短編SS集〜1日1SSを目指して〜

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寿命 誕生 死別

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人は寿命には逆らえない。それがこの世のルール。
変えようもない世界の理。
いくら人間が科学技術を向上させようと、いくら世界の真理に近づこうとしても、このルールは崩すことはできないのだ。人間が人間である限り。
しかし、人間でなければ、寿命を克服したものはいる。つまり、人間は人間であることを捨てれば寿命という檻を壊すことが出来る。
人間は集団を社会を大切にし、それを成長させる生物だ。その理性と呼ばれるもので人間は、人間であることを辞めることを禁じた。
人間が人間を辞める方法など、随分前から開発されていた。実験もいくらでもされてきた。
だが、人間はそれを本能で忌避した。人間を辞める方法を模索する過程で生まれたあらゆるものを活用したとしても、人間という範疇を超えることを許さなかった。

そんな世の中に、あるものが誕生した。
生物はダーウィン氏が提言した通り、進化をする。環境に、本能に適応するために進化する。
その生まれたものは人間から生まれたが、人間を生まれた時から超越していた。
最初の違和感は、生まれた瞬間の産声がないにもかかわらず通常通りに呼吸をしていた。ごく稀にある事案なため、医師ですら初めて見たぐらいで済ましていた。次は初の食事のとき。なかなか母から母乳が出なかった。それでも母親は母乳で育てることに執着した。こういう人もいる。そして、様々な試行錯誤の末に、母乳が出た。大喜びをし、子供に与えようとした。しかし母乳を飲まず、母の乳に噛み付いたのだ。よく見れば未だ生えるはずのない歯が生え揃っていたのだ。
すぐに研究に移され、血液検査、DNA検査などなど様々な検査を行った結果、その赤ん坊は人間と98%同じ遺伝子を持つが、残りの2%が既知のどの生物にも当てはまらない遺伝子構造をしていたという。
それを両親に伝えた途端、母は発狂。赤ん坊を殴り続け、殺してしまう。いや、殺したかに思えた。
人間であれば死んでしまうほどの猛攻を受けてもなお、赤ん坊は生命活動を維持していた。
その後、その赤ん坊は両親の元から離れ、研究施設で研究され尽くした。しかし、どのような実験を行っても死ぬことは無かった。
政府はこの事案を隠蔽し、事実を知っている両親と病院関係者を秘密裏に殺害した。

「......パパ、ママ、死んじゃった。」

そう隔離保護ルームで話したことが確認された。
不死であること以外にも人間と異なる部分があるとされ、さらに研究は進むこととなる。
しかしこの時、誰も知らなかった。いや、知る由もなかった。両親との死別こそ本当の不死になるためのキーであったことに。
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