24 / 112
第3章:新たなる旅の始まり
第23話 ルナフォレストの入口にて
しおりを挟む
優馬たちは、王都を後にして数日かけて「ルナフォレスト」の入口までやってきた。森の入り口には、長い年月を経て緑に覆われた石の門が立っており、その門には古代文字が刻まれている。リリアはその文字をじっと見つめていた。
「これ、精霊語ですね……。『ここより先、試練を受ける者、自然の声を聞け』と書かれています」
「試練か……ま、俺たちにはもう慣れた言葉だな。でも、今回はちゃんと準備してきたから、何とかなるさ」
優馬は軽く肩をすくめて笑い、手元の錬金術セットを確認する。王都で揃えた新しい材料も多く、精霊の力を活かした新しいポーションやアイテムのレパートリーが増えていた。リリアも精霊石を手に持ち、緊張しつつも前を見据えている。
「さあ、コハク、リリア、行こう。俺たちの新しい冒険が始まる」
「うん、頑張りましょう、優馬さん!」
「ワン!」
コハクも元気よく鳴き、三人はルナフォレストの中へと足を踏み入れた。森の中は薄暗く、密集した木々が日光を遮っているが、彼らの足元には不思議な光る苔が生えており、優しい光で道を照らしてくれていた。
しばらく進んだ後、優馬たちは適当な休憩場所を見つけ、荷物を下ろして休憩を取ることにした。リリアは精霊の力を使って周囲の魔物の気配を探り、コハクは辺りを警戒しながら鼻を鳴らしている。
「リリア、どうだ? この辺りには何も危険なものはないか?」
「はい、今のところは平和ですね。でも、この森全体に漂う精霊の気配がとても強いです……何かが、私たちを見守っているような感じがします」
「なるほどな。あんまり気を緩めるわけにもいかないけど、せっかくの休憩だからちょっとゆっくりしよう」
優馬はリュックからお茶セットを取り出し、前日に王都の市場で買った「スピカの花」を使って温かいハーブティーを淹れ始めた。スピカの花は、爽やかな香りとほんのり甘い味わいが特徴の、リリアの大好きな茶葉だ。
「よし、これでできた……リリア、どうぞ」
優馬がカップを差し出すと、リリアはその香りを嗅いで目を細め、嬉しそうに受け取った。
「優馬さん、ありがとうございます……ああ、すごくいい香りですね」
リリアが一口飲むと、ハーブティーの柔らかい香りが口いっぱいに広がり、緊張していた気持ちが和らぐようだった。コハクも優馬のそばに座り、同じようにリラックスした表情を浮かべている。
「ふぅ、こういう時間って本当に大切ですよね……。精霊たちも、こうやって穏やかな気持ちになるのが好きみたいです」
「そうだな。森の中っていうのもあるけど、なんだか落ち着くよな」
優馬もカップを手に取り、森の香りとハーブティーの香りを楽しみながら、コハクの頭を撫でた。コハクはその手に嬉しそうに顔を擦り付ける。
「でもさ、リリア……君の精霊たちって、普段はどんなことを話してるんだ? 俺には見えないけど、いつも君のそばにいるって感じだよな」
優馬が興味津々に聞くと、リリアは少し照れながら答えた。
「精霊たちって、実はおしゃべりなんですよ。森のこととか、天気のこととか、あと時々、優馬さんが作る料理の匂いについて話してくれたりもします」
「え、俺の料理の匂いが精霊にも届いてるのか?」
「はい……実は、優馬さんのリュナの実のパイがとても人気なんです。特に、風の精霊たちが……」
リリアはくすくすと笑いながら話す。その様子に優馬も思わず笑みがこぼれ、コハクも尻尾を揺らしていた。
「そっか、精霊たちにも俺の料理が評判なんだな。なんか嬉しいな、それ」
「優馬さんは本当にすごいです……私、あなたと旅をしていて、いろいろなことを学んでいます。だから、もっともっと頑張りたいって思うんです」
リリアの真剣な言葉に、優馬は少し照れたように頭を掻いた。
「そんなこと言われると、俺も頑張らないとって思うよ。でも、無理はするなよ。こうして、リラックスできる時間も大切だからさ」
