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愉快な教室と俺の記憶
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「えー、はい。6時限目は色々配布物配るだけだからのんびりやりましょう。じゃ、手始めに宿題配りまーす。」
教室がざわめく。教壇に置かれたプリントの数に。何だこの量は!去年の倍だ。
「まあまあ、皆忘れてないですよねー、今年は例の案件があるので全国夏休みが1ヶ月長いんですから。あ、やって来なかった人は毎日放課後に2倍の量を終わるまでやってもらいます。」
お調子者の何人かが、唸る。
「せんせー、国語も出てますか?」
「お、残念ながらみんなの期待には添えないねー、流石に去年は怒られたんだよこれでも。」
教室がどっと湧く。ふと凜音が目に入る。
凜音は教室の右端。俺は真ん中の列の後ろ辺りに居る。凜音は窓の外をぼんやりと眺めていた。周りとの、雰囲気の差がすごい。
「はい、どんどん回していってねー」
教室の喧騒は鳴り止まず、やがて凜音すらも釣られて笑いだした。だがその様子は俺には作っている笑顔にも見えてしまう。きっと思い込みだ。
「玲蘭、はよ回せよ。」
「ご、ごめん。」
つい、凛音のことを考えてしまっていて、クラスメイトに怒られてしまう。
「え、何?好きな子?」
注意してきた男子が小声で聞いてくる。
「俺が恋愛とかしたら雹が降るわ。」
「チッ、青春の欠片もねえな、お前。」
「恋愛だけが青春じゃねえの。」
かく言う俺も、彼女がいる。
1つ上の学年の彼女。部活の先輩だ。
告ったのはお互い同タイミングで、俺が告白しようとしたらストレートに付き合いを申し込まれた。しかし、1つ言い渡されたことがある。
今度の大会に優勝して、全国に行けなかったら、別れてくれて大丈夫。と言う事。
「そこー、玲蘭と隆雅、廊下立っとく?」
「あ、すみません。」
「さーせーん。」
「態度の悪さは5やな、評価はほぼ1だけど」
静まりかけていた教室がまた騒がしくなってしまう。
「前向いとけや、また1が増えるぞ、評価」
俺は隆雅を、注意しておく。正確には俺の評価が下がってしまっては駄目なのだ。
「いや、もう通知表見てるから、三者懇談で。てか見てないの?」
「二学期のだよ、馬鹿かおめーは。」
「少なくとも天才では無いな。」
「そこー、水いっぱいのバケツも用意しとこうか?」
教師に2段階めの注意を喰らう。
「そろそろ前向いとけやお前。」
小声でこうは言ったものの、この後教師と隆雅のいつものやり取りが始まる。
「あ、ぜひ。筋トレしときます!」
「いや体罰になるわ!」
教室の、騒がしさがピークに達する。
"ガラッ"
そこで教室のドアが勢いよく空けられ、生徒指導の先生が笑顔で、登場する。
「うるさい。」
生徒指導はその一言を残して去っていく。
だが、生徒指導の全力の笑顔と最悪の覇気が混ざり、みんなが一斉に黙り込む。
「また呼び出されるわ。」
流石に皆笑うのを堪えるのであった。
「ただいまゆず姉。」
「おかえりー。」
俺の家は一軒家だが、決して裕福な家庭という訳でも無い。
今は姉の柚羽と2人で暮らしている。というか、交通事故で母が亡くなり父は1年の、大方海外にいる。
「今日夜ご飯何にする?」
「俺はいいから自分のだけ食べて。簡単に何かつまんどくからさ。」
「駄目だよー、今日はちゃんと食べてもらう。栄養管理ちゃんとしとかないと、体壊すよ?」
「あー、分かったよ。ご飯は何でもいいけど、そんなにいらないからね?」
「ん、よしよし!」
俺は少食で、お金もないので丁度環境に合っているのだ。それに、父からの仕送りでは俺たちの生活は賄えず、節約するかどうにかして稼ぐしかない。
「私は一昨日から休みだからさ。れいの為に色々サポートするし、夏休みの間も演劇頑張ってね!」
「ありがと、後で台本読むの手伝って。」
姉は演技が凄く上手い。演劇など役者の経験は1度もないスポーツマンなのに、頭もよく何でもできる。そんな姉を俺は誇らしく思っている。
