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第2章 恋のキューピッド大作戦 〜 Shape of Our Heart 〜
野郎二人で1k暮らし
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クリストファー・レイネット。略称はクリス。15歳。飛び級で大学院を卒業し、エイビス国立研究所に採用される。彼の志望通り宇宙航空開発部に配属されるが急に予算がなくなり、設備と資材が揃えられず予定していた研究を進められないでいる。その間の雑用として上司より命ぜられたのがグレージーちゃんのお世話。
グレージー。略称はレイジー。人造人間(?)。生命環境部所属のモルモット。見た目は十代後半だが、年齢は3歳。昔は彼女を使った研究が行われていたが、今ではあまり行われていない。本来は生命環境部の者が世話をするべきだが、誰もやりたがらなかったのでたらい回しにされていた。今は主にクリスくんが面倒を見ている。
この1週間で聞き出した彼らのプロフィールはこんなところ。ちなみに、俺はクリスくんの家にお世話になっている。最初は当然のように嫌がられたが、俺の元いた世界の話に興味を持ってくれたのでなんとか説得できた。
「……で、いつまでここにいるつもりなんですか?」
いつものように彼の帰宅についていった俺に、クリスくんがぼそりと言った。
「もうそろそろ一週間経ちますよ? そろそろ別の場所に行ってもいいんじゃないですかね?」
(えー、でも俺この世界に君たち以外に知り合いいないし)
「だからって、四六時中見えない誰かが傍にいたら精神がすり減りますよ。プライバシーの侵害です」
部屋の中で彼は言う。
確かに彼の気持ちは分かる。クリスくんはいま一人暮らしだ。実家は近くにあるらしいのだが、研究所に近いため今は寮に住んでいる。研究所が従業員のために開放しているものだ。研究所はアパートタイプから貸家タイプまで様々な物件を所有しているらしい。さすが国立。お金持ちだ。
所帯持ちでないクリスくんが選んだのは当然ながらアパートタイプ。1kの間取りの小さな部屋が幾つも並んだもの。この部屋には身を隠すところがどこにもない。ひとり用に設計されたのだから当たり前だ。しかし、今はこの部屋を俺と彼でシェアしている。異性同士ならまだしも、野郎ふたりでこれはキツイ。
(まあ、君の気持ちは分からんでもないがーー。もしや、女性を部屋に連れ込むつもりか?)
「は? 何でそうなんですか?」
おいおい、「は?」という言葉が返ってきたよ。もしや彼、女性が嫌い、とか?
今回のミッションはクリスくんとレイジーちゃんをくっつけることだ。二人の相性・性格次第でアプローチも難易度も変わってくる。彼を知る前は軟派野郎だったら面倒かなーと思ってたけど、女嫌いのほうが厄介かも。
(いやだって、君もお年頃だし経済的に自立もしているでしょ。彼女のひとりやふたり、居るのかと思ってね)
「いや、ふたり居るのはおかしいと思いますけどね」
そうか。この国は一夫一妻制か。
(で、彼女は居るの? この一週間、そんな影は見えなかったけど)
「いませんよ。大学の頃は居ましたけど、院に入る頃に別れました」
おっと、居たことはあるのか。それなら良かった。
それにクリスくんと付き合っていた彼女には悪いけど、別れていてくれて良かった。今も彼女がいたとしたら、別れさせることから始めないいけなくなる。それはちょっと、やりたくない。
「なので、部屋に呼ぶ人は誰もいません。それに、ここは研究所の関係者以外立ち入り禁止なんですよ。外れも外れですが、一応、研究所の敷地内ですからね」
(そうなのか。でも、君の先輩は女性を連れ込んでたぞ?)
「え、先輩って、コバヤシ先輩がですか?」
そう、その人。クリスくんにお酒を飲ませた人。
「あの人はまったく……」
(まあまあ。一通り他の部屋も周ってみたけど、君の先輩以外にも連れ込んでる人けっこういたからね。暗黙の了解みたいになってるから言っても聞かないと思うよ)
「そうだったんですか? 知らなかったです」
そう言って彼は目を丸くする。寮の部屋、けっこう防音がしっかりしていたから気づかなかったんだろうな。入居したばっかりみたいだし。
「まあいずれにせよ、四六時中一緒はちょっと嫌というか、精神的にキツイのでたまには別の場所に行ってきてください」
(えー、俺研究所の外のことあまり知らないんだけど。道に迷って戻って来れなくなるのは嫌だし、俺と話せる人は貴重だからあまり離れたくないんだよね)
前の世界での精神崩壊がトラウマになっているので、この世界で俺はかなり慎重に探索している。なので、まだ研究所周りの地理しか頭に入っていない。ちょっとワガママっぽく聞こえるかもしれないが、二度と精神崩壊しないためにここは譲りたくない。
俺の言葉にクリスくんはちょっと悩んだ素振りを見せて答える。
「うーん、そうですね。帝都の案内はまた今度しますよ。一度俺と周れば迷うこともないでしょう。それと、悪霊さんには僕以外にも話せる人がいるじゃないですか」
(僕以外って、レイジーちゃんのこと? でも、彼女とは話せることができても、話していい状況じゃないというか、クリスくんにもあまり話さないよう釘を刺されたじゃないか)
「まあ、それについては秘策があるので大丈夫です」
(秘策?)
