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2日目:はじまりは突然に
夢の中
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保育園で遊ぶ私に、ママが遠くから声をかけた。
「もう、帰るわよ。」
「やだ!まだ遊ぶー!」
私は、そう言うと友達の方へかけていく。
「茜ちゃん、ママが帰っちゃうわよ。」
保育園の先生が、私へと駆け寄ってママのいたはずの場所を指さした。
私はその方を見る。ママはもうそこにはいない。
そこで私は初めて気がつくのだ。また、ママを怒らしてしまったことに。私は焦ってカバンを取りに行き、ママ!と叫びながら保育園を後にする。
家へ続くはずの真っ直ぐな道路を私は走る。けれど、いつまで経ってもママには追いつかないのだ。私は、次第に走るのをやめて、泣きながら歩く。気がつけば辺りは闇に包まれて、もう一生抜け出せないような道なき道が続いている。
「……ママ。」
頬に生暖かい温もりを感じた。そして、それを拭うように風が頬を撫でた。私は、風の通り道をゆっくりと触り、感触を確かめてから目を開いた。
しかし眩しすぎる日差しに驚いて、もう一度目を閉じる。すると、耳元で囁くような優しい声が聞こえてきた。
「おはよう。……怖い夢でも見た?」
まだぼんやりとした頭に、その声は染み渡っていく。私はその声の方へ頭だけ向いて、目を開いた。
「ハハっ!ひでぇ顔!」
視界の先にいたのは、緑色の髪の男だった。私はしばらくの間、笑っている彼を見つめていた。実際にはほんの数秒の事だったのかもしれない。けれどその数秒の間で、私は昨夜の長い長い出来事を思い出したのだ。本当に長かった一日を。
「……ごめん、いきなり怒らせちゃった?」
彼は真夏の太陽のような笑顔の後、今度は春の窓辺から差し込む暖かな陽射しのように微笑んでそう言った。ちょうど、彼の後ろ側に見える小窓からの陽射しのように。
「……ここはどこですか?」
彼に話しかけて、思っていたよりもずっと小さい声に戸惑った。そして、自分の声とは思えないほど乾いているその声に、私はもう私ではなくなったのではないかと思った。
「声ガラガラだな。喉渇いた?色々話したいこともあるからさ、取りあえず下に行こう。」
色々という所に、さっきの答えも含まれているのだろう。私は、ゆっくりと起き上がって自分がベッドの上にいたことを確かめた。辺りを見渡すと、ここはベッドと小窓、隣にはフクロウの形をした掛け時計、それ以外はなにもない小さな部屋だった。私と彼、2人が部屋にいるだけで、さらに小さく感じてしまうほど小かった。
「じゃあ、行こうか。」
彼はベッドの足下の方にあった少し古さを感じる木製のドアを開けて、私を呼んだ。
私は、毛布から足を出して所々傷が目立つフローリングに触れた。
冷たい床がやっと現実へと私を引き戻して、私はまだ知らない現実へと一歩踏み出した。
「もう、帰るわよ。」
「やだ!まだ遊ぶー!」
私は、そう言うと友達の方へかけていく。
「茜ちゃん、ママが帰っちゃうわよ。」
保育園の先生が、私へと駆け寄ってママのいたはずの場所を指さした。
私はその方を見る。ママはもうそこにはいない。
そこで私は初めて気がつくのだ。また、ママを怒らしてしまったことに。私は焦ってカバンを取りに行き、ママ!と叫びながら保育園を後にする。
家へ続くはずの真っ直ぐな道路を私は走る。けれど、いつまで経ってもママには追いつかないのだ。私は、次第に走るのをやめて、泣きながら歩く。気がつけば辺りは闇に包まれて、もう一生抜け出せないような道なき道が続いている。
「……ママ。」
頬に生暖かい温もりを感じた。そして、それを拭うように風が頬を撫でた。私は、風の通り道をゆっくりと触り、感触を確かめてから目を開いた。
しかし眩しすぎる日差しに驚いて、もう一度目を閉じる。すると、耳元で囁くような優しい声が聞こえてきた。
「おはよう。……怖い夢でも見た?」
まだぼんやりとした頭に、その声は染み渡っていく。私はその声の方へ頭だけ向いて、目を開いた。
「ハハっ!ひでぇ顔!」
視界の先にいたのは、緑色の髪の男だった。私はしばらくの間、笑っている彼を見つめていた。実際にはほんの数秒の事だったのかもしれない。けれどその数秒の間で、私は昨夜の長い長い出来事を思い出したのだ。本当に長かった一日を。
「……ごめん、いきなり怒らせちゃった?」
彼は真夏の太陽のような笑顔の後、今度は春の窓辺から差し込む暖かな陽射しのように微笑んでそう言った。ちょうど、彼の後ろ側に見える小窓からの陽射しのように。
「……ここはどこですか?」
彼に話しかけて、思っていたよりもずっと小さい声に戸惑った。そして、自分の声とは思えないほど乾いているその声に、私はもう私ではなくなったのではないかと思った。
「声ガラガラだな。喉渇いた?色々話したいこともあるからさ、取りあえず下に行こう。」
色々という所に、さっきの答えも含まれているのだろう。私は、ゆっくりと起き上がって自分がベッドの上にいたことを確かめた。辺りを見渡すと、ここはベッドと小窓、隣にはフクロウの形をした掛け時計、それ以外はなにもない小さな部屋だった。私と彼、2人が部屋にいるだけで、さらに小さく感じてしまうほど小かった。
「じゃあ、行こうか。」
彼はベッドの足下の方にあった少し古さを感じる木製のドアを開けて、私を呼んだ。
私は、毛布から足を出して所々傷が目立つフローリングに触れた。
冷たい床がやっと現実へと私を引き戻して、私はまだ知らない現実へと一歩踏み出した。
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