「おっけぇ!受けて立つよ!」
「なんか圧やば」
荷物の片付けを終え、俺は風呂に入る。
教室がざわめく。教壇に置かれたプリントの数に。何だこの量は!去年の倍だ。
「まあまあ、皆忘れてないですよねー、今年は例の案件があるので全国夏休みが1ヶ月長いんですから。あ、やって来なかった人は毎日放課後に2倍の量を終わるまでやってもらいます。」
お調子者の何人かが、唸る。
「せんせー、国語も出てますか?」
「お、残念ながらみんなの期待には添えないねー、流石に去年は怒られたんだよこれでも。」
教室がどっと湧く。ふと凜音が目に入る。
凜音は教室の右端。俺は真ん中の列の後ろ辺りに居る。凜音は窓の外をぼんやりと眺めていた。周りとの、雰囲気の差がすごい。
「はい、どんどん回していってねー」
教室の喧騒は鳴り止まず、やがて凜音すらも釣られて笑いだした。だがその様子は俺には作っている笑顔にも見えてしまう。きっと思い込みだ。
「玲蘭、はよ回せよ。」
「ご、ごめん。」
つい、凛音のことを考えてしまっていて、クラスメイトに怒られてしまう。
「え、何?好きな子?」
注意してきた男子が小声で聞いてくる。
「俺が恋愛とかしたら雹が降るわ。」
「チッ、青春の欠片もねえな、お前。」
「恋愛だけが青春じゃねえの。」
かく言う俺も、彼女がいる。
1つ上の学年の彼女。部活の先輩だ。
告ったのはお互い同タイミングで、俺が告白しようとしたらストレートに付き合いを申し込まれた。しかし、1つ言い渡されたことがある。
今度の大会に優勝して、全国に行けなかったら、別れてくれて大丈夫。と言う事。
「そこー、玲蘭と隆雅、廊下立っとく?」
「あ、すみません。」
「さーせーん。」
「態度の悪さは5やな、評価はほぼ1だけど」
静まりかけていた教室がまた騒がしくなってしまう。
「前向いとけや、また1が増えるぞ、評価」
俺は隆雅を、注意しておく。正確には俺の評価が下がってしまっては駄目なのだ。
「いや、もう通知表見てるから、三者懇談で。てか見てないの?」
「二学期のだよ、馬鹿かおめーは。」
「少なくとも天才では無いな。」
「そこー、水いっぱいのバケツも用意しとこうか?」
教師に2段階めの注意を喰らう。
「そろそろ前向いとけやお前。」
小声でこうは言ったものの、この後教師と隆雅のいつものやり取りが始まる。
「あ、ぜひ。筋トレしときます!」
「いや体罰になるわ!」
教室の、騒がしさがピークに達する。
"ガラッ"
そこで教室のドアが勢いよく空けられ、生徒指導の先生が笑顔で、登場する。
「うるさい。」
生徒指導はその一言を残して去っていく。
だが、生徒指導の全力の笑顔と最悪の覇気が混ざり、みんなが一斉に黙り込む。
「また呼び出されるわ。」
流石に皆笑うのを堪えるのであった。
「ただいまゆず姉。」
「おかえりー。」
俺の家は一軒家だが、決して裕福な家庭という訳でも無い。
今は姉の柚羽と2人で暮らしている。というか、交通事故で母が亡くなり父は1年の、大方海外にいる。
「今日夜ご飯何にする?」
「俺はいいから自分のだけ食べて。簡単に何かつまんどくからさ。」
「駄目だよー、今日はちゃんと食べてもらう。栄養管理ちゃんとしとかないと、体壊すよ?」
「あー、分かったよ。ご飯は何でもいいけど、そんなにいらないからね?」
「ん、よしよし!」
俺は少食で、お金もないので丁度環境に合っているのだ。それに、父からの仕送りでは俺たちの生活は賄えず、節約するかどうにかして稼ぐしかない。
「私は一昨日から休みだからさ。れいの為に色々サポートするし、夏休みの間も演劇頑張ってね!」
「ありがと、後で台本読むの手伝って。」
姉は演技が凄く上手い。演劇など役者の経験は1度もないスポーツマンなのに、頭もよく何でもできる。そんな姉を俺は誇らしく思っている。
「おっけぇ!受けて立つよ!」
「なんか圧やば」
荷物の片付けを終え、俺は風呂に入る。
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