木曽義仲の覇業・私巴は只の側女です。

水源

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嘉応2年(1170年)

続地獄の訓練歩兵編

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 さてさて、歩兵科の行軍訓練も脱落者が出なくなったところで(ちなみにどうしてもついてこれないたものは、家に戻ってもらいました)難易度を上げていきましょう。

 今までは1日80里(48km)を一日歩けば手習天神に帰ってきて休むことができました。

 しかし、実際には行軍が1日だけなどということは当然ありません。

 今回からは1泊2日で一日野営をおこなって、2日連続で1日80里(48km)づつ行軍を続けてしてもらいます

 がその前に騎兵候補及び弓兵候補を選抜してそちらは別の訓練になります。

 選抜を終えたら歩兵達に容赦なく告げます。

「はい、次回からの行軍訓練は2日連続一日野営をはさんでのものになりますので、座学として調理や野営用の幕の貼り方をしばらく教えることになりますので、ちゃんと覚えてくださいね。
 また必要な装備は各自に配布します。」

 予め作らせておいた背負い篭、鉄製の陣笠、飯袋、竹の水筒、塩袋、脚絆、草履と金属の穂先をつけていない練習用の木製の槍と木刀大小を個人に。

 米釜、幕、刃先が鋼性の鍬、鶴嘴、斧、手斧、鑿、鎌、炭や牧を挟むための鉄箸、火打石、点火用もぐさ、馬、猫車などを火単位に配布し準備させます。 

「げえ、本当にこれ俺達が自分で全部持っていくんですか?」

「もちろん、槍や太刀が木製な分少しは軽いはずですよ、火単位で一頭馬も与えますので荷物はうまく分けてください。
 全部馬に積んでもいいですが……」

「いいですが?」

「馬を潰してしまったら、後が大変ですよ、基本補充はないと思ってください」

「え、本当ですか?」

「嘘ではありません、本当です、馬は高くて貴重なのですよ」

「そりゃわかってますが……」

「盗賊や他の国の豪族が攻めてきて食料や女子供をさらっていくのを防ぐためです。
 みなさん、せっかく開梱した田畑やそこから取れた食料を奪われたくないでしょう」

「うう……、分かりました」

 この時代の軍が持ち歩く食料は米と塩と大豆が基本であとは現地で調達です。

 坂道では牛や馬の背にのせたほうが確実です。

 この時代戦ともなれば行軍中の食料は最初の出立時は自分の領地の物を運びますが、道道にて寺社や荘園領主などに寄進を募り、最後は略奪ということになります。

 この行為が平家軍にも義仲軍にも破滅をもたらしたのです。

 皆げんなりした顔をしていましたが、そこは将来役に立つ事なので、行動は起こさねばなりません。

 幕の張り方や石竈の作り方を座学で伝えたあとは実践です。

 朝から夕まで歩いたあと、皮より少し高くなっている適当な広さの河原に幕を張ります。

 野営地を川の近くにするのは水の確保を容易にするためですね。

 米などの煮炊きをするには多量の水が必要ですし、飲用水の補充も必要ですから。

 幕を張り終えたら、石を積み上げて竈を作ります。

 三方を石で囲って枯れ木の枝を積み上げて、火打ち石でもぐさに火をつけ、息を吹き込んで火種を大きくして、火を強くします。

 またまだ動けるものは川や河原でウサギや魚や川エビ、野草などをとってこさせます。

 釜に米を入れて蓋をし、陣笠を洗ってその中に水と締めて解体したうさぎの肉や魚や川エビ、野草を入れて塩で味付けをします。

 米が炊きあがったら、手づかみで塩を振って食べ、陣笠の方の煮物もある程度冷めてきたら手づかみで食べます。

「はい、食事が終わったらさっさと寝てくださいね」

「あーい」

「もう死ぬ……」

「疲れ果てて皆バタバタ倒れるように寝てしまいましたね……」

 石が多い河原で寝るのは寝心地最悪ですがしかたないですね。

 実際に戦闘が起こるようになれば一ヶ月行軍ということもありえるのですから、こういった準備は重要です。

 速い速度で行軍でき、戦場にて全力を出せるように仕込むのがどれだけ大変か……。

 いずれにせよ兵站と兵の訓練は重要です。

 そして兵を失わないように傷病者の手当も重要ですね。
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