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ドラゴン(1)
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【ブライト】
「なるほどな。アインからそのドラゴンの調査をしてくれ……と言ってきたわけだな」
「はい。どうやらその件について国が関わっているかも知れないらしくて――」
「町が壊滅させられたのならその可能性はあるだろうな。確かにドラゴンは恐ろしい相手だが、しっかりとした知性を持っていて、そうそう襲ってくることはないんだ」
「つまり、国が理由があってドラゴンを怒らせた……と?」
「故意的に襲わせたのか、それとも偶然なのか……。その辺りも併せて調べて欲しいんだろうな。ルリカも一緒に来るのか?」
「はい。アイン様からブライトさんと行動を共にするように仰せつかっています」
「――それでアインはどうするんだ? また前みたいに現地で合流か?」
「いえ、今回は私たちだけみたいです。アイン様はまだ動かないといけないことがあるみたいで……」
「そうか……。一体何をしてるんだろうな――」
「私にはさすがに分からないです――」
「あぁ、そうだろうな。俺も正直分からない。でも、これが俺たちのためになるんだろう? ならやるしかないな」
「はい……。頑張りましょう……」
ルリカとブライトはお互い目を合わせながら頷いていた。
◇
魔女の森からかなりの日数をかけて、ドラゴンが現れたという町へとやってきた。
いや、町だったもの……というのが正しいかも知れない。
「ひどい……」
ルリカが口に手を当てて悲しそうな表情をみせる。
町は全壊しており、一部建物の跡がここにまちのあった証拠になっていた。
当然ながら生き残っているものは一人も居ない。
ブライト自身も今まで酷い状態の町は見たことがある。
しかし、ここは飛び抜けて酷い。
思わず目を覆いたくなる。
しかし、ギュッと唇を噛みしめてアインから頼まれた仕事を始める。
視界内にはドラゴンはいない。
町を壊し終えてから飛び去ったのか?
そして、国の兵と思われる人物がところどことに倒れている。
兵士が国民を助けるとも思えないので、こんなところにいるのは何かの理由があるのだろう。もちろんそれを聞くことはできないが。
「ブライトさん、こっちにまだ息のある人が――」
「よし、よくやった。治療を任せても良いか?」
「はい、畏まりました」
ルリカが息のある人に回復魔法を使っている間に建物を調べる。
たまたま燃え残っただけのようで、真っ黒になっている。
かなり高火力の炎が使われたようだ。
ドラゴンなら火炎を口から吐いてくるので、何もおかしくはなさそうだ。
「ブライトさん、先ほどの方が目を覚まされました」
「あぁ、すぐに行く!」
ルリカの言葉を聞いたブライトは調べていた建物から目を離し、倒れていた人へと近づいていく。
「助けていただいて本当にありがとうございます。お礼を言ってもいい足りないくらいです――」
「いや、気にするな。礼ならルリカに言ってやってくれ」
「わ、私は当然のことをしただけですよ……」
ルリカが慌てふためいていた。
しかし、それを気にせずに聞きたいことを聞く。
「それよりも一体何があったんだ?」
「それが私たちも何が何だか……。突然ドラゴンが襲いかかってきて、気がついたらこんな状況になっていました」
顔を伏せる男。
まぁ、仕方ないか……。
こんな状況なのだから――。
「そのドラゴンが襲ってくる前は何か変わったことがなかったか? 周りの魔物達が突然逃げ出したり……とか、国の兵が怪しげな動きをしていた……とか」
「そうですね……。兵士の方はこの町に何か探しに来られたみたいなんですよね。でも、突然ドラゴンが襲ってきましたので、懸命に戦ってくれていました」
兵士が!?
いや、やつらが国民を助けるはずがない。
つまり、そう考えると兵士達の目的はドラゴンの討伐にあったのか?