「細かいことは明日話しますが、少しくらいなら話しても怪しまれなくなると思います」
おお、それはすごい! 俺もレイジーちゃんともっと話したかったんだよね。
「というわけで、今夜は別の部屋で過ごして、また明日の朝にでも声を掛けてください。空き部屋がどこかにあればそこで。なければどうせ悪霊さんの声は聞こえないのでしょう? 適当な部屋で休んでくださいね」
(おう、分かった! それじゃあ行ってくる)
そう言って俺は彼の部屋から出た。
彼は一週間ぶりにひとりで夜を過ごすことになる。彼は既に働いているが、俺の元いた世界の中学~高校生くらいの年頃だ。今夜はこの部屋に近づかないほうが良さそうだな。
グレージー。略称はレイジー。人造人間(?)。生命環境部所属のモルモット。見た目は十代後半だが、年齢は3歳。昔は彼女を使った研究が行われていたが、今ではあまり行われていない。本来は生命環境部の者が世話をするべきだが、誰もやりたがらなかったのでたらい回しにされていた。今は主にクリスくんが面倒を見ている。
この1週間で聞き出した彼らのプロフィールはこんなところ。ちなみに、俺はクリスくんの家にお世話になっている。最初は当然のように嫌がられたが、俺の元いた世界の話に興味を持ってくれたのでなんとか説得できた。
「……で、いつまでここにいるつもりなんですか?」
いつものように彼の帰宅についていった俺に、クリスくんがぼそりと言った。
「もうそろそろ一週間経ちますよ? そろそろ別の場所に行ってもいいんじゃないですかね?」
(えー、でも俺この世界に君たち以外に知り合いいないし)
「だからって、四六時中見えない誰かが傍にいたら精神がすり減りますよ。プライバシーの侵害です」
部屋の中で彼は言う。
確かに彼の気持ちは分かる。クリスくんはいま一人暮らしだ。実家は近くにあるらしいのだが、研究所に近いため今は寮に住んでいる。研究所が従業員のために開放しているものだ。研究所はアパートタイプから貸家タイプまで様々な物件を所有しているらしい。さすが国立。お金持ちだ。
所帯持ちでないクリスくんが選んだのは当然ながらアパートタイプ。1kの間取りの小さな部屋が幾つも並んだもの。この部屋には身を隠すところがどこにもない。ひとり用に設計されたのだから当たり前だ。しかし、今はこの部屋を俺と彼でシェアしている。異性同士ならまだしも、野郎ふたりでこれはキツイ。
(まあ、君の気持ちは分からんでもないがーー。もしや、女性を部屋に連れ込むつもりか?)
「は? 何でそうなんですか?」
おいおい、「は?」という言葉が返ってきたよ。もしや彼、女性が嫌い、とか?
今回のミッションはクリスくんとレイジーちゃんをくっつけることだ。二人の相性・性格次第でアプローチも難易度も変わってくる。彼を知る前は軟派野郎だったら面倒かなーと思ってたけど、女嫌いのほうが厄介かも。
(いやだって、君もお年頃だし経済的に自立もしているでしょ。彼女のひとりやふたり、居るのかと思ってね)
「いや、ふたり居るのはおかしいと思いますけどね」
そうか。この国は一夫一妻制か。
(で、彼女は居るの? この一週間、そんな影は見えなかったけど)
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おっと、居たことはあるのか。それなら良かった。
それにクリスくんと付き合っていた彼女には悪いけど、別れていてくれて良かった。今も彼女がいたとしたら、別れさせることから始めないいけなくなる。それはちょっと、やりたくない。
「なので、部屋に呼ぶ人は誰もいません。それに、ここは研究所の関係者以外立ち入り禁止なんですよ。外れも外れですが、一応、研究所の敷地内ですからね」
(そうなのか。でも、君の先輩は女性を連れ込んでたぞ?)
「え、先輩って、コバヤシ先輩がですか?」
そう、その人。クリスくんにお酒を飲ませた人。
「あの人はまったく……」
(まあまあ。一通り他の部屋も周ってみたけど、君の先輩以外にも連れ込んでる人けっこういたからね。暗黙の了解みたいになってるから言っても聞かないと思うよ)
「そうだったんですか? 知らなかったです」
そう言って彼は目を丸くする。寮の部屋、けっこう防音がしっかりしていたから気づかなかったんだろうな。入居したばっかりみたいだし。
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(えー、俺研究所の外のことあまり知らないんだけど。道に迷って戻って来れなくなるのは嫌だし、俺と話せる人は貴重だからあまり離れたくないんだよね)
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俺の言葉にクリスくんはちょっと悩んだ素振りを見せて答える。
「うーん、そうですね。帝都の案内はまた今度しますよ。一度俺と周れば迷うこともないでしょう。それと、悪霊さんには僕以外にも話せる人がいるじゃないですか」
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