ダンジョンマスター配信中!~投げ銭(スパチャ)で楽々ダンジョン強化〜

空野進

文字の大きさ
9 / 21

第9話:個室を作ろう

しおりを挟む
 遥さんの言うとおり、オークと冒険者の戦いは一瞬で終わっていた。
 本当に瞬きをした瞬間に冒険者たちはオークが持っている棍棒の餌食になり、壁に吹き飛ばされて、そして、やられていた。



「えっと、オークって、かなり強い?」

「Cランクモンスターですから弱いことはないと思いますよ?」

「そ、そっか……」



 スラ妖精でレベルを上げようとした冒険者をオークで撃退。
 ちょっとかわいそうなことをしている気がする。
 いや、ダンジョンマスターは冒険者の排除が仕事だから、と考えると何もおかしいことではないが。



「あと、討伐DPがかなり入ったよ……。うん、高ランクマスターはこれを毎日もらってるんだね……。どうりでいくらでもダンジョンを強化できるわけだよ」

「――奏さんは強化できないのですか?」

「うん、ここのダンジョンは配信をするまでは全く人が来なかったからね。基本的にダンジョンを強化するDPも配信頼みだよ?」

「――なるほど。それで配信をされていたのですね。冒険者も配信で生計を立ててる人もいますから――」

「うん、おかげでちょっとずつダンジョンらしくなってきたよ」

「そうですね。……あっ、そういえば、このダンジョンの報告はどうしますか? Fランクダンジョンのままで通すなら、魔物がいなかった、と報告しますけど?」

「うーん、そうだね。僕としてはランクを上げていきたいから、素直に報告してくれて良いよ。それに遥さんの評判にも関わるよね?」

「『遥』で良いですよ。さっきから少し気になってましたけど」

「えっと、それじゃあ、僕に対しても敬語をなくしてくれて良いからね」

「奏さんにそんなことはできませんよ!?」

「なら僕もそのままでいいよね?」

「うぅぅ……、意地悪ですよ……」



 頬を膨らませる遥。
 まだまだ敬語は取れないけど、幾分か友好的になってくれた気がする。



「えっと、とりあえず今日のところはやれることもないね。明日になったらDPも回復するから、そこから色々と強化しようか」

「……配信はしないのですか?」

「今はオークしかいないし、何もできることがないからなぁ……」

「それなら視聴者の力でダンジョンを強化するのはどうです?」

「そういう方法もあるんだね」

「視聴者の人からしたらダンジョンの作成は未知の領域ですから」

「――でも、それをするのも明日にしたいかな。ほらっ、どうせするなら広げてしまった今の改装より新しく生み出した何もない階層の方が面白いかなって」

「確かにそうですね。それなら私は一旦冒険者組合へ行きますね。よほどのことがない限り、オークがいればこのダンジョンは大丈夫だと思いますから……。なるべく急いで帰ってきます」

「あっ、でも、このダンジョンには個室がなくて、今は僕の部屋しかないんだよ……」

「大歓迎です!」

「歓迎したらダメだよ!? あ、明日には個室を準備しておくから、今日は町の方で休んできてくれる?」

「うー……、一緒で良いのに……」

「とりあえず、また明日ね」

「はい、朝一番に起こしに来ますね」

「……怖いよ!? 僕一人で起きれるから大丈夫だよ……」



 それから町へ向かう遥を見送った後、僕はマスタールームへと戻っていった。



◇◇◇



 翌日、とんでもない量のDPが加算されてしまった。



――――――――――――――――――――
№1524【カナタダンジョン】
マスター:如月奏きさらぎかなた
ランク :F LV :1 階層数 :1 クリア特典:なし
所持DP:833
【モンスター】
スライム:LV1(0/5)
スラ妖精:LV20(0/1)
オーク:LV30(1/1)
【ダンジョン侵入者数】
今日:0 昨日:7
【配信視聴者数】
今日:13541 昨日:51,234
【スパチャ金額】
今日:0 昨日:0
【インセンティブ(DP)】
今日:6 昨日:832
――――――――――――――――――――



 800DPか……。
 これだけあったら、色んなことができるよね?

 まずは……、うん、スライムたちを復活されるところからだよね。

 召喚するときと同じDPを消費してしまうけど、復活させないとダンジョンに冒険者が来てくれない。
 特にスラ妖精は……。

 あとは階層を増やすのと、個室を追加。
 他に何がいるかな?


 一応マスタールームには生活に必要な水回りやキッチンなどが備え付けられている。
 ……うん、DPで出したは良いけど置けるところがここしかなかったので、とりあえず置いたのだが――。


 遥がくるなら、この際別の部屋を作って、そちら側に配置しておくべきかもしれない。
 あとは……僕の個室も。


 マスタールームで集合することになるなら、さすがにそこで寝るわけにも行かない。
 でも、それだけ個室を作れるのかな?

 キッチンとトイレ、あとはお風呂を作っての個室が二つ。
 それらは全てマスタールームから行き来できるようにしておいた。

 合計でDPは500。

 残りのDPは300 となってしまった。
 うん、まだまだあるね。多すぎるくらいだよ。
 後は何を作ろうかな?


 必要なものを考えてみる
 何もない空間なので、魔物もいるし通路もいる。
 そもそも、宝や罠もそろそろ配置しないといけない。

 でも、この階層は配信で視聴者に相談しながら作り上げようと決めていた。

 そのためにもDPはある程度残しておいた方が良いかな?

 そんなことを考えていると、遥がやってくる。
 しかし、その顔はどこか残念そうだった



「まだ寝ててくれても良かったのに……」

「そんなわけにはいかないよ。今日からたくさんすることがあるからね。遥も手伝ってくれるよね?」

「もちろんですよ! 冒険者を倒せば良いんですよね?」

「ち、違うよ!? とりあえずマスタールームから個室に行けるから、荷物を持ち運んでくれて良いよ。必要な物があったら、DPで買えるなら準備するし……」

「私、奏さんが欲しいです!」

「必要なもの・・があったら準備するからね」

「うぅぅ……、わかりました。なら、奏さんの部屋にダブルベッドを置いて下さい。それで大丈夫です」

「あっ、ベッドがいるね。遥の部屋に普通のベッドを置いておくよ」



 早速モニターを表示して、10DP支払い、ベッドを注文していた。
 そして、配置位置を遥の部屋に設定。



「うぅぅ……、いぢわるですよ……」

「はいはい、わかったから。あと、今日の夕方に昨日言ってたダンジョン作成の配信を行うよ。一応そのつもりでいてね」

「あっ、はいっ!! これで奏さんの配信を間近で見られるんですね!」

「えっ、もちろん、遥にも出てもらうから」

「――えっ!?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

霊力ゼロの陰陽師見習い

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...