ドラゴンの素材は人気で高額で売ったり出来る。
しかも貴族連中はそれをステータスに持っていると聞く。
なるほど……。そのためにドラゴン討伐を依頼して、結果的にドラゴンを怒らせて、この町が燃えてしまったんだな。
「なるほどな。アインからそのドラゴンの調査をしてくれ……と言ってきたわけだな」
「はい。どうやらその件について国が関わっているかも知れないらしくて――」
「町が壊滅させられたのならその可能性はあるだろうな。確かにドラゴンは恐ろしい相手だが、しっかりとした知性を持っていて、そうそう襲ってくることはないんだ」
「つまり、国が理由があってドラゴンを怒らせた……と?」
「故意的に襲わせたのか、それとも偶然なのか……。その辺りも併せて調べて欲しいんだろうな。ルリカも一緒に来るのか?」
「はい。アイン様からブライトさんと行動を共にするように仰せつかっています」
「――それでアインはどうするんだ? また前みたいに現地で合流か?」
「いえ、今回は私たちだけみたいです。アイン様はまだ動かないといけないことがあるみたいで……」
「そうか……。一体何をしてるんだろうな――」
「私にはさすがに分からないです――」
「あぁ、そうだろうな。俺も正直分からない。でも、これが俺たちのためになるんだろう? ならやるしかないな」
「はい……。頑張りましょう……」
ルリカとブライトはお互い目を合わせながら頷いていた。
◇
魔女の森からかなりの日数をかけて、ドラゴンが現れたという町へとやってきた。
いや、町だったもの……というのが正しいかも知れない。
「ひどい……」
ルリカが口に手を当てて悲しそうな表情をみせる。
町は全壊しており、一部建物の跡がここにまちのあった証拠になっていた。
当然ながら生き残っているものは一人も居ない。
ブライト自身も今まで酷い状態の町は見たことがある。
しかし、ここは飛び抜けて酷い。
思わず目を覆いたくなる。
しかし、ギュッと唇を噛みしめてアインから頼まれた仕事を始める。
視界内にはドラゴンはいない。
町を壊し終えてから飛び去ったのか?
そして、国の兵と思われる人物がところどことに倒れている。
兵士が国民を助けるとも思えないので、こんなところにいるのは何かの理由があるのだろう。もちろんそれを聞くことはできないが。
「ブライトさん、こっちにまだ息のある人が――」
「よし、よくやった。治療を任せても良いか?」
「はい、畏まりました」
ルリカが息のある人に回復魔法を使っている間に建物を調べる。
たまたま燃え残っただけのようで、真っ黒になっている。
かなり高火力の炎が使われたようだ。
ドラゴンなら火炎を口から吐いてくるので、何もおかしくはなさそうだ。
「ブライトさん、先ほどの方が目を覚まされました」
「あぁ、すぐに行く!」
ルリカの言葉を聞いたブライトは調べていた建物から目を離し、倒れていた人へと近づいていく。
「助けていただいて本当にありがとうございます。お礼を言ってもいい足りないくらいです――」
「いや、気にするな。礼ならルリカに言ってやってくれ」
「わ、私は当然のことをしただけですよ……」
ルリカが慌てふためいていた。
しかし、それを気にせずに聞きたいことを聞く。
「それよりも一体何があったんだ?」
「それが私たちも何が何だか……。突然ドラゴンが襲いかかってきて、気がついたらこんな状況になっていました」
顔を伏せる男。
まぁ、仕方ないか……。
こんな状況なのだから――。
「そのドラゴンが襲ってくる前は何か変わったことがなかったか? 周りの魔物達が突然逃げ出したり……とか、国の兵が怪しげな動きをしていた……とか」
「そうですね……。兵士の方はこの町に何か探しに来られたみたいなんですよね。でも、突然ドラゴンが襲ってきましたので、懸命に戦ってくれていました」
兵士が!?
いや、やつらが国民を助けるはずがない。
つまり、そう考えると兵士達の目的はドラゴンの討伐にあったのか?
ドラゴンの素材は人気で高額で売ったり出来る。
しかも貴族連中はそれをステータスに持っていると聞く。
なるほど……。そのためにドラゴン討伐を依頼して、結果的にドラゴンを怒らせて、この町が燃えてしまったんだな。
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