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第8章
211 救出
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***後半マコト視点です。***
転移完了。ここから通常転移門まではそう遠くない。
……が、念の為マップは表示しておこう。暗くて分かりにくいし、正直な話全部覚えてるわけでもない。ついでに最短ルートも表示してくれたりするか?
「迷宮内ナビゲートを実行します」
通常転移門までの道が青く強調表示された。なんでも頼んでみるもんだ。
ご丁寧に罠のところにも赤で警告が出てる。これも地味に助かるな。いつだったかみたいに、うっかり落とし穴とかハマったら大変だし。
後は案内に従って歩いていくだけだ。唯一問題があるとすれば……
「ギッ……ギッ……」
そう、魔物はそのままってことだ。
幸いこっちも大体の配置は頭に入ってるが、あいつらは移動するし、王の俺にも普通に襲いかかってくる。
ある程度進化してれば俺や迷宮側の奴と探索者の区別も付くんだけどな。一般魔物にそこまでの知能はないらしい。つってもゴーストとかは例外みたいだが。
とにかく、絡まれると面倒だ。ワンチャン苦戦するし。後ろをそーっと抜けてくぜ。ほらさっさとあっち向いてくれよ。そうガン見されると下手に動くこともできないだろうが。
「ギチギチギチギチ!」
「うわ!」
威嚇してきやがった。いや仲間を呼んだのか。ええっと溶岩に落とせばいいんだよな。もう仲間呼ばれたし手遅れか? 一体ずつやってる時間はない。全員落とすとなると……えーっと……置換? いやむしろここは、
「――起動せよ!」
加速を発動。三十六計逃げるに如かずってやつだ。一体だけならまだしも複数体は無理無理。
蟻を振り切るのは思ったより簡単だった。あいつら結婚体重いもんな。次の坂を上って左、よしオーケー。もうすぐだ。
「返答なし。話し合える状況にはなさそうだね」
「う、うーん……そうみたいだけど……」
「僕らは勇者なんだ。半端な優しさでリスクを増やすのは好ましくない。僕がやるから、シエル達は下がってて」
ギリギリセーフってとこか。話し合いを提案したシエルとかいう天使には感謝だな。
「――起動せよ!」
「っ、何だ!?」
(リフェア、聞こえるか!)
(マスター!)
白煙で視界を真っ白にして走る。直進だけすればたどり着くような角度で入ってきたが、一応マップも確認しつつ、手と足を必死に動かす。そろそろさっきの加速が切れるな。まあ何個か持ってきてるし、帰りの分を考えても余裕はある。
(降りられるか? 急いで逃げるぞ)
(術式破棄がまだ終わってないの、少しだけ待って!)
どうやらリフェア側でも何かやってたらしい。素因の動きは特に感じられないが、意識を集中させると少し影が湿っているような気もする。勘違いだと恥ずいから言わないでおくが。
「――解析!」
『解析を感知。天の羽衣による自動探知妨害を実行、情報の制限に成功』
「罠!?」
「いいや人みたいだ、でも解析は途中で失敗した! こうなったら――」
解析は弾けたみたいだな。これはデカい。計算に入れ忘れてたが、俺の正体はバレない方がいい。
(終わった、これで暴走はしないはず!)
(了解、じゃあ俺の影に入ってくれ)
あのヒヤッとした感じが背中を伝う。あとはもうひとっ走りして任務完了だ。
「――直接読み取る!」
「んなっ――」
ガッツリ左腕を掴まれた。目が合う。魔力を流し込まれた部分から嫌な痺れが広がる。まずいぞ。
「なら腕ごと爆破するまでだ! ――起動せよ!」
「っ!」
掴む力が弱くなった隙に振りほどき、思いっきり目を瞑る。勿論爆破する気なんてさらさらない。使ったのは閃光だ。
目を瞑っても真昼間に太陽を直視したくらいの眩しさがあった。下も向いとくべきだったな。
(ま、マスター……!)
(悪いリフェア、ちょっと我慢してくれ!)