リリアは優馬の言葉に頷き、ハーブティーをもう一口飲んでから、ゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。コハクもその場に体を横たえ、優馬たちと一緒に穏やかなひとときを楽しんでいる。
「これ、精霊語ですね……。『ここより先、試練を受ける者、自然の声を聞け』と書かれています」
「試練か……ま、俺たちにはもう慣れた言葉だな。でも、今回はちゃんと準備してきたから、何とかなるさ」
優馬は軽く肩をすくめて笑い、手元の錬金術セットを確認する。王都で揃えた新しい材料も多く、精霊の力を活かした新しいポーションやアイテムのレパートリーが増えていた。リリアも精霊石を手に持ち、緊張しつつも前を見据えている。
「さあ、コハク、リリア、行こう。俺たちの新しい冒険が始まる」
「うん、頑張りましょう、優馬さん!」
「ワン!」
コハクも元気よく鳴き、三人はルナフォレストの中へと足を踏み入れた。森の中は薄暗く、密集した木々が日光を遮っているが、彼らの足元には不思議な光る苔が生えており、優しい光で道を照らしてくれていた。
しばらく進んだ後、優馬たちは適当な休憩場所を見つけ、荷物を下ろして休憩を取ることにした。リリアは精霊の力を使って周囲の魔物の気配を探り、コハクは辺りを警戒しながら鼻を鳴らしている。
「リリア、どうだ? この辺りには何も危険なものはないか?」
「はい、今のところは平和ですね。でも、この森全体に漂う精霊の気配がとても強いです……何かが、私たちを見守っているような感じがします」
「なるほどな。あんまり気を緩めるわけにもいかないけど、せっかくの休憩だからちょっとゆっくりしよう」
優馬はリュックからお茶セットを取り出し、前日に王都の市場で買った「スピカの花」を使って温かいハーブティーを淹れ始めた。スピカの花は、爽やかな香りとほんのり甘い味わいが特徴の、リリアの大好きな茶葉だ。
「よし、これでできた……リリア、どうぞ」
優馬がカップを差し出すと、リリアはその香りを嗅いで目を細め、嬉しそうに受け取った。
「優馬さん、ありがとうございます……ああ、すごくいい香りですね」
リリアが一口飲むと、ハーブティーの柔らかい香りが口いっぱいに広がり、緊張していた気持ちが和らぐようだった。コハクも優馬のそばに座り、同じようにリラックスした表情を浮かべている。
「ふぅ、こういう時間って本当に大切ですよね……。精霊たちも、こうやって穏やかな気持ちになるのが好きみたいです」
「そうだな。森の中っていうのもあるけど、なんだか落ち着くよな」
優馬もカップを手に取り、森の香りとハーブティーの香りを楽しみながら、コハクの頭を撫でた。コハクはその手に嬉しそうに顔を擦り付ける。
「でもさ、リリア……君の精霊たちって、普段はどんなことを話してるんだ? 俺には見えないけど、いつも君のそばにいるって感じだよな」
優馬が興味津々に聞くと、リリアは少し照れながら答えた。
「精霊たちって、実はおしゃべりなんですよ。森のこととか、天気のこととか、あと時々、優馬さんが作る料理の匂いについて話してくれたりもします」
「え、俺の料理の匂いが精霊にも届いてるのか?」
「はい……実は、優馬さんのリュナの実のパイがとても人気なんです。特に、風の精霊たちが……」
リリアはくすくすと笑いながら話す。その様子に優馬も思わず笑みがこぼれ、コハクも尻尾を揺らしていた。
「そっか、精霊たちにも俺の料理が評判なんだな。なんか嬉しいな、それ」
「優馬さんは本当にすごいです……私、あなたと旅をしていて、いろいろなことを学んでいます。だから、もっともっと頑張りたいって思うんです」
リリアの真剣な言葉に、優馬は少し照れたように頭を掻いた。
「そんなこと言われると、俺も頑張らないとって思うよ。でも、無理はするなよ。こうして、リラックスできる時間も大切だからさ」
リリアは優馬の言葉に頷き、ハーブティーをもう一口飲んでから、ゆっくりと目を閉じて深呼吸をした。コハクもその場に体を横たえ、優馬たちと一緒に穏やかなひとときを楽しんでいる。
64
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる