summer vacationー金魚は冬の打ち上げ花火ー

エビガツナ

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1日目:別れと出会い

ママ

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「………あっ…あかね……あかね!」

ママのか細い声が聞こえてくる。
ママが糸の切れた操り人形のように地面に膝をついた。
ママの腕を掴んでいた2人の男が手を離せば、ママはもう重力に従って倒れるだけだった。

なぜママが血を流しているのだろう?

なぜ涙が止まらないんだろう?

「おっおい!大丈夫か!?」

金髪の男の声を初めて聴いた。

一体何に対しての大丈夫なのだろうか?

「……母親の方はもういい!どうせ、いずれ死ぬ!」

死ぬ?ママが死ぬ?

「娘の方をやれ!」

死ぬ?私も死ぬの?

死んだら、私はどこへ逝くのだろう。
ママはどこへ消えていくのだろう。
私の心は誰のものになるのだろう。

体から力が抜けて私も自分の足では立てなくなった。赤い血がないだけで、私も見た目は今のママと変わらない。

地面に座り込みそうになった瞬間、緑髪の男が私の腕を上へ引っ張り上げた。

「おい!何やってんだよ!!逃げるぞ!」

そう言うと、彼は私の掌を強く掴んで走り出した。その時、私は初めて自分の手が氷のように冷たくなっていることに気がついた。
彼の熱い掌が余計にそれを感じさせる。

「ノラ!後頼んだ!」

ノラと呼ばれた金髪の男は無言で頷くと近づいてきた男達の一人のみぞおちを思いっきり殴った。

「……っ!」

「いくぞ!」

私は緑色の男に連れられてただひたすらに走った。目まぐるしく変わっていく風景の中で、私はママの血を流して倒れていたあの姿だけを思っていた。

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