ぼんやりと見えた先には、うずくまって目を押さえるリフェア。どうやら影がなくなって弾き出されたらしい。
隠蔽が切れていて助かった。念話を聞いてから手探りで探してたら時間がかかりすぎる。
「――起動せよ!」
「くそっ、待て!」
加速を使ってからリフェアを抱きかかえ、走る。後ろから当たったらヤバそうな魔術が飛んでくるが、相手は碌に目も見えてない状態だ。掠りもしない。
じゃあなお前ら、また最深部で会おう。
* * *
「げほ、げほ、なんだったんだ、一体」
「――解析。……反応なし、やっぱり連れて行かれたか」
やっと目が見えるようになった。けど、リフェアともう一人の姿はない。
「でも攻撃されたりしなかったし、良かったよ!」
「それもそうだね。敵意があるならさっきの間に何か仕掛けてきたはずだ。今この辺りを見たときに僕らの身体についても調べたけど、特に変化はない」
「おーし、じゃあ進もうぜ。ここ暑っちいし」
リフェアは逃がしたけど、結果としては悪くなかった。僕の解析は進化している。
まず解析の術式を相手の中にねじ込むことによって、その効果を長続きさせることに成功した。
最終的にあの強力な隠蔽を剥がせた実感もあった。姿を見ることはできなかったけど、剥がせたという事実だけで十分だ。
次に、割り込んできた男にも同じ方法で術式の植え付けを行った。これは''強欲''の能力を組み合わせた特殊なものだ。上手くやれば殺さずに相手の力を全て奪い取れる。
殺したくないわけじゃない。ただ相手の力が僕らより上回っていた場合に、先に能力を全て奪っておけばより簡単に事が進む。あの男は僕の解析に妨害を入れてきたし、探索者であれこの迷宮の存在であれ、ただの雑魚ではないということは確かだ。
あのときは妨害のせいでその実力は分からなかった。けど忍ばせた解析はまだ生きているから、現時点でも既にかなり情報が入ってきている。
例えば――あの男がこの迷宮の主であることとか。
魔王が下につくとは考えられないけど、あの男が魔王以上なら僕らを殺せないはずがない。もっと情報が欲しいところだ。
「なんか怪しい通路だな。誠! 解析頼む」
「了解――解析」
ひとまず前に進むことを最優先に考えよう。入ってきた情報には迷宮に関することも多いし、運が良ければまた階層を一気に進められるかもしれない。
転移完了。ここから通常転移門まではそう遠くない。
……が、念の為マップは表示しておこう。暗くて分かりにくいし、正直な話全部覚えてるわけでもない。ついでに最短ルートも表示してくれたりするか?
「迷宮内ナビゲートを実行します」
通常転移門までの道が青く強調表示された。なんでも頼んでみるもんだ。
ご丁寧に罠のところにも赤で警告が出てる。これも地味に助かるな。いつだったかみたいに、うっかり落とし穴とかハマったら大変だし。
後は案内に従って歩いていくだけだ。唯一問題があるとすれば……
「ギッ……ギッ……」
そう、魔物はそのままってことだ。
幸いこっちも大体の配置は頭に入ってるが、あいつらは移動するし、王の俺にも普通に襲いかかってくる。
ある程度進化してれば俺や迷宮側の奴と探索者の区別も付くんだけどな。一般魔物にそこまでの知能はないらしい。つってもゴーストとかは例外みたいだが。
とにかく、絡まれると面倒だ。ワンチャン苦戦するし。後ろをそーっと抜けてくぜ。ほらさっさとあっち向いてくれよ。そうガン見されると下手に動くこともできないだろうが。
「ギチギチギチギチ!」
「うわ!」
威嚇してきやがった。いや仲間を呼んだのか。ええっと溶岩に落とせばいいんだよな。もう仲間呼ばれたし手遅れか? 一体ずつやってる時間はない。全員落とすとなると……えーっと……置換? いやむしろここは、
「――起動せよ!」
加速を発動。三十六計逃げるに如かずってやつだ。一体だけならまだしも複数体は無理無理。
蟻を振り切るのは思ったより簡単だった。あいつら結婚体重いもんな。次の坂を上って左、よしオーケー。もうすぐだ。
「返答なし。話し合える状況にはなさそうだね」
「う、うーん……そうみたいだけど……」
「僕らは勇者なんだ。半端な優しさでリスクを増やすのは好ましくない。僕がやるから、シエル達は下がってて」
ギリギリセーフってとこか。話し合いを提案したシエルとかいう天使には感謝だな。
「――起動せよ!」
「っ、何だ!?」
(リフェア、聞こえるか!)
