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遊園地当日、集合時間より早くに俺は結衣の家へとやってきていた。
「あっ、卓人くん。迎えに来てくれたの?」
「あぁ、一緒に行こうと思ってな。それよりもその鞄――」
「うん、お昼をみんなで食べようと思って作っておいたの」
結衣の手には大きな鞄があった。
さすがに重たそうに見えるな。
「その鞄、俺が持とうか?」
「そ、そんなことをしたら卓人くんに悪いよ……」
「いや、このくらいさせてくれ」
「うーん、いいのかな?」
すこし悩む結衣。
ただ、最後には俺に鞄を渡してくれる。
そして、頬を染めながらも嬉しそうに微笑んでくれる。
◇
二人で手を繋ぎながら駅へと向かう。
すると既に相場と佐倉は待っていた。
ただ、何やら口げんかをしているようだった。
「もう、俺が荷物を持つって言ってるだろ!」
「持たなくていいって言ってるの!」
何だろう、近視感がある光景だ。
「なんだかさっきの私たちみたいなことをしてるね」
「そうだな……」
「あっ、結衣ちゃん! おはよー」
俺たちの姿に気づいた佐倉が手を振りながら近付いてくる。
そして、相場の方は大きくため息を吐いていた。
「全く、荷物くらい持たせてくれても良いのにな……。三島もそう思うよな?」
「……そうだな」
実際に俺自身はもっているわけだし頷くことしかできなかった。
「そういえばお前たち、いつの間に付き合ったんだ? 俺は全然気がつかなかったぞ?」
気になったことを聞いてみると相場は不思議そうに聞き返してくる。
「付き合っている? 誰と誰がだ?」
「お前と佐倉だよ」
「いやいや、俺たちが付き合っているわけないだろう?」
「えっ!?」
そのことを聞いて俺は思わず驚いてしまう。
そして、全く同じことを佐倉にも聞いていたようで結衣も隣で驚いていた。
「えっ、うそ!? 絶対二人は付き合っていると思ったよ?」
「ないない、だって相手は相場だよ?」
「そうだな、俺たちが付き合うなんて考えられないよな」
二人して笑い合う相場と佐倉。
それを見て俺と結衣は視線を合わせる。
その目はこの二人、相性が良いんだから何かきっかけがあったら付き合うんじゃないか?って訴えかけてきているようだった。
だからこそ俺も結衣の耳元でコソコソと話しかける。
「それなら二人を良い関係にすると良いんじゃないか? せっかく遊園地に行くんだから――」
「そうだね、それがいいよね」
俺たちはお互い頷いていた。
◇
遊園地にたどり着くと早速佐倉が絶叫マシーンを指さしてくる。
「まずここに来たらあれだよね?」
「えっと、その……、有紗ちゃん? 私はその――」
「そうだよな、遊園地に来たらあれを乗るしかないよな」
結衣が怖そうな表情をしていたが、そんなときに佐倉が小声で何かを話す。
「あぁいう絶叫系なら三島と手を繋いでても大丈夫でしょ? なんだったら抱きついてもいいんだよ?」
「そ、そんなことしないよ……。それに手は……」
既に俺と結衣の手は繋がれている。
それを見て佐倉は驚いた様子だった。
「へぇ……、もう人前で手を繋いでいても大丈夫なんだね。安心したよ」
「えっ、うん。なんだがずっと手を繋いでいたら慣れてきたの」
「まぁ、無理に離す方が逆に意識してしまって恥ずかしいな……」
「うんうん、良い兆候だね。これならお赤飯が必要になる日も近いね」
うんうんと嬉しそうに頷く佐倉。
そして、そんな話をしながらさりげなく絶叫マシーンの列に並んでいたようで気がつくと俺たちの出番になっていた。
「そ、その……、卓人くん……」
「あぁ、結衣は俺にしっかりしがみついておけ」
「うん、ありがとう……」
結衣は俺の腕にしがみついてくる。
そのさいに手に感じた柔らかい感触で俺の頬は赤く染まるが、とりあえず平然を装う。
「そ、それよりもしっかり目を閉じておけ。始まったら一瞬で終わるから……」
「うん、わかったよ」
言うとおりに目をギュッと閉じる結衣。
そして、ゆっくり動き出す絶叫マシーン。
初めは大丈夫そうだったが落ち始めた瞬間に結衣が悲鳴を上げる。そして、それは最後まで止むことはなかった。
