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第1章 大きな森の小さな家
19.案外大丈夫だったな
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小屋の中では3人の細かい打ち合わせが続く。
クリスはその内容に耳を傾けながら通信石を握りしめた。
(-シド、ウィル。山の麓の小屋に騎士がいた。ランクC槍術士で、魔法も使えるみたいだ。これから暗殺者2名がそちらに向かう気らしい。――殺せ、と聞こえた)
(――分かった。戻って来れそうか)
(-難しいかもしれない。でも、ここは多分安全だと思う)
(まあ、壁を隔ててるとはいえ、敵が目の前にいますけどね)とクリスは思いながら言った。
心は決まった。
本隊に連絡されたら今よりもっともっとヤバイことになのは目に見えている。暗殺者2人はシドとウィルに任せて、自分はこの騎士を何とかするんだ。
その時、扉が開いて、暗殺者2人が飛び出していった。
(―シド、2人が小屋を出た。10分以内にそっちに到着すると思う)
(-了解した。お前はそこを動くなよ。こっちは何とかする)
通信石をポケットに入れ、クリスは小屋の中を伺った。騎士は若干油断している様子ではあるが、隙がない。
クリスが動けなくなっていると、騎士はテーブルの上のお盆に指をつけた。
水手紙だ。本体に連絡を取るのだろう。
もう手段にかまっている場合じゃない。
クリスは加護<勇者発揚><勇者無双>を強く意識した。
そして、超高難易度スキルを発動させた。
「<影移動>」
クリスの姿が小屋の陰から消える。
そして、ランタンに照らされた騎士の背後の影から静かに飛び出すと、背後から一気に右腕を切り飛ばし、騎士が振り向く前に刀で心臓を一突きした。
呻くような声を上げて倒れる騎士。
肩で大きく息をしながらクリスは急いで机の上に置いてあった水手紙を確認した。そこには、「対象らしき人物を確認 これより確保に向かう 出動を要請する」と書かれていた。
(アレッタ!どうしよう!)
『落ち着いてください。こちらの文章が表示されているということは、まだ送信はされていません』
送信されてないと聞いて、クリスは少し落ち着いた。
(これって、書き換えることとかできるのかな)
『水文字は登録した本人の魔力以外で文字を書くことはできません。ただ、送信は本人の指紋さえあればいつでもできますから、文字の消える半日以内であればいつでもできます』
クリスは横目で自分が切り飛ばした騎士の右腕を見た。
確かに、指紋はある。
『念のため、腕には状態保存をかけておくと良いでしょう』
確かに死後硬直してしまったら指紋が認識されないかもしれない。クリスは右腕に状態保存の魔法をかけ、部屋の隅に丸めておいてあった布切れを騎士の上にかけた。
そして、「案外大丈夫だったな」と、つぶやいた。
その時、シドの声が聞こえてきた。
(-クリス、無事か?)
(-うん。何とか。そっちは?)
(-ああ。問題ない。加減はできなかったがな・・・。戻って来れるか?)
(―うん。大丈夫。今から戻る)
クリスはランタンを吹き消した。
こんな夜中にこの場所を通る者などいないだろうが、用心するに越したことはない。
クリスはその内容に耳を傾けながら通信石を握りしめた。
(-シド、ウィル。山の麓の小屋に騎士がいた。ランクC槍術士で、魔法も使えるみたいだ。これから暗殺者2名がそちらに向かう気らしい。――殺せ、と聞こえた)
(――分かった。戻って来れそうか)
(-難しいかもしれない。でも、ここは多分安全だと思う)
(まあ、壁を隔ててるとはいえ、敵が目の前にいますけどね)とクリスは思いながら言った。
心は決まった。
本隊に連絡されたら今よりもっともっとヤバイことになのは目に見えている。暗殺者2人はシドとウィルに任せて、自分はこの騎士を何とかするんだ。
その時、扉が開いて、暗殺者2人が飛び出していった。
(―シド、2人が小屋を出た。10分以内にそっちに到着すると思う)
(-了解した。お前はそこを動くなよ。こっちは何とかする)
通信石をポケットに入れ、クリスは小屋の中を伺った。騎士は若干油断している様子ではあるが、隙がない。
クリスが動けなくなっていると、騎士はテーブルの上のお盆に指をつけた。
水手紙だ。本体に連絡を取るのだろう。
もう手段にかまっている場合じゃない。
クリスは加護<勇者発揚><勇者無双>を強く意識した。
そして、超高難易度スキルを発動させた。
「<影移動>」
クリスの姿が小屋の陰から消える。
そして、ランタンに照らされた騎士の背後の影から静かに飛び出すと、背後から一気に右腕を切り飛ばし、騎士が振り向く前に刀で心臓を一突きした。
呻くような声を上げて倒れる騎士。
肩で大きく息をしながらクリスは急いで机の上に置いてあった水手紙を確認した。そこには、「対象らしき人物を確認 これより確保に向かう 出動を要請する」と書かれていた。
(アレッタ!どうしよう!)
『落ち着いてください。こちらの文章が表示されているということは、まだ送信はされていません』
送信されてないと聞いて、クリスは少し落ち着いた。
(これって、書き換えることとかできるのかな)
『水文字は登録した本人の魔力以外で文字を書くことはできません。ただ、送信は本人の指紋さえあればいつでもできますから、文字の消える半日以内であればいつでもできます』
クリスは横目で自分が切り飛ばした騎士の右腕を見た。
確かに、指紋はある。
『念のため、腕には状態保存をかけておくと良いでしょう』
確かに死後硬直してしまったら指紋が認識されないかもしれない。クリスは右腕に状態保存の魔法をかけ、部屋の隅に丸めておいてあった布切れを騎士の上にかけた。
そして、「案外大丈夫だったな」と、つぶやいた。
その時、シドの声が聞こえてきた。
(-クリス、無事か?)
(-うん。何とか。そっちは?)
(-ああ。問題ない。加減はできなかったがな・・・。戻って来れるか?)
(―うん。大丈夫。今から戻る)
クリスはランタンを吹き消した。
こんな夜中にこの場所を通る者などいないだろうが、用心するに越したことはない。
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