summer vacationー金魚は冬の打ち上げ花火ー

エビガツナ

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1日目:別れと出会い

路地裏

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「もう少ししたらノラが車で向かえに来てくれるから。」

「………。」

「…なー、さっきお前何で撃ったんだ?俺らに任しとけば良かったのに。
……まー、今更だけど。」

「……分かんない。……きっ気がついたら…!」

「…そっか。」

話し始めると涙がまた溢れ出してきて止まらなくなった。

ここはどこかのビルとビルの間の狭い路地裏だった。

隣の緑色の男はタバコを吸っていた。座っている私に考慮してか彼はさっきからずっと壁に背を預けて立っている。
雲の上の月を探すように。
ここに来て10分くらいしてから雨が降り始めた。彼は黙って私にタバコの匂いのする上着をかけてくれた。私もそれを黙って受け取った。

不思議と疑問はなかった。

隣の男もさっきの男達もなぜ狙われたのかも何も分からない。
だけど、もうそれでもいいような気がした。
ママはおそらく死んだ。私が殺した。
それだけで十分だ。

ただ静かに時が過ぎてゆく。このまま私も静かに消えていくような気がした。

雨の音でさえうるさく感じた。

目を閉じて走馬灯を見ようとした。人は死ぬとき走馬灯を見るという。
今の私にも見えるんじゃないかと思った。

その時、静かに彼が口を開いたのだった。

彼は私が泣き始めると少し困ったような、だけど優しく呟いた。

訳も分からないまま流れた涙はさらに止まらなくなった。

「とりあえずさ、俺らの秘密基地に行こう。…それからこれからのことは考えよう。」

これからのこととは何なのだろう。

「……私、…私ここで死ぬ!……っだから、……、もう…っ」

自分でもびっくりするほど大きな声で叫んだ。

彼を見上げると、彼は微笑んでそして私の前にしゃがんだ。

「世の中俺らみたいに悪いことやって、生きてる奴らなんて山ほどいるんだぜ。今すぐ死ぬことない。」

そう言うと、彼は私の頬に手を添えて、流れる涙をすくった。

「ゆっくり休みな。」

そして、私をゆっくりと抱きしめて優しくキスをした。
初めてのキスなのになぜか懐かしくて、目をつぶるとそのまま意識が遠のいていった。

雨に濡れた体、彼の冷たい手、全てが心地よかった。それだけが今の私の全てだった。
最後に一瞬目を開けると、彼がふっと笑ったように見えて、それがとても美しかった。


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