辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐

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第7章:未来への学びと絆

第159話「学院生活の息抜きと新たな出会い」

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研究の一区切りがついた翌日、エルヴィンたちは少し肩の力を抜いて過ごそうと、学院内の広場に集まった。木漏れ日が差し込む広場では、学生たちが談笑しながら読書をしたり、軽い運動をしたりと、それぞれ自由な時間を楽しんでいる。

「こうしてのんびりするのも久しぶりだな。」
レオンが広場のベンチに腰を下ろし、大きく伸びをしながら笑った。
「最近は研究ばっかりだったし、たまにはこういうのも悪くねえな。」

「レオン様、本当に気が抜けた顔をしていらっしゃいますわね。」
カトリーヌが呆れたように微笑みながら、隣に腰掛ける。
「でも、確かに少し休息が必要ですわね。頑張り続けるだけでは、集中力が持ちませんもの。」

「そうですね……私も、最近は結晶の調整ばかりで少し疲れていました。」
リヴィアも控えめに笑みを浮かべながら、カトリーヌの隣に座った。

エルヴィンは木陰に座りながら、持参したノートを開いていた。視線はノートに向いているものの、書き込む手は動かず、穏やかな風に目を細めている。

「エルヴィン様も、今日は少しゆっくりしてくださいね。」
リヴィアが気遣うように声をかける。

「うん、大丈夫だよ。ただ……ちょっと次の研究のことを考えていただけなんだ。」
エルヴィンは少し照れたように笑った。

「おいおい、ここでも研究のことかよ!」
レオンが苦笑いしながら肩をすくめる。
「お前、本当に一回くらい何も考えない日を作れよな。」

「そうよ、エルヴィン様。」
カトリーヌも頷く。
「今日はせっかくみんなで息抜きの時間を取ったのですから、何か楽しい話題でもしましょう?」

「そうだな……」
エルヴィンが少し考え込むような表情を浮かべていると、広場の端から見慣れない学生たちの姿が近づいてきた。

その学生たちは、エルヴィンたちよりも少し年上に見えた。三人組のグループで、彼らも学院の制服を着ているが、どこか洗練された雰囲気をまとっている。

「やあ、君たちが噂の研究グループか?」
一人の学生が笑顔で近づいてきた。背が高く、浅黒い肌にショートカットの黒髪、鋭い灰色の瞳が印象的だ。
「俺はハロルド。上級生のグループで魔道工学を専攻している。最近、君たちの研究の話を聞いて興味を持ったんだ。」

エルヴィンたちは顔を見合わせ、驚きの表情を浮かべた。

「上級生の方なんですね。僕はエルヴィンです。このグループで研究を進めています。」
エルヴィンが立ち上がり、丁寧に自己紹介をすると、ハロルドは頷いて微笑んだ。

「君がリーダーか。噂に違わず若いね。でも、その実力は本物だって聞いたよ。」
ハロルドがそう言うと、隣にいた赤毛の少女が口を開いた。
「私たちも、ちょうど魔力分岐の技術について研究を進めていたところだったの。あなたたちの装置、とても興味深いわ。」

彼女はハロルドの隣に立つ華奢な体格の少女で、彼に負けないくらいに自信に満ちた目をしている。

「ありがとう。僕たちはまだ試行錯誤の段階ですけど……」
エルヴィンが謙遜気味に答えると、赤毛の少女は軽く首を振った。
「そんなことないわ。私たち上級生ですら、ここまで実用性を兼ね備えた技術を作り出せていないもの。」

「つまり、俺たちにとってはいいライバルができたってことさ。」
ハロルドが軽快に笑いながら言うと、レオンがニヤリと笑った。

「ライバルか。それは面白いな。俺たちは負けないぜ!」
レオンが拳を掲げると、ハロルドも拳を軽く合わせた。

「望むところだ。」
ハロルドは微笑みを浮かべながら返す。

「でも、ライバルというだけじゃなく、私たちもお互いに情報交換しながら成長していきたいわ。」
赤毛の少女が優しく微笑む。

「それは素晴らしい考えですわね。」
カトリーヌが相手に向かって笑顔を見せた。
「競争しつつも、共に高め合える関係になれたら、学院全体の技術力も向上しますわ。」

「そうだな。僕たちも学べることがたくさんあると思う。」
エルヴィンが頷きながら答えた。

その後、ハロルドたちとエルヴィンたちは学院の広場で互いの研究について話し合い、親睦を深めていった。ライバルとしての関係でありながら、どこか同志のような空気も漂っている。

「じゃあ、また何かあったら声をかけてくれよ。」
ハロルドが手を振りながら立ち去ると、レオンが満足げに笑った。

「面白い奴らだったな。これから楽しくなりそうだ。」

「ええ、学院生活がさらに充実しそうですわ。」
カトリーヌも微笑む。

「お互いに頑張れば、もっといい研究ができそうですね……。」
リヴィアが静かに言うと、エルヴィンも同意するように頷いた。

「そうだね。僕たちも負けないように、これからもっと頑張ろう。」
エルヴィンは決意を新たにした。

こうして、新たなライバルとの繋がりが生まれたエルヴィンたちは、学院生活にさらなる充実感を得ていく。競争と協力の中で、彼らの成長はますます加速していくのだった――。
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