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「これでちゃんとあーんも出来ましたね……」
小さく微笑みを見せてくる柏木。
恥ずかしそうに微笑みながらもどこか嬉しそうにしていた。
そんな様子を見ていると俺の方も恥ずかしくなってくる。
「そ、そうだな……。うん……」
でも、すでに恋人同士なのだからこうして一歩ずつ進んでいくのは大切だよな……。
と改めて思う。
ただ、柏木はそれ一回きりでもう俺の方に料理を差し出してくる事はなかった。
だからこそ俺は逆に柏木に向けて、同じように卵焼きを掴んで差し出してみる。
「えっと、こ、これは……?」
「もちろん柏木にもお返しを……」
「わ、私はいいよ。だ、だってこれは三島くんのために作ったものなんだから……」
「そんなことを言わずに……。やってもらったんだからお返しするのは当然だろう。ほらっ」
俺は柏木の側に卵焼きを近づける。
すると柏木はソワソワとした様子を見せながら顔を赤くしていた。
それでも覚悟を決めてゆっくりと口を開けてそれを食べてくれる。
顔を真っ赤にしながらも口を動かす柏木。
「やっぱりちょっと失敗してますね……」
「そうか? 充分美味しかったぞ」
「あ、ありがとうございます。で、でも、次はもっと美味しいものを食べてもらえるように頑張るね」
「今度ってことはまた作ってきてくれるのか?」
今回だけかと思ったが、柏木は小さく頷いてくれる。
「うん、頑張ってみるよ……」
「それなら楽しみに待っているな」
そして、ゆっくり弁当を食べていき、気がついたときには全部食べ終わっていた。
「ふぅ……、美味かったよ。ごちそうさま」
「お粗末様でした」
全部食べてくれたことを柏木は嬉しそうにしてくれる。
空になった弁当箱を片付けているときに柏木は小さく欠伸をしていた。
「ふぁぁぁ……」
「ねむいのか?」
「ううん、大丈夫……。ちょっと今日は早起きをしただけ……だから」
目を擦って必死に眠たさを堪えようとしている。
「そんなに眠たいなら軽く寝たらどうだ?」
「えっ、でも、そんなことをしたら三島くんに迷惑が――」
「そんなことないぞ。何だったら肩くらい貸すけど?」
「そ、そこまではいいよ……。でも……ありがと……」
小さな声で呟くとベンチに座りゆっくり瞼を落としていった。
すると頭が揺れていき、そのまま俺の方へと倒れてくる。
本人は嫌がっていたが、自然と俺の肩を貸す状態になる。
ただ、それでも気づかないほどぐっすりと眠りにつく柏木。
その顔を見て微笑ましく思えてくる。
しかし、俺の方も次第に瞼が重くなり、そのまま眠ってしまう。
◇
(佐倉)
結衣ちゃん、ちゃんと弁当を作っていけたのかしら……。
不安に思った佐倉は二人に気づかれないように何も言わずに松崎公園へとやってくる。
待ち合わせは確か十一時と言っていた。
その時間ぴったりにやってきたはずなのだが、公園の前には誰もいない。
「えっ、何で!?」
さすがに二人とも遅刻をしたとは考えにくい。
だ、誰かに攫われた!?