(マスター!)
白煙で視界を真っ白にして走る。直進だけすればたどり着くような角度で入ってきたが、一応マップも確認しつつ、手と足を必死に動かす。そろそろさっきの加速が切れるな。まあ何個か持ってきてるし、帰りの分を考えても余裕はある。
(降りられるか? 急いで逃げるぞ)
(術式破棄がまだ終わってないの、少しだけ待って!)
どうやらリフェア側でも何かやってたらしい。素因の動きは特に感じられないが、意識を集中させると少し影が湿っているような気もする。勘違いだと恥ずいから言わないでおくが。
「――解析!」
『解析を感知。天の羽衣による自動探知妨害を実行、情報の制限に成功』
「罠!?」
「いいや人みたいだ、でも解析は途中で失敗した! こうなったら――」
解析は弾けたみたいだな。これはデカい。計算に入れ忘れてたが、俺の正体はバレない方がいい。
(終わった、これで暴走はしないはず!)
(了解、じゃあ俺の影に入ってくれ)
あのヒヤッとした感じが背中を伝う。あとはもうひとっ走りして任務完了だ。
「――直接読み取る!」
「んなっ――」
ガッツリ左腕を掴まれた。目が合う。魔力を流し込まれた部分から嫌な痺れが広がる。まずいぞ。
「なら腕ごと爆破するまでだ! ――起動せよ!」
「っ!」
掴む力が弱くなった隙に振りほどき、思いっきり目を瞑る。勿論爆破する気なんてさらさらない。使ったのは閃光だ。
目を瞑っても真昼間に太陽を直視したくらいの眩しさがあった。下も向いとくべきだったな。
(ま、マスター……!)
(悪いリフェア、ちょっと我慢してくれ!)
ぼんやりと見えた先には、うずくまって目を押さえるリフェア。どうやら影がなくなって弾き出されたらしい。
隠蔽が切れていて助かった。念話を聞いてから手探りで探してたら時間がかかりすぎる。
「――起動せよ!」
「くそっ、待て!」
加速を使ってからリフェアを抱きかかえ、走る。後ろから当たったらヤバそうな魔術が飛んでくるが、相手は碌に目も見えてない状態だ。掠りもしない。
じゃあなお前ら、また最深部で会おう。
* * *
「げほ、げほ、なんだったんだ、一体」
「――解析。……反応なし、やっぱり連れて行かれたか」
やっと目が見えるようになった。けど、リフェアともう一人の姿はない。
「でも攻撃されたりしなかったし、良かったよ!」
「それもそうだね。敵意があるならさっきの間に何か仕掛けてきたはずだ。今この辺りを見たときに僕らの身体についても調べたけど、特に変化はない」
「おーし、じゃあ進もうぜ。ここ暑っちいし」
リフェアは逃がしたけど、結果としては悪くなかった。僕の解析は進化している。
まず解析の術式を相手の中にねじ込むことによって、その効果を長続きさせることに成功した。
最終的にあの強力な隠蔽を剥がせた実感もあった。姿を見ることはできなかったけど、剥がせたという事実だけで十分だ。
次に、割り込んできた男にも同じ方法で術式の植え付けを行った。これは''強欲''の能力を組み合わせた特殊なものだ。上手くやれば殺さずに相手の力を全て奪い取れる。
殺したくないわけじゃない。ただ相手の力が僕らより上回っていた場合に、先に能力を全て奪っておけばより簡単に事が進む。あの男は僕の解析に妨害を入れてきたし、探索者であれこの迷宮の存在であれ、ただの雑魚ではないということは確かだ。
あのときは妨害のせいでその実力は分からなかった。けど忍ばせた解析はまだ生きているから、現時点でも既にかなり情報が入ってきている。
例えば――あの男がこの迷宮の主であることとか。
魔王が下につくとは考えられないけど、あの男が魔王以上なら僕らを殺せないはずがない。もっと情報が欲しいところだ。
「なんか怪しい通路だな。誠! 解析頼む」
「了解――解析」
ひとまず前に進むことを最優先に考えよう。入ってきた情報には迷宮に関することも多いし、運が良ければまた階層を一気に進められるかもしれない。
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