きな声では無かったものの、凛とした響きがあり、聞いた者ならば誰もがその威厳を感じ取れるようなものであった。
ピタリと止まったアルベルトに呆れたような、困惑したような声音でミルフィが声をかける。
「どうしていきなり外になんて……」
そこまで言いかけたミルフィは、急な痛みに顔を歪め、小さく悲鳴をあげてしまった。
「っい!」
「!?……あ、……すまない、殿下」
その声にハッと我に帰ったアルベルトは、すぐにミルフィから手を離した。ミルフィの腕にはくっきりとアルベルトの手の痕が残ってしまっていた。
それを見たアルベルトが申し訳なさそうに、それと同時に罰の悪そうな表情で頭を下げた。
そんなアルベルトをミルフィは暫し眺め、それから深く溜め息をついた。
「……まあ、手紙は持って来たからいいけれど。戻るのには遠くに来すぎたしこのままエルメリーズ領に行ってしまいましょう。もう少し行ったところで辻馬車が拾えるはずだから」
行きましょう、とそれ以上何かを告げることなくミルフィはアルベルトの脇をすり抜けて、迷いなく道を進んで行った。
「———成る程ね、だからセシリアが一緒に来ていたのね」
ガタゴトと揺れる辻馬車の中でもミルフィはアルベルトからセシリアの事情の報告を受けていた。
驚くかとばかりに思っていたミルフィの落ち着いた反応を見たアルベルトは気が付いていたのかと目を見開いた。
それに気が付いたミルフィは苦笑して首を横に振る。
「いいえ、気が付いていた訳ではないわ。ただ、セシリアに対してほんの少し違和感を感じていただけなのよ。でも、それもお兄様の〝影〟ならば納得できるわ」
だってセシリアって全然隙がなかったんだもの。と呟いたミルフィは、そのままアルベルトに渡されたレオンハルトからの手紙を広げた。
そして、読み進めていくごとにアルベルト同様眉間に皺を寄せていく。
「……結局最後は人任せなのね……ええ、知っていたわよ。お兄様がフィルと同じくらい面倒くさがりなそとくらいとっくの昔から知っていたわよ……」
脱力しかけてミルフィが遠い目をする。
最近はしっかりと仕事をこなしているように見えた為忘れかけていたが、レオンハルトは極度の面倒くさがりなのだ。それもフェリクス並みに。いや、それどころかもっと酷かったかもしれない。
けれどもレオンハルトの場合は人に任せて自分が楽するのがとても上手かった為、中々そうは見えないだけなのだ。
「あの人は、……本当に無駄なところで才能を発揮させるから……」
「……たしかにそうだな。『学園』の頃に覚えがある」
ミルフィ同様アルベルトにも心当たりがあるらしく、二人して陰鬱そうに溜め息をついた。
突然の乱入に驚いて固まっていたミルフィは、何が何だか分からないままアルベルトにぐいっと手を引っ張られ、そのまま外へと出てしまっていた。
着替えも何もしていないのに、と少しだけ現実逃避をしかけてからアルベルトに止まるよう声を掛ける。
しかしそれらを全てスルーされて、そのまま二人はどんどん街中を進んで行ってしまう。
いい加減掴まれている腕が痛くなってきたミルフィはアルベルトの手を離そうとするが、それをアルベルトは許さなかった。
(本当になに!?なんなの!?速いし痛いし女性に対しての気遣い絶対に忘れてるわよねこれ!!)
アルベルトに掴まれたままなのでミルフィが小走りになってしまい、それが結構な時間続いた為、そろそろ体力が尽きそうである。
ミルフィはいい加減に人の話を聞けと言わんばかりにアルベルトの名前を呼んだ。
「アルベルト」
その声は決して大きな声では無かったものの、凛とした響きがあり、聞いた者ならば誰もがその威厳を感じ取れるようなものであった。
ピタリと止まったアルベルトに呆れたような、困惑したような声音でミルフィが声をかける。
「どうしていきなり外になんて……」
そこまで言いかけたミルフィは、急な痛みに顔を歪め、小さく悲鳴をあげてしまった。
「っい!」
「!?……あ、……すまない、殿下」
その声にハッと我に帰ったアルベルトは、すぐにミルフィから手を離した。ミルフィの腕にはくっきりとアルベルトの手の痕が残ってしまっていた。
それを見たアルベルトが申し訳なさそうに、それと同時に罰の悪そうな表情で頭を下げた。
そんなアルベルトをミルフィは暫し眺め、それから深く溜め息をついた。
「……まあ、手紙は持って来たからいいけれど。戻るのには遠くに来すぎたしこのままエルメリーズ領に行ってしまいましょう。もう少し行ったところで辻馬車が拾えるはずだから」
行きましょう、とそれ以上何かを告げることなくミルフィはアルベルトの脇をすり抜けて、迷いなく道を進んで行った。
「———成る程ね、だからセシリアが一緒に来ていたのね」
ガタゴトと揺れる辻馬車の中でもミルフィはアルベルトからセシリアの事情の報告を受けていた。
驚くかとばかりに思っていたミルフィの落ち着いた反応を見たアルベルトは気が付いていたのかと目を見開いた。
それに気が付いたミルフィは苦笑して首を横に振る。
「いいえ、気が付いていた訳ではないわ。ただ、セシリアに対してほんの少し違和感を感じていただけなのよ。でも、それもお兄様の〝影〟ならば納得できるわ」
だってセシリアって全然隙がなかったんだもの。と呟いたミルフィは、そのままアルベルトに渡されたレオンハルトからの手紙を広げた。
そして、読み進めていくごとにアルベルト同様眉間に皺を寄せていく。
「……結局最後は人任せなのね……ええ、知っていたわよ。お兄様がフィルと同じくらい面倒くさがりなそとくらいとっくの昔から知っていたわよ……」
脱力しかけてミルフィが遠い目をする。
最近はしっかりと仕事をこなしているように見えた為忘れかけていたが、レオンハルトは極度の面倒くさがりなのだ。それもフェリクス並みに。いや、それどころかもっと酷かったかもしれない。
けれどもレオンハルトの場合は人に任せて自分が楽するのがとても上手かった為、中々そうは見えないだけなのだ。
「あの人は、……本当に無駄なところで才能を発揮させるから……」
「……たしかにそうだな。『学園』の頃に覚えがある」
ミルフィ同様アルベルトにも心当たりがあるらしく、二人して陰鬱そうに溜め息をついた。
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