ってそれは考えを飛躍させすぎね。
でもそうなると二人とも早めに来てもう公園の中に入ってるって考えるのが普通かも。
「もう、どうして私がこんなに心配しないといけないの……」
口でブチブチと言いながらも公園の中に入っていく。
するとクスクスと笑いながら歩いてくる人たちとすれ違う。
「あのカップル、微笑ましかったわね」
「そうね、それに今時こんなところでゆっくりしてるなんて珍しいわよね」
なるほど、向こうにいるのね。
早速佐倉は二人がいるであろう場所を目指して歩いて行った。
そして、ようやく発見する。
ただ、それを見て微笑ましいと言っていた理由を理解する。
公園のベンチに座って寄り添うように眠る二人。
お互いが支えるようにもたれ合いながら幸せそうに眠る二人を見ると佐倉も思わず微笑んでしまう。
「なるほどね……、私が出る幕はなかったわね」
ただ、せっかくなので佐倉は二人に近付くと柏木の手を取ってみる。
でも、ぐっすりと眠っているようなので目を覚ます様子はなかった。
だからそのまま柏木の手を三島の手に合わせて、まるで手を繋いでいるように見せる。
そして、それだけすると佐倉は帰っていった。
小さく微笑みを見せてくる柏木。
恥ずかしそうに微笑みながらもどこか嬉しそうにしていた。
そんな様子を見ていると俺の方も恥ずかしくなってくる。
「そ、そうだな……。うん……」
でも、すでに恋人同士なのだからこうして一歩ずつ進んでいくのは大切だよな……。
と改めて思う。
ただ、柏木はそれ一回きりでもう俺の方に料理を差し出してくる事はなかった。
だからこそ俺は逆に柏木に向けて、同じように卵焼きを掴んで差し出してみる。
「えっと、こ、これは……?」
「もちろん柏木にもお返しを……」
「わ、私はいいよ。だ、だってこれは三島くんのために作ったものなんだから……」
「そんなことを言わずに……。やってもらったんだからお返しするのは当然だろう。ほらっ」
俺は柏木の側に卵焼きを近づける。
すると柏木はソワソワとした様子を見せながら顔を赤くしていた。
それでも覚悟を決めてゆっくりと口を開けてそれを食べてくれる。
顔を真っ赤にしながらも口を動かす柏木。
「やっぱりちょっと失敗してますね……」
「そうか? 充分美味しかったぞ」
「あ、ありがとうございます。で、でも、次はもっと美味しいものを食べてもらえるように頑張るね」
「今度ってことはまた作ってきてくれるのか?」
今回だけかと思ったが、柏木は小さく頷いてくれる。
「うん、頑張ってみるよ……」
「それなら楽しみに待っているな」
そして、ゆっくり弁当を食べていき、気がついたときには全部食べ終わっていた。
「ふぅ……、美味かったよ。ごちそうさま」
「お粗末様でした」
全部食べてくれたことを柏木は嬉しそうにしてくれる。
空になった弁当箱を片付けているときに柏木は小さく欠伸をしていた。
「ふぁぁぁ……」
「ねむいのか?」
「ううん、大丈夫……。ちょっと今日は早起きをしただけ……だから」
目を擦って必死に眠たさを堪えようとしている。
「そんなに眠たいなら軽く寝たらどうだ?」
「えっ、でも、そんなことをしたら三島くんに迷惑が――」
「そんなことないぞ。何だったら肩くらい貸すけど?」
「そ、そこまではいいよ……。でも……ありがと……」
小さな声で呟くとベンチに座りゆっくり瞼を落としていった。
すると頭が揺れていき、そのまま俺の方へと倒れてくる。
本人は嫌がっていたが、自然と俺の肩を貸す状態になる。
ただ、それでも気づかないほどぐっすりと眠りにつく柏木。
その顔を見て微笑ましく思えてくる。
しかし、俺の方も次第に瞼が重くなり、そのまま眠ってしまう。
◇
(佐倉)
結衣ちゃん、ちゃんと弁当を作っていけたのかしら……。
不安に思った佐倉は二人に気づかれないように何も言わずに松崎公園へとやってくる。
待ち合わせは確か十一時と言っていた。
その時間ぴったりにやってきたはずなのだが、公園の前には誰もいない。
「えっ、何で!?」
さすがに二人とも遅刻をしたとは考えにくい。
だ、誰かに攫われた!?
ってそれは考えを飛躍させすぎね。
でもそうなると二人とも早めに来てもう公園の中に入ってるって考えるのが普通かも。
「もう、どうして私がこんなに心配しないといけないの……」
口でブチブチと言いながらも公園の中に入っていく。
するとクスクスと笑いながら歩いてくる人たちとすれ違う。
「あのカップル、微笑ましかったわね」
「そうね、それに今時こんなところでゆっくりしてるなんて珍しいわよね」
なるほど、向こうにいるのね。
早速佐倉は二人がいるであろう場所を目指して歩いて行った。
そして、ようやく発見する。
ただ、それを見て微笑ましいと言っていた理由を理解する。
公園のベンチに座って寄り添うように眠る二人。
お互いが支えるようにもたれ合いながら幸せそうに眠る二人を見ると佐倉も思わず微笑んでしまう。
「なるほどね……、私が出る幕はなかったわね」
ただ、せっかくなので佐倉は二人に近付くと柏木の手を取ってみる。
でも、ぐっすりと眠っているようなので目を覚ます様子はなかった。
だからそのまま柏木の手を三島の手に合わせて、まるで手を繋いでいるように見せる。
そして、それだけすると佐倉は帰っていった。
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