「あっ、卓人くん。迎えに来てくれたの?」
「あぁ、一緒に行こうと思ってな。それよりもその鞄――」
「うん、お昼をみんなで食べようと思って作っておいたの」
結衣の手には大きな鞄があった。
さすがに重たそうに見えるな。
「その鞄、俺が持とうか?」
「そ、そんなことをしたら卓人くんに悪いよ……」
「いや、このくらいさせてくれ」
「うーん、いいのかな?」
すこし悩む結衣。
ただ、最後には俺に鞄を渡してくれる。
そして、頬を染めながらも嬉しそうに微笑んでくれる。
◇
二人で手を繋ぎながら駅へと向かう。
すると既に相場と佐倉は待っていた。
ただ、何やら口げんかをしているようだった。
「もう、俺が荷物を持つって言ってるだろ!」
「持たなくていいって言ってるの!」
何だろう、近視感がある光景だ。
「なんだかさっきの私たちみたいなことをしてるね」
「そうだな……」
「あっ、結衣ちゃん! おはよー」
俺たちの姿に気づいた佐倉が手を振りながら近付いてくる。
そして、相場の方は大きくため息を吐いていた。
「全く、荷物くらい持たせてくれても良いのにな……。三島もそう思うよな?」
「……そうだな」
実際に俺自身はもっているわけだし頷くことしかできなかった。
「そういえばお前たち、いつの間に付き合ったんだ? 俺は全然気がつかなかったぞ?」
気になったことを聞いてみると相場は不思議そうに聞き返してくる。
「付き合っている? 誰と誰がだ?」
「お前と佐倉だよ」
「いやいや、俺たちが付き合っているわけないだろう?」
「えっ!?」
そのことを聞いて俺は思わず驚いてしまう。
そして、全く同じことを佐倉にも聞いていたようで結衣も隣で驚いていた。
「えっ、うそ!? 絶対二人は付き合っていると思ったよ?」
「ないない、だって相手は相場だよ?」
「そうだな、俺たちが付き合うなんて考えられないよな」
二人して笑い合う相場と佐倉。
それを見て俺と結衣は視線を合わせる。
その目はこの二人、相性が良いんだから何かきっかけがあったら付き合うんじゃないか?って訴えかけてきているようだった。
だからこそ俺も結衣の耳元でコソコソと話しかける。
「それなら二人を良い関係にすると良いんじゃないか? せっかく遊園地に行くんだから――」
「そうだね、それがいいよね」
俺たちはお互い頷いていた。
◇
遊園地にたどり着くと早速佐倉が絶叫マシーンを指さしてくる。
「まずここに来たらあれだよね?」
「えっと、その……、有紗ちゃん? 私はその――」
「そうだよな、遊園地に来たらあれを乗るしかないよな」
結衣が怖そうな表情をしていたが、そんなときに佐倉が小声で何かを話す。
「あぁいう絶叫系なら三島と手を繋いでても大丈夫でしょ? なんだったら抱きついてもいいんだよ?」
「そ、そんなことしないよ……。それに手は……」
既に俺と結衣の手は繋がれている。
それを見て佐倉は驚いた様子だった。
「へぇ……、もう人前で手を繋いでいても大丈夫なんだね。安心したよ」
「えっ、うん。なんだがずっと手を繋いでいたら慣れてきたの」
「まぁ、無理に離す方が逆に意識してしまって恥ずかしいな……」
「うんうん、良い兆候だね。これならお赤飯が必要になる日も近いね」
うんうんと嬉しそうに頷く佐倉。
そして、そんな話をしながらさりげなく絶叫マシーンの列に並んでいたようで気がつくと俺たちの出番になっていた。
「そ、その……、卓人くん……」
「あぁ、結衣は俺にしっかりしがみついておけ」
「うん、ありがとう……」
結衣は俺の腕にしがみついてくる。
そのさいに手に感じた柔らかい感触で俺の頬は赤く染まるが、とりあえず平然を装う。
「そ、それよりもしっかり目を閉じておけ。始まったら一瞬で終わるから……」
「うん、わかったよ」
言うとおりに目をギュッと閉じる結衣。
そして、ゆっくり動き出す絶叫マシーン。
初めは大丈夫そうだったが落ち始めた瞬間に結衣が悲鳴を上げる。そして、それは最後まで止むことはなかった。
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